弥富市副市長と市長による議案の提出と撤回というドタバタ、ガバナンス崩壊の深刻さ

議案の提出と撤回について【弥富市議会】令和6年6月定例会 最終日 全員協議会での動画が公開されました

36分36秒からです

以下は私の現時点での所感です

1 組織的なガバナンスの脆弱性が根本原因

2 過去の失敗を生かさない組織管理者(副市長と市長)が一番深刻な問題

3 失敗そのものより、隠蔽と粉飾の姿勢が問題をこじらせる致命的な事後処理が問題

4 補正予算案で上書き消去はできない より深刻な黒歴史を後世に残すだけ

5 重大事故の背後に29件の軽微な事故、300件の異常が隠れている

6 今の副市長と市長による弥富市のガバナンスは、ほぼ崩壊している

 

1 組織的なガバナンスの脆弱性が根本原因

弥富市役所でまたしても残念な事件が発生しました。

事件のきっかけを作ったのは、

令和5年度の特別会計の年度末の決算処理です。

歳入が見込みを1200万円下回った。

ぎりぎりで組んでいた予算では結果的に赤字になった。

そのこと自体は決して許されるものではない。

しかし、その原因は、担当者のミスだけではない。

いくつもの課にまたがり「多重防御」がされているはずの会計処理。

お互いが「だれかがやるだろうと、傍観者になってしまった」

組織的なガバナンスの脆弱性。

この原因は個人的なものではなく、組織全体のガバナンス。

市役所全体が、今回関係していない職員を含めて、

この失敗を、教訓として組織のガバナンスを立て直す必要があります。

 

2 過去の失敗を生かさない組織管理者(副市長と市長)が一番深刻な問題

昨年の生涯学習課の金庫から17万円が消えた事件。

副市長は、チェックシートの作成とマニュアルの徹底を対策としていました。

しかし、日頃の副市長と市長の姿勢が良くなかった。と、この結果が示しています

今こそ、副市長と市長の責任こそが、最も問われるべきものであると考えます。

 

3 失敗そのものより、隠蔽と粉飾の姿勢が問題をこじらせる致命的な事後処理が問題

今回の赤字会計事件では、不正な使い込みがあったとか、お金が消えたわけではありません。

見込みの違いがあった事務処理の失敗です。

このこと自体は、過去にも、どこの自治体でも発生していることです。

それを5月31日までに処理すればよかった。

数日遅れてしまったという問題です。

実は同様の会計処理問題は、昨年、9月に沖縄県沖縄県で発生していた。

副市長と市長は、そういう先例があるということを知っていながら、市議会に言わなかった、隠していた。

沖縄県の先例を正直に議会に言えば

具体的には、議会閉会後に、「補正予算案」を市長の専決処分を行い、

次の議会で、専決処分の報告をすることによって、

地方自治法施行令第 166 条の 2 (会計年度経過後にいたって歳入が歳出に不足するときは、翌年度の歳入を繰り上げてこれに充てることができる。)

を適用して処理をするしかなかったはず。

しかし、議会への説明では、肝心の沖縄県の先例を隠した。

違法ともいえる補正予算案の可決を求めたということです。

今回の最大の問題は、副市長、市長という組織のガバナンスを統括するトップの粉飾か隠蔽が疑われることです

 

4 補正予算案で上書き消去はできない より深刻な黒歴史を後世に残すだけ

その違法とも言える議案を可決することに弥富市にどのようなメリットがあったか。

副市長曰く、1日も早く赤字状態を解消したいということだそうです。

赤字になったと言っても実際に銀行口座には令和6年度の資金が入っています。

現実に資金が不足していません。

会計処理としてみたときに「令和5年度は赤字状態」は永久に消せません。

議会で「補正予算案」を議決しても、永久に消せません。

逆に、違法状態を追認するような議案を、一旦可決してしまえば、それはその事実は永久に取り消しをすることができません。

そのことが、昨年9月に、沖縄県議会は「議決しないどころか受理しない」と言って突き返した理由です。

そういう「良い先例」があるのに、その先例を隠した。

議会を、結果的に言えば騙してしった。

見方によっては不正とも言えるような隠蔽行為こそ許されません。

 

5 重大事故の背後に29件の軽微な事故、300件の異常が隠れている

「ハインリッヒの法則」という経験則。

1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れています。

さらにその背後には事故寸前だった300件の異常が隠れているという経験則があります。

過去の生涯学習課の金庫から17万円が消えた事件もしかり。

弥富市のガバナンスは副市長と市長の隠蔽体質によって、常に、ことなかれ主義、隠蔽体質。

危険な兆候を素早く組織全体で共有し、適切な対応していない。

行政組織に求められる最も基本的なガバナンスが大きく欠落している。

象徴的な事件であると言わざるを得ません。

 

6 今の副市長と市長による弥富市のガバナンスは、ほぼ崩壊している

部下が失敗をしてしまったことは、結果的には許されるものではないとは言えます。

しかし、その根本原因は組織が組織として機能していないのが原因。

部下の責任よりも、組織全体のガバナンスの欠如という罪の方が、何百倍何千倍も重い。

毎回、事件を反省のチャンスとしない。

議会と市民に対して、粉飾隠蔽とも取られないような間違った方法を持ちかけた。

議会から突き返される形で、撤回をした。

今の副市長と市長による弥富市のガバナンスは、ほぼ崩壊している。

と、残念ながら言わざるを得ないという悲しい報告であります。

 

参考

中日新聞 2024年6月22日(社会面)

愛知県弥富市、特別会計の赤字1260万円赤字補塡せず 地方自治法に違反状態、対応を検討

愛知県弥富市が2023年度特別会計の決算で1260万円の赤字が出たにもかかわらず、5月末までの出納整理期間内に、24年度の歳入から繰り上げ充用を行わなかったため、地方自治法に違反した状態にあることが分かった。

市側は赤字を補塡(ほてん)するため、補正予算案を市議会6月定例会に提出していたが、安藤正明市長は21日、議員に対し「違法な状態であることを知りながら、説明不足だった」と謝罪。予算案の取り下げを申し出た。

関係者によると、23年度国民健康保険特別会計で、県からの交付金収入に見込み違いなどがあり、決算で1260万円の赤字が出た。地方自治法では、赤字となった会計は翌年度の4月1日から5月31日までの出納整理期間に予算を組んで補塡をしなければならない。

だが、市側は出納整理期間が過ぎた6月17日に一般会計から補塡する補正予算案を提出。その後、市議に対する21日の説明で、5月末の期日を過ぎた後に誤りに気づいたと説明。「赤字の状態を一刻も早く解消するために補正予算案を提出した。法律に基づく対処法ではなかった」と謝罪し、予算案の取り下げを願い出たという。

説明後、ある市議は「議会が法律違反と気づかないと期待して、しれっと補塡しようとしていたと感じる。あり得ない」と憤った。

議会側は27日の定例会最終日に、予算案の撤回について審議する見通し。市は今後、赤字の補填方法を検討する方針。

 

中日新聞 2024年6月27日(尾張版)

「違法状態を収めたかった」弥富市の特別会計問題、市側が赤字補塡の予算案取り下げ

弥富市が特別会計の決算で出た赤字の穴埋めに違法な手続きがあった問題で、市は27日の市議会6月定例会で、法律で定められた期限を過ぎてから提出していた補正予算案の取り下げを正式に申し出た。議会側も同意したが、識者から「会計のチェック体制が十分でない」との指摘が出ている。
市の説明によると、2023年度国民健康保険特別会計で、県からの交付金収入に見込み違いなどがあり、決算で約1260万円の赤字が出た。地方自治法によると、前年度の赤字は5月末までの出納整理期間に予算を組んで穴埋めする必要がある。だが、市側は期限を過ぎた6月17日になって、赤字を解消するため24年度の歳入を繰り上げて不足分に充てる補正予算案を提出していた。
安藤正明市長は市議会全員協議会で「違法状態を収めたかった。(予算案が)違法という言葉が足りなかったと反省している」と、手続きを誤った上、議員に十分な説明をしなかったことを謝罪した。議会側からは「われわれを裏切っていると言わざるを得ない」と批判の声が上がった。今後、赤字をどう穴埋めするか、市側は議会と相談しながら決めていく方針だ。
一連の問題について元三重県職員で中京大の今井良幸教授(地方自治法)によると、決算で赤字が出ることはあるが、各自治体は出納整理期間の期限内に赤字を穴埋めしており、「法律通りに補填(ほてん)しないケースはあまり聞かない」という。
期限を過ぎると、法律的には違法状態を解消する手だてがなくなるとして、「再発を防ぐため組織としてのチェック体制を点検すべきだ」と指摘した。 (森雅貴)

 

中日新聞 2024年7月10日(尾張版)

弥富市、専決処分で前年度の赤字を補填 地方自治法「違反」を解消へ

弥富市の安藤正明市長は9日、市議会の同意を求めない専決処分で、2023年度特別会計で出た赤字を24年度一般会計から補塡(ほてん)することを決めた。決算で1260万円の赤字が出たにもかかわらず、期限内に24年度の歳入から繰り上げ充用をせず、地方自治法に違反した状態になっていた。

市によると、23年度国民健康保険特別会計で、県からの交付金収入に見込み違いなどがあり、決算で1260万円の赤字が出た。地方自治法によると、前年度の赤字は5月末までの出納整理期間の期限内に予算を組んで穴埋めする必要がある。だが、整理期間の認識を誤り、6月上旬に法律違反の状態に気づいたという。

市側は8日、議員に対し、専決処分で赤字分を穴埋めする方針を説明した。

村瀬美樹副市長は本紙の取材に対し、制度の理解を徹底し、財務の管理については担当課と財政課で打ち合わせを行う機会を増やしていくとして、「今後はこのようなことが二度とないようにしていく」と再発防止に努める考えを強調した。

 

令和5年度地方財政審議会(9月19日)議事要旨

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/chizai/02zaisei02_04001397_00527.html

日時:令和5年9月19日(火)10時00分~10時30分

場所:地方財政審議会室

出席者:(委 員)小西砂千夫(会長)宗田友子 西野範彦 野坂雅一 星野菜穗子(説明者) 自治財政局準公営企業室 課長補佐 村田直也

議題:沖縄県が設置する港湾整備事業特別会計の赤字決算について

今回の議題について新聞報道がなされたため、事案の概要、各種法令との関連について説明を受けるものである。

要旨: 標記の件について、説明を受け、質疑応答及び意見交換を行った。

(主な内容)

○本事案の発生を防ぐことはできなかったのか。

→出納整理期間中に、実際の現金がいくら収納されたかを確認していれば発生していなかった。

○繰上充用の措置が漏れているという事例は、他団体でもあるのか。

→近年そういった例は把握していないが、過去に事例はある。

○財政健全化法に基づいて算定する資金不足比率には影響ないのか。

→解消可能資金不足額があるため、財政健全化法上の資金の不足額は生じない。

○県はどのような再発防止策を検討しているのか。

→ダブルチェックの実施やチェックシートの作成を行うと聞いている。

資料:説明資料PDF

https://www.soumu.go.jp/main_content/000907267.pdf

 

赤字決算解消の補正「審理せず」 違法行為追認を拒否―沖縄県議会(時事ドットコム)

沖縄県は23年度予算から赤字を補充する「繰り上げ充用」の手続きを進めているが、補正予算案は違法な支出行為を前提としているため、県議会各会派は「執行部を追認するとの誤解を招きかねず、行政の監視を担う議会の役割とは全く相いれない」との見解で一致した。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023092001222&g=pol

 

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