提言書:弥富市政の硬直化を打破し、市民中心の未来を築くために
神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏が、令和6年9月29日の中日新聞「視座」コラムで述べられた「組織マネジメント原理主義者」という概念は、奇しくも現在の弥富市が抱える行政運営の混迷と問題点を的確に指摘していると感じます。特に、閉校した十四山中学校の跡地活用や新小学校の建設計画を巡る一連の経緯は、まさにその「組織の歪み」が露呈した典型例と言えるでしょう。
1. 「組織マネジメント原理主義」に陥る弥富市政の現状
内田氏は、組織がその本来の使命を忘れ、「存続そのものが自己目的化」し、「上意下達的に運営されるべきだ」と信じ込む人々を「組織マネジメント原理主義者」と定義しています。残念ながら、今の弥富市役所の姿は、この指摘と重なる部分が少なくありません。
1.1. 組織の目的化と外部への無反応
弥富市役所においては、本来、市民の幸福と地域課題の解決のために存在するはずの組織が、組織を維持し、内部の秩序を守ることが最優先されているように見受けられます。外部からの正当な批判や、市民による合理的な提案に対しても、真摯に耳を傾けず、無反応あるいは形式的な対応に終始する傾向が見られます。
1.2. 職員の「誤った忠誠心」と疲弊
こうした組織風土の中で、職員は「既に進めてきた事業を、どんな反対や困難があっても突破すること」が優秀さの証だと誤解しているのではないでしょうか。あるいは、外部からの批判やもっともな指摘があったとしても、「前の計画を念仏のように唱えてやり過ごす」ことや、「新しい検討課題を出されても、検討しない、あるいは検討したふりをしてやり過ごす」ことが、組織の中で生き残るための「忠実な犬」としての役割であると勘違いしているのかもしれません。
結果として、職員は「どうでもいいような資料作り」にサービス残業を費やし、心身が疲弊しています。上層部からの「計画を遂行するように」という、往々にして市民目線を欠いた指示を守るために右往左往し、本当の意味における市民と弥富市のための大所高所に立つことができていない状況に陥っています。
1.3. 市民との深刻な乖離
弥富市役所という「6階建てのビル」が象徴するように、その内部の秩序や職員のステータス維持が目的化している結果、市役所の運営が市民の権利を侵害していることに、当事者である市役所自身が気づいていない、あるいは気づかないふりをしているのではないかという疑念が拭えません。
2. 市民への呼びかけ:私たちは市役所の真の「所有者」である
今回の学校再編校の位置に関する判断や、それに対する市民の反対意見、そして合理的な新たな提案への対応は、極めて不適切かつ迅速さを欠いています。このような**「組織マネジメント原理主義」による硬直状態**は、弥富市の未来に深刻な影響を及ぼしかねません。
しかし、ここで私たち市民が改めて自覚すべきことがあります。それは、市役所の建物も、その中で働く市長や職員も、弥富市民全員が費用を負担し、その成果を分け合うために作った施設と組織であるということです。つまり、市役所の究極の所有者は私たち市民なのです。
自分たちの権利がここまで毀損され、税金が適切に使われていない可能性に、そろそろ真剣に気がつくべきではないでしょうか。
3. 弥富市への提言:市民と共創する開かれた市政へ
弥富市がこの現状を打破し、真に市民のための市政へと変革するため、以下の点を強く提言いたします。
- 「組織マネジメント原理主義」からの脱却と意識改革: 市長自らが率先して「市民のために何ができるか」という本来の使命に立ち返り、職員にもその意識を徹底するよう指導してください。硬直した上意下達の組織ではなく、現場の声や市民の声が上層部に届く、風通しの良い組織文化を醸成すべきです。
- 市民参加プロセスの抜本的見直しと透明性の確保: 学校再編計画や、今後策定されるあらゆる公共政策において、市民の意見が意思決定プロセスにどう反映されるのかを明確に提示してください。市民アンケートや住民説明会を単なる「アリバイ作り」で終わらせず、市民が主体的に議論に参加し、提案できる真の「市民協働」の場を設けるべきです。
- 説明責任の徹底と情報公開の促進: 市民からの疑問や批判に対し、責任の所在を曖昧にせず、具体的な根拠に基づいた明確な説明を行ってください。全ての公共事業について、費用対効果や意思決定プロセスを市民に分かりやすい形で公開し、透明性を高めるべきです。
- 「足元の課題」への真摯な対応: リニア開通やAI活用といった抽象的な「夢」を語るだけでなく、市民が今直面している具体的な生活課題(教育、防災、交通、福祉など)に目を向け、地に足のついた解決策を提示し、着実に実行してください。
結びに:あなたの「声」が、弥富の未来を変える
この提言書を読んで、「自分もそう思う」「こんな疑問がある」と感じた方は、ぜひ市役所へ直接意見を伝えたり、住民説明会や今後の意見交換会に積極的に参加したり、あるいは市議会議員に声を届けたりしてください。
私たち一人ひとりの「声」が、弥富市の行政を動かし、より開かれた、市民のための市政を実現する原動力となります。
弥富市のより良い未来のために、共に考え、行動していきましょう。
