弥富市議会令和7年3月定例会 一般質問 佐藤仁志
ひので保育所民営化:市は市民の財産をなぜ「タダ」で譲渡するのか?
弥富市立ひので保育所の民営化を巡る議論で、佐藤議員は市民の財産である建物の無償譲渡という市の決定に疑問を投げかけました。市側は「優良な法人に運営を任せるため」と説明しましたが、その答弁には、質問の核心から議論を逸らすような「はぐらかし」が見られました。
1. 「優良な法人確保」を理由に無償譲渡を正当化
佐藤議員は、3億7千万円かけて建設された建物を無償で譲渡することの妥当性を厳しく問いました。特に、名古屋市が評価額の10分の1で有償譲渡している事例を挙げ、市民の財産をただで渡すことへの訴訟リスクや、行政判断としての妥当性を欠くのではないかと指摘しました。
佐藤議員の質問の核心:
- 「なぜ市民の財産を無償で譲渡するのか。名古屋市のように有償譲渡すべきではないか。」
- 「市民の財産を無償で譲渡するのは妥当性を欠くと判断した名古屋市に比べ、弥富市の判断はなぜ違うのか。」
市の答弁:
- 健康福祉部長:「県内調査ではほとんどの自治体が無償譲渡または無償貸与している状況でした。」
- 健康福祉部長:「民営化基本方針に基づき、優良な法人を募り、民営化後の健全な運営のため、無償譲渡を原則としています。」
- 健康福祉部長:「『公私連携』制度を活用することで、民営化後も健全な運営と適切な保育が継続されるよう、無償譲渡を進めます。」
はぐらかしのポイント: 部長は、名古屋市の事例を挙げられたにもかかわらず、その判断が妥当ではないと判断した根拠には触れず、「県内のほとんどの自治体がそうしている」という横並びの慣例を理由に挙げました。また、「優良な法人を募るため」「健全な運営のため」と答えることで、市民の財産が「ただ」で譲渡されるという経済的な損失や、その行政判断の是非に関する問いから論点をずらしました。
2. 建物の「老朽化」と「立地的な有利性」に関する答弁の回避
佐藤議員は、無償譲渡の理由をより具体的に探るため、建物の老朽化や立地の有利性といった、譲渡条件を左右するであろう2つの要因について再質問しました。
佐藤議員の再質問の核心:
- 「建物は建て替えが必要なほど老朽化しているのか?そうでないなら無償譲渡は不当ではないか。」
- 「ひので保育所は立地的に有利な場所にある。不利な立地でなければ園児は集まるのに、なぜ無償譲渡するのか。」
- 「これらの点(老朽化・立地の有利性)について、考慮されているのか。」
市の答弁:
- 児童課長:「より多くの優良な事業者に参加してもらうために、無償譲渡いたしました。」
- 児童課長:「より多くのこどもたちが通えるよう、大きな施設とすることを重視しました。」
はぐらかしのポイント: 佐藤議員は「老朽化」「立地の有利性」という2つの具体的な事実について、市がそれをどのように考慮したのかを問いましたが、児童課長はこれらの問いに直接答えず、再び「優良な事業者」「多くのこども」といった抽象的な目的を繰り返しました。これは、建物が古くないことや立地が有利であることを事実として認めつつも、それが無償譲渡の理由とは関係ないという、質問を正面から受け止めない答弁です。
3. 民営化後の「検証」をめぐる透明性の欠如
佐藤議員は、民営化後の保育の質を確保するため、「子どもの立場に立った公平公正な検証」と、その**検証内容の「公の場での公開」**を強く求めました。
佐藤議員の質問の核心:
- 「民営化後、**『子どもの立場に立った検証』**はどのように行われるのか。」
- 「検証内容を密室での議論にせず、毎年公の場で公開し、住民が安心して無償譲渡を納得できるように担保すべきではないか。」
市の答弁:
- 健康福祉部長:「協定を締結し、報告徴収や立ち入り検査を行う。」
- 健康福祉部長:「**保護者の代表を含む『三者協議会』**を設置し、質の向上と運営の透明性を高める。」
- 健康福祉部長:「保護者・法人・市の三者が連携し、適切な保育が行われるよう市も関与していきます。」
はぐらかしのポイント: 部長は、協定や三者協議会の存在といった**「仕組み」を詳細に説明することで、市が関与する姿勢を見せました。しかし、議員が求めた「毎年公の場で検証結果を公開する」という具体的な約束は避け、「三者協議会を通じて関与する」と答えるにとどめました。これは、「関与する」という曖昧な言葉**で議員の要求をかわし、情報公開の約束をしないという姿勢の表れです。
結論:市民の疑問は解消されないまま
この質疑応答全体を通して、市側の答弁は、議員の鋭い質問に対し、「慣例」「目的」「仕組み」といった言葉を使い、具体的な事実や判断の根拠から巧みに論点をずらしていました。特に、市民の財産が無償譲渡されることへの合理的な説明を避け、「優良な法人に運営してもらうため」という名目的な理由を繰り返すことで、市民が抱くであろう根本的な疑問に答えることをしませんでした。これにより、市民の財産が透明性の低いプロセスで譲渡されるのではないかという不信感は、解消されないまま残されることになりました。
ひので保育所民営化に関する質疑応答(弥富市議会)
このやり取りは、弥富市議会におけるひので保育所の民営化を巡る議論です。佐藤議員が市民の財産が無償譲渡されることの妥当性や、民営化後の保育の質について質問し、市側(健康福祉部長、児童課長)が答弁しています。
~~~以下は発言の文字起こしです~~~
(佐藤議員)
ひので保育所の建物の無償譲渡についてです。
今年の4月に民営化の予定です
ひので保育所は平成16年、3億7275万円かけて建築した建物なんですがこれが移管先の学校法人に無償ただで譲渡する予定です。
しかし、名古屋市では評価額の10分の1もちろんこれは最初の4億と言ってませんよ。
その時点における評価額の10分の1で有償譲渡としてます。
さすがに市民の財産を無償で譲渡するのは
たとえ相手が公益的な法人であったとしても、
訴訟リスクを含め妥当性を欠くんだと判断したんでしょうね、
行政としてまっとうな判断だと思います。
ひので保育所も評価額の10分の1で有償で譲渡するのが妥当じゃないですかと思っております。
(安井健康福祉部長)
名古屋市では、建物を有償譲渡しておりますが、
民営化基本方針の策定にあたり県内を調査したところ、
ほとんどの自治体で、より多くの優良な法人に応募いただけるよう、
また、民営化後も、健全な運営が継続されるよう、既存の建物は無償譲渡または無償貸与している状況でございました。
市立ひので保育所の民営化に伴う施設の取り扱いについては、
令和4年1月に策定しました弥富市公立保育所の民営化基本方針により、
建物および備品類は無償譲渡を原則としており、
土地の有償貸与等を含めた条件を提示して、移管先法人を選定しておりますので、
建物の有償譲渡は考えておりません。
また、就学前のこどもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する
「公私連携幼保連携型認定こども園」制度を活用することにより、
民営化後も引き続き、地域の教育保育施設として健全な運営かつ適切な保育が継続されるよう、建物は無償譲渡としてまいります。
(佐藤議員)。
再質問、二つ問題点について再度聞かせてください
一つは老朽化の度合いです。
私が見た感じでは、やっぱり古くても建て替えなきゃいけない保育所を民営化したいっていう、
それはただでもいいでしょう。
2点目、立地的な不利、立地的にむしろこっちが有利なところだということです
立地的に不利なところだったら、こどもを集めるの大変だしっていうことで、
無償もいいでしょうけども
ここは一番有利なとこだと思うんですよね。
その点について配慮はしてほしいと思います、されてませんか。
再答弁を求めます。
(飯田児童課長)
ひので保育所の建物につきましては、先ほども部長が答弁いたしましたように、優良な事業者により多く参加してもらうために、無償譲渡いたしました。
選定にあたっては、認定こども園という幼稚園の機能を持たせた施設でもありますので、
より多くのこどもたちがそこに通えるようできるだけし、大きな施設としたということでございます。
(佐藤議員)
今の答弁では、市民が思ってる、私が非常に思ってる2点については、
古くない、場所も一番良いという点は考慮されてないと思います。
6番目、ひので保育所の民営化の検証について、民営化もちろん良い点もあったんでしょうが、
きちんと公平公正に特にこどもの立場に立った検証とかされるのが、されるのではないんじゃないかなと思ってました。
どのような検証を想定されるでしょうか。
(安井健康福祉部長)
本市の保育所民営化に関しては、移管先法人との間で、
「公私連携幼保連携型認定こども園設置に係る協定」を締結しますので、
移管後も市が一定の関与を保ち続けることになります。
したがいまして、当該認定こども園の適切な運営のため、
本市が報告徴収および立ち入り検査等を行うことができる他、
同園が正当な理由なく協定に従っていないと認めるときは、
是正勧告および指定の取り消しを行うことができますので、
これらの措置を通じて、適切な指導監督を行ってまいります。
また、保護者の代表を含めた三者協議会や課題等の解決処理のための第三者委員を設置するなど、
教育保育の更なる質の向上と運営の透明性を高めるとともに、
市として継続的に検証および評価を行い、
当該施設の運営並びに今後の民営化政策に生かしてまいります。
(佐藤議員)
ということは、今とても重要な答弁だったのでこれ議事録に残して守ってかなきゃいけないんですが、
ひので保育所は、住民が言ってるように、売っぱらったんじゃなくて、ただでやったんじゃなくて
民間移管はしたけども、
今まで通りひので保育所の良かった点ですね、
公立保育所として非常に良かった点を守ってもらう、維持してもらう。
その上で民間の良いところを上乗せしてもらうと
確かにこれ私ずっと注視してたので、募集要項とかですね、細々書いてありますなので、それをしっかり守っていただきたいと思います。
経営の安定化はそういうこと。だろうと。
最も有利な条件で渡したから
ちゃんとやってくれってことですね
だから再度質問します。
だから、それを維持するためには、
市民が知らないところで密室で、民間保育所等の経営者で議論してもしょうがないんです。
現状をきちんとあぶり出して、
毎年、公の場でちゃんとそのひので保育所がこどもたちにとってどんな保育環境を与えているか。
経営のお金のことは言いませんよ。
あくまで、こどもたちにとって保育の質が公立保育所以上に行われてるってことを、
アンケート調査を取るとか、実地に調査をするとか、
そしてその話し合いについてはオープンにしていく。
わかりやすく言えばホームページに公開する、
それが担保されなければ安心して住民として、
ひので保育所をただで民間に渡すことはできません。そうですよね。
再答弁を求めます。
(安井健康福祉部長)
はい先ほど答弁で申し上げましたけども、
保護者の代表を含めた三者協議会ということで、
保護者、法人市の方が連携をしながら、適切な保育をやっていただけるように、
こちらの方も関与しておりますので、それでは大丈夫かと思っております。
(佐藤議員)
やっていただくんじゃなくて、やらせなきゃ駄目なんです。
それは議事録にされていないですよね。
やっていただくって
もちろんやっていただくんだけど、
やらしてもらわなければ困るので、
うなずいてらっしゃいますのでいいですね。
(7)安藤市長の職員や住民の方の発信や対話の姿勢については、
これについては昨日平野議員からしっかりと対応してくれってことがありましたので、重複しますので、次へ進みます。
