
弥富市議会令和7年3月定例会 一般質問 佐藤仁志
農村地域の未来をめぐる攻防:市の答弁に透ける「はぐらかし」の意図
弥富市議会の一般質問で、佐藤仁志議員は、合併の「対等性」や「都市計画マスタープラン」が農村地域に与える不安について、市長の姿勢や行政の透明性を厳しく追及しました。市側の答弁は、議員の質問に対して抽象的な理念や一般的な事実を並べることで、具体的な不安や疑問に正面から答えることを避けています。
1. 合併の「対等性」に関する質問への不透明な回答
佐藤議員は、小学校統合問題を例に挙げ、農村地域(旧鍋田村、十四山村)が市街化区域に比べて不利な扱いを受けていると感じていることを伝え、合併が本当に「対等」だったのか、その目的は何だったのかを問いました。
佐藤議員の質問の核心:
- 合併は「対等」だったと言うが、現実には地域間格差が生じているのではないか。
- 合併の目的は、大(弥富町)が小(農村部)を支えるという関係を築くことではなかったのか。
市の答弁:
- 伊藤総務部長:「合併は各町村の歴史・伝統・文化やまちづくりの歩みをお互いに尊重し、新たなまちづくりを進め、一体的な発展と住民福祉の向上を目指す。」
はぐらかしのポイント: 総務部長は、「尊重」「一体的な発展」「住民福祉の向上」といった合併の理念や目的を繰り返すだけで、議員が指摘する**「対等」な関係の実態**(地域間格差)については一切触れていません。議員は「大が小を補うのが対等」という具体的な認識を投げかけましたが、これに対する直接的な見解も示しませんでした。これは、理想論を語ることで現状の問題点をはぐらかし、具体的な対話から逃避する姿勢と言えます。議員が「再質問しません」と諦めたことからも、その意図が成功していることが見て取れます。
2. 都市計画マスタープランの矛盾:「建前」と「本音」
佐藤議員は、都市計画マスタープランが「コンパクトシティ」を掲げ、都市機能を中心市街地に集約させることで、農村地域が「住めなくなる」のではないかという不安を提示し、市が意図的に住民を誘導しているのかを問いました。
佐藤議員の質問の核心:
- マスタープランには**「既存集落の維持」と「中心部への誘導」という矛盾**がある。
- 前半の「維持」は建前で、後半の「誘導」が本音ではないか。
- 農村地域の住民を中心部に引っ越させようとしているのか。
市の答弁:
- 立石建設部長:「マスタープランは市街化調整区域でも地域生活拠点の維持を図る。」「持続可能なまちづくりを進めるため、中心部に居住や都市機能を緩やかに誘導していく。」
- 三輪都市整備課長:「調整区域は現状維持する考え。」「少子高齢化に対応するため、将来を見据えて中心市街地に誘導する。」
はぐらかしのポイント: 建設部長は、マスタープランの両面を並べて説明することで、矛盾の指摘をかわそうとしました。しかし、議員が指摘するように、前半で「維持」と言いながら後半で「誘導」と述べており、市の長期的な方針が中心市街地への集中にあることを事実として認めています。 都市整備課長も「現状維持」と「将来的な誘導」を同時に説明していますが、これは**「当面は維持するが、将来的には中心部へ移ってほしい」という意図を読み取ることができます。市側は「少子高齢化に対応するため」や「将来を見据えた」といった聞こえの良いフレーズ**を使うことで、農村地域を切り捨てるかのような政策の本質を覆い隠しています。
3. 住民の意見聴取と答弁拒否
佐藤議員は、学校跡地利用について住民全員へのアンケートと長期的な検討を求め、軽率に民間に売却しないよう提言しました。この具体的な提言に対し、市側は事実上の答弁拒否という対応をとりました。
佐藤議員の質問の核心:
- 市は、全住民の声をアンケートで集約すべきではないか。
- 最低2〜5年かけて慎重に跡地利用を検討すべきではないか。
- それまでの間、軽率に民間に売却しないと約束できるか。
市の答弁:
- 村瀬副市長:佐藤議員の過去の発言について「議会で言ってないことを言った」と訂正を求め、議論を中断。
- 堀岡議長:佐藤議員の一般質問を終了。
はぐらかしのポイント: この場面では、市側は質問に対して一切答えず、過去の議事録に関する論争を理由に佐藤議員の発言を制止し、質疑を打ち切りました。これは、質問に答えることによる行政の責任を回避する、最も露骨な「はぐらかし」です。議員が指摘するように、「答えない」という行為自体が、行政の透明性や住民への向き合い方を問う重大な問題となります。
結論:行政の信頼を揺るがす「はぐらかし」の連鎖
今回の議事録全体を通して、弥富市側の答弁は、議員の鋭い質問の核心(市長の意思、計画の真意、住民の意見の軽視)から一貫して逃げています。
- 形式的な事実(審議はされた、周知はした、違法ではない)を繰り返す。
- 抽象的な理念(一体的な発展、持続可能なまちづくり)を盾にする。
- 論点をずらし、過去の言動の「訂正」を求めることで、議論を中断・終了させる。
これらの手法は、行政が住民の声に真摯に向き合い、信頼関係を築く上で最も重要な**「説明責任」を果たしていない**ことを強く示唆しています。
~~~以下は発言の文字起こしです~~~
(8)農村地域の不安について、
弥富市の都市計画マスタープランでは、国の政策を鵜呑みにしてコンパクトシティといって、
公共施設や住む機能を中心市街地に集め、
周辺部の農村の土地利用は農業と工業と物流だって言ってます。
これ本気で実行すれば、農村地域の人が住めなくなります。
子育てができなくなっちゃいます。
安藤市長は本気で農村地域を住むことができなくて、
南部の住民が中心部に引っ越すような誘導を
本気でしてるんでしょうか
農村地域の不安について答弁を求めます。
(立石建設部長)
本市の将来像や、土地利用の方針、都市計画や都市づくりに関する様々な分野について、
その整備や保全の総合的な指針となるものとして策定された「弥富市都市計画マスタープラン」では、
人口減少の中で、持続可能なまちづくりを進めるため、
市街化区域だけでなく、市街化調整区域においても、
地域生活拠点を中心とした既存集落の維持を含め、弥富市全体の土地利用や、都市施設の配置を示しております。
具体的には、農村地域では、既存集落の維持や、公共施設跡地の活用、インターチェンジおよび幹線道路周辺などでは、
流通業務施設等周辺の土地利用との調和を図りつつ、
市街化調整区域の性格を変えない範囲において、地区計画による適切な規制、誘導を図ることとしております。
しかしながら、全国的に進む人口減少や、都市部への人口集中等に対応した行政運営を維持するためには、
都市機能が集約された利便性の高いコンパクトなまちづくりを推進し、
長い年月をかけ、居住や都市機能を、街の中心部へ緩やかに誘導していくと、
将来を見据えたまちづくりを進めていく必要があると考えております。
(佐藤議員)。
再確認の質問します
今の答弁で、前半では市街化調整区域にも拠点を作るって言っておきながら、
しかしながら、その後ですよね。
中心部に長い年月をかけて誘導すると言ってます。
これは前半が建前であって、
たてまえ上では地域振興もしますけども最終的には中心部へ誘導します。
と言ってるんですよね。
確認の答弁を求めます。
(三輪都市整備課長)
先ほど部長が答弁いたしました、
調整区域においての生活拠点を中心とした集落、既存集落は維持ということですので、
これから拠点を作るという意味ではなく、現状維持していくということを答弁させていただきました。
またその後のですね、
コンパクトシティにつきましては、全国的な少子高齢化に対応するために先ほど部長が言いましたように長い年月をかけて、世代を超えてですね、
そういったことを今のうちから将来を見据えたまちづくりをしていく必要があるというふうに市では考えております。
(佐藤議員)
今の答弁を踏まえて、再質問します。
「安藤市長は土地改良区の事務局におられたので、農村地域の課題は、ようく理解しておられるはずだ」と。
特に農村地域の皆さんは思い込んでおられるようですけども、
実際この昨年来の学校問題の地域説明会で、
女房役である副市長の答弁は、
住民が何度聞いても結局は市街化調整区域では新たな住宅地はできない。
学校はより中心部に持ってくる。
曰く、「がっかり、夢も希望がないのが弥富市か」という意見をいただいてます。
これでは農村地域に安心して住めません。
これに対して、宮沢賢治はこう言ってます。
「全体の幸せなくして個人の幸せはあり得ない。」
要するに、地域の幸せなくして、個人の幸せがないってことですよね。
中島みゆきはこうも歌ってんですよね。
「一人きり泣けても、一人きり笑うことはできない。」
やっぱり、みんなの力が大事だっていうことです。
学校は、単なる不動産ではありません。
地域のみんなが育った物語としての原風景はやっぱり学校なんです。
仮に、今度三つの学校かな4つか、なくなっても、
地域のみんなが思い出とする場所は学校だし、
集う場所はどうしてもいるんです。
明治時代にから地域のみんなで作って
以来100年にわたり、守り育ててきた学校です。
だからこそ、なくなったとしても
これからの100年の計として、地域協働の集いの場は必要です。
これを再び新しい形でつくり上げなければ、
地域のみんなで共有していけなければ、駄目なんです。
昨日の平野議員の質問にもあったように、
今の弥富市の方針は一番が行政需要、2番が地域、3番が民間活力って言ってますがこれは間違ってます。
これは平野議員もおっしゃってました。
あくまで一番が地域の意見と要望でなければなりません。
問題なのは、
地域の人に何ら検討資料も出さずに「さあ意見出せ」って言ったって出るはずがないんです。
どうすればいいか。
第一段階として地域住民の声をアンケートで取る
世帯単位じゃなくて全員の声をアンケートで取って集約する。
そのみんなの声が出て
初めて地区で、地区の代表者が集まってワークショップを何回もやって、
そこに昨日の質疑でもあったように、市の関係課長が行って、
地域の問題点をどうしていくか、
もちろん、簡単に多数決でやると、
結局「誰か偉い人を決めたわさ」
自分ごとじゃなくなっちゃう。
しかも、決めた方も結局誰も責任取りません。
最後まで平等に話し合い、
少数意見を尊重し合意点を見つけることを諦めなければ、
地域のことは自分ごと化して、
協働の力が、高まります
ここに真の地域の魅力が生まれます。
で、それがあって、初めて地域の未来があって、
その一つの形としての学校の跡地利用であって、
学校の跡地利用のために地域どうするかじゃないんです。
それには最低でも2年3年5年かかるでしょう。
期が熟すまでは、拙速な跡地利用を決めてはいけません。
で、2点再質問します。
対象地域全員に、住民がやるってのは無理ですよ。
市として、きちんとアンケートを取る必要があるんじゃないすか。
2点目やっぱりこれについてはじっくりと時間をかける
昨日の答弁の時間かけるとおっしゃってました
僕はやっぱ5年ぐらいからだろうと思います。
少なくとも
それまでは軽々に民間に売らないこの2点について答弁を求めます。
<後日コメント 市は、この質問に答えていない。事実上の答弁拒否です>
(村瀬副市長)
先ほどの佐藤議員の答弁には、議会という弥富市の最高の議決機関の場で言ってないことをさぞかし言ったように発言されることについては訂正を求めます。
(佐藤議員)
残り33秒ですが、あのね、だから公開の場で僕は言ってるんです。公開の場で、
だから僕は公開の場で言ったことについて、一つも取り消すつもりありませんよ
議事録を残すために言ってるんだから、
それは、自分たちはちゃんとやってきた。
と思ってるんでしょう。
だからさっき言ったように、
上と下の関係ですよ、
上のものは「ちゃんとやってきた」って言うかもしれないけども、
下のものは地域のものは
「ちゃんとやってきたんだったらその証拠を見せてよ」って言ってるんですよ。
「してもらってないから、理解できません」って言ってるんですよ。
そのことを、覚えてください。駄目ですよ。
だからこういう公の場で言ってます。
以上です。
(村瀬副市長)
私が申し上げたのは、私が発言してないことをさぞかし言ったみたいなことで発言をされる。
これは弥富市の最高の議決機関であります。
そのような公式の場での発言は取り消しを願いたい。
ていう発言をさしていただいております。
そのことについてしっかりと受け止めていただきたいと思っております。
以上です。
(堀岡議長)
これで佐藤議員の一般質問を終わります。
<後日コメント>私の最後の質問を答えないための、はぐらかしで。事実上の答弁拒否です