
雑木林研究会オープンセミナー『学びのシステムは何を実現したか』
概要
- 発刊記念: 「行ってみようよ!森の学校」が風媒社より発刊され、その祝しオープンセミナーを開催。
- 日時: 2004年7月17日(土)13:30~16:30
- 場所: 玄々研修センター(木文化研究所)会議室
- テーマ: 学びのシステムは何を実現したか
セミナーの目的
- 学校教育の硬直化による「学び」の負のイメージを転換し、学びを「喜び」「仲間づくり」「権利」と捉え直す。
- 雑木林研究会の活動を振り返り、知識の伝達ではなく「共に学び創造する相互啓発と実践」を重視したシステムの構築過程を紹介。
具体的な取り組み
- 環境に学ぶ: 場所のポテンシャルを生かす。
- 企画力と運営力: 常に変化と更新を追求。
- 参加者の関係づくり: 自発性を尊重し、共に学ぶ環境を整備。
結果
- 多様な市民が自発的に関わり、演劇的な創造空間を実現。
- 雑木林研究会は「学びのシステム」を育て、各地に新たなフィールドとグループを形成。
今後の展望
- セミナーでは、「森の学校」出版の経過を踏まえ、成果や課題を参加者と共に振り返り、学びのシステムの未来を展望する。
雑木林研究会オープンセミナー『学びのシステムは何を実現したか』
「行ってみようよ!森の学校」が風媒社より発刊されました。この発刊を祝しましてオープンセミナーを企画しました。研究会に関わりの深い方々にパネラーとしてその関わりの一端をご紹介していただき、研究会がこの10数年で育んだものは何か、どんなことが起り、どんなしくみができたかなどの話が展開しました。
日時 2004年7月17日(土)13:30~16:30
場所 玄々研修センター(木文化研究所)会議室
テーマ 学びのシステムは何を実現したか
学校教育の硬直化の弊害として「一斉授業と序列化」の体験が長年刷り込まれた結果、「学習・お勉強」という日本語は「たいくつ」「我慢」という「つらい呪文」になっていませんか。
しかし、かつて森林などに暮らしていた私達の祖先にとって、「学びは義務」でなく、「学びは喜び」「学びは仲間づくり」「学びは権利」だったのではないでしょうか。
雑木林研究会は市民グループとして、生涯学習施設(社会教育施設)、官公署、他の市民グループなどとのパートナーシップによりいくつかのワークショップを実践してきました、その軌跡(奇跡)を振り返ってみると、「知識の伝達」ではない「共に学び創造する相互啓発と実践」を学ぶシステムの構築過程だったと思います。
具体的には
- 場所のポテンシャルを生かすこと、環境に学ぶ、謙虚な態度。
- 発展性のある企画力、組織力、運営ノウハウを常に追求し、常に変化、更新を怠らない。
- 参加者自身が、ともに学びあう関係づくり。自発性の尊重。
を、明確に意識し総合的にプログラムするよう心がけたこと。
その結果、多種多様な市民が、自発的にかかわりあい、みんなで創造する演劇空間、音楽のセッションのような生き生きとした、演劇的空間の共有が実現してきたと思っています。
その結果、雑木林研究会自体はフィールドを持っていませんが「学びのシステム」を生み育てるお手伝いをしてきました。そして、各地に「フィールドとグループ」がうまれました。
今回のオープンセミナーでは、その成果のひとつとして「行ってみようよ!森の学校」出版にいたった経過を踏まえながら、その過程でなしえたこと、課題として残ったことを、参加者の皆さんとともに振り返り、さらに将来にむけて、学びのシステムの今後を展望しました。
○パネラーの発表
○フロアディスカッション
雑木林研究会の12年を振り返り「学びのシステムは何を実現したのか」
フロアディスカッション
学びは、一斉授業でなく、双方向
学びは、再発見
学びは、再構成
学びは、創造
学びは、交感
学びは、自己の再編集
市民参加の本質:市民が集団的に自己学習するプロセス
地域の持つ複合性・財産を学び、データベース化
地域の文化や歴史をふまえたまちづくりの手法を学びあう
計画行政の内容、計画づくりのための基礎知識・必要な資料収集方法を学ぶ
行政と対立しないで市民要望を実現する手法を身につけていく
計画案や資料作成方法などを理解し、まちづくりの主体としての資質を自ら獲得していくプロセスが重要!!
今日の日本社会の欠陥
成功している事例
まちづくりのための行政改革の事例(名古屋市)
生涯学習センターが持つ重要な柱
人材育成の事例
1.名古屋市天白区にみる生涯学習センターの講座
1.天白区にみる生涯学習センターの講座
2.名古屋市緑区における学区自治会の機能拡大と充実
学区自治会による生活環境保全運動の展開
3.愛知県犬山市のエコアップリーダー養成講座
犬山市エコアップリーダー養成講座とは?
市民と行政とがパートナーシップを組んで環境改善活動を行うための自己学習システム
パートナーシップによるまちづくりのフロー
市 民 参 加
対立から協力へ、紛争・錯綜から合意形成へ
パートナーシップのために調整する仕組みづくり
以上のプロセス全体を統括し、合意形成を推進し、場合によっては裁定・勧告し、市民合意を取り付ける調停案や代替案を提示する主体が必要!!
物的基盤の改良:コミュニティ計画のプロセス
Community Planning Process
コミュニティ開発の定義の発展
1.「コミュニティの住民がコミュニティ計画と行動のために、自分たちを組織化するプロセス」
住民活動、パートナーシップの長所
- 民間では担いきれない低利益の部門、行政効率の悪い部門を実施しうる。
- 営利事業による切り捨て部分の防止。
- 行政需要の低減。
住民活動、パートナーシップの長所
育てるための留意点
立ち上がり定着するまでに外部の支援が必要
パートナーシップの二つの局面
1.恒常的なプログラム・ベースのパートナーシップ
パートナーシップに参加して思うこと
ともに学びあい、実行し、新しい価値を生み出す喜びを共有する
パートナーシップの本質 第一:市民が集団で自己学習するシステム
制度、法律、行政手順、活動に必要な情報収集、計画立案などを、自分たちで行う能力をつけるために、集団で自己研鑽・学習することが重要。
必要な人材は自らで育てる。
市民としての専門家集団の形成。
パートナーシップの本質 第二:ともに汗を流し、実行する
「汗を流さないものは信頼しない」原則。
活動を通じての心のつながりは、ここから生まれる。
「評論家」はいらない。
パートナーシップの本質 第三:「対立」から「合意と調整」へ
市民同士の対立、行政や企業との対立など様々な「対立関係」から抜け出す。
対話と合意のための時間を惜しまない。
誤りを率直に正す謙虚さと柔軟性を持つ。
すべての情報を公開する。
パートナーシップの本質 第四:「目的論」から「プロセス論」への転換
「結果」にしか過ぎないものにこだわらない。
「結果という状態」を求めるのではなく、「そこに至ろうと努力し続けること」こそが重要。
パートナーシップの本質 第五:それぞれが主役 Each as a hero
強力なリーダーは不要。
分担、協力、協働を軸に結びあう人のネットワークが成果を生みだし続ける。
パートナーシップ活動をどう組み立てる
何を目指すのか・・・目標設定を明らかに。
どのように・・・プロセスや誘導手法を明確に。
パートナーシップならではのメリット提示・・・従来型の手法と比較し、新しい手法選択の根拠を示す。
パートナー同士の対等な関係を確かめ合う。
実効性のある活動テーマを設定する。
評価、自己点検の仕組みを組み立てておく。
パートナーシップで求めること
「社会にとって必要なものは、私たち自身で守り育てる」という価値観の共有
行政では非効率、民間企業では不経済な課題
現行の社会制度や経済体制下では「負の遺産」になりかねないもの
「多様」、「多元」な価値を有し、多くの評価基準を要するもの
パートナーシップのメリット
各地域、各現場に特有な課題を、柔軟性と現実性を確保して追求できる・・・画一性から抜け出し、有効性へと転換できる。
行政の専門性からでは見落としがちな課題に対し、適切に対応できる。
行財政投資の重点化や投資効果の向上策への根拠を提供できる。
最後に
「これは楽しいことなんだ」と思える活動や仕組みづくりを目指そう
「平等」、「対等」な人間同士の結び合いが、「開放的」で「遊び心」に満ちた活動に導いていける。
生物多様性の保全や環境保全は、行政ベースに載せにくい課題である。まして営利企業が担える分野でもない。そこで市民参加を基盤にしたパートナーシップ活動の重要性が浮上する。パートナーシップの本質は、住民の自己学習を通じての自助活動の組み立てにあり、生物多様性保全のように、一定レベル以上の知識や技術の習得をまたねば遂行できない任務には適応する形態である。住民の自助を支援できる、「市民としての専門家集団」の形成と、行政の「非中心化」(権限委譲)ならびに企業やNPOの支援のもとに、パートナーを育てることが、今後の重点課題となる。
キーワード
市民としての専門家集団、
自己学習と自助システム、
行政の非中心化
利害調整システム
社会から信頼される基盤形成
重要性
- 生物多様性保全や森林保全など、専門性が必要な分野で社会や行政から信頼される基盤を形成することが求められる。
- 市民参加活動においては、実践派の専門家集団の形成とその機能確立が必要。
専門家の役割
- 専門家は「書斎派」ではなく、市民活動の現場に通じ、自ら行動する「市民としての専門家」であるべき。
- 彼らの存在は、市民活動に科学性と客観性を与えるために不可欠。
市民参加の本質
- 市民参加は「集団的に自己学習するプロセス」であり、地域の自然環境を調査し、学び、データベース化することが重要。
- 地域の行政計画を理解し、活動計画との関連性を確保する基礎知識を学ぶことも、自律的な活動の確立に寄与する。
パートナーシップ型活動のプロセス
- 住民が活動目標を担える資質を獲得するプロセスが重要であり、これが生物多様性保全活動の定着につながる。
成功の要素
- 市民の言葉で解説できる専門家の存在。
- 市民としての専門家集団を育成するプログラムの実践。
- 自主講座や生涯学習講座との連携を確保。
これらの仕組みを通じて、市民活動は社会や行政から信頼される基盤を形成することができる。
- 社会から、行政から信頼される基盤形成
生物多様性保全や森林保全など、時には高度な専門性が必要とされる分野の活動においては、社会からそして行政から信頼される基盤を形成しておかねばならない。そこに市民参加活動における専門家集団の形成とその機能の確立の必要性が生じる。
この場合の専門家は、大学や研究所のいわゆる「書斎派」の学者先生としてではなく、市民活動の現場に通じ、自らも行動する中で、高度な専門性を確立している「実践派」の専門家でなければ、その任を果たせない。言い換えれば、「市民としての専門家」に徹することのできる人材が要求されるのである。
このような専門家の存在は、市民側の活動や要求に科学性、客観性を与えるための専門性を確保する上で必須である。
市民参加の本質とは、「市民が集団的に自己学習するプロセス」である。地域の持つ自然環境の複合性、地域の自然財産について調べ、学び、データベース化する過程を通じて、地域の特性を踏まえた生物多様性やその生息環境保全への道筋を、自ら築いていけるのである。
また、 地域の行政が推進する計画行政の内容についても学び、自らの活動計画と地域の環境保全との関連性を確保する計画づくりのための基礎知識や必要な資料収集方法を学ぶことも、活動の自律性確立にとって重要なプロセスである。
このような自己学習システムの形成を通じて、行政と対立しないで、市民要望を実現する手法を、活動主体は身につけていくことができるのである。
パートナーシップ型活動の神髄は、住民・市民が活動目標とする課題を担いきるだけの、十分な資質を自ら獲得していくプロセスである、といってよい。これがあってはじめて、身近なところから出発する生物多様性保全やその生息環境保全活動が定着していかるのである。
したがって、成功している事例を通じていえることは、以下のとおりとなる。すなわち、第一に易しく、市民の言葉で解説し理解させる能力、資質を持つ専門家の存在がある。第二に多くの課題を担いきれるだけの、市民としての専門家集団の形成に向けての人材養成プログラムの自己開発と実践がある、第三に活動を定着させ、発展させていくための自主講座や生涯学習講座との連携が確保されている、ということである。
以上の仕組みやプロセスにより、市民活動は、社会、行政から信頼されていく基盤を形成できるのである。
(2)パートナーシップのための人材育成の事例
パートナーシップは、パートナーとなりうる人材を育成することから始まる。以下にその事例について論評しよう。
名古屋市天白区に見る生涯学習センターの講座
- 講座の目的: 緑の環境改善と市民活動を連動させ、市民活動のリーダー層を育成。
- 方針: 生涯学習講座の意図と市民活動の持続性確保を統合し、両者の利害一致と相互連携を形成。
- 機能の確保: 環境改善・まちづくり活動の進展に伴い、センターの社会的評価が高まり、職員の活動域が拡大。
名古屋市緑区における学区自治会の機能拡大
- 活動の展開: 自治会が生活環境保全運動を展開し、地域の問題意識を醸成。
- 自主学習の企画: 区の緑地行政と生涯学習センター、専門家市民が支援し、緑地管理を軸にした全体的な議論システムを形成。
- 連携の場: 各学区の活動が相互に連携し、地域の環境活動組織「緑コスモス」が重要な役割を果たす。
愛知県犬山市のエコアップリーダー養成講座
- リーダー育成: 自然環境保全の市民リーダーを育成する講座を開催(現場での学習と実践)。
- 市民主体の活動: 市民が主役となる自然環境保全活動へと展開し、NPOとしての市民事業体の形成を目指す。
- 自立した活動: 講座の運営体制が移管され、自立した実施主体と実践メンバーが確立される。
- 名古屋市天白区に見る生涯学習センターの講座
緑の環境改善の市民活動と連動したセンター主催講座開催⇒市民活動を担っていくリーダー層を育成⇒センター側の生涯学習講座の意図、目的の明確化方針と、市民活動側の活動持続性確保のための人的基盤確保方針との一体化⇒両者の利害一致と相互連携の合理性形成⇒パートナーシップにおける生涯学習センターの機能確保、この機能は環境改善・まちづくり活動の進展と共に一層高次化、多様化できる素地となる⇒生涯学習センターの社会的評価の増大、センター職員の活動域の拡大、市民活動家との連携強化。
- 名古屋市緑区における学区自治会の機能拡大と充実
学区自治会による生活環境保全運動の展開(団地内駐車問題が発端⇒周辺環境全体への問題意識醸成⇒荒れたままの緑地、「よい子はここで遊ばない」緑地への見直し意識の芽生え⇒自治会による自主学習の企画形成、それを支援した区の緑地行政と生涯学習センター、さらに専門的立場からリードした「専門家市民」による統合化された活動の展開⇒緑地管理を軸に、学区の環境全体、地域や家庭での教育の在り方まで含めた全体的な議論システム形成⇒各学区単位の活動と相互の連携の場を内発的に形成⇒連携、結節、社会的アピール拠点としての「緑コスモス」(民間業者が古店舗を改装して地域の環境活動組織・団体のために開放した施設)の役割浮上。地元企業も参加した活動の展開⇒市の行政機構改革と相まって、グランドワーク型の活動(市民、企業、行政三位一体の活動)へと発展。
- 愛知県犬山市のエコアップリーダー養成講座
市域の自然環境を保全していくための市民リーダーの育成⇒当初段階は、市行政と市自然保護審議会との共同による講座開催(すべて現場での学習と実践、年10回、1回実質6時間)⇒自然環境保全を通して、生活様式から景観問題まで、広い視野と専門性を持つ視点から現状を評価し、よりよくしていく方策を企画、実行する市民主体の形成⇒市民が集い、市民が主役の自然環境保全活動へと展開する⇒環境改善公益事業を担う「市民事業体」(NPO)の形成と、講座の企画運営体制の移管⇒自立した活動と実施主体、実践メンバーの確立。
パートナーシップ活動編成のフロー
- 環境ガイドライン設定: 総合計画に基づき、自治体が環境行政の役割を果たす。
- 課題の抽出: 環境行政に関わるすべての課題を明確にする。
- 目標設定: 将来目標を分かりやすく、実現可能なレベルで設定する。
- 基本方針決定: 目標に近づくための活動の基本方針を決定。
- 代替案の開発と評価: 具体的な活動において考えられる代替案を開発し評価する。
- 計画決定: 上記のプロセスを経て計画を決定。
プロセスの重要性
- 各段階での議論と結論を明確にし、市民参加の過程で対立から協力へと進むことが重要。
- 相互信頼を築き、合意形成を促進することで、行政との対立や社会的争いを避ける基盤を作る。
市民活動の成熟
- 市民活動を反対運動から提案・実行型の活動に進化させることが目指される。
- 生物多様性や生息環境の保全は、対立からは十分な成果を得られないため、行政は「コンセンサスの化学」に徹する必要がある。
パートナーシップ活動編成のフロー
総合計画による環境ガイドラインの設定
(自治体の計画行政の役割)
↓
環境行政に関わるすべての課題を抽出
↓
将来目標の設定を分かりやすく、実現可能なレベルで行う
↓
目標に近づくための活動基本方針決定
↓
具体的な活動において、考えられる代替案の開発と評価
↓
計画の決定
自分たちが、今どの段階にいて、どんな議論をするべきか、そしてどんな段階の結論を得るべきかを確認するために、このフローに示すプロセスの認識は重要である。
また、市民参加の過程において重要なことは、対立から協力へ、紛争・錯綜から合意形成へという歩みを進めながら、相互に信頼しあえるパートナーとして成熟していくことである。そのためにも、議論の段階を常に明確にし、それぞれの段階に応じた結論をくだしていくことが重要となる。
このプロセスが、パートナーシップのために種々の課題や利害関係を調整する仕組みづくりとなっていく。利害や思考が対立する市民同士が語り合い、合意を形成していくプロセスこそが、行政との対立や社会的に不毛な争いを避け、創造的な環境活動を自主的編成していく基盤となるのである。
以上を重視することを通じて、市民活動を単なる反対運動から、提案・実行型の活動へと成熟させることができる。生物多様性保全や生物生息環境保全は、決して対立や反対関係からは、十分な成果を得られないのである。そして、行政自らがこの機会を重視することにより、パートナーシップを育てようとするならば、この際行政は、「コンセンサスの化学」に徹するべきである。
新たな社会的機能の形成
- 合意形成の推進: パートナーシップのプロセスを統括し、利害関係者間の合意形成を促進する必要がある。
- 調停案の提示: 関係者に対して裁定や勧告を行い、市民合意を取り付けるための調停案や代替案を提示する主体が求められる。
重要な機能の確立
- Public Outreach Consultant: 公的に活動の限度を超えて支援するコンサルタント。
- Inspector: 裁定者や監査者としての役割を担う。
これらの機能を確立し、それを担う機構や主体を形成することで、パートナーシップを成功に導く重要な経路を形成することが期待される。
- 新たな社会的機能の形成
以上示したパートナーシップのプロセス全体を統括して、利害関係者間の合意形成を推進し、場合によっては関係当事者に対し裁定や勧告をしつつ、市民合意を取り付ける調停案や代替案を提示する主体形成が必要となってくる。あるいは、そのような任務を担う機能体形成が望まれるようになる。
そこで以下のようなことを考慮したい。
Public Outreach Consultant(公的に現行の限度を超えて活動するコンサルタント)+Inspector(裁定者、監査者)
この二つの機能を確立し、それを担う機構、主体を形成する
↓
パートナーシップを成功に導く重要な経路形成
(5)地域の特性に応じた活動に向けて
生物種の生息や貴重な生物種に関しては、地域性がある。したがってその保全活動についてもまた、地域の特性が考慮されねばならない。このことは、国レベルの問題と同等に重要である。そして、その際の要点は、住民が主体になり、地域の生物種生息に関わる物理的基盤の改良と生物種保全に向けての世論喚起や個別の活動を統合するなどの社会的改善を行うことにある。
物理的基盤の改良:環境計画のプロセス
Environmental Planning Process
社会的改善:社会システムを組織化し統合するプロセス
Social System Integration Process
ここで現れる活動の態様は、「地域の住民が環境計画と行動のために、自分たちを組織化するプロセス」、「地域の住民が、自然環境改善や生物種保全にかかわる共通の課題とニーズを確定し、集団を形成し、ニーズを満たし、問題を解決する具体的計画を作成し、地域の自然・生物資源を最大限保全するための計画を自ら実行し、不足する資源は外部の行政や非政府団体から補足する」、というものである。
ここでは、地域住民の組織かと自助がポイントとなる。前述した住民による自己学習システム形成は、この基軸となろう。この段階にいたって、従来は行政計画の対象であり客体であった住民が、自ら主体化し地域環境を形成する活動を、行政や外部団体の支援を得ながらも、自立して展開していく過程が開けるのである。ここに住民参加の本質がある。
このようにして、住民参加の本質とは、社会的な関係としてのパートナーシップの基盤であること、と規定しうるのである。
(6)住民参加活動、パートナーシップの長所
住民参加活動を基盤にしたパートナーシップの長所については、以下に要約するとおりである。
①民間では担いきれない低利益の部門、行政効率の悪い部門を実施しうる。営利事業による推進が不可能な分野を担える。行政需要の低減を図りうる。
②地域全体の環境との関連性の中に位置づけできる。暮らしの場の発想が生きる。
行政縦割りの個別施策の矛盾と非効率を防止できる。ジェンダーフリーによる活動ができ、日常的な観察結果が活かせる。
③地域情報に精通し、地域ニーズに合致した対応が可能である。
国依存の没個性からの脱却。「地域主義」の本質が獲得できる。
④自然環境保全や生物種保全事業実施への住民合意がある。
事業実施過程のトラブルが回避できる。事業実施後のアフターケアーが容易になる。
⑤長期、継続性が可能。
環境活動と人づくりの連動が見られる。「ひとを育てる」ことによる持続性を発揮できる。
⑥地域マイノリティへの対応が可能。高齢者、障害者などが対等に関われる。
「それぞれが主役」の関係の中で、それぞれに適した活動の展開が可能となる。
⑦住民の自己啓発。生き甲斐感の高揚を実現できる。
「生きた知識」を獲得し、行動指針にできる。「社会と自分」、「環境の中の自分」という認識が向上する。環境活動を通じて「社会的引きこもり症候群」の解消へ。
(7)パートナーシップを育てるための留意点
パートナーシップは、住民の自助活動であるが、立ち上がり定着するまでに外部の支援が必要である。
支援の事例
①行政中枢としての支援(行政の非中心化による)活動として、自助事業への補助や助成を直接行う。その際、住民活動組織単位の意志決定機構を重視し、行政からの押しつけを避けることが肝要である。
②活動が編成されている地区単位に行政活動を総合化し集中化する行政システムの編成を行う。地域担当を明確化するか地域に直接入り込む行政の姿勢を明確にする。そのための地域情報・人材蓄積センターとしての生涯学習センターや社会教育センターの機能が必須となる。
③統合的集中化行政の編成とそれを推進する「諮問委員会」の設置を図るか、あるいは従来型の「審議会」を市民活動側に立って再編成し、円滑な環境活動サポート体制を組み立てる。また、地域活動と行政との連絡員を配置するために住民の雇用を図る。自然や生物に関して多くの知識を習得した、有能な「第2の人生組の生涯現役」形成を図るなどは、好個の事例となろう。(究極の福祉ではないか!)
④外部団体、市民広域団体による支援活動への企業援助を導入する。行政によるサポートは、この際援助者側の信頼の基盤となる。
⑤非営利団体からの資金援助、労働奉仕、技術援助を導入する。そのためのネットワーク形成を支援する。
むしろその先の
我々雑木林研究会が、雑木林に何を貢献したか、
雑木林から何を気づき何を体得したか
その先に展望、雑木林活動を生かして、未だ見ぬ社会システム
雑木林が存在し関わることによって生まれ得られる物理的利用や環境以外に、一人一人の心のありよう社会との関わり方が変わってきている
雑木林の何かがそうさせている、一人で気負ってもどうにもならないと言う事実も、スピリチュアルな部分も重要、
まちづくりを標榜する会は
雑木林という懐の深い
個人のとげとげした物が癒されながら互いの人間関係や、各個人の社会との関わる姿勢が変化
雑木林的な地域コミュニティー、テーマコミュニティー
放置された樹林地イコール雑木林ではない。私たちがイメージし求めている雑木林は、手入れがされた豊かな雑木林。かつて昭和三十年代までは、農業と結びついた生産の為に雑木林が維持管理されてきたとさています。
時計を逆回転出来ないように、農家の私有地に雑木林を復元することは、
地域で共有していた入会地
イギリスのコモンズ
ナショナルトラスト
アメリカのコミュニティーガーデン
物理的な存在として
情報交流とひとづくり、しくみづくり
成果のあがるワークショップは同業同質の集まりでなく、異なるパーソナリティー
当面の目標は雑木林が成立する社会システム
市民参加は重要
一定の成果を上げ、継続している市民活動グループの特徴として、
雑木林研究会と市民参加
このところ、行政サイドが、「まちづくり」とか「市民参加」、「パートナーシップ」を乱発しだしている。これまでも日本人が繰りかしてきたように、これらが発生した契機や深い思いをどこかに置き忘れて都合のいい言葉に変質していっていまわないか。
行政にとって強力なライバルの出現
雑木林研究会は10年たった今でも、原点を見失わずに、したたかに、
10年前の雑木林と雑木林研究会の活動
記憶とはいい加減な物でありまして、10年前に雑木林と雑木林研究会などは、「何!それ!」
フィールドワークの実践
こどもの視線、感覚、原体験でも
こどもができれば、おとなはクリア
こどもに強い、物がつくれる
創造型
事実に謙虚 役所の反対
会議が早い
自己学習と自助システムにより、市民としての専門家集団を形成してきた過程、
同時進行的に、行政の各セクションで情報公開、悦明責任、事業過程への市民参加を進める上で、理論的にも実務上も実現可能なパートナーを求めていた。
昭和52年地方自治法の改正で市町村は基本構想を策定することになった日進市 佐護彰市長が、見抜いたように「これまでは市民の幸福のためのニーズを、行政が「想像」して施策を展開してきた」(注1)
ちょうど、この10年は民間のマーケッティングでも、大きな会社のベストセラーよりも、顧客一人一人にあったもの
サービスを提供する側からも、意識改革だけえはだめで、顧客との関係自体を見直して再創造する必要
従来からの多数の顧客、コスト、満足度
支えきれないし、将来性が見えない
新しい顧客の萌芽、育てる、旧来の既得権益との衝突、利害調整、合意形成技術、説明責任
行政サイドの高度な喚起、調査、調整能力
市民参加の専門家集団の役割、専門家としての行政の役割、
最近は違ってきましたが行政は顔が見えないとよく言われます 象徴天皇制を想像してもらえば、市長個人が全てを決裁できない、組織、あいまい
上手い面が多かったし、欧米とことなり今後もいい面をのこしつつ、
役所組織を育てるのは顧客、パートナーとしての市民
役所の権能、予算はある種の契約によって委託
はだかの王様
是々非々、独立したグループ
媚びない、頼らない、権威を笠に着ない
巨大組織の細分化されたセクションでもどかしさ
セクションとセクションの隙間、ニッチマーケット
6月30日の朝日新聞 日進市 佐護彰市長のメッセージ
まちづくりの「幸福論」
自治体は、「市民の幸福づくりサポーター」だと思います。しかし、その幸福は一
人ひとり、また時代によって異なるものです。
これまでは市民の幸福のためのニーズを、行政が「想像」して施策を展開してきた
感が強いと思われます。しかし、時代は大きく変わりました。市民参加という手法に
よって、市民自らが、「自己決定・自己責任」の原則に立って、自らの幸福を「創
造」するという時代になりつつあります。
「役所の想像か」ら「市民の創造」へ。
変革の時代と言われるこれからは、主権者である市民のみなさんが積極的に「自ら
の幸福プロデューサー」であっていただきたいと考えています。
と数々の成果を整理してみて、雑木林研究会とは何者なのか、謎は深まるばかり、簡単に説明できません。
現時点における雑木林研究会と市民参加
1 全体概観
雑木林研究会及び会員が、出会い、学び、発見し、参画し、支援してきた市民活動を振り、そのプロセスと意義、留意点については、巻頭論文「パートナーシップ活動の展開・市民参加の森づくり」に体系的に述べてある。 それを受けて、実際に市民参加に関わったグループや個人の市民参加の体験談や感想を書いていただいた。
++各氏レポート+++
その後最後に
さてパートナーシップ活動が展開する以前に、そして同時進行的に各方面で様々に取り組まれていたこと、発表されたことを振り返ってみたいのであるが、どう工夫しても、全体を網羅することは出来ないので。私個人の市民参加にまつわる出会いと発見の遍歴を記して、併せて「私の本棚」からとっておきの文献のリストを公開する。
現在の市民参加の萌芽となり影響を与えたプロジェクトや公園は数限りないが、私自身が、見学したり出会い推薦出来るものにとどまっているために偏りがあることをお許し願いたい。私個人のおもちゃ箱をひっくり返したように雑然としていて恥ずかしい。
オリンピック開催都市決定投票で日本・名古屋市が韓国・ソウル市に破れた1981年に名古屋市役所に造園の職員として採用された私にとって、1980年代はバブリーな10年でした。私の職場は幸か不幸か交際費とか空出張とは無縁の世界でしたので、巷で言われているバブルの甘い汁は吸えませんでした。その代わり、能力以上に仕事をこなさなければならない、超インフレの事業執行に苦しめられました。
当時のレポートの書き出しは決まって「価値観の多様化と住民ニーズの高度化」でした。
民間さんでもそうだったのではないかと思うのですが、「潜在的なユーザーのニーズを掘り起こし、喚起し、大量宣伝で慣れさせ使わせる」
学生時代に学んだ心構えは「造園家や庭師は、その土地その地方の自然条件、人々の生活・文化をよく探求し、コーディネーターとして、よくクライアントやユーザーの声を聞き、提案し、説得し、使い方、経年変化についても納得してもらったうえで、デザインし、施工中でも、お施主さんとの対話を欠かさず、施工後の毎年の手入れも」のはずでした。
実際、公園利用実態調査が全国的に実施されるなど「ユーザーの定量的調査」に取り組み始めた時期である。
198661年名古屋市農政緑地局(現在の緑政土木局)がまとめた、特色ある公園整備事業に関する調査報告書 副題 魅力ある公園づくりをめざして 364ページの内43ページを費やして、住民参加による公園づくりの意義、背景、事例、今後の手法について提言している。
1990年に名古屋市農政緑地局が策定した名古屋市都市緑化推進計画 緑のグランドデザイン21 では4つの基本方針の一つとして「市民と育てる緑」として公園愛護会・街路樹愛護会の育成とともにオアシスの森づくりを提案している。
新世紀計画2010をうけて2001年に緑政土木局が策定した名古屋市みどりの基本計画 花・水・緑なごやプラン 花・水・緑のまちづくり推進体制の確立と題して市民・企業・行政の役割認識と連携・協力をうたっている
みんなのアイデア公園
東京都
1943年世界で最初の冒険遊び場「エンドラップ廃材遊び場」がデンマークのコペンハーゲン市公害に誕生
冒険sかいd最初の
1975年 東京都世田谷区経堂で地域の住民が中心となり近隣商店街の店主や大学生を誘って、夏の間だけの「経堂冒険遊び場」がひらかれた。77年7月から78年9月までの15ヶ月間、同区内の桜丘児童センター予定地にて、「桜丘冒険遊び場」を実践した。2地区での遊び場運営のあと、国際児童年にあたる79年、世田谷区立羽根木公園の一角にて、区と住民が協力して運営する「羽根木プレーパーク」がオープンする。そして、現在にいたっている。(羽根木プレーパークの会 冒険遊び場がやってきた! 晶文社 1987)
その後、これら一連のこどもの遊び場に挑戦する実践を見学し、それに触発された母親たちによる自己学習や、各地の実践が広がりてんぱくプレーパークや新海池コミュニティーガーデン公園愛護会へつながっている。
1998年11月に冒険遊び場全国研究集会開催されその間の経緯と意義、課題について意見交流され、グループの立ち上げ、参加者世話人をいかに集めるか、地域の支持者を開拓し地域住民といかに調整するか、住民と行政のパートナーシップについ実践的な議論がされた。(冒険遊び場全国研究集会の記録 1999)
世田谷区の
横浜市1992年よこはま市民まちづくりフォーラム実行委員会
記録集は都市センター
1994年「市民参加推進プロジェクト」発足
造景No5 132p 長屋門公園住民事務局長奮闘記 建築資料研究社1996.10
造景No9 88p 自治体と「参加のまちづくり」 建築資料研究社1997.6
参加のデザイン道具箱 世田谷まちづくりセンター、1994
*住民でなく市民
*自治
- *運動 市民運動 市民活動
住民参加のはしごモデル
シェリー・アーンスタインは
行政ベースの「まちづくり」
地下資源の枯渇、汚染、人口増加、食料危機、モラルの低下、犯罪の増加
1990年頃21世紀は来ないのではないかと、半分本気で考えていた
政治 国際政治、経済のグローバル化、地方政治の利権体質(住民も業者も)
問題先送り主義
利得最大・自己責任最小
コミュニティー・アメニティー
ビオトープ
ワークショップ
ネイチャーゲーム・センス・オブ・ワンダー
組織か人か
まちづくり 行政が熱心に取り込み始めた 都市間競争
価値観の多様化と高齢化
公園・雑木林は誰の物
公共概念
入会林
総有
コモンズ
行き過ぎた代行
市民要望を類推して作文
社会教育・生涯学習
まちづくりの展開
参加のはしご段
2(起) 何が変わったか・市民参加を呼び込む要因、変化、原因、基本概念
- 専門家集団の形成とその機能の確立
雑木林研究会
- 地方自治体の変化
生涯学習とひと育て、まちづくり
③ 地域共同体
市民の変化
区画整理による急激に人口が増えている地域
コミュニティー
自分らしさ
④ コモンズ
グラウンドワーク
行政の政(字義)武器で討つ、討伐の意、(延長)それから「支配する」などの意味が引伸され、ついで今日の「政治」の意味となった
公・(字義)勝手に囲い込む独占の反対、(延長)すなわち「公開」「公平な分配」の意「だれでも出入りできる公開屋敷」の意
共・(字義)璧玉を捧げてる意である。(延長)ふたりが両手を連ねて共に一事をなしている形から、「ともにする」意。
3(承) プロセス・出会い・自由な展開
① 企画のきっかけ
② 企画の仕込み
持ち込み企画
③ 現場主義、物作りの魅力
4(転) こつ・舞台裏・ネットワーキング・心構え
真のパートナーシップ力
真の学力というのは「事実に即した知識と、その裏にある論理、そしてそれを究めよ
うとする態度」の総体としてとしてとらえよう
という私立和光小学校の成田寛氏の記述がありました
パートナーシップは主体性と主体性のせめぎ合い
個人の主体性、組織の主体性
その主体は個人力、家庭力、地域力、
パートナーシップをケーススタディする組み合わせ
個人同士、夫婦、業界(同業者間)、企業と個人、企業と行政、企業と政治、政治と行政、政治と個人、学校と家庭、NPOと
① プロジェクトリーダー、コーディネーター、ファシリテーターの役割分担
専門家集団として
本当のボランティアリング
② 個性の尊重「みんなが主役」
参画のはしご段
ワークショップ
自分の責任で自由に遊ぶ
人の輪のちから
コンセンサスの科学
入会の感覚
③ 記録、ムービー
人業
大道具、小道具
鳴り物いり
物作りの魅力
私だけの
5(結) 展望
① フォーラム組織の役割
② 市民と行政 どちらが主役
パートナーシップ協定
基本条例
③ パートナーシップとは、仲良くしやすいところと組むのではなく、正反対の組織が手を結ぶこと