弥富市民の皆さん、廃校となった十四山中学校跡地は、ただの空き地ではありません。豊明市の成功事例が示すように、市民の力で地域の未来を拓く可能性に満ちた宝です。しかし、市の計画は、市民の声を置き去りにし、行政の都合で結論を急いでいます。
今、私たちが学ぶべきは、行政が一方的に決める「上から目線」の計画ではなく、市民が主役となり、共にアイデアを出し合い、柔軟に活用していく「共創」の精神です。
市民の参加を促し、地域の課題解決に貢献する、真に開かれた跡地活用を求めます。十四山中学校を「みんなの宝」にするため、行政に大胆な意識改革を促しましょう。
~豊明市「カラット」の成功事例に学ぶ「市民が主役」のまちづくり~
この度、厚生文教委員会行政視察として豊明市共生交流プラザ「カラット」を視察し、廃校跡地活用の先進事例から多くの示唆を得ました。弥富市においても少子化に伴う学校再編と跡地活用が喫緊の課題となる中、今回の視察で得られた知見は、弥富市が目指すべき将来像、特に住民の主体的な参加と地域課題の根本的解決に資する行政運営のあり方を考える上で極めて重要であると確信いたします。
- 豊明市「カラット」に学ぶ成功の本質
豊明市共生交流プラザ「カラット」は、廃校となった唐竹小学校跡地を活用した複合施設であり、開設3年で年間33万人を超える来館者数を誇る成功事例です。その成功の背景には、単なる施設の有効活用に留まらない、市民と行政の深い協働と、柔軟な発想がありました。
カラットの成功を支える要素
- 市民ニーズと行政機能の融合: 市役所関係課との協議、学区住民との意見交換会、関係団体へのヒアリング、市民説明会、パブリックコメントなど、多岐にわたる市民参加プロセスを経て、行政機能と地域住民のニーズを融合させた活用方針が策定されました。これは、単なる廃校利用ではなく、市民と行政が「共に創り上げた」拠点である証左です。
- 「稼ぐ力」と「地域貢献」の両立: 指定管理者が収益を上げ、その収益が施設の活性化や市民サービス向上に還元される健全な経営モデルが確立されています。企業版ふるさと納税の活用や、明確な修繕費負担区分も、財政的持続可能性を高めています。
- 圧倒的なキャパシティと柔軟な運用: 旧運動場を活用した十分な駐車場スペースの確保は、多機能複合施設としての魅力を高める大きな強みとなっています。さらに、「なるべく規制をせず、使いやすいようにする」という原則が貫かれ、個人パーティーや飲酒なども許容される極めて柔軟な施設運用がなされています。 これにより、計画段階では想定していなかった多様な使い方が生まれ、施設が常に活気に満ちています。
- 「アンテナショップ」としての機能: カラットは、住民のささやかな「つぶやき」や具体的な行動から、彼らが何を求めているのか、どのように行政サービスを利用したいのかを把握する**「市民ニーズのアンテナショップ」**として機能しています。市民の要望やエネルギーが自然と集まり、「見える化」されることで、豊明市政全体の政策推進に貢献しています。
- 「公務員としてのあり方」の改革: このプロジェクトを牽引した担当課長が語るように、成功の背景には、**「行政が『決め打ち』で住民に押し付けるのではなく、対話を通じて共に創り上げる」**という公務員意識の改革がありました。これが、豊明市が様々な福祉施策で「トップランナー」的な成果を上げている「柔軟な組織風土」をさらに加速させた、目に見えない大きな成果であると推察されます。
- 弥富市「学校跡地利活用基本方針」への批判的評価と課題
弥富市の「学校跡地利活用基本方針」は、学校跡地活用に向けた第一歩としては評価できるものの、豊明市「カラット」の成功要因と照らし合わせると、以下の点で大きな課題を抱えていると言わざるを得ません。
- 住民参加の「質」の課題: これまでの市民意見聴取は行われたとされますが、その意見が意思決定プロセスにどのように反映されたのかが不明瞭です。また、住民が主体的にアイデアを「提案」し、それを「実現」していくための具体的な仕組みが不足しており、依然として行政主導の姿勢が強く見受けられます。
- 地域課題解決への視点の弱さ: 基本方針には「地域の活力につながる利活用」が謳われているものの、弥富市が抱える具体的な地域課題(例:高齢化、担い手不足、地域経済の停滞など)と、跡地活用がどう結びつき、根本的な解決に資するのかという視点が希薄です。
- 施設の「硬直的な運用」への懸念: 弥富市内の「まちなか交流館」や社会教育センターなどの貸しスペースが未だに「団体登録」といった利用制限を設けている現状は、カラットの「誰でも何でも使える」という方針とは真逆です。このような規制は、市民の自発的な活動や新たなニーズの掘り起こしを阻害し、施設の潜在能力を最大限に引き出す妨げとなります。
- 既存施設との機能重複とキャパシティ: 弥富市には既に「まちなか交流館」が整備されていますが、カラットのような圧倒的な施設のキャパシティや自由な使い勝手、運営方法と比較すると、今後の活用方法には課題があります。桜小学校など既存の小学校の教室をさらに有効活用することも、今後の検討課題となるでしょう。
- 弥富市への提言:未来を見据えた「市民が主役」の跡地活用を
弥富市が、2040年問題が迫る中で、単なる施設の効率的な処分や行政側の都合を優先するのではなく、地域課題を根本的に解決し、持続可能なまちを築くためには、以下の提言を強く実行すべきです。
提言1:住民の直接参加を核とした「共創型」計画策定の義務化
- 地域別ワークショップの実施: 各学校跡地が位置する地域において、住民、特に若者や子育て世代が主体的に参加するワークショップを義務化し、廃校跡地活用のアイデア出しから計画策定まで、市民が直接関与できるプロセスを確立すべきです。
- 「住民提案制度」の創設: 単なる意見募集に留まらず、市民や団体からの具体的な利活用アイデアを市が真剣に検討し、実現に向けて支援する**「住民提案制度」を創設**し、そのプロセスを透明化すべきです。
提言2:施設の「機能」を最大限引き出す「柔軟な運用」への転換
- 「貸しスペース」の利用制限の撤廃: 「まちなか交流館」や社会教育センターなど、市内の既存貸しスペースにおける**「団体登録」などの利用制限を速やかに見直し、撤廃**すべきです。カラットのように「誰でも何でも使える」施設運用を基本とし、市民の自発的な活動や新たな交流を促すべきです。
- 「アンテナショップ」機能の導入: 公共施設を、市民のニーズや課題が自然と集まる「アンテナショップ」として機能させるための仕組みを検討すべきです。施設管理者や指定管理者が、利用者の声や活動から地域のニーズを把握し、市政へフィードバックする体制を構築します。
提言3:行政組織の「意識改革」と「市民協働」の推進
- 「市民と共に創る」公務員意識の徹底: 豊明市の事例に学び、市長部局がリードし、職員一人ひとりが「行政が『決め打ち』で住民に押し付けるのではなく、対話を通じて共に創り上げる」という意識を徹底する研修や実践を推進すべきです。
- 「市民協働」を評価する仕組みの導入: 職員の評価制度に、市民との協働度合いや、地域課題解決への貢献度を評価する項目を導入することで、組織全体の意識改革を促すべきです。
結論:弥富市の未来は「市民との協働」で拓かれる
弥富市が、市民の大切な財産である学校跡地を真に有効活用し、2040年問題に真正面から向き合うためには、単なる効率性やコスト削減といった行政側の視点に終始するべきではありません。
「住民の直接参加」を基本とし、地域課題の解決に資する「柔軟な運用」と「協働の精神」を市政運営の核とすることが、弥富市の持続可能な未来を築く唯一の道です。この提言が、弥富市が市民と共に、より強く、より魅力的なまちを創造するための羅針盤となることを強く期待いたします。
