弥富市民の皆さん、十四山中学校跡地利用をめぐる市の対応は、私たちの期待を大きく裏切り続けています。住民説明会で出された多くの疑問や批判に対し、市は納得のいく答えを出していません。
市民の意見を尊重せず、行政手続きの常識を欠いたまま、拙速にパブリックコメントを強行する姿勢は、市民に対する「背信行為」に他なりません。この無神経な行政運営は、市民の市への不信感を決定づけるものです。
私たちは、行政の都合で地域の未来が決められることを決して許しません。市民の声を無視し、結論ありきで突き進む市の姿勢に対し、断固として抗議の声を上げましょう。
去る2025年7月26日、弥富市が開催した十四山中学校跡地利活用に関する住民説明会は、市民の期待を大きく裏切る結果となりました。説明会に出席した住民からは、市の示す「硬式野球場として整備する」という方針案に対し、一切の賛同意見が出ず、疑問や批判が相次いだのです。にもかかわらず、市当局からは住民の理解が得られるような納得のいく答弁はほとんどありませんでした。
配布された「整備方針(案)」の資料です。 こちらからダウンロードできます(約44MBありますので、通信環境にご注意ください)
この状況に対し、安藤市長は会合の場で、「今回の意見も踏まえ、叩き台であるこの方針案を再検討し、改めて意見交換会を開催する」と明言しました。 市民としては、この市長の言葉を真摯に受け止め、市が住民意見を尊重し、策定手続きを含めて計画を再検討すると期待したでしょう。
しかし、その後の市の対応は、住民の期待を裏切り、極めて無神経なものでした。 市長が再検討を約束したにもかかわらず、8月1日からパブリックコメントを強行しようとしているのです。本来であれば、市長が約束した「改めての方針案」が提示され、それについての意見交換会が開催された後にパブリックコメントを行うのが道理です。
さらに、このパブリックコメントを行うにもかかわらず、その対象となる整備方針案が市のホームページに掲載された案内が広報やとみ8月号に一切ありませんでした。 これは、市民に内容を容易に知らせるという行政手続きの常識を欠いており、「住民からの意見は望んでいない」と市民に疑念を抱かせる、極めて遺憾な対応と言わざるを得ません。
説明会で示された住民の真っ当な意見と市への疑問点
2025年7月26日の説明会で、住民から市へ向けられた主な疑問点と意見は以下の通りです。
- 不透明な計画策定プロセスへの不満
- 市の計画案に関する意見を求めるのであれば、事前に資料を公表(配布)すべきなのに、一切されなかったことは行政手続き上あってはならない。
- 「ただ形式的に意見を決めるだけでは意味がない」「大切な議題に対して、しっかりとした説明の場を設けるべきだ」。
- 「事前にしっかりとした情報提供や準備なしに『跡地に何が欲しいか』と聞かれても漠然としていて答えられない」。
- 「住民が何を望んでいるかを知る前に、市側が何を計画しているのか示すべきだ」。
- 全庁的・多角的な検討の欠如
- 市は総合計画で公共施設のあり方を「行財政とまちづくりの視点で組織横断的に検討する」としているのだから、総務企画部門が中心となって全庁的な立場で利活用を検討すべきだ。
- 「行政需要」は経済強化、福祉、教育、文化、安全・安心、地域コミュニティなど多岐にわたるはずなのに、なぜ短絡的に屋外運動施設のみに焦点を合わせているのか、行政としての論理的な整理が全くされていない。
- 公有財産である中学校跡地利用は、地域にとって重要だ。しかし、今回の案は新産業エリア内の公有地を高く売却するための代替施設という、いかにも不動産業的な色彩が濃いと疑念を持たざるを得ない。市の財政状況をまず詳らかに説明し、その原因を市民に示すべきだ。
- 防災・避難計画への無配慮
- 住民は防災・避難への対応を強く求めているのに、今回の案では、伊勢湾台風後にせっかく嵩上げした中学校敷地を硬式野球場にするためにわざわざ削るという、防災・避難の視点から全く理解不能な行政判断を行っている。
- 「どこに避難すればいいのか分からない。早急に回答が欲しい」。海翔高校が廃校で避難所として使えなくなるという通知を受けながら、代替避難所の具体的な対応策がないのはおかしい。
- 硬式野球場ありきの不十分な根拠
- 硬式野球場としての活用を説明するなら、市内在住の硬式野球人口データ、整備事業費、維持費などを行政としてきちんと示し、費用対効果を検討すべきなのに、一切示されておらず、具体的な答弁もなかった。
- 近隣の県立海翔高校にも硬式野球ができる施設があるのだから、もし硬式野球場が必要なら、その施設活用を検討すべきだ。県からの譲渡打診など、実態を明らかにし、的確に対応すべきだ。
- 真の住民参加への強い要望
- 「ただ形式的に意見を決めるだけでは意味がない」「この重要な話を、事前にしっかりとした情報提供や準備なしに聞かれても答えられない」。
- 住民、特に十四山地区の広範な人々にとって望ましい地域づくりに繋がる整備方針を策定することが重要であり、そのためには、住民の意向が十分に反映されるような協議組織を構築し、時間をかけた有機的な協働作業によって利活用方針案の策定を進めるべきだ。**上からの押し付け的な方針は、地域の将来にとって「百害あって一利なし」**である。
市の対応:無神経な「背信行為」に市民の不信感は募るばかり
住民が示したこれらの真っ当で建設的な意見に対し、弥富市がその後に行ったことは、市長の公約を反故にし、市民との信頼関係を破壊するに等しいものでした。
市長が「再検討し、改めて意見交換会を開催する」と約束したにもかかわらず、その直後にパブリックコメントを強行することは、市民を欺く行為であり、市長の政治的信頼性を著しく損ねるものです。 加えて、整備計画案(図面)を広報誌にも掲載せず、市民への情報提供を怠る姿勢は、「住民の意見は望んでいない」という市の本音を露呈しているとしか思えません。
今回の十四山中学校跡地利用計画における弥富市の対応は、市民の声に真摯に耳を傾けず、行政手続きの透明性を欠き、「硬式野球場ありき」という結論へ強引に誘導しようとする「無神経な行政運営」の実態を浮き彫りにしました。このままでは、市民の市への不信感は募るばかりでしょう。
