弥富市民の皆さん、十四山中学校跡地の整備方針案について、私たちは今、市の不透明なやり方を前にしています。これは、ただの跡地利用計画ではありません。私たちの声が軽んじられ、市の都合の良い論理で結論が導き出されている、深刻な問題の表れです。
かつて地域の「学びの核」だった場所を、なぜ市民の真意を問うことなく「硬式野球場」にしようとするのでしょうか? 既に屋外運動施設が過剰だという市のデータがあるにもかかわらず、新たな施設を造るという矛盾。これは、市民の意向を真に反映させるための対話ではなく、行政の結論を押し付けるための形式的な手続きに過ぎません。
私たちは、この不誠実なプロセスに断固として「NO」を突きつけなければなりません。私たちの税金と、地域の歴史、そして未来のために、市に対し、計画の白紙撤回と、開かれた議論の場を強く求めましょう。
弥富市教育委員会が令和7年6月に策定した「十四山中学校跡地利活用における整備方針案」は、少子化に伴う学校再編後の跡地利用という重要な課題に対し、市の都合の良い論理で結論を導き出している点が問題です。この方針案の骨子と、それに対する検証を以下にまとめます。
十四山中学校跡地利活用における整備方針案は8月1日から市のホームページに公開されました以下からダウンロードしてください
https://www.city.yatomi.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/715/juchu-anhenkou.pdf
(要約)
- 整備方針の目的と「検討経過」への評価
方針の骨子
- 目的: 少子化に伴う小中学校の児童生徒数減少に対応し、次世代を担う子どもたちのより良い教育環境を整備するため、(評価者注釈 という本来の目的をいっておきながら)十四山中学校の跡地を有効活用する。
- 検討経過: 平成27年度から「弥富市総合管理計画」策定、学校再編・スポーツレクリエーション系施設の統廃合検討、地域住民ワークショップ、アンケート、フォーラム、公共施設再配置計画策定などを経て、今回の整備方針案に至った。
評価
- 「検討経過」は形だけのプロセスではないか?: 市は長期間にわたる「検討」をアピールしていますが、その実態は市民意見の真の反映を伴わない、結論ありきの形式的な手続きに過ぎない疑念が拭えません。ワークショップや説明会で出された具体的な意見が、なぜ「硬式野球場」という結論に繋がったのか、その経緯が全く不透明です。市民が求めているのは、形式的な手続きではなく、真に意見を反映させるための対話です。
- 現況整理と法規制、民間需要に関する評価
方針の骨子
- 敷地概要: 愛知県弥富市十四山町に位置し、敷地面積約3.4ha。市街化調整区域に指定されており、都市計画法上の許可が必要。
- 周辺環境・特色: 近鉄佐古木駅から約2.5kmと交通アクセスは比較的良好。三又池公園や海南こどもの国といった豊かな自然環境、旧東海道や文化財など歴史的資源も豊富。十四山中学校はかつて地域の「学びと文化の核」であった。
- 建築物に係る法規制: 市街化調整区域のため、原則として新たな市街地の開発は制限される。公益上必要な建築物、小規模な店舗、農産物加工施設、沿道施設、高齢者施設、先端工場、農家レストランなどが限定的に許可される可能性がある。
- 民間需要の検討: 市街化調整区域であることや、弥富市の人口動態・経済状況、交通条件(インターチェンジからの距離や道路幅員)を考慮すると、民間需要は低いと想定される。実際に、公有財産活用アイデア募集には提案がなかった。
評価
- 民間需要の「勝手な想定」と可能性の排除: 市は「民間需要が低いと想定される」「提案がなかった」と断定していますが、これは市が積極的に民間事業者を誘致する努力を怠った結果であり、民間活用の可能性を最初から排除するための言い訳にしか聞こえません。市街化調整区域の制約は理解できますが、具体的な市場調査や、地域特性に合わせた柔軟なアイデア募集をせずして「需要がない」と決めつけるのは不飛躍です。地域の豊かな自然環境や歴史的資源を活かした新たな民間事業の可能性を、なぜ最初から諦めるのでしょうか。
- 「学びの核」を「硬式野球場」にする矛盾: かつて地域の「学びの核」であった中学校跡地を、その歴史や文化的背景と必ずしも直結しない「硬式野球場」に転用することは、地域のアイデンティティや住民の感情を軽視していると言わざるを得ません。
- 上位計画・関連計画との整合性に関する評価
方針の骨子
- 上位計画との整合: 「第2次弥富市総合計画後期基本計画」の「公共施設インフラの適正化」、「弥富市スポーツ推進計画」の「スポーツ環境の整備充実」、「弥富市公共施設等総合管理計画」の「施設の統合や廃止検討」、「弥富市公共施設再配置計画」の「跡地利用の検討」、「弥富市第2次行政改革大綱」の「施設保有量の削減」、「弥富市都市計画マスタープラン」の「施設の統廃合検討」など、各計画と整合している。
評価
- 都合の良い「読み替え」と自己矛盾: 市は複数の上位計画との整合性を主張していますが、その解釈は極めて恣意的です。例えば、「公共施設インフラの適正化」や「施設保有量の削減」「施設の統合や廃止検討」といった方針があるにもかかわらず、既に過剰である屋外運動施設を新たに(または移転して)建設しようとするのは、自己矛盾に他なりません。これらの計画は、施設の総量を減らし、財政負担を軽減することを本来の目的としているはずです。硬式野球場の建設は、この本来の目的に逆行するものです。
- 行政需要と地域意見に関する評価
方針の骨子
- 行政需要:
- 十四山中学校跡地は現在「十四山グラウンド」として一般開放され、主に野球で利用されてきた。
- 弥富市の住民1人当たりの屋外運動施設保有面積は4.55m²/人と、近隣・類似団体平均(2.57m²/人)の約2倍近くも多い。
- 弥富市中央部に屋外運動施設が少ない一方で、新産業エリア内に複数の屋外運動施設が設置されている。
- 多くの屋外運動施設は稼働率が低く、利用率の見直しが必要。
- これらの課題解決と跡地利活用を考慮すると、十四山中学校跡地を利活用し、新産業エリア内の屋外運動施設を統合することが行政需要となる。
- 地域の意見:
- 令和7年4月13日の説明会では、「形式的な意見聴取では意味がない」「都市計画・防災計画等、市の具体的な計画を示すべき」「避難所機能について早急な回答が欲しい」といった、市の対応への強い不満と情報提供の不足が指摘された。
- 今後は市としての整備方針を作成し、地域住民・その他の市民に対し説明会開催とパブリックコメントを実施する予定。
評価
- 行政需要の「捏造」と論理の飛躍:
- 「主に野球で利用されてきた」という事実が、なぜ「硬式野球場の建設が必要」という結論に直結するのでしょうか? 多様なスポーツニーズへの配慮はどこに行ったのでしょうか?
- 屋外運動施設が既に過剰であるという自らのデータを提示しながら、さらなる施設(硬式野球場)の建設を正当化するのは、論理が破綻しています。 「中央部に少ない」という課題に対し、市街化調整区域の跡地に硬式野球場を建設することが果たして最適解なのでしょうか? 市民からの「いや、そうは言っても、そっちは土地があるから」という評価は、まさに市の論理の穴を突いています。
- 既存施設の稼働率が低い原因が「利用しづらい位置」にあると市が認識しているにもかかわらず、その根本的な解決策を講じずに、新たな施設建設に走るのは無責任です。
- 地域意見の軽視と形式的な対応: 市は住民の意見を箇条書きで示す一方で、その後の対応は「説明会の開催」と「パブリックコメント」という、従来の形式的な手続きの繰り返しに過ぎません。住民が求めているのは、市が「何を計画しているのか」を示すこと、そしてその計画に対し真に意見を反映できる対話の場です。廃校に伴う避難所機能の喪失という切実な問題に対し、具体的な回答を示さず意見を求める姿勢は、市民の不安を煽るだけです。
- 整備方針のまとめと根本的評価
方針の骨子
- コンセプト: 「豊かな自然環境の中で地域の歴史も学び、子どもたちがスポーツを通じて絆を紡ぐ場」
- 整備方針1(行政需要): 民間需要が期待されないため、行政事業として南部地域の上野グラウンド等の統合先とし、硬式野球場として整備する。
- 整備方針2(既存校舎): 多額の維持管理費・改修費を避けるため、既存校舎は一部(校舎と倉庫)を残し、避難所・避難場所、管理棟・多目的スペース、防災倉庫として利活用する。
- 整備方針3(地元住民の意向): 利活用する既存校舎等には、地元住民や市民の意見を反映させる。
評価
- 「硬式野球場ありき」の結論: 市の提示する整備方針は、最終的に「硬式野球場を建設する」という結論ありきで、全ての論理が組み立てられています。コンセプトは美しいですが、硬式野球場という単一の利用目的に偏重している点が、「様々なスポーツ」への配慮や、地域の多様なニーズに応える視点を欠いています。
- 既存校舎解体の不透明性: 「多額の維持管理費・改修費」を理由に既存校舎の大部分を解体するとしていますが、市民からは「鉄筋校舎を壊すありきなんだよな。結局は事件が理由としか思えません」という強い疑念が呈されています。この「事件」が何であるかは不明ですが、市民の間にそのような疑念が生じること自体が、市による説明不足と情報隠蔽の可能性を示唆しています。本当に財政負担が主な理由であれば、その具体的な試算を明確に開示すべきです。
- 意見反映の限定性: 「地元住民の意向および意見も反映させる」としながらも、それは「利活用する既存校舎等」という限定的な範囲に留まっており、市民からは「メインとなる広いところは市の自由にして、端(小規模な部分)だけ意見を聞くっていうのかな」という、意見反映の範囲が極めて限定的であることへの評価が出ています。これは、市民を納得させるための「おまけ」のようなものであり、真の住民参加とは言えません。
総合的な評価と提言
弥富市の「十四山中学校跡地利活用における整備方針案」は、「硬式野球場の建設」という結論ありきで、他の選択肢を恣意的に排除し、市民の意見を軽視する姿勢が随所に見受けられます。これは、これまでの弥富市政が抱えてきた不透明な意思決定と説明責任の欠如という根本的な問題の表れです。
弥富市が市民の信頼を得るためには、以下の点を強く提言します。
- 整備方針案の再考と公開討論会の開催: 硬式野球場建設ありきの現行案を一旦白紙に戻し、より多様な選択肢(多目的広場、防災公園、文化施設、民間誘致の再検討など)を具体的に提示した上で、市長や関係部署の幹部が参加する公開討論会を複数回開催し、市民が納得するまで議論を尽くすべきです。
- 情報公開の徹底: 跡地利活用に関する全てのデータ(財政試算、民間からの問い合わせ状況、各施設の詳細な稼働率データなど)を包み隠さず公開し、市民が客観的に判断できる情報を提供すべきです。特に校舎解体の理由については、具体的な根拠を明確に説明してください。
- 真の住民参加の実現: 意見聴取は形式に終わらせず、市民の意見が計画にどのように反映されたのか、されなかったのかを具体的にフィードバックする仕組みを構築すべきです。
弥富市が、市民の声に耳を傾け、より良いまちづくりを実現することを強く求めます。
教育と学校統廃合、跡地利用についてはこちらの特集ページをご覧ください
弥富市公共施設再配置計画(十四山中学校跡地)整備方針案への緊急提言と評価的検証(詳細)
はじめに:弥富市公共施設再配置計画の不透明性
弥富市教育委員会が令和7年6月に策定した「十四山中学校跡地利活用における整備方針案」は、その内容は市の財政状況、地域住民の意向、そして何よりも論理的な整合性を欠いた、極めて問題の多いものです。本提言は、弥富市が提示するこの整備方針案を詳細に検証し、その根底にある不誠実な行政運営と、市民に対する説明責任の欠如を指摘します。
- 整備方針の目的とこれまでの検討経過:形だけのプロセスか?
弥富市は、小中学校の再編(十四山中学校の弥富中学校への編入、大藤・栄南・十四山東部・十四山西部小学校のよつば小学校への再編)に伴い、閉校後の学校敷地の利活用について「弥富市学校跡地利活用基本方針」を令和7年3月に策定したと説明しています。この基本方針に基づき、十四山中学校跡地の整備方針案を策定したとしています。
1.1. 検討経過の形式主義
市が示す「これまでの検討経過」は、一見すると長期間にわたる包括的なプロセスのようですが、その実態は市民意見の軽視と、結論ありきの計画策定を疑わせるものです。
- 広範な検討の主張と実態の乖離: 平成27年度の総合管理計画策定から始まり、学校再編やスポーツレクリエーション系施設の統廃合検討、市民ワークショップ、アンケート、フォーラム開催など、多くの「検討」が行われたとされます。しかし、これらのプロセスが真に市民の意見を計画に反映させるためのものであったかは疑問です。特に、パブリックコメントが「アリバイ作り」と化している過去の経緯を鑑みると、形式的な手続きの羅列に過ぎない可能性が高いです。
- 「地域住民による未来に繋ぐ公共施設を考えるワークショップ」の意見反映状況は?: 多数のワークショップや説明会が開催されたとありますが、その際に提出された具体的な意見が、今回の「硬式野球場」という結論にどのように結びついたのか、全く説明されていません。
- 「屋外運動施設の集約化・再編」の強調の背景: 令和5年度以降、「屋外運動施設の集約化・再編」という文言が頻繁に登場します。これは、今回の硬式野球場案への誘導的な布石であると推測できます。
- 現況の整理および建築物に係る法規制:都合の良い解釈と情報操作の疑い
十四山中学校跡地の現況や法規制に関する説明は、計画の正当性を主張するための都合の良い情報操作が行われている可能性があります。
2.1. 敷地概要と地域の特色
- 交通アクセスと周辺環境の強調: 近鉄佐古木駅から2.5km、県道へのアクセスが良いこと、三又池公園や海南こどもの国などの観光資源、旧東海道や文化財といった歴史的資源が豊富である点が強調されています。これらの記述は、後述の「豊かな自然環境の中で地域の歴史も学び、こどもたちがスポーツを通じて絆を紡ぐ場」というコンセプトに繋げたい意図が見え見えです。
- 「地域の学びの核」という矛盾: 「絆などの教育目標を掲げ、生徒の成長を思いやる地域の学びの核となっていた」としながら、その「核」を野球場にするという計画は、地域住民の感情や長年の歴史を軽視しているとしか思えません。地域の文化的・歴史的背景を単なる美辞麗句で飾っているだけではないでしょうか。
2.2. 市街化調整区域における法規制:民間需要の「勝手な想定」
十四山中学校跡地は「市街化調整区域」に位置し、開発行為や建築行為に都市計画法上の許可が必要であると明記されています。その上で、利活用可能な用途が列挙されていますが、この説明には恣意的な解釈と民間需要の過小評価が見られます。
- 「民間需要に依存される施設は敷地規模が小規模のものしか許可されません」: この記述は、民間事業者の参入を最初から諦めさせるための誘導的な表現ではないでしょうか。
- コンビニ・ガソリンスタンドへの消極的見解: 「交通量が少なく、コンビニおよびガソリンスタンドの需要は低い」と断言していますが、これは市が行った具体的な市場調査に基づくものなのでしょうか? 周辺住民の利便性向上といった視点は考慮されているのでしょうか。
- 流通業務施設への厳しい条件: インターチェンジからの距離や主要道路の幅員は満たすものの、「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律による認定が必要」という、民間企業にとっては敷居の高い条件を提示しています。
- 高齢者施設、先端工場、農家レストランへの消極的コメント: いずれの用途も、既に近隣に類似施設がある、先端技術業種である必要がある、弥富市内で実績がない、といった消極的なコメントを付記し、民間活用の可能性を最初から潰す意図が見受けられます。
- 「ただし地元の多くの農家は小規模であり大規模な加工施設等の需要は低い」という断定: なぜ市が民間需要を「勝手に想定」し、その可能性を最初から否定するのでしょうか。民間からの提案がなかったのは、市が積極的に情報を発信し、需要を掘り起こす努力を怠った結果ではないでしょうか? 「令和6年6月からホームページや国土交通省のポータルサイトでアイデア募集を掲載したが、提案はなかった」とありますが、これは「待つ」姿勢であり、能動的な誘致努力とは言えません。
- 上位計画・関連計画の整理:都合の良い「読み替え」と矛盾
市は、今回の計画が上位計画や関連計画と整合していると主張していますが、その解釈は都合の良い「読み替え」に過ぎず、計画の根幹に矛盾を抱えています。
- 「公共施設インフラの適正化」の目的の歪曲:
- 「第2次弥富総合計画後期基本計画」では、「学校規模の適正化に向けた取り組みの推進」や「公共施設インフラの適正化」を掲げています。これは、公共施設の総量を削減し、財政負担を減らすという本来の目的があるはずです。
- しかし、今回の計画では、既存の屋外運動施設が過剰であるにもかかわらず、新たな野球場を建設しようとしている点で、上位計画の趣旨と矛盾しています。
- 「統廃合後の公共施設等のあり方を、行財政とまち作りの視点で組織横断的に検討」とありますが、今回の硬式野球場案は、明らかに「財政」の視点を欠いています。
- 「スポーツ推進計画」の拡大解釈:
- 「弥富市スポーツ推進計画」では、「スポーツ環境の整備充実」を掲げ、「小中学校の統廃合に伴う跡地利用の有効活用を検討する中で、スポーツ施設の整備充実について進めていく」とあります。
- しかし、これは必ずしも「新たな硬式野球場の建設」を意味するものではありません。 既存施設の有効活用や、多目的利用の促進など、より柔軟な「整備充実」の選択肢があるはずです。
- 「公共施設等総合管理計画」の機能の類似性への無視:
- 「弥富市公共施設等総合管理計画」では、「同様の機能を持つ施設が多いため、利用状況によってはより広域的に活用するなど、施設の統合や廃止について検討していく」とあります。
- 弥富市は、すでに屋外運動施設が過剰であると認識しているにもかかわらず、硬式野球場という「同様の機能を持つ施設」を新たに整備しようとしています。 これは、自らの計画方針に真っ向から反するものです。
- 「公共施設再配置計画」の跡地利用への「ワークショップの意見」の軽視:
- 「統合した学校の跡地利用について公共利用による活用や民間企業への賃貸および売却等を検討していく」とあります。
- (ワークショップの意見)と付記されていますが、市民ワークショップで硬式野球場を望む声が多数挙がっていたのでしょうか? その具体的な内容が提示されていないのは不自然です。
- 弥富市学校跡地利活用方針に基づく検討:行政需要を「捏造」し、地域意見を軽視
「行政需要を踏まえた利活用」と「地域の活力に繋がる利活用の検討」の項目は、弥富市が硬式野球場建設という結論に導くための、不適切な情報操作と地域住民の意見の軽視が顕著です。
4.1. 行政需要の「捏造」と論理の飛躍
- 十四山中学校跡地の開放状況: 「弥富市運動広場条例により十四山グラウンドとして設置」されており、主に野球での利用が多いという点は事実かもしれませんが、これが即ち「硬式野球場の建設が必要」という行政需要に繋がるかは疑問です。地域のニーズは軟式野球や多目的利用も含まれるはずです。
- 屋外運動施設の過剰保有: 弥富市の住民一人当たりの屋外運動施設保有量が、近隣・類似団体平均よりも約2倍も多いというデータは、「施設を減らす」という公共施設再配置の本来の目的に反して、新たな施設建設を正当化する材料にはなり得ません。
- 「中央部に屋外施設が少ない」という主張の恣意性: 「弥富市の中央部に屋外運動施設が少ない」としながら、「新産業エリア内に複数の屋外運動施設が設置されている」と述べています。しかし、中央部に不足しているからといって、市街化調整区域の十四山中学校跡地に硬式野球場を建設することが、その解決策になるのでしょうか? 新産業エリアにある施設は、産業活動の中核を担うゾーンに設置されているため、住民の日常的な利用に適しているとは限りません。これは、課題のすり替えであり、論理の飛躍です。
- 評価的コメント: 「いや、そうは言っても、そっちは土地があるから」という市民の反論は、まさにこの矛盾を突いたものです。
- 利用状況の歪曲: 「稼働率が低い施設や占有率が高い施設が多く、施設の統合等による利用状況を見直す必要がある」としながら、その「統合先」として、過剰な屋外運動施設をさらに増やす(または移転させる)という結論は、根本的に矛盾しています。 「利用しづらい位置にあることが要因の場合もある」という指摘は、市が既存施設の利用促進に真剣に取り組んでいないことを示唆します。
- 行政需要の方向性の強引な結論: 「十四山中学校の学校跡地を利活用し新産業エリア内の屋外運動施設を統合する」という結論は、これまでの課題整理から導かれる必然的な結論ではなく、「硬式野球場を建設したい」という結論ありきで行政需要を「捏造」しているとしか思えません。「民間需要が期待されないため行政事業としての利活用を基本」と、何の根拠もなく勝手に民間需要を低いと決めつけ、行政事業に誘導している点も問題です。
4.2. 地域の意見の軽視と形式的な対応
- 「地域の意見」の箇条書きの矛盾: 令和7年4月13日の説明会での意見として、「形式的に意見を求めるだけでは意味がない」「事前情報提供や準備なしに聞かれても答えられない」「都市計画・防災計画等を示すべき」といった、市の対応への強い不満と評価が多数列挙されています。
- 「私達が何を望んでいるかを知る前に、市側が何を計画してるのか示すべき」という意見は、まさに今回の計画策定プロセスが、市民の視点に立っていないことを示しています。
- 「地域の意見による方向性」の欺瞞:
- 「地域住民から方向性および意見は重要なものです」と前置きしながらも、結局は「市としての跡地利活用の整備方針を作成し、地域住民はもちろん、その他の市民に対しても情報提供するための説明会を開催するとともに、パブリックコメントも実施する予定」という、既定路線をなぞるだけの対応を宣言しています。
- 市民が求めているのは「情報提供のための説明会」ではなく、「意見を反映させるための対話」です。この記述は、市が市民の意見を形式的に聞くだけで、計画を変更する意思がないことを改めて示しています。
- 評価的コメント: 「提案なかったはずないんだけどな、おかしいこれ」という、市民の意見が聞かれなかったことへの強い不満は、まさに市の不誠実な姿勢を表しています。
4.3. 民間需要の「勝手な想定」と情報隠蔽の疑い
- 市街化調整区域の制約を強調: 再び市街化調整区域内の制約を強調し、民間事業者の参入が難しいと結論付けています。
- 人口動態と経済活動の過小評価: 「市街化調整区域は一般的に人口が少なく、経済活動も活発でない場合が多いと言えます」と断定し、商業施設や住宅の需要が限られると主張していますが、これは市が行った具体的な調査に基づくものではなく、都合の良い「想定」としか思えません。
- 「民間事業者からの提案はありませんでした」という免罪符: 弥富市ホームページや国土交通省のポータルサイトでのアイデア募集に「現在まで民間事業者からの提案はありませんでした」と述べていますが、これは前述の通り、市が積極的な誘致や情報提供を怠った結果です。これを根拠に民間需要がないと判断するのは、あまりに拙速で不誠実です。
- まとめ:硬式野球場「ありき」の計画と改善案
整備方針のコンセプトは「豊かな自然環境の中で地域の歴史も学び、こどもたちがスポーツを通じて絆を紡ぐ場」と美しく謳っていますが、その具体的な内容は、硬式野球場ありきの結論に他なりません。
- 整備方針1:行政需要を装った硬式野球場建設:
- 「南部地域のグランドの統合先とする」という名目で、「民間需要が期待されないため行政事業としての利活用を基本とし」と断定し、さらに「移転および統合されるグランドは、硬式野球での利用が多いため、野球場として整備します」と結論付けています。
- これは、過剰な屋外運動施設を減らすという本来の目的とは真逆であり、既存施設の硬式野球利用が多いからといって、新たに硬式野球場を建設する論理的必然性はありません。多くのスポーツを包括的に支援する視点も欠如しています。
- 整備方針2:一部残すという欺瞞と「事件が理由」への疑念:
- 「全ての既存校舎等を利活用した場合、多額の維持管理費および大規模改修工事費が財政負担となるため、一部の校舎と倉庫を残して避難所および避難場所に指定」とあります。
- しかし、「鉄筋校舎を壊すありき」という計画は、維持管理費を理由にしながら、「結局は事件(事故)が理由としか思えません」という強い評価を招くものです。これは、説明責任の放棄と情報隠蔽の疑いをさらに深めます。
- 整備方針3:地元住民の意向反映の形式化:
- 「利活用する既存校舎は地元住民や、それ以外の市民の意向および意見も反映させより良い施設にします」とありますが、これは「メインとなる広いところは市の自由にして、端の小規模な部分だけ意見を聞く」という、意見反映の範囲を限定する意図が透けて見えます。
結論:弥富市政への信頼回復のために
弥富市が提示する十四山中学校跡地利活用における整備方針案は、その策定プロセス、論理的根拠、そして地域住民への説明責任において、深刻な問題を抱えています。これは、これまでの弥富市役所が繰り返してきた「間違いだらけの行政運営」の集大成と言えるものです。
弥富市が市民の信頼を回復し、真に持続可能なまちづくりを進めるためには、以下の点を強く提言します。
- 整備方針案の即時撤回: 硬式野球場ありきの、論理破綻した現在の整備方針案を直ちに撤回してください。
- 透明性の高い情報公開: 計画策定に至るまでの全ての検討過程、データ、そして市民からの意見を、恣意的な解釈を加えずに公開してください。特に、民間需要に関する調査結果は具体的に示すべきです。
- 真の市民参加の実現: パブリックコメントは中止し、市長が公約した通り、複数かつ多様な利用案を提示した上で、市民が納得いくまで議論できる場を継続的に設けてください。地域住民の意見を「アリバイ作り」ではなく、計画に真に反映させるプロセスを確立してください。
- 客観的な行政需要の再検証: 弥富市全体の公共施設保有量、利用状況、財政状況を鑑み、真に必要な行政需要とは何かを客観的に再検証してください。単一用途の施設に固執するのではなく、多目的利用や複合施設化など、より柔軟な発想で検討を進めてください。
- 市長および市執行部の説明責任: 市長および市執行部は、これまでの不誠実な対応と情報操作の疑いについて、市民に対し明確に謝罪し、今後の行政運営の改善を具体的に約束してください。
市民は、この計画の行く末を厳しく見守っています。弥富市が、市民の声を真摯に受け止め、信頼される行政へと生まれ変わることを強く期待します。
