🏫 21億円の新設校「よつば小学校」の足元を揺るがす二大危機 ⚠️
ワークショップは絶賛も、PTA「サービス崩壊」と「通学路の闇車両」は未解決!
弥富市が進める小学校再編プロジェクトは、21億円の工事契約が完了し、ワークショップが「最も建設的な話し合い」と市民に評価されるなど、形式上は順調に前進しています。しかし、最新の再編委員会議事録は、新しい学校運営の基盤を揺るがす二つの核心的課題が未解決のままであることを浮き彫りにしました。
1.【コミュニティ崩壊リスク】PTA任意団体化の”裏側”
PTAが任意団体化することで、「加速度的に退会者が増える」懸念が委員から噴出。会費収入に頼っていた行事やサービスが消滅するリスクが指摘されました。
- 行政の回答回避: 事務局は「規約の透明化」に終始し、PTA活動が停止した場合に市が代替する具体的な財源やマンパワーの支援策を提示できず、新学校のコミュニティ運営の持続可能性が根本から問われています。
2.【子どもの命に関わる危機】通学路に潜む「ナンバーなし車両」
通学路スクールバス部会からは、モータープールが多い地区で「ナンバーなしの車(赤ナンバー車)」が通学路を走行する重大な安全リスクが告発されました。事故時の補償が限定的で、子どもの安全が脅かされる深刻な事態です。
- 行政の機動力不足: 委員長から具体的かつ切迫した問題提起があったにもかかわらず、行政側は「今後吟味」「未定」といった抽象的・受動的な回答に留まり、開校までの具体的な対策と予算確保の動きが見られず、危機管理体制の甘さが懸念されています。
結論: 新しい「よつば小学校」のスタートは、市民との協働という「光」を持つ一方で、「PTA財政」と「通学路の安全」という**「誰が責任を持つのか」が不在のままの二つの大きな「影」**を抱えており、委員会は単なる報告の場から、実務的・財政的な解決策を決定する場への転換が急務です。
令和7年度第2回「弥富市小学校再編委員会」議事録の分析
本議事録は、弥富市が進める小学校再編プロジェクトが、基本計画策定段階から具体的な「実行と運営」のフェーズに移行したことを示しています。工事の契約、校歌制作、交流計画など、プロジェクトの進行は順調であると評価できますが、その議論の中には、新しい学校のコミュニティ運営と子どもたちの安全に関わる核心的な課題が未解決のまま残されていることが示唆されます。
- 評価できる点(ポジティブな側面)
① 積極的な市民参加とフラットな議論
「よつば小学校を創ろうプロジェクト~夢ある新しい学校を想像するワークショップ~」の実施は、極めて高く評価できます。
- 手法の選択: 「ワールドカフェ方式」を用いることで、「フラットな関係でお互いを尊重しあう」対話を実現しようとした努力。
- 成果と当事者意識: 参加者から「今まで参加した外部に開かれた話し合いや説明会の中で一番建設的な話し合いができました」という声が出たことは、形式的な説明会ではなく、真の協働体制の構築を目指している証拠です。
② プロジェクトの明確な前進と包括的な部会活動
工事請負契約(21億2千300万円)の議決が完了し、新校舎建設が具体的に始まったことで、プロジェクトの不可逆性が確定しました。また、校歌制定委員会など、単なる施設統合ではない新しい学校のアイデンティティ作りに着手している点も重要です。
③ 地元業者による施工の強調
施工業者が大栄建設、弥富建設の弥富市内の共同企業体であることを明記し、地元委員から「地元の方々に建てていただいている地元の学校ですというのはしっかり言っていくべき」との提言があったことは、市民の愛着とPR効果を高める上で極めて有効な視点です。
- 懸念される点と未解決の核心的課題
議事録の「意見交換」セクションで、再編委員会が抱える最も重大な2つの課題が浮き彫りになっています。
課題A:PTAの任意団体化に伴う「サービスの崩壊」リスク(核心的課題)
鈴木委員(前弥富中学校PTA会長)が提起したPTAに関する議論は、再編委員会の枠を超えて、現代の学校コミュニティが直面する最も困難な課題です。
| 論点 | 内容 | 分析 |
| 委員の懸念 | PTAが「任意団体」であることを強調すると、「加速度的に辞めますという人が増える」リスクがある。これにより、PTA会費に頼っていた行事やサービスが縮小・消滅し、学校運営が立ち行かなくなる。 | 任意団体の原則は正しいが、実務的なサービス維持(お金と人)の視点に立つと、行政がその財源やマンパワーの代替案を用意しない限り、新学校のコミュニティ活動は立ち上げ初期から深刻な困難に直面する。 |
| 事務局の回答 | 規約を「健全化」「透明化」し、「ボランタリーな組織」を目指すことが目的であり、業務委任契約などで学校との関係を明確にすべきである、と説明。 | 論点回避。事務局はPTAの「法的・組織的透明性」に終始し、委員が提起した「実質的な資金・マンパワーの維持」という危機的な問いに対して具体的な解決策(市による財源確保や公的なサポート)を示せていない。新しい学校の設立において、この財政・運営基盤の不安定さは大きなリスクとなる。 |
課題B:通学路の安全性に関する行政の対応力の不足
通学路スクールバス部会の報告において、委員長(伊藤将之氏)が弥富市特有の重大な交通安全リスクを提起しています。
| 論点 | 内容 | 分析 |
| 委員長の懸念 | 栄南・大藤地区を中心に、モータープール等による「ナンバーなしの車(赤ナンバー車)」が通学路を走行しており、事故の際の補償が限定的で、子どもの安全に関わる。警察や国土交通省(中部運輸支局)との連携強化による規制と取締りの強化を強く要求。 | 行政対応の遅れ。委員長は極めて具体的で深刻な安全問題(海外逃亡による泣き寝入りの実例まで)を挙げたにもかかわらず、事務局の回答は「蟹江警察もアクションをとっていく予定」「市でできるところは何があるか今後吟味」と抽象的かつ受動的である。再編委員会発足の初期段階からこの問題に取り組むべきであった可能性が高く、新学校開校までの対策に懸念が残る。 |
| 熱中症対策 | 西部小委員から、徒歩通学路の子どもに対する夏季限定のスクールバス運行の可能性について質問。 | 「未定」というリスク。夏の酷暑対策は子どもの生命に関わる必須の危機管理であるにもかかわらず、「検討材料」「予算との関係」という回答に留まった。開校まで時間があるにもかかわらず、この必須の課題に対する具体的な計画や予算確保の動きが読み取れない。 |
課題C:参加と所有権の構築に関する軽微な遅れ
ワークショップのテーマC(工事への関わり)において、「子どもたちや保護者、地域の方々がその工事になんらかの形で立ち会ったりすることができないか」という問いに対して意見が出なかったと報告されています。
これは、運営側が提案した「ワクワク感の醸成」という目標に対して、具体的な方策を市民側から引き出せなかったことを意味します。建設業者からの提案(重機見学など)を待つのではなく、この「参加の欠落」を埋めるための積極的な仕掛けを行政側が主導すべきです。
- 結論
弥富市小学校再編委員会は、学校再編という巨大プロジェクトを形式的には順調に進めており、ワークショップのような先進的な手法も導入しています。
しかし、議事録の意見交換セクションは、新学校の「足元」を揺るがす二大リスクを示しています。
- PTAの任意団体化とサービス崩壊の危機:コミュニティ運営の持続可能性が問われている。
- モータープール関連車両による通学路の危険性:子どもの生命と安全に関わる問題への行政の機動力が試されている。
今後、委員会は単なる報告の場に留まらず、これら「誰が、いかにして、新しい学校のコミュニティと安全を保証し続けるか」という実務的かつ財政的な核心課題について、具体的な対策を立案・決定する場として機能することが求められます。
令和7年度小学校再編委員会
https://www.city.yatomi.lg.jp/kurashi/1000269/1000270/1005334/1005332/1005333.html
