企画趣旨:0〜2歳児のわくわく発達学
〜自我の芽生え「イヤイヤ期」を一生の土台に〜
私たち「新しい風・やとみ」が、なぜ子どもの成長に深く関わり、こだわり続けるのか。その背景と、本企画の目的をお伝えします。
1. 「監視し合う社会」の息苦しさと現代の子育て
昨年は「昭和100年」、そして「戦後80年」という節目でした。世界を見渡せば紛争が絶えませんが、日本は比較的平穏の中で高度経済成長を遂げ、豊かな社会を築き上げました。社会制度も整い、形式的には個人の権利が尊重される時代になりました。
しかし一方で、約30年前の1990年代頃から、社会にはある種の「窮屈さ」が蔓延しています。何か失敗が露呈するたびに制度が厳しくなり、コロナ禍の「自粛警察」に象徴されるような、自分たちで自分たちを監視し合う同調圧力が強まっています。
今の子育て世代は、まさにこの管理教育やスクールカーストの中で、「お互いの顔色を窺い、認められるかどうかに悩む」という繊細な人間関係を生き抜いてきた世代です。
現代の漫画やアニメがそうした若者の内面の葛藤をリアルに描いていることからも、その息苦しさに多くの共感が集まっていることがわかります。
2. 「パターナリズム(父権主義)」からの脱却
子どもを育てる親や祖父母には、「子どもは弱いものだから、自分たちが守ってあげなければならない」というパターナリズム(父権主義)が働きがちです。
社会全体にも、「お上に基準を作ってもらい、それに従う方が安心・楽である」という傾向が根強くあります。
しかし、子どもは本来、保護されるだけの客体ではなく、自ら成長し自我を形成していく「主体(主語)」です。
近年、教育現場でも「子どもの主体性」を重んじる取り組みが目覚ましい成果を上げていますが、この流れを幼児期からしっかりと根付かせる必要があります。
3. トライ&エラーの象徴としての「イヤイヤ期」
子どもの育ちとは、本来「トライ&エラー」の連続です。
その最たるものが「イヤイヤ期」と呼ばれる時期です。
これは単なる反抗ではなく、子どもが失敗を繰り返しながら自我を形作っていく、人生において極めて重要なプロセスです。
私たちは、この「イヤイヤ期」を社会全体で肯定し、支援しなければならないと考えています。
日々子どもと向き合う父母、祖父母はもちろんのこと、保育所や子育て支援施設、福祉関係者といった専門家や支援者が、その重要性を社会的使命として自覚し、子どもたちのトライ&エラーを見守る環境を作ることが急務です。
4. 弥富から発信する、地域全体での発達保障
本企画「わくわく発達学」は、単なる学びの場ではありません。ワークショップを通じて、参加者の皆様から知恵や現場の声を出し合い、国や行政の指針だけでなく、私たち市民発の「提言書」の土台となるものをまとめていきたいと考えています。
「新しい風・やとみ」は、これまでも映画の上映など様々な活動を続けてきましたが、今回はオリジナルの提言を通じて、キーマンとなる方々に働きかけ、継続的な活動へと繋げていきます。
弥富という地域から、子どもたちの人権と健やかな発達を保障し、地域全体で子どもを育む社会の実現を目指して。共に考え、行動していきましょう。
## 1. 重要なキーワード
講演の核となる専門用語や概念です。
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初めの100ヶ月: 妊娠期から小学1年生までの期間。生涯の幸せ(ウェルビーイング)の土台となる重要な時期。
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愛着(アタッチメント): 特定の大人(養育者)との間の特別な情緒的結びつき。これが「安心安全を感じる力」の源となる。
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安心と挑戦の循環: 「気持ちを受け止められて安心する」ことで「新しいことに挑戦できる」という、こどもの成長に不可欠なサイクル。
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意見の表明権(こどもの権利): わがままやイヤイヤではなく、こどもが自らの意思や「嫌だ」という感情を伝え、尊重される権利。
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自己肯定感 / 自尊感情: 「私はいい子だ」と思える感覚。寄り添いと愛着形成によって育まれる。
## 2. 心に刺さる言葉(名言・金言)
こどもへの接し方や、育児の捉え方をハッとさせてくれる印象的なフレーズです。
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「『〜しなさい』と一方的に行わせるより、『拭いていい?』と気持ちを聞くということは、こどもを人として大切にするということ。」 (日常の些細なお世話も、こどもの権利と尊厳を守る行為であるという気づき)
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「気質は生まれ持ったもの。性格は環境で作られる。」 (親や周囲の大人の関わり方が、こどもの育ちに直結するという責任と希望)
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「大人のスピードではない、ゆったりとしたリズムは、情報処理できる世界と近い。」 (こどもにはこどものペースがあり、それを急かさないことの重要性)
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「何もないのに不思議と思うなんて、と気持ちを受けとめる。」 (大人には些細なことでも、こどもの「五感をフル動員した探究心」を面白がり、共感する姿勢)
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「やりたいことができる。して欲しくないことは『嫌』と言える。『〜して欲しい』と言える。これが安心安全の保証。」 (こどもの権利とウェルビーイングの究極のゴール)
## 3. 論点整理(講演のメッセージと構造)
講演が伝えたかった核心を、5つの論点にまとめました。
① 「初めの100ヶ月」は社会全体で守り育てるもの こどもは生後間もない頃から五感をフル活用し、周囲の環境から猛烈な勢いで学習しています。この時期の豊かな遊びと体験(泥んこ遊びなどの自然体験含む)は、免疫力向上だけでなく、想像力や社会性の基盤となります。だからこそ、家庭内だけでなく社会全体でこの時期を支える必要があります。
② 「愛着(アタッチメント)」があらゆる発達のスタート地点 乳児期に特定の大人から無条件に受け入れられ、「自分は守られている」と実感できること(愛着の形成)が、他者への基本的信頼感を生みます。これが不足すると、他者の言動を攻撃と捉えやすくなり、将来的な不登校や対人トラブル(いじめ等)の根本原因になり得ると指摘されています。
③ イヤイヤ期は「意見表明」の第一歩 1〜2歳児の「イヤイヤ」は単なる反抗ではなく、「自分でやってみたい」「これは嫌だ」という自己表現の始まりです。大人が「嫌だったね」「パズルがしたかったんだね」と気持ちを代弁し受け止めることで、こどもは「考える習慣」と「自分の気持ちを言葉にする力」を獲得します。
④ 「安心と挑戦の循環」がウェルビーイングを高める 「自分の気持ちを大切にしてもらえる」という安心があるからこそ、こどもは少し難しいこと(オムツからトイレへの移行など)に挑戦できます。この循環を繰り返すことで、「私はいい子だ」という自尊感情が育ち、やがて相手の気持ちにも気づける(協調性を持つ)人に成長します。
⑤ 「こどもの権利」は日常の対話の中にある こども基本法やこどもの権利条約は、遠い国や深刻な事件だけのものではありません。「おむつ替えていい?」「今はご飯食べたくないんだね」と、日々こどもの意思を確認し、一人の人間として尊重すること自体が「こどもの最善の利益」と「意見の表明権」を守る実践です。
