新崎盛暉 沖縄大学名誉教授 「沖縄から考える」① 2015.5.11
新崎盛暉教授の視座に基づく、日本社会への4つの提言
提言1:「普天間代替」の虚構を直視し、無条件返還の原点に立ち返れ
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背景: 政府は「普天間飛行場の危険性除去」を理由に辺野古への移設を進めていますが、そもそも普天間は沖縄戦の最中に住民の土地を強制接収して造られたものです。「返す代わりに新しい基地を寄こせ」という主張は歴史的経緯を無視しています。
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具体的アクション: 辺野古を「代替施設」と呼ぶごまかしをやめ、機能強化された「新基地建設」であることを認めるべきです。その上で、国際法や歴史的道義に基づき、普天間の「無条件返還」を対米交渉の出発点として再設定する必要があります。
提言2:強権的な「既成事実化」を即時停止し、民主主義に基づく対話を再開せよ
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背景: 選挙によって示された「辺野古新基地反対」という明確な民意(オール沖縄)を無視し、政府は対話を拒絶したまま、法的措置や力技で埋め立て工事を強行しています。これは地方自治と民主主義の破壊です。
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具体的アクション: 政府は結論ありきで理解を迫る態度を改め、まずは辺野古の建設作業を即時停止するべきです。その上で、沖縄県や専門家を交え、東アジアの安定と沖縄の負担軽減について、対等な立場での白紙からの協議を再開し、必要であれば住民投票で真の民意を問うべきです。
提言3:「沖縄問題」ではなく「日本全体の問題」として構造的差別を解消せよ
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背景: 国土面積のわずか0.6%の沖縄に、在日米軍基地の74%が集中している異常な状態は、戦後70年(当時)にわたり安全保障の負担を沖縄だけに押し付けてきた「構造的差別」の結果です。
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具体的アクション: 安保条約や日米同盟の恩恵を享受しているのは日本全体です。この問題を「沖縄の基地問題」として矮小化するのではなく、「本土が沖縄に負担を強要している問題」として捉え直し、全国の自治体や国民一人ひとりが自らの問題として負担の分散と軽減を議論しなければなりません。
提言4:本土のメディアと市民は、歴史的文脈を踏まえた当事者意識を持て
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背景: 基地問題の対立だけを切り取った表面的な報道や、過重な負担を強いておきながら「日本から出ていけ」と沖縄を突き放すような心ない言説(ヘイトスピーチなど)が、沖縄の人々を深く絶望させています。
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具体的アクション: メディアや国民は、単なる日々の政治的対立のニュースとして消費するのではなく、「沖縄戦から現在に至るまで、なぜこれほどの基地が存在し続けなければならないのか」という巨視的な歴史観を持つべきです。沖縄の民衆の声に真摯に耳を傾け、連帯の姿勢を示すことが不可欠です。
1. 重要なキーワード(抜き書き)
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構造的沖縄差別: 面積わずか0.6%の沖縄に、在日米軍基地の74%が集中しているという、沖縄戦から続く軍事的矛盾のしわ寄せと不平等な構造。
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辺野古新基地建設: 普天間飛行場の「移設(代替施設)」という名目で進められているが、実態は機能強化された全く新しい基地の建設であるという認識。
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オール沖縄 / 島ぐるみ: 保守・革新の枠や、政党のイデオロギーを超えて、「辺野古新基地建設反対」「構造的差別への反対」という一点で結集した県民の政治勢力・運動。
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ハルサー(畑をする人・農民)とユクサー(嘘つき): 選挙戦で使われた言葉。公約を翻して辺野古容認に転じた政治家(嘘つき)ではなく、沖縄の土に根ざした候補者(ハルサー)を選ぶという県民感情の象徴。
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平和の問題と民主主義の問題: 日米同盟(安全保障)という国の論理と、沖縄の民意(自治・自己決定権)を無視して進められる強権的な政治手法との激しい対立。
2. 刺さる言葉(名言・印象的なフレーズ)
「普天間を返すから代わりをよこせというのは、厚かましい主張だと思っています。」
「(普天間基地は)日本を攻撃するためにできた。終わったら返すのが当然ですね。(中略)なぜ返す代わりに代わりが必要なんだ。それがなぜ沖縄でなければならないんだ。」
「私たちから言わせれば、辺野古の新基地ができたら日本の軍事化は一挙に進むだろう。辺野古の新基地が阻止できれば安倍政権は崩壊するだろうと思っています。」
「唯一の解決策だ、結論を出してから理解を求めるったって、こんなやり方はありません。結論があって、結論に十分に理解を求めるなんて誰が理解しますか。」
「戦略的原則堅持、戦術的柔軟対応」(新崎教授の揮毫)
3. 論点整理(全体サマリー)
講演の文脈を、現在の沖縄が抱える根本的な問題として4つの論点に整理しました。
① 「オール沖縄」誕生の背景と民意の裏切り
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論点: かつて自民党などの保守層も含め「県外・国外移設」を求めていたが、政府の強い圧力(名護市長選や知事の埋め立て承認など)により、一部の政治家が公約を翻した。
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結果: この「民意の裏切り(ユクサー)」への強い怒りから、保守・革新の枠を超え、経済界なども巻き込んだ「辺野古新基地建設阻止」と「構造的差別反対」を掲げる「オール沖縄」勢力が誕生し、翁長知事を誕生させた。
② 普天間「移設」ではなく辺野古「新基地建設」であるという歴史的本質
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論点: 普天間基地はそもそも、沖縄戦時に住民の土地を奪って作られたものであり、戦争が終われば無条件で返還されるべきものである。
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実態: にもかかわらず、「危険性の除去」を理由に、1960年代に一度頓挫した米軍の基地建設計画を「代替施設」として持ち出し、結果として耐用年数の長い巨大な「新基地」を作ろうとしているのが現在の辺野古問題の本質である。
③ 民主主義の危機と強権的な政治手法
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論点: 日本政府(当時の安倍政権)は、沖縄の明確な民意(選挙結果)を無視し、対話の窓口を閉ざしたまま、法的措置や力技で辺野古の埋め立て工事(既成事実化)を強行している。
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問題提起: この手法は、安全保障を理由に地方の自治や自己決定権を踏みにじる「暴力政治」であり、日本の民主主義そのものの危機である。
④ 沖縄の「独立論」と本土へのメッセージ
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論点: 沖縄県民の中で「独立論」が語られるのは、具体的な政治目標というよりも、過重な基地負担を強いておきながら「日本から出ていけ」と罵声を浴びせる本土社会に対する深い絶望と「それなら出ていこうか」という感情的な雰囲気の表れである。
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本土への提言: 独立を語る前に、現場で新基地建設を阻止するために体を張っている人々に目を向けるべき。そして、本土のメディアや国民は、単なる基地問題の対立としてではなく、「沖縄戦から続く構造的差別」という巨視的な歴史観を持って、沖縄の民衆の声に耳を傾けるべきである。