高橋哲哉 東京大学大学院教授 「沖縄から考える」⑨ 2015.12.2
1. キーワード
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戦後責任 / 植民地主義的視線:本土が沖縄に対して無意識に向けている差別的な構造。
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県外移設(本土引き取り):沖縄に集中する米軍基地を、安保を支持する本土自身が引き受けるべきという主張。
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民主主義の矛盾:国民の圧倒的多数(8割〜9割)が日米安保を支持しながら、その負担(基地)を面積0.6%の沖縄に押し付けている現状。
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隔離政策:歴史的に日本政府が米軍撤退を引き止めたり、本土から沖縄へ基地を移転させたりしてきた意図的な政策。
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受益者(本土)と当事者意識:基地のない安全な環境という「利益」を享受しながら、沖縄にリスクを押し付けている本土の無自覚さ。
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考える葦(パスカル):同調圧力や困難な現実を前にしても、思考を停止せず、解決策を模索し続ける人間の尊厳。
2. 動画の時間と同期した論点整理
【0:00 〜 15:43】論点1:安保支持の高まりと「民主主義の矛盾」
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哲学・戦後責任からのアプローチ (2:22〜)
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沖縄の基地問題は、単なる反戦平和の問題だけでなく、明治以来の日本の「植民地主義」が重なり合った問題である。
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県外(本土)移設の提唱 (5:01〜)
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安保体制下において、米軍基地は本来「本土」にあるべきであるという原理的な提起。
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データが示す本土の矛盾 (7:13〜)
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世論調査で日米同盟(安保体制)の支持率が80〜90%近くに達しているにもかかわらず、その負担は全国土の0.6%、人口1%の沖縄に集中(約74%)している。
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安保を支持している圧倒的多数の「本土の有権者」が基地を引き受けないのは、民主主義の原理に悖る異常な不平等である。
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【15:50 〜 28:42】論点2:日本政府による「基地の沖縄隔離政策」の歴史
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民意なき安保の原点 (16:08〜)
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安保条約締結時(1951年)も改定時(1960年)も、沖縄は米軍施政下にあり国会に代表がいなかった。沖縄の民意は反映されていない。
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歴史的な隔離と引き止め工作 (18:26〜)
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本土から沖縄への移転: 1950年代、本土での反基地闘争を恐れ、海兵隊を沖縄へ移駐させた。
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撤退の引き止め: 1970年代のベトナム戦争後や1995年の少女暴行事件後、米軍が撤退を検討した際、日本政府がそれを引き止めた(モンデール元中日大使の証言など)。
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本土移設の拒否: 本土への訓練移転(岩国や佐賀空港のオスプレイなど)は地元の反対を理由に撤回されるが、沖縄の激しい反対は無視され強行される。
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【28:49 〜 35:35】論点3:安保反対派のジレンマと「当事者意識」
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「基地はどこにもいらない」という論理の罠 (30:41〜)
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革新勢力の「沖縄にも本土にも基地はいらない」という主張は、結果的に沖縄側の「県外移設」の要求を封じ込める論理として機能してしまっている。
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本土の「受益者」としての責任 (32:46〜)
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安保解消を目指すにしても、まずは本土が基地を引き取らなければならない。
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そうすることで初めて、本土の有権者は「安保を支持することに伴う負担とリスク」に直面し、当事者意識を持つことができる。今のままでは、本土は沖縄を犠牲にして利益を得る「受益者」に過ぎない。
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【35:41 〜 41:50】論点4:「沖縄差別」の否定から具体的な行動へ
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沖縄に根付く県外移設論 (35:41〜)
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太田知事の「応分の負担」から始まり、現在の翁長知事、さらには市民運動や言論のレベルでも、「県外移設」は沖縄に深く根付いている。しかし、本土のメディアはこれをタブー視して報じない。
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思考停止を越えて (40:17〜)
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本土で「沖縄差別はよくない」と議論しても、「では自分の地元で引き取るか」となると反対論が出て進まない。
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しかし、もはや沖縄の要求を無視することは許されない。まずは責任が本土にあることを自覚し、喧々諤々の議論を始めるべきである。
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【42:20 〜 1:32:06】質疑応答:本土の課題と今後の展望
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市民運動の萌芽 (43:09〜):大阪や福岡などで「本土引き取り」を具体的に模索する市民の動きが出てきていることは画期的。
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精神論への警鐘 (53:29〜):「全国知事会でやましさを表明すべき」という意見に対し、単なる謝罪や精神論で問題を収め、良心の呵責を解消して終わらせてはいけないと指摘。政治的選択の責任を取る行動が必要。
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「沖縄対本土」の対立 (1:20:29〜):本土が構造的差別をやめない限り、対立は深まる。本土側が「どこで基地を引き取るか」と血みどろの議論を始めて初めて、沖縄との「喧嘩ではない関係」が築ける。
3. 刺さる言葉(名言・金言)
11:58 「安保支持はもう8割を超えたどころかもう9割に近づいていて…安保解消すべきだ、これは…2%にまで落ちているというこの現実ですね。」
13:47 「安保支持が圧倒的多数のこの本土に多くの基地があるのではなく、極めて小さな…全国の1%前後に過ぎない沖縄に約4分の3の基地がこの集中させられている。これはどう考えても矛盾であって、異常な不平等ということになる」
31:13 「沖縄にも基地はいらないけれども本土にもいらないんだ、基地は日本のどこにもいらないんだっていう論理がですね、県外移設を封じる、そういう論理になってきた」
33:21 「本土で生まれた子どもと沖縄で生まれた子ども、違うんですね。生まれた時から基地に囲まれてるっていうのと、ほとんどが基地のないところで生まれ育つ。明らかにここで本土の側は一種の『受益者』になってるわけですよね」
34:20 「(本土の人間は)安保条約を支持するということの当事者意識いうものなしにですね…(沖縄に)甘えていると言われても仕方がない」
54:44 「8割、9割の安保支持率があるということは、そういう政治的な選択を日本の有権者がしているということですから、その政治的選択の結果としての責任はやっぱり取らなければいけない」
1:31:12 「人間は1本の弱い葦に過ぎない。しかしそれは『考える葦』である。やっぱり考えることをやめてしまったら、人間足りえないと思っています」