市民の皆様へ:私たちの弥富市を守るための「4つの緊急提言」
〜第3次総合計画に向けて、本気のまちづくりを始めませんか?〜
私たちの住む弥富市は今、大きな岐路に立たされています。 道路や橋、公共施設など「インフラの老朽化」が一斉に進む一方で、福祉などの社会保障費は増え続けており、市の財政は見た目以上にカツカツの「赤信号」状態です。
しかし現在の市政では、市民が本当に不安に思っている「津波・高潮などの防災対策」や「日々の生活インフラの整備」よりも、駅周辺の整備など、莫大な借金を伴う「ハコモノ事業」が優先されてしまっています。
これから向こう10年の弥富市のルールブックとなる「第3次総合計画」が作られます。私たちの大切な税金を本当に必要な場所へ使い、子どもたちにツケを回さないために、今こそ以下の「4つの改革」を市に求めていきましょう!
提言1:命と暮らしを最優先に!「ハコモノ」から「防災・生活防衛」へ
見栄えの良い大型開発や、一部の人しか恩恵を受けない事業は一旦ストップしましょう。
海抜ゼロメートル地帯という弥富市の特性を踏まえ、津波避難施設の整備、保育所の待機解消、危険な道路の修繕など、市民の命と生活を守るための投資を「最優先事項」として計画に位置付けるべきです。
提言2:市民が主役のまちづくり!「不都合な真実」の公開と真の参加
これまでの「市が作った案を一部の委員が承認するだけ」の形骸化した市民参加はやめにしましょう。
将来どれくらい施設の修繕費が足りなくなるのか、借金がいくらあるのかなど、市にとって「不都合な真実(リアルな財政データ)」をすべて市民に公開すること。その上で、市民同士が話し合い、ゼロから町のあり方を決める仕組みが必要です。
提言3:次世代にツケを回さない!「借金上限」のルール化
「国が推奨しているから」「補助金が出るから」と、身の丈に合わない事業を進めるのは危険です。
新しい事業を始める時は、「返す借金よりも、新たに借りる金額を少なくする(借金上限ルール)」ことを徹底し、確実な財政シミュレーションと、第三者による厳しい「費用対効果のチェック」を義務付けるべきです。
提言4:ムダをなくして財源を生む!「効果のない事業」はスパッとやめる
現状、市役所内の自己評価では「廃止すべき事業はゼロ」という甘い結果が出ています。
これでは新しいことに挑戦するお金は生まれません。 すべての事業に「最長5年」などの期限を設け、期限が来たら原則終了(サンセット方式)すること。続ける場合は「本当に今も効果があるのか」を厳しく審査し、ムダを削ぎ落とす「引き算の経営」を徹底しましょう。
弥富市の未来を決めるのは、私たち市民です。 「お任せ」の行政から、「市民がチェックし、提案する」まちづくりへ。 次期総合計画が、一部の人のための作文ではなく、私たちの生活を守る「真の羅針盤」となるよう、共に声を上げていきましょう。
弥富市の次期総合計画策定と行財政改革に関する総合分析報告書 サマリー
本報告書は、深刻な財政危機とガバナンス不全に直面する弥富市が、令和11年度(2029年度)以降の市政方針となる「第3次弥富市総合計画」を策定するにあたり、これまでの行政運営のあり方を根本から見直し、持続可能な自治体経営へと転換するための分析と提言をまとめたものです。
1. 現状の危機:財政の硬直化と市民ニーズの乖離
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見えない財政危機: インフラの老朽化(終活)と社会保障費の増大により、市の財政弾力性を示す経常収支比率は94.4%に悪化。将来負担比率は愛知県内ワースト1位となるなど、独自の施策を打つ余裕(裁量的な財源)が失われている。
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ハコモノ優先の弊害: 市民の切実な願いは「生存に直結する防災(津波・高潮対策)」や「生活インフラの維持」であるにもかかわらず、行政は市民の声を軽視し、巨額の投資を伴う「ハコモノ先行(駅周辺整備など)」を強行しており、市民ニーズとの決定的な乖離が起きている。
2. 計画策定方針のパラダイムシフト
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「足し算の経営」からの脱却: やりたい事業や国の模倣を羅列した過去のウィッシュリスト的な計画から脱却し、地域固有の課題に基づいた真の計画へと転換する。
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アリバイ作りの住民参加の廃止: 形式的な審議会をやめ、将来のインフラ更新費用などの「不都合な真実」を市民に完全公開(オープンデータ化)する。その上で、市民自身が優先順位を決断し提案する「真の熟議プラットフォーム」を構築する。
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地方政府としての「責任」の確立: 「国や県が推奨するから」という下請け意識を捨て、独自の裁量と責任のもと、客観的データに基づいて市民に事業の妥当性を説明する力強い団体自治を確立する。
3. 財政と連動したシステマチックな統制
形骸化した中期財政計画や、予算上限を無視した事業費の膨張を防ぐため、総合計画と財政シミュレーションを一体化させる厳格なルールを導入する。
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借金上限(キャップ)制度: 新規市債発行額を公債費の元本返済額以下に抑え、確実に借金を減らす仕組みを制度化する。
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第三者によるB/C(費用対効果)分析の義務化: 独立機関による厳密な評価を実施し、B/Cが1.0未満の事業は原則凍結・撤回する。
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EBPM(証拠に基づく政策立案)の統合: 客観的データに基づく事業評価を翌年度の予算配分にダイレクトに反映(低評価事業は予算削減・廃止)させる。
4. 「引き算の経営」の強力な推進
現状の行政内部の事業評価は「廃止・縮小がゼロ」という異常な結果となっており、「お手盛り評価」が蔓延している。新規事業の財源を生み出すため、以下を断行する。
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サンセット方式(期限付き立法)の厳格適用: 全事業に最長5年等の期限を設け、期限到来時に事業を自動終了させる。継続する場合は、ゼロベースで費用対効果を再立証させる。
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内部評価の禁止: 身内による甘い評価を禁じ、予算要求前に独立した第三者機関が事業の存廃を判定する体制を確立する。
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スクラップ・アンド・ビルドの明文化: あらかじめ廃止(スクラップ)額のノルマを設定し、その範囲内でしか新規事業(ビルド)を認めないルールを徹底する。
5. 首長に求められる覚悟(終章)
弥富市の危機は、開発優先の過去から抜け出せない行政と市民との「ガバナンスと民主主義の危機」である。第3次総合計画を真の羅針盤とするためには、首長が過去の惰性を断ち切り、以下の3点を市政刷新の絶対条件として組み込む強い覚悟が求められる。
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市民主導の計画策定への転換(情報の全面開示と真の住民自治)
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財政・予算との完全連動システムの構築(借金上限と客観的分析)
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サンセット方式とゼロベース評価の断行(引き算の経営の定着)
弥富市における次期総合計画策定と行財政改革の抜本的見直しに関する総合分析報告書
1. 序論:弥富市の行財政運営を取り巻く現状と構造的課題の顕在化
地方自治体が直面する環境は、人口減少、少子高齢化の加速、デジタル化の進展、そして激甚化する自然災害への対応など、かつてないほど複雑化かつ深刻化している。
愛知県弥富市においても、高度経済成長期から平成の大合併期にかけて整備された公共インフラが一斉に老朽化し、大規模な更新時期を迎える「インフラの終活」という過酷な現実に直面している。同時に、社会保障関係費(扶助費等)の自然増が市の財政を強く圧迫しており、これまでの延長線上にある行政運営では、市民の生存基盤に関わる真に必要なサービスを維持することが困難なフェーズに突入している。
本市の財政状況を精査すると、表面的な黒字の背後に極めて深刻な財政の硬直化と将来リスクが隠蔽されていることが判明する。
地方自治体の財政の弾力性を示す「経常収支比率」は、令和2年度の90.2%から令和6年度には94.4%へと急激に悪化している。
この数値は、市が独自に企画立案し実行できる裁量的な財源が極端に失われ、新たな危機や行政需要に対応する余裕を喪失していることを如実に示している。
さらに、次世代への負担の度合いを示す「将来負担比率」は95.4%へと跳ね上がり、愛知県内の市においてワースト1位という極めて危険な水準に達している。
また、毎年の借金返済が財政をどれだけ圧迫しているかを示す「実質公債費比率」も5.4%と県内ワースト4位に沈んでおり、実質単年度収支においても数千万円規模の赤字を基金の取り崩しで補填している実態がある。
このような「限りなく赤に近い黄色信号」とも言える危機的状況下において、本市は令和11年度(2029年度)以降の市政の最高指針となる「第3次弥富市総合計画」の策定作業を本格化させている。
本報告書は、過去に策定された第1次および第2次総合計画の評価と反省を踏まえ、これから策定される第3次総合計画において不可欠となる基本的な策定スタンスの転換、事業費用・財政面でのシステマチックな連動メカニズムの構築、そして限られた財源を有効活用するための「ゼロベースでの見直し」と「サンセット方式」の強力な導入について、客観的データと公共政策の観点から詳細な分析と提言を行うものである。
2. 第3次総合計画の策定方針とこれまでの計画との違いについて
本自治体における最上位計画である総合計画は、まちづくりの羅針盤として極めて重要な役割を担っている。
これから策定される第3次総合計画は、過去に策定された第1次、そして第2次総合計画と比べて、策定のプロセス、計画が目指す方向性、重点の置き方において抜本的なパラダイムシフトが求められる。
2.1 過去の総合計画に見る「足し算の経営」とアイデンティティの喪失の総括
新たに策定される第3次総合計画が過去の計画と明確な違いを持たせるためには、過去の計画が内包していた構造的な欠陥を直視し、それを解体することから始めなければならない。
これまでの総合計画の最大の課題は、各所管部署が「やりたい事業」や「国や県が推奨する事業」を無批判に羅列するだけの「足し算の計画(ウィッシュリスト)」に陥っていた点にある。
第2次総合計画策定時においても、市民アンケートやワークショップが行われたものの、そこで示された市民の切実な声と、最終的に計画としてまとめられた施策の間には埋めがたい決定的な乖離(ミスマッチ)が存在した。
市民アンケートの自由記述等を分析すると、市民が市に求めている最優先事項は、海抜ゼロメートル地帯という地理的特性を踏まえた「津波・高潮対策や避難所の整備」といった生存の危機に直結する防災対策や、希望する保育所に入所できない現状の改善、劣悪な道路環境の整備といった「生活防衛・インフラの維持」であった。
特に、隣接する飛島村が津波対策として強固な避難施設を複数整備している状況と比較し、本市の防災インフラに対する市民の不安と不満は極めて高い水準にある。
また、周辺部において農地や金魚池が埋め立てられ、外国人ヤード(資材置き場)化していることへの治安・景観上の懸念など、法の支配の及ばないエリアの拡大に対する恐怖も語られている。
しかしながら、実際の行政運営においては、こうした市民の「生存の不安」に応える投資よりも、JR・名鉄弥富駅自由通路および橋上駅舎化事業に代表されるような、巨額の投資的経費を伴う「ハコモノ先行・開発優先」のハード整備路線が強力に推進されてきた。
市民からは「エレベーターがあれば十分」「その金で水道代を下げろ」「いらないところに金をかけるな」といった強烈な拒否感や事業の抜本的見直しを求める声が上がっているにもかかわらず、行政は「まちの顔」「活性化の核」といった抽象的なスローガンを掲げ、都市計画事業説明会においても事業費総額の明言を避けながら、なし崩し的に計画の手続きを強行している。
過去の計画は、コンサルタントへの丸投げや国の方針の模倣(コピペ)によって体裁が整えられ、地域固有の歴史的背景や地理的特性、産業構造を深く分析した独自のビジョン(アイデンティティ)の構築に失敗していると言わざるを得ない。
2.2 「アリバイ作りの住民参加」の廃止と真の熟議プラットフォームの構築
第3次総合計画の策定プロセスにおいて最も転換すべきアプローチは、「市民参画」の再定義である。
これまでの計画策定プロセスは、行政内部や外部コンサルタントが作成した素案に対し、限られた少数の公募委員や学識経験者で構成される審議会で形式的な承認を得るという、いわゆる「アリバイ作りの住民参加」に終始していた。
実際、第2次総合計画や行政評価においても、委員の選定基準が「総合的判断」という名のブラックボックスであり、行政にとって都合の良い人物が選ばれやすい構造が指摘されている。
このような形骸化したプロセスでは、多様化する市民ニーズを的確に捉え、痛みを伴う政策決定に対する市民の合意を形成することは不可能である。
新たなアプローチとして、計画の初期段階から行政が保有するあらゆる情報を市民に完全公開(オープンデータ化)することが不可欠である。
公開すべき情報には、耳当たりの良い将来ビジョンだけでなく、数百億円規模に上る将来の公共施設更新費用の推計や、社会保障費の増大予測、硬直化する経常収支比率といった「不都合な真実」が含まれなければならない。
これらの厳しい財政的制約や歴史的教訓を市民と共有した上で、市民同士が学習し、政策の優先順位を自ら決断できる「討論型世論調査」や「市民による総合計画策定実行委員会」のような独立した熟議のプラットフォームを制度として構築すべきである。
行政が用意した選択肢から選ばせるのではなく、市民が主体となってゼロから町のあり方を問い直し、行政に対して政策を強力に提案・牽引する仕組みこそが、地方自治の真髄である「住民自治」を体現する策定スタンスとなる。
2.3 自立した地方政府としての「3つの責任」の確立と新たな視点
第3次総合計画が目指す方向性において、行政組織全体に定着させるべき新たな視点は、「責任(Responsibility / Accountability / Liability)」概念の再構築である。
現在の弥富市政における深刻なガバナンス不全は、首長および市当局が「一度決定した計画を力ずくで遂行すること(レスポンシビリティ)」にのみ過剰に固執し、その理由と妥当性を客観的データに基づいて示し、市民の納得を得る努力(アカウンタビリティ)を意図的に放棄していることに起因する。
結果として、住民監査請求や違法な公金支出を問う住民訴訟(ライアビリティの追及)へと発展している事態は、まさに市政における責任概念の破綻を如実に物語っている。
「国が推奨しているから」「補助金が出るから」という事大主義的で受動的な態度(国や事業者の下請け化)から完全に脱却し、弥富市独自の裁量と責任において、真に必要な事業のみを市民目線で峻別する「力強い団体自治」の精神を計画の根幹に据えなければならない。
主権者たる市民に対し、税金の使途の妥当性を証明し、違法な公金支出や無謀な投資による損害を与えないこと(ライアビリティ)を確約する指針として、第3次総合計画は機能すべきである。
具体的には、PDCAサイクルにとどまらず、状況の激変に即応できるOODAループ(観察・情勢判断・意思決定・行動)の概念を取り入れ、タイムリーな計画変更を可能とする柔軟性も必要となる。
3. 事業費用・財政面でのシステマチックな取り組みについて
どれほど立派な計画を立てたとしても、それを実行するための事業費用や財源の裏付けがなければ、計画は「絵に描いた餅」に終わる。
特にこれからの時代は、右肩上がりの税収増を見込むことは極めて困難である。
第3次総合計画を実効性のあるものにするためには、財政計画との連動をこれまで以上に緻密に行うシステムを構築する必要がある。
3.1 財政計画との連動の欠如と中期財政計画の形骸化の分析
現状の弥富市の行財政運営において最も欠落しているのは、総合計画のビジョンと中長期的な財政制約とを紐付けるシステマチックな管理機構である。
本市は、計画的かつ健全な財政運営を持続可能なものとする目的で「弥富市中期財政計画(令和8年度から令和12年度)」などの見通しを策定している。
しかし、この計画内容を詳細に検証すると、実効性と危機意識の著しい欠如が明白となる。
中期財政計画の現状認識は、国の景気回復トレンドを引用しつつ「穏やかに持ち直している」とするなど極めて楽観的である一方で、急増する義務的経費(人件費や福祉関係の扶助費など)に対する抜本的な抑制策や、持続可能な行財政運営を実現するための具体的な数値目標、ロードマップが一切示されていない。
すでに一般会計歳出の約47.3%を義務的経費が占める状況にあるにもかかわらず、「的確に対応する必要がある」といった抽象的な表現に終始している。
現状の中期財政計画は、総合計画に対する「歯止め」としての役割を果たしておらず、総合計画の目標達成を財政面から統制するという本来の補完関係が完全に破綻している。
さらに、予算の上限(キャップ)を設けた計画運用が行われていないため、財政の限界を無視した事業の膨張が止められない構造となっている。
その典型例が、前述のJR・名鉄弥富駅周辺整備事業である。
当初の概算事業費から労務費の上昇等を理由に8億3,000万円も増額し、総額約37億8,180万円(市負担分約37億1,480万円)にまで膨れ上がっている。
返済計画(資金繰り)の明確な裏付けがないまま、次世代に莫大な借金(市債)と維持管理費のツケを回す無責任なハコモノ投資が、システマチックな財政統制の不在によって引き起こされている。
3.2 総合計画と財政シミュレーションを一体化させる厳格なシステムの構築
第3次総合計画を真に実効性のあるものとし、計画と財政を一体的に管理するためには、計画策定の段階から向こう10年間の緻密な財政収支見通し(財源内訳、税収予測、市債発行可能額など)の紐付けを義務化するシステムを構築しなければならない。
名古屋市などの先進自治体の事例に倣い、「10年間で財政的に実行可能か」という視点を計画の採用要件とし、明確な財政的裏付けのない事業は、いかに理念が立派であっても計画に掲載しないという厳格なルールが必要である。
具体的に構築すべきシステムは以下の3点に集約される。
① 「借金上限(キャップ)制度」の導入
「新規市債発行額が公債費の元本返済額を下回ること」を事業採択の絶対条件として条例等で制度化し、市債残高(現在約231億円から242億円規模)を確実に減少させるメカニズムを総合計画の実行プロセスに組み込む。
「世代間負担の公平性」を都合よく解釈し、返済額以上の借金を重ねる自転車操業からの脱却を図り、将来の利払い負担が市民サービスを圧迫するリスクを構造的に排除する。
② 第三者機関を交えた客観的な「費用対効果分析(B/C)」の義務化
今後、数十億円規模のインフラ投資や新規事業を実施する際には、行政内部の主観的なアンケートや誘導的な仮想市場評価法(CVM)に依存するのではなく、独立した専門機関による厳密なB/C算定を事前に行うシステムを構築する。
算定の結果、B/Cが1.0未満の事業は原則として凍結・撤回し、安価な代替案(地平駅舎化や踏切改良など)との比較検討結果を市民に全面公開した上で予算編成に落とし込むプロセスを法制化すべきである。
③ 「証拠に基づく政策立案(EBPM)」の予算編成への統合
新公共管理(NPM)の理念に基づき、行政活動を細分化し、各事業の必要性や効率性を客観的データに基づいて毎年度検証する。
この事務事業評価のシステムを企画政策部門と財政部門が一体となって運用し、評価結果が翌年度の予算配分にダイレクトに反映(評価が低い事業は強制的に予算を削減・廃止)される、計画・財政一体型の情報システム基盤を整備することが求められる。
4. ゼロベースでの見直しとサンセット方式の強力な導入について
財政的な裏付けをしっかりと持ちながら計画を進めていくためには、限られた財源の中で新たな施策を展開するために、必然的に既存の事業を見直さなければならない。
第1次総合計画の策定から20年近く、第2次からでも10年が経過し、社会情勢も住民のニーズも激変している。
第3次総合計画の策定を機に、一旦すべての事業をチャラにする「ゼロベース」での見直しと、一定期間で事業を終了させる「サンセット方式」を基本方針として導入すべきである。
4.1 第5次行政改革大綱の理念と事務事業評価の致命的な形骸化
弥富市は令和6年3月に「第5次行政改革大綱」を策定し、その中で『全ての職員が全ての事業を見つめ直す』というスローガンを掲げ、職員自らが担当する事業の目的を再確認し、費用対効果の面から総点検を行うことを定めている。
「選択と集中」や「スクラップ&ビルド(廃止と構築)」による行政のスリム化を図り、行政改革によって年額1億円の効果額を創出するという高い目標を設定している。
過去の第4次行政改革大綱においては、6年間で約11.1億円の効果目標値に対し、実績値は約3億3,500万円に留まっており、その不足分を補うための野心的な目標である。
しかしながら、市が実際に実施している「事務事業評価」および「施策評価」の実態をデータで分析すると、この行政改革大綱の理念が現場レベルで完全に形骸化し、組織内部における自浄作用が全く機能していないという絶望的な事実が明らかになる。
以下は、令和6年度に実施された主要施策評価および事務事業評価(令和5年度実施事業)の結果をまとめたものである。
| 評価区分(令和6年度 施策・事業評価) | 件数 | 割合 | 評価の信頼性に対する分析と実態 |
|---|---|---|---|
| 主要施策評価:達成度80%以上 | 全187施策中多数 | 88.3% |
外部監査を経ない内部職員による過大な自己評価(お手盛り)の可能性が極めて高い。 |
| 事務事業評価:現状維持 | 110事業 | 80.9% |
既存事業の抜本的見直し(ゼロベースでの棚卸し)が現場レベルで一切行われていない証左。 |
| 事務事業評価:改善 | 24事業 | 17.7% |
一部の分野(健康・子育て・福祉等)に偏っており、全庁的な抜本的見直しとは言い難い。 |
| 事務事業評価:終期設定(完了) | 2事業 | 1.5% |
中学校の長寿命化改良・統合改修事業など、単に物理的な工事が完了したことによる自然終了に過ぎない。 |
| 事務事業評価:縮小 | 0事業 | 0.0% |
サンクコスト(埋没費用)の認識欠如。効果が低い事業の予算を削る意思決定が不在。 |
| 事務事業評価:廃止・休止 | 0事業 | 0.0% |
時代に合わない事業や目的を達した事業から撤退する戦略(スクラップ)が全く機能していない。 |
上表が示す通り、令和5年度に実施された136の事務事業に対する評価において、「縮小」または「廃止・休止」という厳しい判定を下された事業は、ただの1件も存在しなかった(0%)。
さらに上位概念である施策評価においても、全187の主要施策のうち88.3%が「達成度80%以上」と評価されている。
民間企業や経済学の視点から見れば、変化の激しい現代において、過去に立案された事業のほぼすべてが成功裏に進行し、廃止すべき無駄な事業が一つも存在しないという評価結果は、客観的に見て非現実的であり、評価システム自体が破綻していることを証明している。
これは、外部の厳しい目による検証を排除し、身内である市役所内部の職員が「自己保身」や「前例踏襲」、あるいは「担当事業の予算を失うことへの抵抗」から過大評価を下す「お手盛り」の事後評価が蔓延している結果である。
4.2 「ゼロベース評価」と「サンセット方式」の強力な導入メカニズム
新しい総合計画を策定するということは、今ある事業をただ「継ぎ足す」ことではない。
第3次総合計画の策定を機に、一旦すべての事業をチャラにする「ゼロベース」の視点と、一定期間で事業を強制終了させる「サンセット方式(時のアセスメント)」を強力に制度化しなければ、新規事業のための財源を生み出すことは不可能である。
弥富市においても、様々な補助金や助成事業に関して「5年見直しルール」という原則が存在している形跡はあるものの、実際には感情論や既得権益化した関係団体の反発(前例踏襲主義)を前に、行政側が摩擦を恐れて惰性で事業を継続させているのが実態である。
目的を達成した補助金や時代遅れとなった施策を漫然と続けることは、経済的価値を生まない「死重損失(Deadweight Loss)」を増大させ、本来の目的外で不当に恩恵を受ける「フリーライダー(ただ乗り)」を温存することに他ならない。
第3次総合計画の実効性を担保し、ゼロベースでの見直しを徹底するためには、以下のメカニズムを基本方針としてシステマチックに導入すべきである。
① 全事務事業に対する「サンセット条項(期限付き立法)」の厳格な適用
すべての新規および既存事業に対し、原則として「最長5年間」などの厳格な期限(次元)を設定する。
期限到来時には、自動的に事業の効力が消滅する(サンセット)ことを大前提とし、継続を希望する場合は、当該事業を完全にゼロベースに戻した上で、その事業が現在もなお地域課題の解決に不可欠である理由と、過去5年間の費用対効果(EBPM)を客観的データで立証しなければならない仕組みを導入する。
② 内部評価の禁止と「検査独立」の確立
「縮小・廃止ゼロ」という異常な評価結果を生み出す最大の要因である「身内による自己点検(お手盛り評価)」を即時禁止する。
事業の所管部署とは完全に独立した第三者機関(外部の有識者、公認会計士、市民代表からなる独立行政評価委員会など)が、予算要求前の段階で事業の存廃を厳格に判定する「検査独立」の体制を確立する。
③ 「引き算の経営」へのパラダイムシフトの明文化
「あれもこれもやる」という足し算の行政から、「効果のないものはやめる」という「引き算の経営」へとマインドセットを根本から転換する。スクラップ・アンド・ビルドにおける「スクラップ(廃止)」の金額をあらかじめノルマとして設定し、その廃止によって生み出された財源の範囲内でしか「ビルド(新規事業)」を認めないという厳格な財政規律を、総合計画の運用ルールとして明文化する。
5. 終章:市長(行政トップ)に求められる覚悟と持続可能な自治体経営への転換
弥富市が直面する危機は、単なる一過性の財源不足ではない。
「開発優先」という過去の成功体験から抜け出せず、客観的データに基づいた撤退戦略を描けない行政組織の硬直化と、市民の切実な生存の不安(防災・福祉・生活インフラ)と行政の方向性が決定的に乖離している「ガバナンスと民主主義の危機」である。
本報告書の分析が示す通り、これまでのような「財政的裏付けのない総花的なビジョン」「都合の良いデータのみを用いたハード事業の推進」「形骸化した事務事業評価による既存事業の温存」という手法は、完全に限界を迎えている。
第3次総合計画の策定にあたっては、市長をはじめとする行政トップが、過去の延長線上にある惰性を断ち切る強い覚悟を持ち、以下の3点を市政刷新の絶対条件として組み込むことが求められる。
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市民主導の計画策定への転換: 行政が用意した案を追認するだけのアリバイ作りを解体し、「不都合な真実(厳しい財政難のデータ)」を全面開示した上で、市民による熟議(実行委員会方式等)を通じて町のあり方を決定する「真の住民自治」を確立すること。
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財政・予算との完全連動システムの構築: 借金上限(キャップ)の設定と第三者による厳格なB/C分析を義務化し、向こう10年間の緻密な財政シミュレーションの裏付けがない事業は総合計画から徹底して排除すること。
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サンセット方式とゼロベース評価の断行: 「お手盛りの自己評価」を禁じ、時のアセスメント(サンセット条項)をすべての事業に適用することで、不必要な事業から撤退する「引き算の経営」を制度として定着させること。
第3次総合計画を単なる行政の「能書き」や「作文」で終わらせてはならない。
首長は、市民の「問う力」を行政運営のエンジンとして積極的に活用し、限られた財源を市民の命と生活を守る分野へ集中的に投資する、持続可能な地域経営の真の羅針盤へと昇華させる歴史的使命を負っている。