議会の監視・政策提案機能を高めることと、市役所内部の膨大な答弁調整コストを削減することは、決して矛盾しません。
提案する『双方向型対話モデル』は、「文章による答弁書」を廃止し、「既存の図表やデータ」をベースに委員会全体で議論を深めるという、地方自治法の趣旨に立ち返った極めて合理的なアプローチです。
「窓口での個別対応(密室化)」や「不毛な台本の読み合い」を無くし、公開の場でスマートかつ機動的な意思決定を行うための具体策を、ステップバイステップでご紹介します。
弥富市議会 常任委員会の機能強化と新しい所管事務調査ガイド
~委員間討議と客観的資料要求を基軸とした双方向型対話モデル~
地方分権の進展に伴い、地方議会には「厳格な監視機能」と「高度な政策立案機能」の両立が求められています。弥富市議会では、令和7(2025)年4月からの所管事務調査を見据え、常任委員会の本来の機能を最大限に発揮するための新たな運用モデル(双方向型対話モデル)を導入します。
1. なぜ今、運用の見直しが必要なのか?
かつての委員会は、その場で生じた疑問に対して即座に議論を深める機動的な場でした。しかし、新型コロナウイルス感染症への対応を契機とした「事前通告制」の定着により、以下の構造的な課題(機能不全)が生じています。
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執行部の甚大な事務負担(答弁至上主義の弊害) 事前通告に基づく「答弁書」の作成・決裁プロセスが、行政業務を圧迫し、本来の事業推進の妨げになっている。
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「窓口質問」の常態化(議論の密室化) 委員会での柔軟な質問が制限された結果、議員が個別に窓口で問いただすケースが増加。議論が議事録に残らず、議会全体の共有財産にならない。
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委員会の機能不全(個人の活動への矮小化) 個人の興味や偏った主張に基づく質問が精査されず投げ込まれ、合議体(8人の委員)としての組織的な機能が低下している。
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コミュニケーションの儀式化(対話の断絶) 台本(通告書と答弁書)の読み合いに終始し、ファクトやデータに基づく双方向の建設的な議論が消失している。
2. 新旧モデルの比較
過度な事務負担をなくし、実質的な議論を復活させるため、委員会運営を以下のように転換します。
3. 実践!新しい委員会の4つの基本ルール
新モデルを機能させるための具体的な運用ルールです。議会・執行部双方がこのルールを前提に会議に臨みます。
ルール1:テーマは「委員間討議」で合意形成する
議員個人のバラバラな要求ではなく、原則として「議案配布日」までに委員間討議を実施します。8人の委員全員で議論し、極端な意見を自浄・整理したうえで、委員会としての総意(純化された要求)のみを執行部に求めます。
ルール2:「答弁書」は廃止し「客観的資料」のみ要求する
市側への文章による答弁書の作成要求は一切行いません。事業の進捗が一目でわかる図面、工程表、一覧表、数値データなどの「客観的な行政資料」のみを提出させます(地方自治法第100条第12項に基づく権限行使)。
ルール3:即答できない詳細データは「後日提出」でOK
提出されたデータをもとに、事前通告なしの適宜質問を行います。その際、市側が手元に詳細データを持たず即答できない場合は、「後日改めて提出する」という対応を公式な正規ルールとして完全に認めます。無理な答弁や、即答できないことへの追及は厳に慎みます。
ルール4:突発的な事象は「通告なし所管質問」で扱う
事件・事故や行政の不祥事など、突発的な懸念事項が生じた場合は、個別に担当課窓口へ行くのではなく、委員会の「その他」の枠組みで公開の場で質問します。ここでも即答できない事項の「後日提出」を認めます。
4. 本モデルの法的妥当性(王道の議会運営)
この新しい運用は、特例的な措置ではなく、地方自治法等が本来意図している「王道の議会運営」への回帰です。コロナ禍以降の過剰なローカルルール(事前通告の厳格化等)を是正するものです。
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所管事務調査の権限: 地方自治法第109条第2項に合致(常任委員会の自律的調査権)。
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委員会としての資料要求: 地方自治法第100条第12項および会議規則に則った適法な権限行使。
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事前通告を要しない質疑: 法令上、委員会での厳格な事前通告を義務付ける規定は存在しない。
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後日提出の許容: 常任委員会は閉会中の継続調査機能を持つため、会期後に資料を提出・共有することは法的に極めて合理的。
5. 新モデルがもたらす3つの効果
この改革により、議会・執行部・市民のすべてに大きなメリットが生まれます。
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【執行部】非生産的業務からの解放と行政の高度化 不毛な答弁調整業務がなくなり、既存データの提出のみで済むため事務負担が劇的に軽減。捻出された時間は市民サービスや事業推進に直結します。
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【議会】合議体としての機能回復と政策立案の深化 密室での窓口交渉が減り、公開の場での監視機能が正常化します。委員間討議を通じて論点が整理され、より高度で洗練された政策提案が可能になります。
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【関係性】コミュニケーションの質的転換 「言葉尻を捉える防御的な論戦(修辞)」から、同じ資料・データを見ながら課題解決を図る「建設的な議論(ファクト)」へと、双方向の対話が成熟します。
弥富市議会における常任委員会の機能強化と所管事務調査手法の再構築
――委員間討議と客観的資料要求を基軸とした双方向型対話モデルの提案――
1. 地方議会における常任委員会の本質的役割と現状の変容
地方分権の進展に伴い、二元代表制の一翼を担う地方議会には、首長等の執行機関(理事者側・市側)に対する厳格な監視機能と、地域の課題解決に向けた高度な政策立案機能の両立が求められている。
全国の地方議会において議会改革が推進される中、地方自治法に規定される常任委員会の機能をいかに最大化するかは、議会改革における最重要テーマとして位置づけられてきた。
弥富市議会においても、市民意見の反映と政策立案機能強化を目的とした新たな議会改革の取り組みとして、令和7(2025)年4月からの所管事務調査の実施など、各委員会の専門性を発揮した政策提案や提言を目指す前向きな動きが展開されている。
常任委員会の根拠となる地方自治法第109条第2項は、「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査する」と規定している。
この条文が示す通り、常任委員会には、本会議から付託された議案等に対する「審査権」と、委員会が自主的に所管する行政分野の事務事業について調査を行う「所管事務の調査権」という二つの強力な権限が付与されている。
従来、定例会における常任委員会では、付託された議案に対する質疑・討論・採決が終了した後、「その他」の議事項目として、所管する事務に関する質疑(いわゆる所管質問)が行われるのが当然の運用であった。
この「その他」の時間は、日常的な行政運営に関する疑問をただし、進行中の事業の課題について議会と執行部がタイムリーに情報共有を図る、極めて重要なコミュニケーションの場として機能してきた。
しかしながら、現在の多くの地方議会において、この委員会運営の原則に大きな歪みが生じている。
本来、本会議における一般質問は市政全般に関する広範なテーマを扱うため、質問事項の要旨等を事前に通告する「事前通告制」が厳格に敷かれており、これに基づいて執行部側は綿密な答弁書を作成する。
一方で、常任委員会は専門的かつ機動的な議論を行う場であり、本会議のような厳格な事前通告制を法的に義務付ける性質のものではない。
かつての委員会運営においては、いわゆる「ぶっつけ本番(ガチンコ)」での質疑応答が行われることも少なくなく、その場で生じた疑問に対して即座に議論を深めることが委員会の本来の姿であった。
この前提が崩れた決定的な契機が、新型コロナウイルス感染症のパンデミックである。
感染拡大防止の観点から会議時間の短縮が至上命題となり、多くの地方議会で委員会における質疑の事前通告制が導入された。
限られた時間内で滞りなく議事を進行するため、議員からの質問事項を事前にすべて提出させ、執行部はそれに対する一言一句間違いのない「答弁書」を作成し、当日はそれを読み上げるだけという硬直化したスタイルが定着したのである。
パンデミックが収束した後も、この「事前通告によって答弁書を作る」という慣例は、会議のスムーズな進行という名目の下で既得権益化し、結果として弥富市議会を含む多くの議会で、従来の柔軟な所管質問が中断・消失するという深刻な事態を招いている。
2. 課題の論理的構造:事前通告制の定着がもたらす機能不全
現状の「委員会における所管事務質問に対する厳格な事前通告制と答弁書作成の義務化」という運用は、議会と執行部の双方に対して深刻な機能不全と多大なリソースの浪費を引き起こしている。
本章では、議会改革協議会において共有されるべき現状の課題を、構造的かつ論理的に解き明かす。
2.1. 執行部(理事者側)の甚大な事務負担と答弁至上主義の弊害
事前通告に基づく「答弁書」の作成は、行政機関にとって極めて重い事務負担となっている。
委員会における答弁書は、たとえ課長級が答弁するものであっても、市の公式見解として議事録に残るため、担当者による起案から始まり、課内調整、他部署との連携、さらには部長級以上の決裁ルートを経るという膨大なプロセスを要する。
特に所管事務に関する質問において、各議員が定例会ごとにバラバラに思いつきのテーマを通告した場合、担当部署は日常業務を完全にストップして答弁書の作成に忙殺されることとなる。
この「答弁書を作る時間、手間、労力」が限界に達した結果、議会側が執行部の負担に配慮せざるを得なくなり、本来不可欠であるはずの所管質問そのものをなくしてしまったという経緯が存在する。
これは、執行部の負担軽減と引き換えに議会の監視機能を放棄したに等しく、本末転倒の事態である。
2.2. 密室化する個別対応と「窓口質問」の常態化
委員会の公式な場における柔軟な所管質問が機能しなくなると、議員は日常的な疑問や市民から寄せられた懸念事項を解決するために、個別に担当課の窓口へ赴き、担当職員を直接問いただすという行動に出ざるを得なくなる。
特に、社会的に話題となっている事件や事故、あるいは行政内部の不祥事などが発覚した場合、市民の代表として事実関係を確認することは議員の責務である。
しかし、事前通告と答弁書の準備がなければ委員会で質問できないという硬直化したルールが存在するため、これらの緊急を要するテーマが公開の場である委員会に上がらず、密室である行政の窓口で処理されてしまう。
この「窓口での個別対応」は、議論のプロセスが市民の目に見えず、議事録という公式な記録にも残らないため、議会全体の共有財産とならないという民主主義上の重大な欠陥を内包している。
2.3. 「個人の活動」への矮小化と合議体としての委員会の機能不全
従来の所管質問が抱えていたもう一つの構造的課題は、委員会という合議体の中で行われているにもかかわらず、実態は「特定の議員と執行部との1対1の質疑応答」の連続に過ぎなかった点にある。
ある議員が提出した資料要求や所管に関する質問に対して、それが委員会全体の総意なのか、単なる一個人の興味本位や偏った主張に基づくものなのかが精査されないまま執行部に投げ込まれる。
これにより、8人の委員で構成される委員会において、他の委員が「その議論は先走りすぎている」「自分は異なる意見を持っている」「それは別の委員会で討議すべきテーマだ」と感じても、それに介入し軌道修正する公式なプロセスが存在しなかった。
地方自治法において所管事務調査権が付与されているのは「個別の議員」ではなく「常任委員会」という機関である。個々の議員がバラバラに通告し答弁を求める現状は、委員会の組織としての総合力を著しく低下させている。
2.4. 双方向コミュニケーションの断絶と儀式化
厳格な事前通告と精緻な答弁書に基づく質疑は、往々にして「言葉の応酬」による一方向の儀式へと陥る。
議員があらかじめ用意された原稿を読み上げ、執行部が幾重にも推敲された防御的な答弁書を読み上げる。
ここには、客観的なファクトやデータに基づき、同じテーブルで市の将来を議論し、課題を共有するという「双方向のコミュニケーション」は存在しない。
議会が真に求めているのは、事業の正確な進捗状況や課題の所在を客観的に把握することであるにもかかわらず、修辞に満ちた文章での回答を強要することで、実態が不透明になり、議会と執行部間の相互不信を招く結果となっている。
3. 方策:委員間討議と客観的資料要求を基軸とする所管事務調査の再構築
上述した課題を根本的に解決し、地方自治法が想定する本来の常任委員会の機能――すなわち「王道の所管事務調査」――を事実上復活させるための具体的な方策を提案する。
本提案は、単に過去の無秩序な所管質問に戻すのではなく、議会と市側(執行部)が建設的かつ双方向の対話を行うための新しい枠組みを構築するものである。
3.1. 委員間討議(議員間討議)を前提としたテーマ設定プロセスの確立
所管に関する質問や調査を、個人のバラバラな行動から「委員会としての組織的行動」へと引き上げるための最重要プロセスが、「委員間討議(議員間討議)」の実質化である。
全国の先進的な議会(田原市、広島市、妙高市、玉野市など)では、会議規則や議会基本条例に基づいて、委員会における委員間討議が制度化され、合意形成の手段として活用されている。
具体的には、ある議員が所管事項(例えば「特定小学校の建設問題の進捗」など)について執行部に資料要求や質疑を行いたいと考えた場合、直接市側に通告するのではなく、まず委員会内で提案を行う。
委員長はタイミングを見計らい、原則として「議案配布日」までに、委員会において議員間討議を実施する。
この討議において、8人の委員全員で現在の3ヶ月(次の定例会)において市側に資料提出を求めたい事項について議論を行う。
このプロセスを経ることで、特定の委員から出された疑義や要望に対して、他の委員から「自分は違う意見がある」「それは少し先走りすぎているため、後日別の枠組みで議論しよう」といった建設的な牽制機能が働く。
委員長による的確なファシリテーションのもとで、極端に偏った質問や不当な要求が議会内部で自浄・排除され、最終的に委員会全体の合意として純化されたもののみが、市側への正式な要求事項となる。
この8人の委員全体を「議会と執行部の対話」という良い方向へ導くことこそが、委員長の本来の役割である。
3.2. 「答弁書」の廃止と「客観的進捗状況資料」要求への転換
合意されたテーマについて市側に報告を求める際、要求するアウトプットの性質を根本的に転換する。
従来のように「文章による答弁書の作成」を求めることは、多大なる労力がかかるため一切行わない。
その代わり、地方自治法第100条第12項および各市議会の会議規則に定められた「資料要求」の正当な権限行使として、委員長を通じて委員会名義で市側に資料提出を求める。
要求する資料は、事業の進捗状況がひと目で把握できる図表、一覧表、工程表、図面、数値データといった「客観的な行政資料(進捗状況資料・委員会資料)」に限定する。
市側は、求められた事項について簡潔にデータを整理し、委員会に提出するだけでよいため、答弁書特有の煩雑な文章推敲や過度な決裁プロセスを省略でき、事務負担は劇的に軽減される。
3.3. 定例会「その他」枠における適宜質問と「後日提出」の完全許容
提出された客観的資料(委員会資料)をもとに、3ヶ月に1回の定例会会期中における委員会の場(議案に対する質疑・討論・採決の後に設けられる「その他」の項目)を用いて、委員が簡潔な質疑を行う。
ここでの質疑は、事前通告に基づく台本の読み合いではなく、資料データに基づくリアルな情報交換でなければならない。
この双方向のコミュニケーションを成立させるための絶対条件が、「後日提出ルールの公式化」である。
質疑に対して、市側はその場で答えられる事実関係については即答すればよい。
しかし、詳細な数値や過去の特定の履歴などについて質問が及び、「その場で資料を持ち合わせていない」という理由で答弁ができない事態が生じることは当然想定される。
この際、市側が無理に不確実な答弁をしたり、議会側がそれを責め立てたりすることは厳に慎むべきである。
「手元に詳細なデータがないため、後日改めて提出する」という対応を正規の手続きとして完全に認める。
現代の地方議会において、常任委員会は閉会中の継続審査・調査等を含め、事実上「通年で常設されている機関」として機能している。
したがって、会期中に即答できなかった事項については、会期終了後であっても、委員長を通じて委員会宛に後日資料を提供すれば十分に事足りるのである。
この「後日提出」が担保されることで、初めて市側は事前通告なしの適宜質問に安心して応じることができる。
3.4. 突発的な事件・事故に対する「通告なし所管質問」の復活
事前の資料要求プロセスを経ない事案であっても、定例会会期中やその直前において、行政の不祥事や市民の間で話題となるような事件・事故等の懸念事項が突発的に発生することがある。
このような時々の所管事項については、議員が個別に窓口へ行って担当者を正すのではなく、あくまで公開された委員会の場で市側に対する質問として扱うべきである。
これについては、事前の通告がなくとも、定例会委員会の「その他」の枠組みで通常の質問として取り上げることを明確にルール化する。
ここでも前項と同様、「事実関係の確認中である」「手元に資料がない」という場合は、後日資料で提出することを認めればよい。
名称として従来の「所管質問」という言葉を使う必要は必ずしもないが、実態としては、議会の監視機能の根幹をなす「所管に関する質問の事実上の復活」を意味する。
4. 法的妥当性と整合性の検証
本報告が提案する運用手法は、議会制度の根幹を揺るがすような特例的措置ではなく、むしろ地方自治法および関連条例・規則が本来意図した規定の範疇に完全に合致する「王道」の議会運営である。
| 提案する方策の構成要素 | 該当する法令・規則等の根拠および論理的妥当性 |
|---|---|
| 常任委員会による所管事務調査 |
地方自治法 第109条第2項。常任委員会がその部門に属する事務に関する調査を自律的に行う権限を保障している。本提案の最も中核となる法的根拠である。 |
| 委員会としての資料要求 |
地方自治法 第100条第12項、各市議会会議規則(資料要求)。委員会の決定により、審査や調査のために必要な資料・記録の提出を関係機関に求めることができる。委員長による正式な権限行使として適法である。 |
| 委員間討議(合意形成) |
各市議会会議規則、委員会条例、議会基本条例。委員会内部での意見調整を図るための手続きであり、議長および委員長の議事整理権の範疇で柔軟に運用可能。近年法制化する自治体が増加している。 |
| 事前通告を要しない適宜質疑 |
地方自治法、標準市議会会議規則等。法令上、委員会における質疑について、本会議のような厳格な事前通告を義務付ける規定は存在しない。事前通告はあくまで各自治体の「ローカルな慣例」に過ぎない。 |
| 後日提出の許容(通年機能) |
地方自治法 第109条に基づく閉会中の継続調査。委員会は会期・閉会中を問わず所管事務調査権を行使し得る性質を持つため、会期後に資料を提出し情報を共有することは法的にも実務的にも極めて合理的である。 |
現在、多くの議会で行われている「所管質問に事前通告を求め、完全な答弁書を作成させる」というコロナ禍以降の運用こそが、本来の法律が想定した委員会の機動性や自律性を阻害している過剰なローカルルールであり、本提案は法の趣旨に立ち返る極めて論理的なアプローチである。
5. 期待される効果:議会と執行部の関係性の成熟
本提案事項を議会改革協議会等を通じて合意形成し、委員会の公式な運営プロトコルとして制度化した場合、議会、執行部、そして市民のそれぞれに対して極めて大きな波及効果をもたらす。
5.1. 執行部(理事者側)に対する効果:非生産的業務の削減と行政の高度化
最大の効果は、市側にとって最も非生産的であった「答弁書の作成・調整業務」からの解放である。
求められるアウトプットが図表や工程表などの客観的資料に限定されることで、市側は既存の事業管理用データを提出用に微修正するだけで対応可能となる。
また、予測不可能な質問に対しても、「持ち合わせがなければ後日提出する」というセーフティネットが制度として保証されることで、市側の心理的負担と不毛な答弁調整にかかる労力は劇的に軽減される。
これにより捻出された膨大なマンパワーは、市民に対する直接的な行政サービスの向上や、実質的な事業推進そのものへと還元される。
5.2. 議会に対する効果:合議体としての機能回復と政策立案の深化
議会側においては、大きく二つの機能回復が見込まれる。
第一に、監視機能の正常化である。
突発的な事象や不祥事に対して、窓口での密室交渉に逃げることなく、委員会の公式な場で事実確認ができるようになり、議事録を通じた情報公開と透明性が担保される。
第二に、委員間討議を起点とすることで、「個々の議員の単発的な質問」が「委員会全体の総意としての調査」へと昇華される点である。
これにより、8人の委員相互のチェック機能が働き、論点が整理され、より洗練された政策的アプローチが可能となる。
特定の質問しかできないという縛りを撤廃し、委員間討議を通じて自由闊達に議論を深めるプロセスは、弥富市議会が令和7年度から目指している「専門性を発揮した政策提案や提言」の実現 に向けて、必要不可欠な土台となる。
5.3. 議会・執行部間のコミュニケーションの質的転換
最も本質的な効果は、議会と執行部の対話が「言葉尻を捉える防御的な論戦(修辞)」から、「客観的データに基づく建設的な議論(ファクト)」へと質的に転換することである。
委員会に提出された図面や工程表、数値データを、議員と市側職員が同じ目線で確認しながら、「なぜこの事業工程に遅れが生じているのか」「この数値の乖離を埋めるためにどのようなリソースが必要か」を共同で議論する。
これはまさに、地方自治法が想定する「委員会による所管事務調査」の理想形であり、真の意味での双方向コミュニケーションの構築に他ならない。
6. 総括と議会改革協議会への提言
本調査報告の分析に基づく、議会改革協議会への具体的な提案事項(実装モデル)は以下の通りである。
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事前通告制の撤廃と所管質問(適宜質問)の事実上復活 コロナ禍等の影響で硬直化した、委員会における「答弁書を前提とする事前通告制」を是正する。定例会の常任委員会において、議案審査後の「その他(所管事務に関する事項)」枠を活用し、突発的な話題や不祥事を含め、機動的な質疑を行うことを正規の運用として認める。
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委員間討議による合意形成と客観的資料要求のルール化 委員長を中心とした8人の委員全体の取り回しのもと、原則として議案配布日までに委員間討議を実施する。委員会としての総意で執行部に報告を求める所管事業を決定し、公式な資料要求を行う。
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答弁書の要求廃止と進捗状況資料(データ)への一本化 執行部の事務負担軽減と議論の客観性担保のため、文章による答弁書の作成は一切求めない。代わりに、工程表や一覧表など、図表を中心とした客観的な進捗状況資料(委員会資料)の提出のみを要求する。
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「後日提出」ルールの完全承認と定着 提出された資料に基づく質疑の際、執行部が即座に答えられない数値等については、通年で常設されている委員会の特性を最大限に活かし、後日の資料提供をもって適法かつ十分な対応とするルールを議会側の総意として確立する。
本提案は、過度な事務負担によって断絶しつつある議会と執行部の対話を修復し、事実とデータに基づく高度な政策議論の場を創出するものである。
個々の議員の窓口での追及を排し、委員会という合議体の力(委員間討議)を存分に発揮しつつ、行政の無駄を削ぎ落とすこのアプローチは、今後の地方議会運営の新たなスタンダードとなり得る極めて実効性の高い方策である。
議会改革協議会における建設的な議論の俎上に載せ、速やかに具体的な制度設計へと移行されることを強く推奨する。