「私たちのまちの『居場所』、10年後も残っていますか?」
人口減少や一人暮らしの世帯が急増する今、誰もがホッと一息つけて、いざという時に助け合える「地域の居場所」の重要性がかつてなく高まっています。
私たちの住む海部南部地域(弥富市・蟹江町・飛島村)には、全国でも珍しい「天然温泉」を活用した素晴らしい福祉施設がいくつもあり、日々多くの市民の心と体を癒やしています。しかしその裏で、施設の老朽化や各自治体での「似たような施設の乱立」が重なり、このままでは維持費が膨れ上がって財政がパンクしてしまう「共倒れの危機」が静かに迫っているのをご存知でしょうか。
本レポートでは、全国で注目を集める先進的なまちづくりの事例(北九州市や豊明市)と私たちの地域を比較しながら、海部南部地域の「強み」と「弱点」を徹底分析しました。そして、このピンチをチャンスに変える画期的な解決策として、市や町の境界線を越えてタッグを組む「施設のアライアンス(共同化)」という未来図をご提案します。
私たちの愛する地域が、これからもずっと「誰も孤立させない、希望にあふれたまち」であり続けるためのヒントを、分かりやすくまとめました。ぜひご一読ください!
♨️ 海部南部(弥富・蟹江・飛島)の未来予想図
〜 みんなの「居場所」を守るためのシェア&アップデート大作戦! 〜
少子高齢化や一人暮らしが増える今、困った時に助け合い、誰もがホッとできる「地域の居場所」づくりが全国で急務となっています。
では、私たちの住む海部南部地域(弥富市・蟹江町・飛島村)の現状はどうなっているのでしょうか?最新の調査報告から、私たちの町の「強み」と「これからの大計画」を分かりやすくお伝えします!
1. 私たちの地域の「スゴいところ」:温泉♨️とチームワーク🤝
全国には、北九州市の巨大NPO「抱樸(ほうぼく)」や、豊明市の廃校リノベーション施設「カラット」のように、大規模な支援拠点をつくる動きがあります。
海部南部にはそういった巨大組織はありませんが、実は独自の素晴らしいアプローチを持っています!
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「温泉」で福祉のハードルを劇的ダウン!
弥富市の「十四山総合福祉センター」や蟹江町の「泉人(せんと)」、飛島村の「ふれあいの郷」など、この地域は天然温泉や足湯を併設した施設が充実しています。これにより、「福祉施設=特別な人が行く場所」というイメージがなくなり、お年寄りから子育て世代までが「遊びやリラックスのついでに自然と集まる場所」になっています。
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3市町村のタッグが生んだスーパーNPO!
実はすでに、弥富・蟹江・飛島の3市町村が共同で「海部南部権利擁護センター」という専門NPOを立ち上げています。家を借りるのが難しい方のサポートや、お金の管理などを広域で支えるこの仕組みは、全国的にも誇れる素晴らしいチームワークです。
2. 実はピンチ!?迫る「施設の老朽化」と「ムダ遣い」
しかし、良いことばかりではありません。人口が減っていくこれからの時代に向けて、大きな課題があります。
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似たような施設が多すぎる問題
現在、3市町村それぞれが「温泉付きの福祉・交流施設」を持っています。しかし、どの施設も古くなってきており、維持費もかさみます。
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「共倒れ」の危機
人口も税収も減っていく未来において、お隣同士の町が別々に似たような施設を建て替え、維持し続けるのは大きなムダが生じます。このままでは、財政がパンクして「共倒れ」になってしまう危険性があります。
3. これからの大作戦:施設の「アライアンス(共同化)」を目指せ!
では、どうすればみんなの居場所を未来に残せるのでしょうか?
結論はズバリ、「3市町村で施設をひとつにまとめよう!(アライアンス)」です。
全国ではすでに、長崎県が県と市の図書館を合体させたり、岐阜県で2つの市の病院を1つに統合したりと、「枠を超えたシェア」で大成功している事例がたくさんあります。
✨ 海部南部が目指す「未来のグランドデザイン」
すでにソフト面(NPOの共同設立など)で大成功している海部南部のチームワークを、今度は「ハコモノ(施設)」にも活かします!
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廃校などを活用して「超・複合拠点」へ!
例えば、古くなった各市町村の施設をバラバラに建て替えるのではなく、十四山東部小学校の跡地などを活用して、3市町村合同の「多世代交流・居住支援センター(仮)」をドカンと1つ作ります。
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コストは割り勘、サービスは超一流に!
建設費や維持費は3市町村で「割り勘」できるため、浮いたお金でカフェや直売所、より充実した温泉施設やサポート窓口など、全国トップレベルのワクワクする施設を作ることが可能になります。
📊 ひと目でわかる!未来の比較表
| 項目 | 従来のやり方(現在) | 未来のアライアンス大作戦(理想) |
| 施設・場所 | 各市町村が別々に古い施設を維持 | 廃校などを再利用し、3市町村で1つのピカピカな巨大拠点へ! |
| コスト | バラバラに維持するため大赤字の危険 | みんなで割り勘!安く賢く運営 |
| 魅力・機能 | 温泉が中心の福祉施設 | 温泉+カフェ+特産品+総合相談窓口が揃った最強の居場所 |
💡 おわりに
私たちの海部南部地域は、すでに「手を取り合う」ことの強さを知っています。これからは市や町の境界線をピョンと飛び越え、みんなのリソース(資源・お金・知恵)を持ち寄って「ひとつの大きな居場所」を創り上げること。それこそが、私たちの町を持続可能で希望に満ちた未来へ導く、唯一にして最強のロードマップです!
海部南部地域(弥富市・蟹江町・飛島村)における多世代交流拠点及び居住支援・福祉NPOの機能と構造的展開に関する総合分析
1. 序論:地域共生社会における「居場所」と「支援」の再定義
現代の日本社会は、人口減少、少子高齢化、そして単身世帯の急増という構造的な変化の只中にある。血縁や地縁といった伝統的なコミュニティ機能が後退する中、生活困窮者、高齢者、障害者、そして社会的な孤立を深める若年層などが「制度の狭間」に落ち込むケースが後を絶たない。
こうした複合的な課題に対し、国は「地域共生社会」の実現を掲げているが、その具体的な実践は各自治体や地域の民間非営利団体(NPO)、社会福祉法人などのイニシアチブに委ねられているのが実態である。
この地域共生社会を具現化する先進的な民間モデルとして全国的な注目を集めているのが、福岡県北九州市において認定NPO法人抱樸(ほうぼく)が推進する「希望のまち」プロジェクトである。
同プロジェクトは、特定危険指定暴力団の元本部跡地を買い取り、救護施設、子ども食堂、コミュニティカフェ、学習支援スペースなどを統合した全世代型の交流拠点を2026年に開設するという、大規模かつ革新的なまちづくり構想である。
また、行政主導の先進事例としては、愛知県豊明市において廃校となった小学校の校舎を多世代交流拠点へと再整備し、「支え手」と「受け手」という固定化された福祉的関係性を超えた交流を生み出している「共生交流プラザ カラット」が挙げられる。
本報告書は、愛知県海部南部地域に属する「弥富市」「蟹江町」および「飛島村」を対象地域とし、上記の「希望のまち(北九州市)」や「カラット(豊明市)」に類する多世代交流施設、居住支援機能、およびそれらを支えるNPOや社会福祉法人の実態について、網羅的かつ深層的な調査・分析を行うものである。
結論から言えば、海部南部3市町村には、北九州市の抱樸のように単一の巨大NPOが数十億円規模の資金調達を行い、居住支援から交流拠点運営までを自己完結的に担う「一極集中型」の事業体は存在しない。
しかしながら、各市町村はそれぞれが持つ独自の地域資源(天然温泉など)や強固な財政基盤を戦略的に活用し、自治体間の広域連携や社会福祉協議会(以下、社協)、個別のNPOを中心としたネットワークによって、セーフティネットを構築している。
本分析を通じ、地方自治体規模における「分散・連携型」の地域共生モデルの構造的特徴を明らかにした上で、今後の人口減少社会において不可避となる「複数自治体による施設のアライアンス(共同設置・統廃合)」の必要性について提言を行う。
2. 先行モデルの構造的理解:北九州「抱樸」と豊明「カラット」のメカニズム
海部南部地域の現状を評価するためには、まず比較対象となる先行モデルがどのような課題意識に基づいて設計され、いかなる財務・運営メカニズムで機能しているかを正確に把握する必要がある。
2.1 NPO法人抱樸「希望のまち」における包括的支援と財務構造
北九州市を拠点とするNPO法人抱樸は、1988年の「北九州越冬実行委員会」をルーツとし、長年にわたり生活困窮者支援に携わってきた実績を持つ。抱樸が現在注力する「希望のまち」プロジェクトは、市民生活を脅かしてきた暴力団の本部跡地という「怖いまち」の象徴を、「希望のまち」へと転換する社会的インパクトを企図している。
この拠点の基盤となるのが、生活保護法上の「救護施設」である。救護施設は、障害認定や介護認定の有無に関わらず「対象者を限定しない(困った人は誰でも入れる)」という強固なセーフティネット機能を有しており、国の基準を大幅に上回る全室個室を整備する計画である。
さらに、施設内には地域住民が自由に利用できるコミュニティカフェや学習支援スペースなどが併設され、施設入所者と地域住民の自然な交わりを促す設計となっている。
また、抱樸は施設運営と並行して、サブリース型の居住支援事業を展開している。
空き家物件をNPOが借り上げ、家賃滞納リスクを保証会社が担うとともに、NPOが入居者から月額の生活支援費(約2,000円)を徴収して安否確認や訪問支援を行う仕組みであり、補助金に依存しない持続可能な居住支援のビジネスモデルを確立している。
2.2 豊明市「共生交流プラザ カラット」における空間再編と互助システム
一方、愛知県豊明市の「共生交流プラザ カラット」は、行政主導による空間の再編と多世代交流のモデルである。令和3年に閉校した小学校跡地を活用した本施設は、「地域共生社会の実現」を明確なコンセプトに掲げている。
館内には、児童発達支援センターや子育て支援センターといった専門機関と、一般市民が利用する音楽スタジオやコワーキングスペースなどが意図的に「ごちゃまぜ」に配置され、福祉施設へ通う心理的負担(スティグマ)を軽減する導線が確保されている。
施設の運営は民間企業の共同事業体(指定管理者)に委ねられている。
さらに、カラットを拠点として展開されている「おたがいさまセンター ちゃっと」は、ごみ捨てや電球交換といった日常の困りごとを、市民サポーターが安価なチケット制(30分250円等)で手伝う互助システムであり、支援を「サービス」として消費するのではなく、地域住民同士の緩やかな互助関係として再構築している。
3. 制度的イノベーション:広域連携NPO「海部南部権利擁護センター」の創設
北九州の「抱樸」が単独のNPOとして強大な権限と機能を集中させているのに対し、愛知県の海部南部地域(弥富市、蟹江町、飛島村)は、行政主導の「広域連携」によって極めて専門的なNPOを創設し、福祉機能の中枢を担わせている。
その中核機関が、「特定非営利活動法人 海部南部権利擁護センター」である。
3.1 広域連携によるNPO法人の設立と機能的優位性
地方の小規模な市町村において、複雑化する「権利擁護」や「成年後見制度」の運用を単独の自治体でカバーすることは困難である。
この課題を克服するため、弥富市、蟹江町、飛島村の3市町村は連携し、令和2年(2020年)9月に共同でNPO法人を設立した。その後、弥富市役所の十四山支所内に拠点を構え、事業を本格的に開始している。
同センターは、成年後見利用支援事業・権利擁護支援事業(法人後見人としての受任等)および、障がい者基幹相談支援事業(ワンストップの相談窓口)を3市町村から受託している。
3.2 居住支援における「権利擁護」の決定的な役割
このセンターの存在は、当該地域における居住支援の成否を握る決定的な要素である。
生活困窮者や障害者が民間賃貸住宅を借りる際の最大のハードルは、「金銭管理能力の欠如による家賃滞納リスク」である。海部南部権利擁護センターが法人後見人として介入し、預貯金管理や支払いを代行することは、不動産オーナーに対して最も強力な「信用供与」として機能する。
このように、単一のメガNPOにすべてを委ねるのではなく、「行政が共同で創設した専門NPO」が法的・財務的な後ろ盾を担保する分業体制が構築されている。
4. 弥富市における福祉拠点の現状とNPO法人の活動
海部南部地域の中心都市である弥富市では、温泉等の地域資源を活かした公的な高齢者福祉拠点と、分野特化型のNPO法人が並立して機能している。
4.1 「温泉」を併設した高齢者福祉拠点の存在
弥富市内には、高齢者の憩いの場として「温泉」を併設した複合施設が複数存在する。代表的なものが「十四山総合福祉センター」および「弥富いこいの里」である。 十四山総合福祉センターは、準天然温泉を備えた浴室やカラオケルーム、集会室を持つほか、障害者生きがいセンター(生活介護)も併設しており、60歳以上の市民の重要な居場所となっている。また、弥富いこいの里も露天風呂やカラオケを備え、年齢制限なく利用できる娯楽・福祉の機能を提供している。 これらは福祉の敷居を下げる「レクリエーション機能」を有している点で評価できるが、建設から長期間が経過しており老朽化が進んでいるため、弥富市の公共施設再配置計画において施設のあり方や複合化が見直されている段階にある。
4.2 就労支援・障害福祉を牽引するNPO法人
弥富市において、困窮や障害により社会的な「出番」を失った人々への支援を強力に推進しているのが「NPO法人障害者雇用創造センター」である。同法人は弥富市と隣接する愛西市を拠点に、一般就労を目指すIT特化型の就労移行支援や、配慮された環境で働く就労継続支援A型・B型といった多機能型事業所を展開している。抱樸が「希望のまち」内で就労支援や役割創出を目指しているように、弥富市ではこうした専門NPOが地域の企業と連携しながら、障害者の社会参加と自立を下支えしている。
5. 蟹江町における「スティグマの払拭」と民間NPOの居住支援網
蟹江町では、社会福祉協議会(社協)を指定管理者とする公共施設を中心に、多世代交流と生活困窮者へのセーフティネットが重層的に機能している。
5.1 多世代交流拠点「泉人(せんと)」の建築的・社会学的機能
蟹江町における地域共生社会の物理的拠点として、2018年(平成30年)に新築された多世代交流施設「泉人(せんと)」が挙げられる。
本施設の最大の特徴は、施設内に「源泉掛け流しの天然温泉施設」および「足湯」を完備している点にある。
福祉施設はその性質上、「支援を必要とする特別な存在である」というラベリング(スティグマ)を与えてしまうリスクを内包するが、蟹江町は「温泉」というレクリエーション価値の高い資源を中心とすることで、高齢者から子育て世代までが純粋な余暇を目的として自然に集積する空間を創出した。
施設内には子育て支援センター等も統合されており、社協が指定管理者として運営を担うことで、娯楽を入り口として福祉サービスやボランティア活動へと接続される「ゲートウェイ」として機能している。
5.2 蟹江町における居住支援法人と民間NPOの実態
町内における直接的な居住支援については、行政と広域展開型の居住支援法人が連携している。愛知県内で活動する「NPO法人ノッポの会」は、民間賃貸住宅への入居支援や見守りを包括的にサポートしており、「身元保証」「葬儀の手配」「遺品整理」といった孤独死リスクへの対応も民間システムを通じて提供している。
また、蟹江町社協は「自立相談支援事業」や「住居確保給付金」の窓口を担い、強力な公的セーフティネットを提供している。
6. 飛島村における「予防的福祉」と観光・交流拠点化へのパラダイムシフト
飛島村は、臨海部の工業地帯から得られる莫大な税収を背景に、単一の大規模NPOに依存することなく、村の直営事業および社協、地域の社会福祉法人が一体となった高水準な福祉インフラを構築している。
6.1 飛島村「ふれあいの郷」の現状と再編整備構想
多世代交流と地域福祉の中核となるのが「ふれあいの郷」である。敬老センター、社会福祉協議会、障害者就労支援施設、天然温泉(ふれあい温泉)、足湯が広大な敷地に集約された総合福祉ゾーンである。
敬老センターでは、温泉を活用したプログラムに加え、理学療法士等による介護予防指導が行われている。
飛島村は現在、この施設を「観光交流拠点(にぎわい創出拠点)」へと進化させる再編整備構想を進めている。
福祉水準を維持しつつ、飲食・物販機能や特産品直売所を導入する計画は、抱樸の「希望のまち」が1階にカフェや直売を設けて開かれた場所を目指すアプローチと完全に一致する。
6.2 貧困対策を超えた「積極的居住支援」:強力な移住・定住補助金
居住支援の観点において、飛島村は「新たな住民の積極的な誘致」という攻めの居住支援を展開している。
東京23区からの移住就業者に対し、単身で60万円、世帯で100万円、さらに子ども一人につき100万円を加算する「飛島村移住支援補助金」を実施している。
これは居住の不安定化を川上で防ぐ「予防的居住支援」であり、生活困窮時のケアは広域法人に委ねつつ、自治体は人口流入と生活基盤構築に特化する戦略的な機能分担である。
7. 人口減少を見据えた「施設アライアンス(共同設置・統廃合)」の必要性と全国事例
前章までで述べた通り、弥富市の「十四山総合福祉センター」「弥富いこいの里」、蟹江町の「泉人」、飛島村の「ふれあいの郷」は、いずれも「温泉・入浴施設を併設した高齢者・多世代交流拠点」という極めて類似した機能を有している。
これまで、豊かな財政力や交付金を背景に各自治体が単独で同種の施設を整備・運営してきたが、今後の人口減少(マーケット縮小)と公共施設の老朽化が同時進行する中、近接する3市町村がこれらを個別に維持し続けることは明白なリソースの無駄であり、自治体経営の「共倒れ」を招くリスクが極めて高い。
したがって、今後の施設更新や建て替え(十四山東部小学校の廃校跡地活用など)のタイミングを契機として、3市町村がアライアンス(広域連携)を組み、拠点を一つに集約、あるいは機能を明確に分担する「施設の共同設置・共同運営」のスキームに移行することが不可避である。
こうしたハード面のアライアンスは、全国の先進自治体で既に実行に移されている。
7.1 公共施設・福祉拠点のアライアンスに関する全国の先進事例
長崎県と大村市の「ミライon図書館」(施設の合築・集約化)
長崎県は、老朽化が進んでいた長崎市内の「県立図書館」を大村市へ移転させ、大村市の「市立図書館」と統合(合築)し、県・市一体型の「ミライon図書館」として整備した。
県立と市立の蔵書を区別せず同一の書架に配架し、窓口も一本化することで、蔵書規模の圧倒的な拡大、施設維持費の最適化、そして職員のスキルアップを同時に実現している。
岐阜県土岐市と瑞浪市の「公立病院統合」(医療インフラの広域集約)
医療人材の不足と経営難に直面していた岐阜県の土岐市と瑞浪市は、両市がそれぞれ抱えていた「土岐市立総合病院」と「東濃厚生病院(瑞浪市)」を集約し、組合立の単一の医療センターを新たに建設する決断を下した。
自治体の枠を超えて中核施設を一つに絞ることで、医師の確保と高度な医療提供体制の維持に成功している。
高知県「中芸広域連合」による体育館等の共同整備(小規模自治体の連合)
高知県の奈半利町、田野町、安田町、北川村、馬路村の5町村は「中芸広域連合」を設立し、単独自治体では建設・維持が不可能な大規模アリーナ「中芸広域体育館」を共同で整備・運営している。
また、同連合は介護保険や保健福祉などのソフト事業も一体的に処理している。
三重県「鈴鹿亀山地区広域連合」の消費生活センター共同運営
鈴鹿市と亀山市は、全国で初めて広域連合によって「消費生活センター」および「消費者安全確保地域協議会」を共同設置した。
単独では確保が難しい専門の相談員を広域で雇用・シェアすることで、質の高い相談体制と効率的な運営を両立させている。
7.2 海部南部地域における「統合・複合化拠点」への昇華
上記の全国事例が示すように、福祉拠点や大規模な公共施設を「市町村の境界」を越えて共同設置・統廃合することは、サービスの質を維持・向上させながら持続可能性を担保するための最も有効な手段である。
海部南部3市町村は、すでに第3章で述べた「海部南部権利擁護センター」というソフト面での広域連携を見事に成功させている。
次なるステップとして、例えば老朽化した十四山総合福祉センターや周辺の類似施設を個別に建て替えるのではなく、廃校となる「十四山東部小学校跡地」等を利用し、3市町村合同の「海部南部・広域多世代交流・居住支援センター(仮称)」としてハード面を一つに統合するべきである。
これにより、建設費や運営コストを3市町村で按分でき、抱樸の「希望のまち」に匹敵する規模と機能を持つ、真の地域共生拠点を生み出すことが可能となる。
8. 比較分析:先行事例と海部南部モデルの構造的差異
8.1 多世代交流拠点・地域福祉ハブの機能比較
| 比較項目 | 抱樸「希望のまち」(北九州市) | カラット(豊明市) | 海部南部3市町村の現状(弥富・蟹江・飛島) | 今後目指すべきアライアンスモデル |
|---|---|---|---|---|
| 立地・空間的背景 |
特定危険指定暴力団の元本部跡地。負の遺産の転換。 |
閉校した小学校跡地を活用したリノベーション施設。 |
既存の公共福祉インフラにそれぞれ温泉を併設。老朽化と重複投資が課題。 |
十四山東部小跡地等を活用し、3市町村の老朽化施設を1か所に合築・集約化。 |
| 運営・ガバナンス体制 |
認定NPO法人および社会福祉法人(民間主導)。 |
民間共同事業体による指定管理者制度。 |
各市町村の直営、または各市町村の社協が個別に指定管理。 |
3市町村による「広域連合」または「一部事務組合」が設置し、民間へ一括指定管理。 |
| 偏見(スティグマ)の払拭手法 |
地域に開かれた大ホールや広場の設置。デザイン性の高い建築。 |
愛称によるリブランディング。多様な機能の「ごちゃまぜ」配置。 |
温泉という万人が好む娯楽を全面に押し出すことで敷居を極限まで下げる。 |
既存の「温泉」の魅力に加え、広域の資源(農産物直売、観光、権利擁護機能)を完全統合。 |
9. 結論:海部南部地域が提示する「連帯」と「アライアンス」のグランドデザイン
本報告書は、ユーザーからの「弥富市・蟹江町・飛島村に同種の施設やNPOがないか」、そして「これらが共倒れしないためのアライアンス事例はないか」という問いに対し、地域のリソース、施設インフラ、行政施策、および民間法人の実態を多角的に分析してきた。
結論として、海部南部地域には北九州市の「抱樸」のように用地買収から施設建設、居住支援、看取りまでを単一の組織で完結させる「メガNPO」や、豊明市のように廃校を巨大複合化した施設は現時点では存在しない。
一方で、各市町村が「温泉を併設した多世代交流施設」をそれぞれ単独で所有し、潤沢なリソースを投下して運営しているのが現状である。
しかし、今後のマーケット縮小と人口減少を見据えれば、この「各市町村での類似施設の乱立」は明白なオーバーバンキングであり、持続不可能である。
長崎県の「ミライon図書館」や土岐市・瑞浪市の病院統合事例が証明しているように、今後は市町村の境界を取り払い、施設の「共同設置・統廃合(アライアンス)」へと大きく舵を切る必要がある。
幸いにも、海部南部地域には「海部南部権利擁護センター」という、3市町村が共同で設立・運営する極めて高度な広域連携NPOが既に根付いている。
このソフト面での成功体験を基盤とし、次はハード面(多世代交流施設や居住支援機能)のアライアンスへと発展させるべきである。
各市町村が個別に老朽化施設を建て替えるのではなく、互いのリソースを持ち寄り、一つの巨大な「広域共生拠点」を創り上げることこそが、地方自治体の「共倒れ」を防ぎ、地域住民に持続可能な希望を提供するための唯一のグランドデザインである。