【提言】アンケート頼みの行政から「当事者の熟議」へ。
弥富市の高齢者福祉を考える「高齢者会議」の創設を
先ほど、こどもたち自身の手で新しい教育大綱をつくる「こども会議」の必要性についてお話ししました。
これと全く同じことが、実は「高齢者福祉」の分野にも言えるのではないでしょうか。
これからの弥富市に必要なのは、高齢者自身が集い、自由に議論し、自分たちで福祉の基本構想をつくり上げる「高齢者会議」の創設です。
形骸化するアンケート調査の限界
総合計画の策定時期などが近づくと、行政はよく市民アンケートを実施します。
例えば、3,000世帯に郵送でアンケートを送り、1,000人ほどから回答を得て「市民の声を聞いた」とする手法です。
しかし、率直に言ってこれまでのやり方の繰り返しでは、もはや意味がありません。
同じようなアンケートを過去に何度も実施してきましたが、それで今後の高齢者福祉のあり方が見えてきたでしょうか。
若い世代や行政側が「全世代の平均値」をとろうとするアンケートでは、当事者の真の課題や解決策は浮き彫りになりません。
恵まれた3つの入浴施設。その未来を決めるのは誰か
今、日本全国で「当事者による熟議」を政策に反映させる新しい動きが広がっています。
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東北地方の小さな町の事例: 今後の水道施設の更新や維持という厳しい基本行政情報を示した上で、市民同士で話し合い、今後の水道料金のあり方を決定しました。
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気候市民会議: 気候変動という正解のない大きな課題に対し、無作為抽出された市民が専門家の意見を聞きながら熟議し、提言をまとめる取り組みが日本でも始まっています。
弥富市に目を向けると、幸か不幸かかつての豊かな財政力のおかげで、昭和の終わりから平成の初めにかけて整備された充実した老人福祉施設があります。
特筆すべきは、他の一般的な市町村の水準を大きく超える「3つのお風呂(入浴施設)」の存在です。
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総合福祉センター:60歳以上の市民を対象に、浴室やカラオケルーム、教養娯楽室などを提供している施設です。
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十四山総合福祉センター:「準天然温泉」の浴室を備え、多目的広場なども併設された極めて設備の充実した施設です。
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いこいの里(老人憩の家):こちらも浴槽循環配管を備えたお風呂があり、地域の高齢者が日常的に集う憩いの場となっています。
これほど立派な入浴施設が3つも揃っている自治体は多くありません。
しかし、だからこそ施設の老朽化に伴う維持管理費の問題や、今後の利用のあり方(施設の存廃や受益者負担など)は避けて通れない大きな課題です。
これらの施設を今後どうしていくのか。これからの高齢者福祉をどうデザインするのか。
それを決めるのは、他でもない高齢者自身であるべきです。
「予算がない」と一律カットする前にすべきこと
「当事者に話し合わせたら、いくらお金がかかってもいいから自分たちの要望を聞け、という案が出るだけではないか」
そう懸念する声があるかもしれません。
しかし、私はそうは思いません。
行政から「今後の施設の維持管理にはこれだけのコストがかかる」といった基本情報がしっかりと共有されれば、人生経験を積んだ大人である高齢者の皆さんは、ある程度現実味のある「答申」を出してくれるはずです。
仮に、「すべての予算を高齢者福祉に振り向けてほしい」というような実現不可能な答申が出てきたとしましょう。
それならそれで良いのです。
その答申を真正面から受け止め、今度は「全世代でそれをどう解決していくか」を話し合えばいいのです。
対話と試行錯誤こそが未来を創る
実際に困っている高齢者が何に悩み、何を求めているのか。
あるいは、自分たちの力で何ができるのか。
そうしたことを当事者同士で何回でも、じっくりと話し合い、可能性を提案し、トライアンドエラーを重ねる機会を作ること。
それこそが政治や行政の役割です。
十分な対話もせず、ただ「できません」「予算がありません」と一律カットで済ませてしまうような行政に、弥富市の未来はありません。
今こそ、高齢者自身が主役となって知恵を出し合う「高齢者会議」をスタートさせましょう。