弥富市予算案訂正・市長辞職勧告騒動(2019年3月)サマリー
就任直後の安藤正明市長が、財政難を理由に十分な事前協議なく「大幅な予算削減案」を提出したことに端を発し、議会との深刻な対立を招いた事件です。
1. 騒動のタイムライン
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2月27日(発端): 市長が前年度比3.4%減の予算案を提出。主要事業や市民生活に関わる経費まで削られていたため、議会が猛反発。
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3月12日〜13日(異例の訂正): 予算案の否決を避けるため、市長は駅舎化事業や扶助費など約5億円分を復活させた訂正案を再提出し、本会議で陳謝。
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3月14日(委員会の紛糾): 行財政委員会にて、佐藤高清委員が市長の責任や議会軽視の姿勢を激しく追及。市長は「自身の責任とコミュニケーション不足」を認める。
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3月22日(結末): 最終本会議で、市長に対する「辞職勧告決議案」が全会一致で可決(訂正予算案自体は可決)。市長は猛省しつつも続投を表明した。
2. なぜここまで紛糾したのか(3つの議会軽視)
議会が市長に対して辞職勧告を突きつけるに至った主な理由は、以下の3点に集約されます。
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総合計画を無視した独善的な削減 議会で全会一致で可決されていた「市の総合計画(重点事業)」を無視し、市民の生活支援に必要な予算まで安易に削る予算編成を独断で行った。
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深刻な対話・根回し不足 予算決定のプロセスにおいて市幹部との深い議論を欠き、議会への事前説明も行わないなど、市長としてのリーダーシップとコミュニケーションが著しく欠如していた。
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ルールを無視した情報発信 議会で差し替え予算を審議・決定する前に、自治会の総会やマスコミに対して「予算を変更する」と決定事項のように発信し、二元代表制における議会の存在を軽視した。
3. 行財政委員会での主要な対立(佐藤高清委員 vs 安藤市長)
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「抵抗勢力」発言疑惑: 佐藤高清委員が「市長が市民の前で議会を『抵抗勢力』と呼んだ」と追及。市長は「記憶にない」と答弁。
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責任の所在: 最初の極端な削減案は誰の判断だったのかという追及に対し、市長は「全て自分の責任」と明言。
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事後対応への批判: 市の汚名となる事態を招いたにもかかわらず、庁内での対応が「すみません」という謝罪にとどまっていることへの厳しい指摘がなされた。
【総括】 この一連の騒動は、「財政健全化」という目的自体よりも、市長交代直後の準備不足、庁内連携の欠如、そして議会を軽視した強引な進め方が最大の火種となり、議会からの完全な不信任(辞職勧告・全会一致)という形で表面化したものと言えます。
騒動の全体像とタイムライン
就任直後の安藤市長が、財政健全化を目的に大幅な予算削減案を提出したものの、議会への根回しや説明が不足していたため猛反発を受け、異例の「予算案訂正」と「市長への辞職勧告」に発展しました。
混乱を招いた背景と理由
なぜこれほど性急で極端な予算削減が行われたのか、記事からは以下の3つの要因が読み取れます。
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厳しい財政見通し
2020年1月完成予定の新庁舎建設などにより、前年度の予算が過去最大に膨らんでいました。歳出が歳入を約7億円上回る試算が出たため、将来に備えて財政調整基金(約15億円)を減らさないよう、各部署に厳しい削減要請が出されました。
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市長交代による準備期間の不足
予算編成は昨年10月からスタートしていましたが、同月末に前市長が辞職。安藤市長が就任したのは12月であり、十分な検討期間がありませんでした。
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深刻なコミュニケーション不足
「基金を減らさないこと」を優先した結果、総合計画の重点事業や市民生活に関わる予算まで機械的に削減してしまいました。市長自身も「職員とのコミュニケーション不足で、私の勉強不足だった」と認めています。
予算の「当初案」と「訂正案」の変更点
議会の反発を受けて再提出された訂正案では、削られていた主要な事業が相次いで復活しました。
| 事業・項目 | 当初案での扱い(削減理由) | 訂正案での変更(復活理由) |
| JR・名鉄弥富駅の橋上駅舎化 | 費用への不安から一旦見送り | 市の重点施策であるため復活 |
| 市営火葬場 / 生活保護等の扶助費 | 財政見直しの一環として削減 | 必要な経費として増額(追加) |
| 新庁舎の備品(机・椅子など) | 「古いものをそのまま使う」と節約 | 老朽化への配慮不足を指摘され大幅増額 |
| 平和教育事業(広島での学習) | 取りやめを通知(※事前撤回済み) | 反発を受け、当初予算案の段階で復活 |
最終的な予算規模: 訂正案で約5億円を追加したものの、別の事業1件を前年度の補正予算に振り替えたため、一般会計の総額は約171億4489万円(当初案より約7510万円減)で着地しました。
辞職勧告決議の内容とその後
最終日の本会議において、安藤市長に対する辞職勧告決議が全会一致で突きつけられました。
決議の主な理由
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市の総合計画に掲げられた大規模事業や、市民生活に必要な扶助費を削るという「安易な予算削減」を行った。
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市幹部と議論を深めておらず、十分なリーダーシップを発揮していない。
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改善策も不透明なままであり、市に大きな汚名を残し責任は極めて大きい。
市長の対応
辞職勧告決議に法的拘束力はありません。
閉会後、安藤市長は「真摯に受け止め、猛省している」と述べた上で、「職員との意思疎通をしっかりと図りながら、市政運営に当たっていきたい」と語り、辞職せず続投する意向を示しました。
【弥富市議会】平成31年3月定例会 本会議 追加日程
議案訂正 1:00から30:00 弥富市公式動画
3月13日 本会議:安藤市長による予算案訂正の説明(要点)
【冒頭の謝罪】
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提出済みの当初予算案を訂正(差し替え)する事態になったことを深く陳謝し、今後の再発防止を約束。
【予算訂正の理由】
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議員や市民から寄せられた様々な意見・批判を重く受け止め、事業内容を見直す必要が生じたため。
【訂正の具体的内容】
訂正案では、大きく分けて「予算を復活・増額させたもの」と、「国の補助金に合わせて前年度に前倒し(減額)したもの」の2つの変更が行われました。
| 変更区分 | 対象となった主な事業・項目 | 変更の理由 |
| 増額(復活・追加) |
・JR・名鉄弥富駅自由通路・橋上駅舎化事業 ・新火葬場建設事業 ・扶助費(生活支援などの費用) ・学校や保育所など公共施設の修繕工事 |
市民生活や市の発展に必要な事業を推進するため、当初案で削っていた関連経費を計上。 |
| 減額(前年度へ振替) | ・桜小学校の長寿命化改良工事 | 国の平成30年度第2次補正予算で交付金が下りることになったため、新年度(31年度)当初予算からは外し、平成30年度の補正予算へ移し替えた。 |
【結び】
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詳細については総務部長から説明するので、審議をお願いしたい。
ポイント:
新聞報道にあった「議会の猛反発を受けて約5億円分の事業を復活させた」という経緯が、この「議員や市民からの意見を踏まえた増額訂正」という市長の言葉に表れています。また、全体の予算総額が当初案より減った理由(桜小学校の工事費を前年度へ移したため)もここで説明されています。
【弥富市議会】平成31年3月定例会 行財政委員会①(総務部・開発部所管分)
1.37から1:45 弥富市公式動画 https://youtu.be/Qh1R1dnYEnU?t=5871
委員会質疑の主な争点と要約
佐藤高清委員が、安藤市長の「不適切な発言」「議会軽視の姿勢」「予算編成の責任」の3点について厳しく追及し、市長が謝罪に追われる展開となっています。
1. 市長の「議会は抵抗勢力」発言の真偽
市長が公共施設のワークショップの挨拶で、議会を「抵抗勢力」と呼んだ疑惑についての追及です。
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佐藤高清委員の追及
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「新年度予算を出したが、議会の抵抗勢力に阻まれて難儀している」と公の場で発言したと複数人から聞いている。事実か。
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議会の大半はあなたを応援して市長に押し上げたのに、「抵抗勢力」と呼ぶのはもってのほかだ。事実であれば謝罪で済む問題ではない。
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安藤市長の答弁
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そのような発言をした記憶はない。
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(事実関係が確認された場合は)その時にきちんと責任ある対応をさせていただく。
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2. 議会軽視の対応(報道・市民への事前公表)
議会で議決される前に、予算差し替えの事実が外部へ漏れていたことへの批判です。
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佐藤高清委員の追及
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議会がまだ議決していない予算の差し替えが、新聞報道で先行して出ている。
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さらに市長自身が、日曜日に10ヶ所の自治会の総会に出向き、あたかも予算変更が「決定事項」であるかのように市民へ発言している。議会軽視も甚だしい。
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安藤市長の答弁
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議員の皆様に大変なご迷惑をおかけした。今後はこのようなことがないよう、議会との対話にしっかりと当たっていく。
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3. 当初予算編成の責任の所在
大幅な削減を行い、結果的に差し替えの事態を招いた「当初予算」は誰の判断だったのかを問いただしています。
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佐藤高清委員の追及
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差し替え前の予算(市長が抵抗勢力に阻まれたとする予算)は、市長個人の権限と決断で下されたものと判断してよいか。
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安藤市長・大木副市長の答弁
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安藤市長: 私の名前で出しており、私の責任である。
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大木副市長: (※差し替え後の訂正案については、総合計画や委員の意見を踏まえたものだと補足しようとする)
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安藤市長: (佐藤高清委員から「差し替え前の当初予算について」と念を押され)はい、私の責任です。
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4. 議会からの問責と市役所内での対応
今回の騒動による市の名誉毀損と、市長の責任の取り方についての追及です。
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佐藤高清委員の追及
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この大失態に対し、庁舎内の職員にはどのように経緯を説明し、行動したのか。
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新聞報道によって弥富市の名誉が傷つけられ、議会内では最終日に向け「問責」という言葉も出ている。「すみません」の一言で済む問題ではない。
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安藤市長の答弁
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事あるごとに、主に幹部職員に対して「迷惑をかけた」と謝罪している。
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謝罪しかない状況だが、今後は市民サービスの向上と議会との対話に向け、しっかりと努めていきたい。
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【弥富市議会】平成31年3月定例会 最終日 本会議 市長辞職勧告決議 弥富市公式動画
3月22日 本会議:安藤市長に対する辞職勧告決議(提案理由の要約)
【発議者】 佐藤高清議員 【賛同者】 13名の市議会議員(三宮、大原、炭、武田、堀岡、三浦、平野、早川、那須、鈴木、永井、高橋、加藤の各議員)
佐藤高清議員は、以下の4つの主な理由から、安藤市長の進退を問う(辞職を求める)決議案を提出しました。
辞職勧告の4つの理由
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議決済みの「総合計画」を無視した安易な予算削減
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平成30年12月の議会において、市長の所信表明とも一致する「第2次総合計画」が全会一致で可決されていた。
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にもかかわらず、今回提出された新年度予算案はこの計画から大きくかけ離れており、長年の労力と費用をかけた大規模事業が外され、さらに市民生活に絶対必要な「扶助費(生活支援等)」まで削るという、安易で大幅な予算削減であった。
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「前代未聞」の訂正による弥富市の名誉失墜
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議会会期中に、本来あるべき予算の姿へと大幅な訂正(差し替え)を行う事態になったことは、新聞紙上で「前代未聞」と揶揄(やゆ)され、市に大きな汚名を残した。
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幹部との議論不足とリーダーシップの欠如
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重要な予算案を決定する過程において、市の幹部と情報を共有し、深く議論することを怠っていたことが明らかになった。
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解決策の提案や行動も見られず、リーダーシップを発揮しているとは言えない。今後の改善策も不透明なままである。
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議会を軽視する独善的な言動
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予算の訂正案を議会に提出する前に、市民に対して「あたかも既に決まったこと」のように発信(事前公表)するなど、軽率で議会を軽視する言動が目立つ。
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結論(市議会としての見解)
安藤市長のこのような独善的な市政運営や言動は、議会と市長が独立して市民を代表する「二元代表制」を軽視するものであり、健全な市政運営に禍根を残す重大な問題である。市長の責任は極めて重い。
このまま具体的な改善策が見出せないのであれば、今後の市政の課題解決を任せることには大きな不信を覚えるため、市長の進退を問う(辞職を勧告する)ものである。
【弥富市議会】平成31年3月定例会 行財政委員会①(総務部・開発部所管分)
弥富市公式動画 2:39から3:30 堀岡議員はじめ各議員の意見が見られます
