なぜ私たちは身銭を切って「住民訴訟」を起こすのか
――弥富市政のガバナンス崩壊と「氷山の一角」に警鐘を鳴らす
はじめに:市役所や事業者を糾弾することが目的ではない
私たち(市議会議員・佐藤仁志、加藤明由)が提起した一連の住民訴訟について、その真意を市民の皆様に改めてお伝えします。
私たちの目的は、弥富市役所や特定の職員をいじめ抜くことでも、マンション開発業者や地上げ業者を排斥することでもありません。
目的はただ一つ。地方自治行政において「不法・不透明な便宜供与」が常態化している構造に対し、住民の立場から明確な警鐘を鳴らすことです。
今回表面化した問題は、決して単発の不祥事ではなく、水面下に巨大な不正が潜む「氷山の一角」に過ぎません。
私たちが私費を投じ、時間と労力をかけて裁判や記者会見に臨むのは、弥富市政の正常化はもちろんのこと、同じような暗部を抱える全国の地方自治体に対して行政の適正化を促す「一罰百戒」としての高度な公益的意図があるからです。
1. 「薄皮を剥ぐ」情報公開請求と公務員の倫理
① 階層的発掘調査による事実の解明
行政の不正追及における最大の壁は、内部の意思決定過程が見えないことです。最初から核心的な証拠が存在するわけではありません。
私たちは、公表されている許認可資料の開示請求(第1層)から始め、2週間後に出てきた資料を精密に分析しました。
そこに現れた不自然なキーワードや担当部署の協議記録をもとに、さらに深い資料をピンポイントで請求する(第2層・第3層)――。
この「発掘調査のように薄皮を1枚ずつ剥いでいく作業」を繰り返した結果、当初は伏せられていた不当な「対策会議」の記録など、決定的な内部文書を発掘・公表することに成功しました。
② 「間違えた罪」より「隠蔽・嘘の罪」こそが重い
私は元公務員ですが、公務員組織には明確な倫理の線引きがあります。
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間違えた罪(過失・知識不足): 事務ミスや法令解釈の誤りは、反省と訂正を行えば是正可能です。身分を奪うような重い処分の対象には基本かなりません。
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隠蔽・虚偽の罪(故意・嘘): 保身のために公用文書を隠したり、「存在しない」と虚偽の説明をしたりする行為は、地方公務員法第33条(信用失墜行為の禁止)に違反する重大な職務上の不義であり、厳罰の対象となります。
公務員に求められる最大の資質は、民間企業のような収益性ではなく「法令を守り、決して嘘をつかない」という倫理的清廉性です。
職務上のミスを隠すためにさらなる虚偽を重ねる構造こそが、行政の信用を根底から失墜させています。
2. 官製談合事件と公共入札制度のゆがみ
① 元建設部長の起訴と便宜供与の真相
2026年2月、弥富市前建設部長が公共工事の設計金額を入札前に特定業者へ漏洩したとして、官製談合防止法違反などの罪で起訴されました(検察求刑:懲役2年)。
被告は公判で「業者との関係が悪化すれば自分の立場が危うくなる」と供述しました。
直接的な金銭の授受がなくとも、首長からの評価、自身の地位保全、大型プロジェクトの円滑な進行という心理的要因が、特定業者への不当な便宜供与(約5,000万円の粗利確保等)へ直結していた実態が裁判で明らかにされています。
② 「お仲間フィルター」を生む制度的欠陥
弥富市の公共入札には、市場の健全な競争を阻害する二重の構造的欠陥がありました。
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地域要件による過度な制限: 一般競争入札と称しながら、参加資格を「旧海部郡」などの極めて狭い地域に限定したこと。
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予定価格公表による高止まり: 広域(愛知・岐阜・三重・名古屋市等)からの自由な参入を遮断した状態で予定価格を提示したため、競争ではなく同調圧力が働き、落札率が99%前後に高止まりする「お仲間フィルター」が形成されました。
単に予定価格を非公表にするだけでなく、この「地域要件」を徹底的に撤廃して広域なオープン市場にしない限り、同種の談合・調整構造をなくすことはできません。
3. 大規模マンション開発をめぐる公有財産の違法処分
① 変質した「対策会議」
鯏浦町の大規模マンション開発(15階建て・96戸)において、市は幹部を集めた「対策会議」を開催していました。
本来、自治体の対策会議は、各課がバラバラに対応することによる法令違反や業者からの圧力を防ぎ、市の財産と適合性を厳格に守るために開かれるべきものです。
しかし弥富市では、市長・副市長・建設部長がトップに立ち、事業者のスケジュールを優先させ、不当な許認可や財産処分の脱法的手法を全庁的に調整する「業者便宜供与の場」へと完全に変質していました。
② 手続きそのものの「根本的違法」と「6つの重大な違反」
本件で私たちが追及している最大の焦点は、開発用地の中央を分断していた「市有地(鍵地)」の処分です。
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随意契約による払い下げの違法: 公有地の処分は一般競争入札が原則です。正当な理由がないにもかかわらず随意契約で特定の業者に払い下げたこと自体が違法です。
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限定価格の無視(不当廉価売却): この土地を取得できなければ96戸のマンション建設は不可能でした。不動産鑑定理論上、開発利益を反映した「限定価格」で算定すべきところを無視し、公示地価の3分の1以下(平米あたり約27,400円)という破格の安値で売却しました。
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公共目的のない「土地交換」の違法: 自治体条例および地方自治法上、公用・公共目的がない土地交換は認められず、本件の交換契約は法的要件を満たさない「絶対的無効」です。
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費用の公金肩代わり・徴収懈怠: 本来業者が負担すべき測量費の市公金支出や、市有地の無償占用・道路占用料の徴収放置など、数々の不当な公金流出が行われました。
③ 経済効果の嘘
市執行部は「40億円の経済効果」を主張しますが、開発を主導するのは市外のゼネコンであり、地元業者への下請け発注はごく一部に過ぎません。
単なる分譲マンション建設であり、持続的な雇用や街づくりを生むものではなく、特定事業者への利益供与を正当化する理由にはなり得ません。
4. 結び:自浄作用を取り戻し、法治行政を弥富市へ
本来であれば、こうした行政の暴走や不当処分は、市の監査委員がチェックし、内部で是正されるべきでした。
しかし、自浄能力が完全に麻痺してしまった以上、私たちは裁判所という司法の判断を仰ぐほかありませんでした。
私たちが求めているのは、以下の通りです。
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損害賠償の請求: 不当処分を主導した市長(安藤氏)、副市長(村瀬氏)、元建設部長(立石氏)個人に対し、市が被った損害(最大約2,580万円)を賠償させること。
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土地の取り戻し: 違法な交換契約の無効に基づく市有地の所有権回復。
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制度改革: 鍵地処分における「限定価格」の厳格適用、入札における「地域要件」の撤廃、第三者委員会による不祥事検証の義務化。
市民の皆様の貴重な税金と共有財産を守り、法治行政に基づく「誇れる弥富市」を取り戻すため、私たちは今後もブレることなく全力を尽くしてまいります。

