8月31日までに意見を届けましょう
西末広工業団地の調整池・排水ポンプ――将来の維持費を誰が負担するのか
弥富市は現在、「名古屋都市計画西末広工業団地地区計画」の案を縦覧しています。
この計画について、弥富市民と区域内の土地所有者などの利害関係人は、都市計画法第17条第2項に基づき、2026年8月31日(月)まで意見書を提出できます。
道路や建物の配置だけでなく、将来の防災施設の管理費を誰が負担するのかという、市の財政にも関わる重要な計画です。ぜひ内容をご確認いただき、皆さんの意見を市へ届けてください。
どのような計画なのか
計画地は、弥富市西末広四丁目の一部、約12.3ヘクタールです。
伊勢湾岸自動車道の湾岸弥富インターチェンジ、国道23号、西尾張中央道、名古屋港に近い立地を生かし、工場や物流施設などを誘致する工業団地として整備されます。
計画には、道路、緑地、水路とともに、次の雨水調整池が地区施設として定められています。
- 調整池1号:約3,060立方メートル
- 調整池2号:約16,700立方メートル
- 合計:約19,760立方メートル
調整池は、工業団地の造成によって増加する雨水を一時的に貯め、周辺への急激な流出を抑えるための重要な防災施設です。
問題は「造った後」の管理です
計画案には、調整池や水路について「これらの機能が損なわれないよう維持、保全を図る」と記載されています。
しかし、次の重要事項が明らかにされていません。
- 調整池や水路を誰が所有するのか
- 完成後、誰が管理するのか
- 弥富市へ無償譲渡されるのか
- 排水ポンプや制御設備がどのように設置されるのか
- 豪雨時に誰がポンプを運転するのか
- 点検、電気代、清掃、除草、浚渫の費用を誰が負担するのか
- 故障修理や設備更新の費用を誰が負担するのか
- 企業の撤退や土地売却後も管理を続けられるのか
調整池は、池を造れば終わりではありません。
土砂の除去、水路の清掃、草木の管理、排水ポンプや電気・制御設備の点検、故障修理、非常用電源の確保、老朽設備の更新を継続して、初めて防災機能を維持できます。
排水ポンプには長期間の費用がかかります
排水ポンプなどの機械・電気設備には、次の費用が継続的に発生します。
- 電気料金
- 定期点検費
- 部品交換費
- 故障修理費
- 豪雨時の運転・監視費
- 非常用電源の維持費
- 将来のポンプ更新工事費
これらの費用負担を決めないまま都市計画を決定すれば、将来、弥富市が管理責任や支出を負うことになる可能性があります。
都市計画法第39条には、開発行為によって設置された公共施設について、別段の定めがない場合は原則として市町村が管理する仕組みがあります。このため、都市計画決定や開発許可の前に、管理者と費用負担を明確にしておくことが重要です。都市計画法(e-Gov法令検索)
工業団地の受益者が負担する仕組みを
調整池や排水ポンプは、この工業団地への工場・物流施設の立地を可能にし、企業用地を安全に利用するために整備される施設です。
そのため、日常管理、維持、修繕、更新に必要な費用は、市民全体の税金ではなく、開発事業者や工業団地内の土地所有者・事業者など、主な受益者が継続して負担する仕組みにすべきです。
具体的には、次の措置が必要です。
- 地区計画に受益者の管理責任と費用負担を明記する
- 開発事業者、土地所有者、事業者、市の間で管理協定を締結する
- 土地所有者・事業者で構成する管理組織を設置する
- 企業の撤退や土地売却後も負担義務が承継される仕組みにする
- 長期修繕計画と専用の積立金を設ける
- 30年以上の維持管理・更新費を試算して公表する
- 仕組みが確立する前に、市が施設の無償譲渡を受けない
土地改良区という国内の先例があります
農業用の排水路やポンプなどについては、「土地改良区」という受益者組織があります。
土地改良法第36条は、土地改良区が施設の整備・管理に必要な経費を組合員から賦課徴収できることを定め、負担額を決める際には、その土地が受ける利益を考慮することを求めています。土地改良法(e-Gov法令検索)
農林水産省も、土地改良施設の管理は受益農家の負担によって行うことが基本であり、管理主体が国、地方公共団体、土地改良区のいずれであっても同様であると整理しています。農林水産省「基幹的農業水利施設の保全等に係る課題」
もちろん、西末広工業団地に土地改良法が直接適用されるわけではありません。
しかし、「施設の受益者が組織をつくり、利益に応じて管理費を継続的に負担する」という仕組みが国内に既に存在することは、工業団地でも受益者による管理組織を設ける有力な参考例になります。
工業団地の整備そのものに反対するものではありません
企業誘致や産業振興を進める場合でも、施設を造る費用だけでなく、完成後の維持費、修繕費、更新費まで含めて計画する必要があります。
問題としているのは、工業団地の便益は企業等に帰属する一方で、調整池や排水ポンプの将来負担だけが市民に残る可能性があることです。
防災施設を長期間、確実に機能させるためにも、都市計画決定の前に管理責任と財源を明確にする必要があります。
意見書を提出できます
弥富市民と区域内の土地所有者などの利害関係人は、縦覧期間中に意見書を提出できます。
意見書には、住所、氏名、対象となる都市計画の名称、具体的な意見を記載します。市の様式を利用できますが、自分の言葉で意見を書くことも大切です。
提出期限
2026年8月31日(月)まで
郵送する場合は、期限に間に合うよう余裕を持って発送してください。
提出先
弥富市 建設部都市整備課 都市計画グループ
- 住所:〒498-8501 弥富市前ケ須町南本田335番地
- 電話:0567-65-1111(内線264)
- ファクス:0567-67-4011
- 電子メール:toshikei@city.yatomi.lg.jp
持参、郵送、ファクス、電子メールで提出できます。詳細や市の意見書様式は、弥富市「西末広工業団地地区計画の案の縦覧について」をご確認ください。
意見書の参考例
今回の問題点をまとめた意見書の参考例を用意しました。住所・氏名を記入し、内容をご確認の上でご活用ください。
都市計画は、決定後に問題を指摘するだけでなく、案の段階で市民が意見を届けることが重要です。調整池や排水ポンプを将来にわたって安全に維持するため、ぜひ意見をお寄せください。

