2年後の報酬審議会を「特別職の透明性を検証する第三者機関」へ
次回の弥富市特別職報酬等審議会は、単に市長等の給与や議員報酬の引上げ幅を選ぶ場にしてはならない。
豊田市の審議会を参考に、報酬を決める指標をあらかじめ定め、月額だけでなく、期末手当、加算率、退職手当、地域手当等を含む年間支給額を明らかにする必要がある。
また、市長、副市長、教育長及び議員は、それぞれ選任方法、職責、権限、政治的責任が異なる。
したがって、一律の改定率を当てはめるのではなく、職ごとに分けて評価し、引上げ、据置き、引下げを同じ条件で比較しなければならない。
さらに、報酬の適正性は、金額だけでは判断できない。市民が報酬に納得するためには、その前提として、特別職の収入、資産、兼職、関連法人、市との利害関係及び政治倫理に関する情報が適切に開示され、第三者が確認できる制度が必要である。
そこで、現在の報酬審議会を拡充し、条例上の附属機関として「特別職報酬・情報公開・政治倫理審議会」を設置することを提言する。
審議会の中には、次の二つの部会を置く。
1 報酬審査部会
報酬審査部会は、次の事項を審議する。
- 月額、期末手当、加算率、退職手当等を含む年間支給額
- 県内各市及び人口・財政規模が類似する自治体との比較
- 市長、副市長、教育長及び議員それぞれの職責
- 市の中期財政見通し、市債残高、基金残高及び将来負担
- 議員活動の実態、政務活動費、立候補者確保及び住民代表性
- 改定による市全体の年間負担額
- 引上げ、据置き、引下げの各選択肢とその根拠
答申書には、多数意見だけでなく、少数意見、採用しなかった案及びその理由も掲載する。
2 情報公開・政治倫理部会
情報公開・政治倫理部会は、市長等特別職について、次の事項を確認する。
- 資産等報告書、資産等補充報告書、所得等報告書及び関連会社等報告書の提出状況
- 前年度からの資産増減と、その主な原因
- 土地、建物、株式、貸付金、借入金、贈与、相続、法人役員報酬等の状況
- 市との契約、補助金、許認可等に関係する法人・団体との利害関係
- 報告漏れ、記載の不整合又は市民から具体的な根拠を付して申立てがあった事項
- 本人から提出された説明及び客観資料との整合性
現在の制度は、市長本人が報告書を作成し、市役所で閲覧させることが中心であり、その内容を独立した第三者が検証する仕組みになっていない。
市長の資産形成について市民から疑問が示されている場合も、疑惑を事実と決め付けるのではなく、第三者が公開資料、本人の説明及び必要な裏付け資料を確認し、
- 疑問が解消された
- 追加説明が必要である
- 現行資料では判断できない
- 記載の訂正又は制度改善が必要である
と客観的に整理して公表するべきである。
審議会は捜査機関ではないため、犯罪の有無や違法性を最終判断する機関にはできない。
しかし、資産公開制度に基づく報告内容の整合性、説明の十分性及び利害関係の有無を確認し、市民に報告することはできる。
3 独立性を確保する委員構成
委員は、市と日常的な関係を持つ団体代表だけに偏らせず、次のように構成する。
- 弁護士
- 公認会計士又は税理士
- 地方自治・行政学の研究者
- 情報公開又は政治倫理の専門家
- 労働者・事業者・市民活動の代表
- 公募市民
公募委員を全体の3分の1程度とし、市との契約、補助、委託、過去の公職歴等を委員就任時に申告・公表する。利害関係のある案件については、その委員を審議から除外する。
4 会議と資料の公開
報酬審議は原則として公開し、次の資料を市ホームページに掲載する。
- 諮問書
- 委員名簿と選任理由
- 公募委員の応募者数、選考基準及び選考方法
- 全配布資料
- 会議録
- 答申案の修正経過
- 少数意見
- 最終答申書
- 市長及び議会が答申を採用又は採用しなかった理由
資産情報については、住所の詳細、口座番号等の安全・プライバシーに関わる情報を非公開とする一方、資産の種類、金額区分、増減、取得原因及び本人の説明については、可能な限り公開する。
個別の資産確認で非公開情報を扱う部分だけは非公開とするが、審査終了後には、確認した事項、本人の説明、判断理由及び少数意見を記載した報告書を公開する。
結論
報酬審議会は、「いくら上げるかを決める会議」から、「特別職が受け取る公金と、特別職自身の情報公開・政治倫理を市民の立場から検証する第三者機関」へ進化させるべきである。
報酬を受け取る側には、職責に見合った処遇を保障する。
一方、市民には、その報酬、年間支給額、資産、利害関係及び判断過程を知り、検証できる権利を保障する。
この二つを一体として制度化することが、報酬をめぐる不信や資産形成への疑問を、うわさや個人攻撃ではなく、資料と第三者審査によって解消する道である。

