
POLICY PROPOSAL
政策提案書(案)
弥富市南部・十四山地域運営協議会の創設
学校再編後も地域のつながりと生活サービスを守り、
公共施設を「使われる地域拠点」へ転換するために
| 提出先 | 弥富市 |
| 提案の対象 | 第3次弥富市総合計画/次期都市計画マスタープラン/学校跡地利活用 |
| 対象地域 | 大藤・栄南地域、十四山地域 |
| 作成日 | 令和8年(2026年)8月27日 |
検討・協議用
提案要旨
| 市に求める決定
令和8年度の第3次総合計画の基礎調査から、「地域運営組織」と「地域生活拠点群」の形成を正式な検討項目に加え、大藤・栄南地域及び十四山地域で、住民・若者・団体・事業者・行政による準備協議を開始する。 |
本提案の核心は、意見を述べるだけの諮問組織ではなく、地域ビジョン、事業予算、有給事務局及び公共施設の運営権限を段階的に持つ継続的な地域運営主体をつくることにある。
令和10年4月の小学校再編は、学校という地域の結節点を失う危機である一方、地域活動、防災、福祉、移動支援、子ども・若者の居場所を再設計する機会でもある。
市は大藤・栄南・十四山東部の各学校跡地を個別に処分・保存する前に、既存のコミュニティ施設と組み合わせた「地域生活拠点群」として評価すべきである。[1]
提案する三つの仕組み
- (仮称)弥富南部地域運営協議会:大藤・栄南を一つの連合圏とし、既存の両コミュニティ推進協議会は身近な活動単位として残す。
- (仮称)十四山地域運営協議会:既存の十四山地区の活動を発展させ、支所・学校跡地・公民館・スポーツ施設等の連携を担う。
- (仮称)弥富市地域共創支援室:新たな建物は設けず、既存組織内で会計、契約、労務、保険、施設予約、情報公開を二地域に共通提供する。
この提案が解く四つの課題
| 課題 | 現状・兆候 | 提案による解決 |
| 学校再編後の空白 | 令和10年4月に大藤・栄南・十四山東部・十四山西部小を再編し、十四山西部小の位置に再編校を設置予定。[1] | 跡地と既存施設を拠点群として機能分担し、地域活動の場所と担い手を同時に確保する。 |
| 諮問だけで終わる | 会議が要望提出にとどまると、実行主体と継続財源が残らない。 | 地域ビジョン、実施計画、交付金、有給事務局、事業評価を一体化する。 |
| 担い手の高齢化 | 市の事業評価でも、会員の高齢化・会員数減少が課題とされている。[4] | 若者枠、公募枠、短期プロジェクト参加、オンライン・夜間会議、謝金等を制度化する。 |
| 小規模市の事務負担 | 市人口は43,312人(令和8年8月1日)。地区ごとに法人・経理を重ねると間接経費が膨らむ。[2] | 意思決定は地域別、専門事務は市の共通バックオフィスに集約する。 |
1 提案の背景と基本認識
1-1 第3次総合計画の策定は、今決めるべき機会である
弥富市は、第2次総合計画が令和10年度に終了することから、第3次総合計画の策定支援業務を開始した。
業務期間は令和11年3月23日までで、令和8年度に現状把握・基礎調査と市民アンケート設計、令和9年度に団体ヒアリング・市民ワークショップ・基本構想案、令和10年度に基本計画案と指標を作成する工程である。[3]
したがって、地域運営組織を総合計画へ反映するには、計画案が固まってから要望するのでは遅い。
令和8年度の基礎調査で先進事例、担い手、施設、災害リスク及び財政負担を整理し、令和9年度の団体ヒアリングとワークショップに大藤・栄南・十四山の地域別協議を組み込む必要がある。
1-2 施設を残すこと自体を目的にしない
学校跡地は地域の記憶と防災上の役割を持つが、全ての校舎をそのまま保存することは、人口・財政・維持管理の面から持続しない。
必要性、利用見込み、災害時の役割、改修費、運営主体、代替可能性を比較し、長寿命化、部分利用、複合化、共同利用、民間活用、解体・売却を選ぶ。結論ありきではなく、試行、効果検証、情報公開、改善の順で進める。
1-3 防災を共通の判断基準にする
地域拠点は、平常時の交流機能だけで評価してはならない。
浸水・地震等の災害リスク、避難・物資・電源・通信・復旧活動の役割、災害後も行政・地域活動を継続できるかを、土地利用と公共施設配置の共通基準にする。
大規模改修や恒久利用を決定する前に、構造安全性とライフサイクルコストを市が確認する。
2 先行事例から得られる制度設計上の知見
| 自治体・制度 | 仕組み | 弥富市への示唆 | 注意点 |
| 岐阜県関市 地域委員会 |
おおむね小学校区を単位に団体・事業者が参加。市が交付金と職員派遣で支援し、地域課題の検討・解決を担う。[5] | 数千人規模でも不自然ではない。既存団体をつなぐ連合型が成立する。 | 行政が担う業務まで全て住民へ移さない。 |
| 愛知県豊田市 地域自治システム |
条例に基づく地域会議、地域課題解決事業、活動団体支援を組み合わせ、地域意見を市施策に反映する。[6] | 意見聴取と実施事業を制度上つなぐ必要がある。 | 地域会議だけでは施設運営主体にならない。 |
| 三重県名張市 地域づくり組織 |
各地域づくり組織が市民センターを指定管理し、利用許可、料金収受、維持管理、地域づくり・生涯学習を担う。[7] | 公共施設を活動拠点と事業基盤にできる。 | 代表者責任、会計ガバナンス、若い担い手不足が課題。[8] |
| 島根県雲南市 地域自主組織 |
交流センターを地域自主組織が指定管理。維持管理費と人件費を行政が措置し、社会教育責任は行政が保持する。[9] | 有給人材と行政責任を切り分ければ、単なる負担転嫁を避けられる。 | 指定管理は準備が整った地域から段階導入する。 |
| 国の小さな拠点・RMO | 令和7年度調査では、小さな拠点の約85%、1,386か所で地域運営組織が形成されている。[10] | 地域生活サービスを横断的に担う仕組みは全国的に確立しつつある。 | 組織設置自体ではなく、実働人材と事業継続を評価する。 |
出典:各自治体及び内閣官房・内閣府の公式資料。詳細は末尾の参考資料を参照。
| 先行事例の結論
弥富市が採るべきなのは、「諮問会議だけ」でも「自治会への丸投げ」でもない。地域の合意形成を担う協議会と、事業・施設運営を担う有給の実行部門を分け、行政の責任と費用負担を協定で明確にする段階方式である。 |
3 弥富市に提案する組織モデル
3-1 二地域・一バックオフィス方式
| 組織 | 範囲・構成 | 主な役割 |
| (仮称)弥富南部地域運営協議会 | 大藤・栄南。既存の両コミュニティ推進協議会、自治会、福祉・防災・子育て団体、学校関係者、事業者、若者、公募住民で構成。 | 南部地域ビジョン、拠点群の機能分担、防災、移動支援、見守り、子ども・若者活動、地域事業の実施。 |
| (仮称)十四山地域運営協議会 | 十四山。既存コミュニティ推進協議会を土台に、支所・公民館・スポーツ・福祉・人権・学校関係者等を接続。 | 十四山地域ビジョン、公共施設ネットワーク、地域交通、防災、福祉、交流・スポーツ事業の調整と実施。 |
| (仮称)弥富市地域共創支援室 | 市役所既存組織内。必要に応じ専門家・中間支援組織を活用。新たな専用施設は設けない。 | 会計、給与、契約、保険、指定管理、公募・調達、予約システム、情報公開、研修、評価の共通支援。 |
3-2 既存組織を廃止せず、役割を重ねない
地域運営協議会は、自治会やコミュニティ推進協議会の上に新しい命令系統を置くものではない。
自治会は身近な生活連絡・相互扶助、既存協議会は地区行事や交流、地域運営協議会は複数地区にまたがる生活課題、公共施設、行政との協定、予算配分を担う。
既存団体は協議会の構成団体になるが、役員兼務を当然とせず、推薦枠の上限を設ける。
3-3 意思決定と実行の二層構造
| 層 | 構成 | 権限・責任 | 会議頻度 |
| 地域協議会 | 25~30人程度。構成団体推薦、公募、若者、事業者、専門職。 | 地域ビジョン、年度計画、予算案、施設方針、評価、利益相反の審議・決定。 | 原則隔月。夜間・オンライン併用。 |
| 実行委員会・事務局 | 会長、副会長、各部会代表、有給コーディネーター、施設スタッフ。 | 決定済み事業の執行、契約、調整、広報、会計、施設の日常運営。 | 月1回以上。日常業務は随時。 |
| テーマ部会 | 防災、福祉・移動、子ども・若者、拠点・施設等。希望者のプロジェクト参加。 | 期限と成果物を定めた調査・試行・事業運営。 | 必要時。常設を最小限にする。 |
4 若者が実際に参加できる制度
「若い人にも声をかける」という努力目標だけでは、既存役員中心の構成は変わらない。参加枠、時間、報酬、権限を制度として用意する。
- 議決権を持つ委員のうち、40歳未満を20%以上の目標枠とし、女性比率40%以上、公募・プロジェクト選出枠を3分の1以上とする。固定団体からの推薦枠は全体の2分の1以下とする。
- 中学生・高校生・大学生・若手社会人による「こども・若者会議」を年2回以上開き、提案の採否と理由を協議会が文書で回答する。
- 会議は平日昼間に固定せず、夜間・休日・オンラインを併用する。託児、交通手段、謝金又は費用弁償を整える。
- 年間役員ではなく、3~6か月のテーマ型プロジェクト、SNS・デザイン・イベント・防災訓練等の短期参加を認める。
- 新たな無償当番や持ち回り役を各世帯に強制しない。継続業務は有給事務局が担い、住民参加は企画と選択を中心にする。
5 公共施設と学校跡地の位置付け
5-1 南部は「一施設」ではなく拠点群で考える
| 候補拠点 | 基本的役割 | 当面の扱い | 恒久化の条件 |
| 南部コミュニティセンター | 南部地域運営協議会の中心事務局、会議、交流、予約・相談窓口。 | 既存利用を継続し、地域事業の窓口機能を追加。 | 運営人員、災害時役割、維持費を含む協定。 |
| 大藤小学校跡地 | 大藤側のサテライト。子ども・若者、地域交流、防災、屋外活動等。 | 安全確認後、必要な校舎部分・体育館・運動場のみ暫定利用。 | 利用率、改修費、避難機能、代替施設との重複を評価。 |
| 栄南小学校跡地 | 栄南側のサテライト。防災、交流、農・環境学習、民間・地域連携等。 | 安全確認後、用途を限定して社会実験。 | 災害リスクと復旧拠点性、アクセス、ライフサイクルコストを評価。 |
5-2 十四山は既存施設ネットワークを再編集する
十四山では、十四山支所、十四山東部小学校跡地、十四山公民館、TKEスポーツセンター、十四山体育館、福祉・人権関係施設等を、所管課ごとの縦割りではなく、地域生活拠点群として評価する。
全施設を協議会へ一括移管するのではなく、案内・予約、事業企画、軽微な日常管理から始め、専門性・法的責任・大規模修繕を要する業務は市に残す。
5-3 現在の利用実績と費用を出発点にする
| 施設 | 令和6年度実績 | 示唆 |
| 南部コミュニティセンター | 利用者16,720人、管理運営事業費10,663,590円。[11] | 既に地域交流の中心であり、南部の主拠点候補として合理性がある。 |
| 十四山スポーツセンター | 利用者58,975人、管理運営事業費32,822,985円。[11] | 利用規模が大きく、地域だけでなく市域施設としての役割も維持する必要がある。 |
| 十四山体育館 | 利用者12,610人、管理運営事業費1,338,568円。[11] | 学校跡地や他の体育施設との機能重複を、予約データと将来費用で比較する。 |
注:上記は令和6年度主要施策成果報告書の単年度実績。建替え・長寿命化費を含む将来コストは別途算定する。
| 公共施設運営の原則
地域運営組織の創設を、施設維持費を住民へ移すために使わない。市は資産所有、構造安全性、大規模修繕、災害対応、法令遵守、専門サービスの責任を保持し、地域は利用者に近い企画・調整・日常運営を担う。 |
6 法人格・契約・指定管理の考え方
地域運営組織は特定の法人類型ではない。組織形成と合意づくりを急いで法人化から始めると、会計・労務・代表者責任が先行する。次の三段階で進める。
| 段階 | 組織形態 | できること | 移行条件 |
| 第1段階 準備・試行 |
任意の準備協議会。市が事務局支援。 | 地域ビジョン、施設・事業の棚卸し、小規模な実証事業。 | 参加の開放性、規約、議事公開、利益相反ルールを整備。 |
| 第2段階 市の認定 |
条例・要綱で地域運営協議会を認定。 | 包括交付金、行政との協定、地域別事業計画、施設の一部運営業務。 | 有給コーディネーター、複式会計又は同等の管理、監査体制。 |
| 第3段階 契約主体 |
必要に応じ一般社団法人、NPO法人等の運営法人を設置。 | 雇用、賃貸借、受託事業、指定管理、収益事業。 | 業務量、責任、資産、収支が法人化に見合うこと。議会の指定等。 |
認可地縁団体との関係
自治会等が不動産を保有するための認可地縁団体は一つの選択肢だが、地域全体の多様な事業、雇用、広域的な構成を担う器として必ずしも最適とは限らない。
既存自治会を法人化して地域運営協議会と同一視せず、契約・雇用の必要が生じた時点で法人類型を比較する。
指定管理者制度との関係
指定管理は、議会の議決を経て団体が公の施設を管理し、利用許可等を行える制度である。
一方、地域側に会計・労務・事故対応の責任が生じる。最初から学校跡地や複数施設を一括指定せず、受付、事業企画、軽微な管理の受託から試し、管理範囲、人件費、修繕区分、損害賠償、災害時指揮、モニタリングを協定で明確にする。
名張市・雲南市の事例は、地域組織による施設運営が可能であると同時に、ガバナンスと行政責任の設計が不可欠であることを示す。[7][8][9]
7 第3次総合計画への反映方策
7-1 計画体系上の位置付け
| 計画階層 | 盛り込む内容 | 成果物 |
| 基本構想 | 人口減少・災害リスク下でも地域生活を持続する「地域分散型の共助・共創」を将来像に位置付ける。 | 基本理念、将来都市像、重点戦略。 |
| 前期基本計画 | 地域運営組織の形成、地域生活拠点群、若者参画、包括交付金、有給人材、公共施設再編を施策化する。 | 施策、主な事業、担当部局、指標。 |
| 実施計画・個別計画 | 二地域の準備協議、施設評価、社会実験、組織認定、運営協定を年度事業にする。 | 工程、予算、施設別判断、評価結果。 |
7-2 基本計画への記載文案
| 総合計画・施策本文(案)
小学校再編後も地域のつながりと生活サービスを維持するため、大藤・栄南地域及び十四山地域において、自治会、コミュニティ推進協議会、地域団体、事業者、若者等が参加する地域運営組織の形成を進めます。地域運営組織が策定する地域ビジョンを市の地域別の取組に位置付け、地域拠点の管理運営、地域福祉、防災、移動支援、子ども・若者の活動等を市と協働して実施します。 |
7-3 重点事業名の例
- 大藤・栄南・十四山地域運営組織形成事業
- 学校跡地・公共施設地域生活拠点化事業
- こども・若者地域参画事業
- 地域共創人材配置・共通バックオフィス事業
- 地域防災・復興事前準備連携事業
8 次期都市計画マスタープランへの反映方策
8-1 現行の三地域区分を補完する実施単位
現行都市計画マスタープランの地域別構想は、市域を北部・中部・南部の三地域に区分し、地域住民の意向を踏まえて地域ごとの方針を定めている。[12]
大藤・栄南はこの区分と完全には一致しないため、三地域区分を直ちに変更するのではなく、複数施設が連携する「地域生活拠点群」を実施単位として重ねる。
これにより、学校区・コミュニティと都市計画上の地域区分を無理に同一化せずに済む。
8-2 地域別構想への記載文案
| 都市計画マスタープラン・地域別構想(案)
南部コミュニティセンター、大藤小学校跡地及び栄南小学校跡地を相互に連携する「南部地域生活拠点群」として位置付けます。また、十四山支所、十四山東部小学校跡地、TKEスポーツセンター及び周辺公共施設を「十四山地域生活拠点群」として位置付けます。各拠点について、公共交通、防災、福祉、交流及び地域運営の観点から機能分担を図り、災害リスク、利用需要及び将来の維持更新費を踏まえて整備・再編の優先順位を定めます。 |
8-3 都市計画上の検討事項
- 市街化調整区域等の立地条件、既存建築物の用途変更、開発許可その他の法的条件を、用途案ごとに早期確認する。
- 拠点間を結ぶ地域公共交通、徒歩・自転車・送迎、デジタル予約・相談を一体で設計する。
- 浸水・地震リスク、避難機能、非常用電源、備蓄、通信、災害後の地域運営継続性を整備順位の共通指標にする。
- 学校跡地だけでなく、周辺の公民館、体育・福祉施設を含む施設総量とライフサイクルコストを比較する。
9 実施工程
| 年度 | 市の計画策定工程 | 地域運営組織の工程 | 施設・跡地の工程 |
| 令和8年度 2026 |
第3次総合計画の策定方針、基礎調査、アンケート設計。 | 庁内横断チーム設置。二地域の担い手・団体・若者調査。先進事例と制度比較。 | 施設台帳、利用、維持更新費、災害リスク、法規制の共通評価。 |
| 令和9年度 2027 |
団体ヒアリング、市民ワークショップ、基本構想案。 | 二つの準備協議会を設置。地域ビジョンと役割分担案を作成。こども・若者会議を開始。 | 拠点群の機能分担案。暫定利用計画と安全確認。 |
| 令和10年度 2028 |
基本計画・指標・パブリックコメント。小学校再編。 | 有給コーディネーターを配置し、移動・見守り・地域活動等の実証を開始。 | 安全性と需要が確認できた範囲で学校跡地の暫定利用。既存施設と予約・案内を連携。 |
| 令和11年度以降 2029~ |
総合計画を実施。次期都市計画マスタープラン、公共施設計画等へ反映。 | 条例・要綱による認定、包括交付金、運営協定。必要な分野のみ法人化・指定管理を検討。 | 社会実験を評価し、長寿命化、複合化、民間活用、解体・売却を決定。 |
10 財政・人員の原則
10-1 「安上がりな自治」にしない
地域運営組織に移せば自動的にコストが下がるわけではない。
施設の老朽化、事故、会計、雇用、個人情報、災害対応の責任が増えるため、立上げ期には支援コストが必要である。
費用削減を先に目標にせず、①サービスの維持・改善、②施設総量の適正化、③重複事務の削減、④地域の担い手確保を評価し、その後に財政効果を検証する。
10-2 必要な財源の構成
- 基礎交付金:地域ビジョン、会議、広報、少額事業に用いる。使途を細かく縛りすぎず、公開・監査を条件とする。
- 人材費:各地域5~1人程度から有給コーディネーターを配置し、事業量と開館時間に応じて見直す。
- 施設運営費:光熱水費、保守、清掃、修繕、人件費を業務範囲に応じて積算し、住民負担に付け替えない。
- 実証事業費:移動支援、見守り、子ども・若者の居場所、予約一元化、防災訓練等を小さく試す。
- 共通支援費:会計・労務・契約・保険・デジタルを市全体で共通化し、二地域で重複投資しない。
10-3 毎年度公開するコスト比較
| 比較項目 | 直接運営 | 地域運営・指定管理 | 民間活用・再編 |
| 10~30年費用 | 人件費、光熱、保守、改修、更新。 | 指定管理料、支援人員、修繕区分、監査。 | 賃料・収入、改修負担、解体、売却、代替サービス。 |
| サービス | 開館時間、利用者、事業数、相談対応。 | 地域課題への対応、参加者、多世代利用。 | 公共性、利用条件、代替可能性。 |
| リスク | 行政人員、施設事故、災害継続。 | 代表者負担、担い手、会計、事故責任。 | 撤退、契約不履行、用途制限、公共性低下。 |
11 評価指標と見直し
| 分野 | 主な指標 | 確認方法 | 見直し基準 |
| 参加と代表性 | 40歳未満・女性・公募委員比率、会議参加率、若者提案の回答率。 | 委員名簿、出席、提案回答の公開。 | 目標未達が2年継続した場合、選出方法を改定。 |
| 事業成果 | 移動、見守り、防災、居場所等の利用者数と利用者評価。 | 事業ごとの目的・費用・成果を年度報告。 | 効果が低い事業は縮小・中止・再設計。 |
| 施設 | 稼働率、利用者、1利用当たり費用、修繕費、災害時機能。 | 予約データと施設別ライフサイクルコスト。 | 代替可能で低利用・高費用なら統合等を検討。 |
| 組織運営 | 職員の離職、会計指摘、業務時間、利益相反、苦情。 | 第三者確認、監査、モニタリング。 | 重大事故・不正時は権限停止と改善計画。 |
評価結果は毎年度公開し、3年ごとに制度全体を検証する。地区間の単純な順位付けではなく、人口、施設、災害リスク、事業内容の違いを考慮する。
12 市に求める具体的対応
- 令和8年度の第3次総合計画基礎調査に、地域運営組織、地域生活拠点群、公共施設運営の先進事例比較を追加する。
- 企画政策、総務、市民協働、防災、福祉、教育、都市計画、公共施設、財政による庁内横断チームを設置する。
- 大藤・栄南地域及び十四山地域で、既存団体、若者、子育て世代、事業者、公募住民へのヒアリングを実施する。
- 令和9年度に二つの準備協議会を設け、地域ビジョンと拠点群の機能分担案を作成する。
- 第3次総合計画の基本計画に、地域運営組織形成事業、有給人材、若者参画、包括交付金、評価指標を明記する。
- 次期都市計画マスタープランに、南部地域生活拠点群及び十四山地域生活拠点群を位置付ける。
- 学校跡地と周辺公共施設を、災害時の役割、利用需要、維持更新費、代替可能性、法規制の共通様式で評価し公開する。
- 無償の住民労働への転嫁を避けるため、有給コーディネーターと市の共通バックオフィスを制度・予算上確保する。
- 令和10年度から小規模な実証事業を行い、効果を公開した上で、法人化や指定管理の範囲を段階的に決める。
結び
地域運営組織の目的は、行政の代わりに住民へ仕事を押し付けることでも、施設を残すための受け皿をつくることでもない。
学校再編後も、地域が自ら課題を選び、行政と責任を分け、若い世代を含む多様な人が無理なく関われる仕組みを残すことである。
弥富市の人口規模だからこそ、二地域に意思決定を分けながら、専門事務は市全体で共通化できる。
第3次総合計画の策定初年度である今、地域の声を聞く場の設置にとどめず、実行・予算・拠点・評価までを一体として設計することを提案する。
参考資料
[1] 弥富市学校跡地利活用基本方針(弥富市)―令和10年4月の小学校再編と跡地活用方針 公式資料
[2] 市の人口(弥富市)―令和8年8月1日人口43,312人 公式資料
[3] 第3次弥富市総合計画策定支援業務委託・仕様書(弥富市)―令和8~10年度の策定工程 公式資料
[4] 第2次総合計画実施計画事業評価シート・コミュニティ活動の活性化支援(弥富市)―会員の高齢化・会員数減少等 公式資料
[5] 地域委員会(関市)―小学校区単位、交付金・職員派遣、地域課題解決 公式資料
[6] 地域自治システム(豊田市)―地域会議・地域課題解決事業・活動支援 公式資料
[7] 名張市市民センターの管理の方針(名張市)―地域づくり組織による指定管理 公式資料
[8] 名張流地域づくりシステムの経緯(名張市)―代表者負担、若い担い手、会計ガバナンスの課題 公式資料
[9] 地域づくり活動拠点施設・交流センター構想Q&A(雲南市)―指定管理料・人件費と行政責任の整理 公式資料
[10] 令和7年度小さな拠点の形成に関する実態調査(内閣官房・内閣府)―地域運営組織の形成状況 公式資料
[11] 令和6年度主要施策成果報告書(弥富市)―南部コミュニティセンター・十四山スポーツ施設の実績 公式資料
[12] 弥富市都市計画マスタープラン 地域別構想(弥富市)―現行の三地域区分と地域別方針 公式資料
用語整理
| 用語 | 本提案での意味 |
| 地域運営組織(RMO) | 地域の多様な主体が参加し、生活課題を横断的に解決する組織の総称。特定の法人格を意味しない。 |
| 地域運営協議会 | 地域の代表性と合意形成を担う本提案上の組織名称。正式名称は準備協議で決定する。 |
| 地域生活拠点群 | 単一施設へ機能を集め切らず、複数の既存施設・学校跡地を連携させる都市・地域運営上の拠点。 |
| 実行部門・運営法人 | 協議会の決定に基づき、雇用、契約、事業、施設運営を担う事務局又は法人。 |
