住民が議会の仕事を示していた――十四山中学校跡地の市民説明会を考える【第3回】
2026年9月26日の十四山中学校跡地の市民説明会で、私がもう一つ考えさせられたのは、**「この議論を議会は十分にできているのか」**ということです。
会場の住民は、地域の実情や卒業生としての思いを語るだけではありませんでした。
計画の目的、別の選択肢、検討の順序、住民意見の扱い方を問い、説明の筋道を確かめようとしていました。
私は、その問いの立て方に、議員として学ぶべきものがあると感じました。
私自身も含め、会場にいた議員は、住民の発言を議会の審査につなげる責任があります。
議会基本条例が掲げる「行政のチェック」
これは議会への抽象的な期待ではありません。弥富市議会基本条例の解説版は、議会の最大の使命を、行政のチェック機能と市民の要望を反映した政策の実現と説明しています。
条例第3条は議員に市民の意見を的確に把握することと自己研さんを求め、第4条は議会による情報共有と説明責任を定めています。
さらに第8条は、市民生活に重要な影響を及ぼす事業について、議会が市長側に次の点を説明させることができるとしています。
なぜその問題が生じたのか。提案までの経緯はどうか。
他自治体とどう比較したか。
市民参加をどう行ったか。
総合計画との整合性、財源、将来の効果と費用はどうか。
まさに住民が説明会で問うていたのは、計画を判断するためのこうした筋道でした。
行政の説明に疑問があれば、議会は資料を求め、別案も含めて検証し、答えが足りなければ問い直す。そのために議会があります。
問う議員はいる。それを議会全体の議論にできるか
議会で誰も質問してこなかった、というわけではありません。
たとえば2025年9月16日の市議会会議録には、十四山中学校跡地について、グラウンドを選んだ理由、ほかの利活用、校舎の保存、避難先を順に問い、市長や部長が答えた記録があります。
問われるのは、個々の議員の質問を、その場だけで終わらせていないかです。
質問を受けて明らかになった未検証の点を委員会に引き継ぎ、資料をそろえ、議員同士で異なる案を比較する。
そうして初めて、議会としての判断が深まります。
ところが私は、今回の説明会で住民が示した論点の広さと深さに比べ、議会全体としての検証が十分に見えていないと感じます。
住民に「なぜこの案か」と問わせたまま、議会が市の説明を追認するだけなら、二元代表制の一方を担う役割を果たせません。
「住民の方が議員よりよほど鋭く問うている」と感じたのは、そのためです。
議長と委員長は、討議を深める進行を
同条例第10条は、議会を議員による討議の場と位置付け、議長と委員長に、議員間討議を中心に会議を運営し、その結果を市政に反映できるよう意見を集約することを求めています。
一方、議会委員会条例第11条は委員長の議事整理と秩序保持を定めています。
もちろん、議長や委員長は時間を管理し、議題から外れた発言を整理する必要があります。
しかし、計画の前提や比較の不足を問う発言まで、進行を優先して十分に掘り下げられないなら、討議のための議事整理になっているのかを考え直すべきです。
私はこれまでの議会で、重要な問いを続けようとして進行上の制約を感じたことがあります。
議会の幹部にも一般の議員にも、市の計画を最初から「問題がないもの」として扱わず、提案の理由と弱点を点検する姿勢が必要です。
疑問を出す議員を厄介者と見るのではなく、その問いによって計画が良くなるかを議論したいのです。
住民の問いを議会へ持ち帰る
私は、今回の説明会で出た質問を論点別に整理し、少なくとも次のことを議会で行うべきだと考えます。
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説明会の質疑と未回答事項を市に確認し、記録を共有する。
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議会基本条例第8条の項目に沿って、計画の形成過程、代替案、財源、将来負担の資料を求める。
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所管委員会で住民の問いを踏まえた調査を行い、議員間で結論の異なる見方も討議する。
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議会として何を確認し、何がなお不明か、市民に説明する。
住民は議会の代わりに質問するために説明会へ来たのではありません
。住民が示した問いを、制度上の権限と責任を持つ議会が受け取り、行政を検証する。その仕事を私自身も果たしたいと思います。

