防災と地域の未来を先に考えたい――十四山中学校跡地の市民説明会を考える【第4回】
2026年9月26日、十四山中学校跡地の整備方針案について、市民説明会が開かれました。
私が最も大切だと感じたのは、跡地に何を造るかという前に、地域に必要な防災機能をどう守り、日常の活力につなげるかという問いです。
校舎の一部を残しても、避難機能は維持できるのか
市の新しい案は、校舎を全て取り壊すものではありません。特別教室棟と渡り廊下を改修して残し、それ以外の建物は令和11年度中までに解体する方針です。残す施設を災害時の防災拠点とする、と説明しています。
しかし、旧十四山中学校は現在、市の「2次開設避難所」です。
また、南校舎の2階・3階・屋上は、水害などが迫ったときに高い場所へ一時的に逃げる「緊急時避難場所」として指定され、市の一覧には収容可能人数4,171人と記されています。
この数字は避難可能面積を1平方メートル当たり1人で計算した緊急避難用の人数であり、避難生活を送れる人数ではありません。
だからこそ、南校舎を解体した後に、何人が、どの建物の、どの階へ、どの災害時に避難できるのかを示す必要があります。
特別教室棟を残すという説明だけでは、現在の機能との差が分かりません。
解体前後の収容可能人数、開設体制、備蓄やトイレ、周辺施設で補う場合の移動経路を、災害の種類ごとに比較してほしいと思います。
全ての校舎をそのまま保存すればよい、と言っているわけではありません。
市の試算では、既存建物全体の大規模修繕には10億円以上、全体を集会施設等として利用する場合の維持管理には年間約5,000万円が見込まれています。
一方で、必要な棟を限定して一定期間使う案や、機能を移す案の費用と効果も比べなければ、判断はできません。
スポーツ広場と「硬式野球に対応できる施設」は分けて考える
市は、上野グランドを十四山グランドへ統合し、多目的グランドとして整備する案を示しています。
地域でスポーツや行事に使える広場を確保すること自体は、大切な選択肢です。
ただ、硬式野球にも対応させるなら、話は別です。
市内には既に複数の屋外運動施設があり、市の資料にも上野グランドと亀の子グランドが硬式野球の利用施設として挙げられています。
さらに市自身、人口1人当たりの屋外運動施設の面積は比較対象の平均より多く、施設によっては利用率が低く、特定団体の占有率が高いことを課題としています。
上野グランドの実際の利用団体数と利用時間、統合後に必要な面積、硬球の飛び出しを防ぐ設備と工事費、近隣の安全対策を公開すべきです。
特に、現在の学校敷地で硬式野球を安全に行える配置が可能か、実寸の図面で確かめる必要があります。
利用が一部の団体に偏るのであれば、公費による整備と公平な利用のあり方も問われます。
関係者の役職や市の意思決定への関与についても、疑念を残さない説明が必要です。
私は、スポーツ利用そのものに反対しているのではありません。
多くの住民が利用できる広場と、硬式野球に対応するために追加費用や安全対策が必要な施設を、同じ言葉で一括りにせず比較したいのです。
「白紙に戻した」後、何を比較して案を選び直したのか
説明会では、昨年の案を白紙に戻したのに、結局はグランド中心の案に見える、という趣旨の問いも出ました。
今回の市の資料には、住民意見の聴取、市民活動団体等への調査、民間事業者への聞き取りを経て案を見直した経緯が記されています。
市が何も検討しなかった、と言うべきではありません。
そのうえで、見直し前後の違いと、複数案の比較結果は、住民に分かる形で示されるべきです。
防災機能の維持、地域交流、既存校舎の部分利用、グランド整備について、それぞれの費用、利用者、安全性、将来負担を並べて初めて「なぜこの案なのか」を判断できます。
私は、説明会で出た質問と未回答事項を整理し、議会でも資料を求めます。
まず守るべき防災機能を明らかにする。
そのうえで、地域に開かれた活用を考える。 十四山中学校跡地の議論は、この順序で進めるべきだと思います。
