ソーシャル・イノベーターへ――まずは「自ら問いを立てる」ことから
先の記事で、弥富市役所の職員は誰もがソーシャル・イノベーターだと書きました。
地域の課題に触れ、市民と話し、制度や予算を使ってまちを変えられる立場にいるからです。
ただ、その力を発揮するには、仕事への向き合い方を少し変える必要もあります。
私がその第一歩として伝えたいのは、自ら問いを立てることです。
「この手続は、誰のためにあるのか」「市民はどこで困っているのか」「これまでどおり続けてよいのか」。与えられた課題に正解を出す前に、現場で見聞きしたことから、自分の問いを持つ。その問いを市民や同僚と確かめ、必要ならやり方を変えていく。
自分で問いを立てられるようになれば、あとは一人ひとりの関心と経験を生かして、道を探してほしいと思います。
もちろん、公務には法令や公平性、説明責任があります。
「好き勝手にやってよい」という意味ではありません。
その約束を守りながらも、職員自身が考える余地を広げてほしいのです。
子どもに求める「探究」を、大人の仕事にも
この考え方は、私だけの思いつきではありません。
学校教育でも、子どもが自ら課題を見つけ、調べ、考え、他者と協力しながら解決を探る「探究」が重視されています。
小学校の生活科、総合的な学習の時間、高校の総合的な探究の時間は、それぞれ別の教育課程ですが、身近な暮らしや社会から問いを見いだす姿勢につながっています。
探究の目的を「競争に勝てる人材づくり」だけで語りたくはありません。
違う経験や考えを持つ人の声を聞き、一人ひとりを尊重しながら、共に暮らす社会をつくる。
そのためにも、自分の問いを持つことが大切だと私は考えます。
弥富市の教育大綱は2024年3月に策定され、「主体的・対話的で深い学び」や人権の尊重を掲げています。
この方向を、子どもが自分の問いを立てられる授業や、多様な意見が歓迎される学校として、もっと具体的に示してほしい。
そして、市役所自身もその姿勢を仕事の中で実践してほしいと思います。
問いを歓迎する市役所へ
「なぜ、この事業をするのですか」「別の方法はありませんか」。
職員の問いを、上司への反抗と受け止めてはいけません。
問いがあるから、見落としていた問題に気づけます。
市民の問いに耳を傾ければ、行政だけでは思いつかなかった方法も見えてきます。
幹部の役割は、職員に模範解答を覚えさせることよりも、問いを安心して出せる場をつくり、調べたり試したりできる時間と裁量を確保することです。
失敗や異論をすぐに人事評価上の不利益につなげないことも欠かせません。
市民とともに問いを立て、自分の仕事から変えていく。
弥富市役所の職員の皆さんには、ソーシャル・イノベーターとして、その一歩を踏み出してほしいと思います。
私もまた、市民と議会の立場から問いを立て続けます。

