「下水道に51年、270億円!」弥富市の見えない借金、ご存知ですか?
〜公共事業と財政の深い闇〜
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終わらない工事:下水道整備に51年かかる? 当初の計画から大幅に遅れ、費用も膨張。
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交付税の誤算:国からの補填(交付税)は予定の3割だけ。残りの7割(約179億円)は市民の負担です。
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毎年5億円の赤字:下水道会計への繰入金(補助)が常態化。このままでは他の予算を圧迫します。
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駅整備のリスク:人口減少の中、巨額投資は正解か? 近鉄駅の利用者は25年前の3/4に減っています。
「見えない負担」に気づいた時、手遅れにならないために。
公共施設の「持続可能性」を問う。
〜一般質問から見えた、3つの財政リスク〜
- 下水道事業の重荷建設費だけでなく、維持管理や更新費に莫大なコストがかかります。人口減少下での拡大路線は見直しが必要です。
- 投資的経費の膨張駅整備や庁舎建設など、今後10年で400億円超の事業が計画されていますが、財源の裏付けは十分でしょうか?
- 将来世代へのツケ借金(市債)の返済が続く中、新たな借金を重ねる構造。高齢化で扶助費が増える未来に、耐えうる財政ではありません。
「身の丈に合った市政」への転換を求めます。
以下議事録です
○6番(佐藤仁志君) 6番 佐藤仁志でございます。
公共施設でいうと、学校や社会教育センターのように目に見える公共施設が財政負担であ
ることは市民の目からも明らかです。実は、目に見えにくく負担が大きいのが公共下水道と
農業集落排水ではないでしょうか。
そこで、弥富市の財政面から、公共施設の持続可能性を点検します。
まず公共下水道の計画と実績について質問します。下水道事業に着手するため、平成13年
当時に弥富町が議会に示した資料を見ていただきながら質問します。

【議事録要約】公共下水道事業の計画と実績の乖離について
質問者: 佐藤仁志 議員(6番)
答弁者: 水谷繁樹 下水道課長
1. 当初の計画(平成13年時点)の確認
佐藤議員は、事業着手当時(平成13年)に議会へ示された資料を提示し、当時の計画内容を確認した上で、現在の実績を問い質しました。
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当時の計画期間: 22年間
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当時の建設事業費: 258億3,000万円
2. 現在の実績と見込み(課長答弁)
水谷下水道課長は、現在策定中の「経営戦略」に基づく最新の実績・見込み数値を回答しました。
| 項目 | 内容 |
| 整備期間 | 51年間 (当初計画の倍以上) |
| 建設事業費 | 約270億円 |
| 補助対象率 | 76% |
| 起債充当率 | 90% (利率 1.2%) |
| 受益者負担金 | 徴収なし |
| 使用料単価 | 183円 / 立方メートル |
| 有収率 | 89% |
【分析】「51年」という数字が突きつける行政計画の破綻
この質疑から浮き彫りになったのは、当初計画の見通しの甘さと、現状追認で事業を継続しようとする行政の硬直性です。以下の3点において、極めて深刻な懸念があります。
1. 「建設」と「更新」のイタチごっこ(自転車操業化) 下水道管の法定耐用年数は一般的に50年です。整備期間が「51年」に延びたということは、**「計画の最後のエリアが完成する頃には、最初のエリアの施設が寿命を迎え、更新(作り直し)が必要になる」ことを意味します。 これは「いつまで経っても工事が終わらない」という永久普請(えいきゅうふしん)**の状態であり、建設費と更新費が二重にのしかかる財政的悪夢のシナリオです。
2. コスト試算の信憑性に対する疑義 期間が22年から51年へと**2倍以上(+29年)に延びているにもかかわらず、総事業費の見込みが約258億円から約270億円へと微増(+12億円程度)**にとどまっている点は、経済的常識から見て極めて不自然です。 29年分の人件費高騰、資材価格の上昇、そして長期化に伴う金利負担や維持管理費の増大が、この数字に正しく反映されているのか、強い疑念が残ります。「過小見積もり」によって事業の採算性を良く見せようとしている可能性があります。
3. 世代間公平性の欠如 当初22年で完了するはずだった事業が50年以上続くということは、「負担する世代」と「受益する世代」が完全に乖離することを意味します。 現在の現役世代は、自分が生きているうちに下水道が完備されるかどうかも分からないまま、借金(起債)の返済負担だけを背負わされることになります。これは行政としての説明責任を果たしているとは言えず、計画の抜本的な見直し(縮小や合併浄化槽への転換など)を避けて通れない状況であることを示唆しています。

【議事録要約】下水道事業の財政計画と地方交付税の誤算
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 立石隆信 財政課長
1. 平成13年当時の「甘い」見通し
まず佐藤議員は、事業着手当時に議会へ説明された財政計画(平成13年資料)について確認しました。当時の計画は、国からの支援(地方交付税)を非常に高く見積もっていました。
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名目上の繰出金(総額): 約149億円
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見込まれた地方交付税: 約142億円
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市の実質負担額: 約6億4,580万円
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当時の説明:借金のほとんどは国が面倒を見てくれるので、市の持ち出しはわずか6億円程度で済む。
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財政課長の回答: 「当時はその計画で適切だと考えていたが、現在は交付税の計算条件が変わっている。」
2. 厳しい現実(交付税措置の実態)
続いて佐藤議員は、現在の実際の交付税措置率(国が借金を肩代わりしてくれる割合)を問い質しました。
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質問: 下水道事業の借金返済に対して、実際は何%が交付税措置されるのか?
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回答(財政課長): 現在は、約30%です。
3. 衝撃的な負担増(6億円 → 179億円)
この回答を受け、佐藤議員は当初の説明と現在の負担額の莫大な乖離(かいり)を指摘しました。
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当初の説明: 「ほぼ100%補填される」として議会の了解を得た。
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現在の実態: 30%しか補填されない。
【結果としての市の負担額(試算)】 起債償還額(借金総額)255億8,000万円のうち、交付税で賄われない残り7割は市が自腹で払わなければなりません。
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当初想定: 約6億円
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実質負担: 約179億円
【分析】「前提崩壊」が生んだ財政の時限爆弾
この質疑から明らかになったのは、単なる「見積もりの誤差」では済まされない、行政計画の根本的な欠陥です。以下の3点において、極めて深刻な問題があります。
1. 事業着手の「正当性」の喪失 議会や市民が当初この巨大事業を認めた最大の根拠は、「市の負担はわずか6億円で済む(=打ち出の小槌がある)」という説明でした。 しかし、その前提が崩れ、負担が約30倍(179億円)に膨れ上がった現在、「事業着手時の合意」はもはや無効に等しいと言えます。条件がここまで激変した時点で、計画の凍結や縮小を含む抜本的な見直しを行わずに漫然と継続していることは、行政の不作為(やるべきことをやらないこと)と言わざるを得ません。
2. 「他力本願」な財政運営のツケ 「国の制度が変わったから仕方がない」という答弁は、自治体の経営者として無責任です。 そもそも、数十年続く超長期プロジェクトにおいて、「国が借金を100%肩代わりしてくれる」という**あまりに都合の良い制度が永続すると信じ込んだ「楽観バイアス(正常性バイアス)」**こそが諸悪の根源です。リスクヘッジ(危機管理)を欠いた計画が、現在の財政を圧迫する「時限爆弾」となっています。
3. 市民サービスへのしわ寄せ(機会損失) 本来払う必要がないと想定していた「約179億円」が、市の財布から消えていくことになります。 これは単なる数字上の話ではなく、「そのお金があればできたはずの福祉、教育、防災対策」が犠牲になることを意味します。下水道という一つのインフラのために、他のあらゆる市民サービスが長期間にわたって圧迫され続けるという「機会損失」の重さを、市は直視する必要があります。

【議事録要約】下水道事業 17年間の実績(平成15年度~令和元年度)
質問者: 佐藤仁志 議員(6番)
答弁者: 水谷繁樹 下水道課長
1. 支出の実績(何にお金を使ったか)
支出合計: 約148億円
| 項目 | 金額(約) |
| 建設費 | 107億円 |
| 起債償還費(借金の返済) | 17億円 |
| 維持管理費 | 13億円 |
| 流域下水道建設負担金 | 11億円 |
2. 財源の実績(どこからお金が出たか)
(A) 建設費の財源(合計:約118億円)
| 財源 | 金額(約) | 備考 |
| 起債(借金) | 72億円 | |
| 国費(補助金) | 42億円 | |
| 市費 | 4億円 | |
| 県費 | 400万円 | |
| 受益者負担金 | 0円 | 徴収なし |
(B) 維持管理・借金返済の財源(合計:約30億円)
| 財源 | 金額(約) |
| 市費(税金等) | 18億円 |
| 使用料・諸収入 | 12億円 |
【分析】「受益者負担」の崩壊と「借金頼み」の危うさ
この17年間の実績データから浮き彫りになるのは、持続可能な経営とは程遠い、**「構造的な赤字」と「将来へのツケ回し」**の実態です。以下の3点において、極めて深刻な問題が指摘できます。
1. 「使用料」で賄えていない自転車操業(独立採算の破綻) 本来、下水道事業などの公営企業は、利用者が支払う「使用料」で維持管理費や借金返済を賄うのが原則(独立採算)です。 しかし実績を見ると、維持管理・返済に必要な約30億円に対し、使用料収入等は約12億円しかありません。不足分の**約18億円(60%)を税金(市費)で穴埋めしており、「使えば使うほど市の財政を圧迫する」**という不健全な収支構造が定着しています。
2. 「受益者負担金 0円」の異常性 通常、下水道が整備されると土地の価値が上がるため、土地所有者から「受益者負担金」を徴収するのが一般的です。 しかし、実績ではこれが**「0円」となっています。これは、下水道の恩恵を受ける人と受けない人の間の「公平性」を著しく欠いている**だけでなく、建設費の財源を自ら放棄し、その分を借金(起債)に依存せざるを得ない状況を招いています。
3. 見せかけの「安さ」と隠れた「巨額債務」 建設費の財源内訳を見ると、直接的な市の持ち出し(市費)は4億円と少なく見えますが、その裏で**72億円もの借金(起債)を積み上げています。 佐藤議員が指摘した通り、この借金のうち交付税でカバーされない約51億円は、「将来の市民が税金で返さなければならない隠れ債務」**です。目先の負担を小さく見せかけ、将来世代に巨額の請求書を回している構図は、財政規律の観点から極めて無責任と言わざるを得ません。
【次の議題】
事業費が増加傾向にある「社会資本総合整備計画」について議論が移ります。

【議事録要約】下水道事業費の推移と今後の投資計画
質問者: 佐藤仁志 議員(6番)
答弁者: 水谷繁樹 下水道課長
1. 年間事業費の実績と見込み(課長答弁)
重点アクションプランにある「年当たり計画事業費 7.3億円」は、管渠(かんきょ)整備費と設計委託費の合計です。
各年度の具体的な数字は以下の通りです。
| 年度 | 金額(約) | 区分 |
| 平成28年度 | 6億9,800万円 | 実績 |
| 平成29年度 | 9億5,300万円 | 実績 |
| 平成30年度 | 8億2,700万円 | 実績 |
| 令和元年度 | 7億3,600万円 | 実績 |
| 令和2年度 | 8億4,500万円 | 見込み |
| 令和3年度 | 6億9,900万円 | 見込み |
| 令和4~7年度 | 各年 7億2,800万円 | 見込み |
【分析】「惰性の公共投資」が招く財政の硬直化
この質疑から読み取れるのは、人口減少や財政難という時代の変化にかかわらず、一度決めた計画(年7.3億円ペース)を**「惰性」で継続しようとする行政の硬直的な姿勢**です。以下の3点において、市政運営上の重大なリスクがあります。
1. 予算配分の「聖域化」による弊害 令和2年から7年までのわずか6年間で約44.5億円という巨額を、下水道という単一のインフラ整備に投入し続ける計画です。 市の予算は有限です。下水道にこれだけの巨額投資を固定化(聖域化)することは、**「教育、福祉、防災など、他の緊急性の高い分野への予算配分を圧迫し続ける」**ことを意味します。財政の柔軟性を奪い、突発的な危機(災害など)への対応力を弱める危険な賭けです。
2. 「縮小社会」における「拡大路線」の矛盾 人口が減少し、将来の税収減が確実視される中で、新たなインフラ(将来の維持管理コスト)を増やし続けることの合理性が欠如しています。 今、44億円かけて作った管渠は、将来の市民にとっては「資産」ではなく、維持更新費がかさむ「負債」となる可能性が高いです。「作れば作るほど将来が苦しくなる」という構造的な矛盾を直視せず、拡大路線をひた走る計画は無責任と言わざるを得ません。
3. 「計画ありき」の思考停止 実績(約7~9億円)と今後の見込み(一律約7.3億円)がほぼ横並びであることは、「財政状況に合わせた柔軟な見直し」が行われていない証左です。 「計画にあるから予算を消化する」という思考停止に陥っており、費用対効果の厳密な検証や、より安価な代替手段(合併浄化槽への転換など)の検討が疎かにされている懸念があります。
【次の議題】
令和2年度の予算書に基づいた詳細な質問へ移ります。

【議事録要約】下水道事業の赤字構造と一般会計への負担
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 水谷繁樹 下水道課長
1. 令和2年度の収支バランス(大赤字の現状)
佐藤議員は、予算書に基づき、下水道事業(農業集落排水含む)の経営が「使用料収入」だけでは全く成り立っていない現状を指摘しました。
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収入(下水道使用料): 約2億6,000万円
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支出(営業費用): 約7億9,000万円
【支出の内訳】
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直接的な経費: 約2億7,000万円
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(管渠費、処理場費、総係費、流域下水道負担金など)
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減価償却費: 約5億2,000万円
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(将来の設備更新のための積立など)
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議員の指摘: 「使用料(2.6億円)では、毎年の直接経費(2.7億円)すら賄えていない。ましてや更新費用(5.2億円)には全く届いていない。」
2. 一般会計からの「持ち出し」予測
この赤字を埋めるため、市の財布(一般会計)から多額の補助金が投入されています。
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現在の補助金(繰入金): 約4億5,000万円
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(新規建設を止めたとしても、恒常的にかかるお金)
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質問: 「当分の間、毎年5億円程度の持ち出し(補助)が必要なのか?」
回答(下水道課長): 「はい。現在策定中の経営戦略では、令和7年度頃をピークに約6億円の繰入金(持ち出し)が必要になると見込んでいます。」
【分析】「事業」としての体をなしていない構造的欠陥
この質疑から浮き彫りになるのは、弥富市の下水道事業が「独立採算」という公営企業の原則から完全に逸脱し、**市の財政を食い潰す「金食い虫」**と化している実態です。以下の3点において、経営上の致命的な欠陥があります。
1. 「操業するほど赤字」という異常事態 公営企業の最低ラインは「日常的な経費(運転資金)を使用料で賄うこと」です。 しかし現状は、収入(2.6億円)が直接経費(2.7億円)すら下回っています。これは**「設備投資の回収(借金返済)」どころか、「日々の電気代や委託費すら稼げていない」**ことを意味します。ビジネスとして見れば、即時撤退レベルの完全な破綻状態です。
2. 将来世代への「インフラ更新費」の未積立 減価償却費(約5.2億円)は、将来施設が老朽化した際に作り直すための「貯金」であるべきものです。 現状はこの貯金が全くできていないどころか、その分まで赤字を垂れ流しています。これは、**「現在の市民は安く利用し、老朽化した際の莫大な更新費用は、将来の市民に税金で払わせる」**という、世代間の公平性を著しく欠いた無責任な経営体質です。
3. 一般財源(税金)への寄生 「年間6億円の持ち出し」は、市の財政にとってあまりに重い負担です。 この6億円があれば、保育所の充実、学校の修繕、防災対策など、多くの市民サービスを向上させることができます。下水道事業の赤字穴埋めのために、「他のあらゆる行政サービスが犠牲になり続ける」という巨大な機会損失が発生していることを、市は深刻に受け止めるべきです。
次に、資本的収入及び支出について質問します。

【議事録要約】下水道事業の将来負担と経営課題
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 立石隆信 財政課長 / 水谷繁樹 下水道課長
1. 借金返済のピークと一般会計への負担
佐藤議員は、過去の借金返済(企業債償還金)が今後増加し、一般会計からの持ち出し(補助金)が巨額になることを懸念しました。
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現状の懸念:
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近年の起債額(借入)が増加しているため、将来の返済額も増える。
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ピーク時には年間約6億円の返済が発生する予想。
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その結果、一般会計から**毎年5億~7億円の補助(持ち出し)**が必要になるのではないか。
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【財政課長の回答】
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返済ピーク: 約10年後に迎える予定。
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現状のままなら: 毎年5億円以上の補助が恒常的に必要になる。
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改善の期待: 接続率向上による「使用料収入の増加」や、水量増加による「運営負担単価の低下」で、実質的な持ち出しは減っていくと想定している。
2. 公営企業会計への移行(メリット・デメリット)
佐藤議員は、今年度から導入された「公営企業会計」について、その意義を問いました。
【下水道課長の回答】
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変更点: 官公庁会計(現金主義)から、企業会計(発生主義・複式簿記)へ。
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メリット:
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「貸借対照表」や「損益計算書」を作成することで、経営成績(黒字か赤字か)や財政状態(資産と借金)が明確になる。
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これにより、今後の取り組み方針を検討しやすくなる。
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デメリット: 特になし(職員に専門知識が必要になる程度)。
3. 巨額の建設費と将来の「更新コスト」
佐藤議員は、建設費だけでなく、将来必ず発生する「更新(作り直し)費用」の深刻さを指摘しました。
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建設費の総額: 計画では約270億円。
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更新コストの試算:
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耐用年数50年とすると、維持するだけで毎年数億円の更新費が必要になる。
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これに借金返済を加えると、毎年5億円以上の持ち出しが続くことになる。
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建物と違い、下水道は簡単に廃止や売却ができない。
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【議員の提案】 「今後整備するエリアは、本当に接続してくれるか住民アンケートをとり、見込みのある地域に絞るべきではないか?」
【下水道課長の回答】 「効率的な整備のため、下流から上流へ計画的に進めている。アンケートを行う予定はない。現在は戸別訪問で接続をお願いしている(現在の接続率は約46%)。」
【分析】「希望的観測」に依存した経営の危うさ
この質疑から読み取れるのは、財政的な崖っぷちに立たされているにもかかわらず、抜本的な改革を避け、楽観的なシナリオにすがりつこうとする行政の姿勢です。以下の3点において、経営上の重大なリスクが見て取れます。
1. 「接続率向上」という神頼み 財政課長は「接続率が伸びれば負担は減る」と答弁していますが、これは危険な楽観論です。 下水道課長の答弁にある通り、現在の接続率はわずか**46%です。人口減少が進む中で、強制力のない戸別訪問だけで劇的に接続率が向上するとは考えにくく、収入増を前提とした財政計画は「絵に描いた餅」**になる可能性が高いです。
2. 「作る論理」の優先と「市場原理」の無視 議員が提案した「見込みのある地域に絞る(アンケート実施)」という合理的な縮小案に対し、課長は「下流から上流へ効率的に進める(計画通りやる)」と回答し、事実上拒否しました。 これは、「需要(使う人)」よりも「供給(工事の都合)」を優先する典型的なお役所仕事です。投資回収の見込みが薄い地域にも機械的に管を敷設し続けることは、赤字を垂れ流す不良資産を増やす行為に他なりません。
3. 「見える化」しても「行動」が伴わない懸念 公営企業会計への移行で経営状態が「見える化」されることはメリットですが、それ自体は赤字を減らしません。 重要なのは、明らかになった**「巨額の赤字」や「膨大な借金」という不都合な真実を直視し、事業の縮小や料金改定といった痛みを伴う決断ができるか**です。「分析はするが、計画は変えない」という姿勢が続く限り、会計方式の変更は単なる事務作業の増加に終わるでしょう。

【議事録要約】市債(市の借金)の増減と今後の見通し
質問者: 佐藤仁志 議員(6番)
佐藤議員は、臨時財政対策債(国が後で補填してくれる借金)を除いた、**実質的な市の借金(ハコモノ・インフラ整備分)**について、過去と未来の数字を提示し、警鐘を鳴らしました。
1. 過去10年間の実績(借金は増えたのか?)
過去10年で「返したお金」よりも「借りたお金」の方が圧倒的に多く、借金が膨らんでいます。
| 項目 | 金額(約) | 内訳・備考 |
| 償還実績(返した額) | 100億円 | 過去の借金の返済 |
| 起債実績(新たに借りた額) | 157億円 | うち下水道分:52億円 |
| 結果 | +57億円 | 借金が増加 |
2. 今後の見通し(将来の負担は?)
借金が増えた結果、将来の返済義務が重くのしかかっています。さらに、新たな借入も計画されています。
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今後10年の返済確定額: 約98億円
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(過去に借りた分だけで、これだけ返さなければならない)
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今後5年の借入予定額: 約100億円
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(中期財政計画より。うち下水道分:41億円)
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【分析】「借金依存体質」からの脱却不能と財政硬直化の危機
この質疑から浮き彫りになったのは、弥富市が「返済」を上回るペースで「新たな借金」を重ね続けているという、構造的な財政悪化のループです。以下の3点において、自治体経営としての持続可能性に赤信号が灯っています。
1. 「自転車操業」の常態化 「過去10年で100億円返したが、157億円新たに借りた」という事実は、**「借金を返すために、より大きな借金をしている」**に等しい状態です。 インフラ整備が必要とはいえ、返済額の1.5倍以上もの新規借入を常態化させることは、財政規律が機能していない証拠です。このペースが続けば、借金残高は雪だるま式に膨れ上がり、将来の財政破綻リスクを劇的に高めます。
2. 予算編成の「自由度」の喪失(財政の硬直化) 今後10年で約98億円の返済が確定しているということは、「毎年約10億円は、何もしなくても財布から消えていく」ことを意味します。 これに加えて、今後5年でさらに100億円を借りれば、その後の返済負担はさらに重くなります。これは、将来の市長や議会が「教育や福祉にこれだけ使いたい」と思っても、借金返済に追われて予算を組めなくなる**「財政の硬直化(死に体)」**を自ら招く自殺行為です。
3. 下水道事業が招く「共倒れ」のリスク 起債実績(157億円)のうち、下水道分だけで**52億円(約3分の1)を占めています。 下水道事業の赤字穴埋めのために一般会計(市のメインの財布)が借金を重ねている構図が鮮明です。収益を生まない下水道インフラのために市の借金枠を使い果たすことは、「学校の建て替えや災害対策など、他の必須事業の資金調達能力を奪う」**という深刻なトレードオフを生んでいます。
第2次弥富市総合計画における投資的事業を全て実施するには、財源がとても足りないと
いう点で質問します。

【議事録要約】総合計画の事業費と財源確保について
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 佐野智雄 企画政策課長 / 立石隆信 財政課長
1. 総合計画に含まれる巨額の事業費(議員の指摘)
佐藤議員は、総合計画(10か年)に含まれる主な事業費を積み上げると、総額400億円を超えることを指摘し、財源不足を懸念しました。
【主な事業費の内訳】
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公共施設長寿命化: 137億円
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公共下水道: 72億円
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インフラ系施設: 33億円
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その他: 海部南部消防の建て替えなど
議員の主張: 「計画に書くことと、実際にやれることは別。全て実施するには財源が足りないのではないか?」
2. 市側の見解(課長答弁)
(A) 企画政策課長の回答
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関連計画(公共施設等総合管理計画、中期財政計画など)を踏まえ、各部局で事業を精査し、優先順位を協議しながら実施している。
(B) 財政課長の回答
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総合計画は将来像を実現するための指標。
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財源確保については、国・県の補助金や**起債(借金)**を有効活用し、一つ一つ着実に実施できるよう努める。
【分析】「願望」と「計画」の混同が招く財政破綻の種
この質疑から透けて見えるのは、財源の裏付けが希薄なまま、膨大な事業欲求だけが先行している**「総花的なバラマキ計画」**の実態です。以下の3点において、自治体経営としてのガバナンス(統治能力)に重大な欠陥があります。
1. 「絵に描いた餅」を計画と呼ぶ無責任さ 総合計画に総額400億円もの事業が盛り込まれているにもかかわらず、その具体的な財源内訳が明記されていない点は致命的です。 財政課長の「将来像を実現するための指標(=あくまで目標)」という答弁は、「金がなくても夢は語る」という無責任な姿勢の表れです。実現可能性の低いリストを並べることは、市民に過度な期待を抱かせ、後に「財源不足で中止・延期」となった際の政治的不信を招くだけでなく、なし崩し的な借金財政を正当化する口実になりかねません。
2. 「借金(起債)の有効活用」という名の思考停止 財源確保策として堂々と「起債(借金)」が挙げられていることは、危機感の欠如を示しています。 前述の通り、市は既に借金返済に追われている状態です。ここでさらに「借金を活用して着実に実施する」と宣言することは、「身の丈に合わせた事業の断念(歳出削減)」という痛みを伴う決断を放棄し、安易な借金依存を継続することを意味します。これは「有効活用」ではなく「麻薬的な依存」です。
3. 優先順位付けの機能不全 企画政策課長は「精査し、優先順位を協議している」と答弁しましたが、結果として400億円ものメニューが残っている以上、スクリーニング(選別)機能が働いていないと言わざるを得ません。 下水道、駅整備、施設更新など、各部署から上がってきた要望を「あれも大事、これも大事」と並列に扱った結果、総額が膨れ上がっています。全体を俯瞰し、「何を諦めるか(劣後順位)」を決定できる強力なリーダーシップと調整機能が欠如しており、財政破綻へのブレーキが効かない構造的欠陥を抱えています。
次に、弥富市の将来人口推計値を今後の計画にどう反映させるかについて質問します。
弥富市の将来人口推計値図を御覧ください。

【議事録要約】少子高齢化と将来の財政運営について
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 佐野智雄 企画政策課長
1. 将来の懸念(議員の質問)
佐藤議員は、人口構成の変化による財政への影響を指摘しました。
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高齢化の進行: 介護ニーズの高い「後期高齢者」が増加する。
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税収の減少: 税金を負担する世代が減るため、市の「税負担能力」が将来的に低下する。
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2. 市の認識と対策(課長答弁)
佐野企画政策課長は、議員の指摘を認め、今後の計画策定の方針を回答しました。
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現状認識:
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老年人口の増加と生産年齢人口の減少は確実である。
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それに伴い、税収が減少することも想定内である。
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対応策:
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長期計画には「税収減」を織り込む必要がある。
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一方で、人口減少に合わせて**「公共施設の再配置(統廃合など)」**を進め、歳出(出ていくお金)の削減を推進する。
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3. 結論・要望
佐藤議員は、企画と財政の両輪で厳しい時代を乗り切るよう要望しました。
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企画政策課長へ:
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後期基本計画には、人口動向や施設再配置を反映させること。
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今後5年間で着実に実行すべき事業を絞り込むこと。
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財政課長へ:
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企画政策課と連携し、長期的な財政破綻がないよう、予算管理と財源確保を徹底すること。
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【分析】「認識」と「行動」の致命的な乖離
この質疑から浮き彫りになるのは、市が「将来の危機(人口減・税収減)」を頭では理解していながら、実際の行動(予算配分)においてその危機感に見合う変革ができていないという**「言行不一致」の構造**です。以下の3点において、行政運営の甘さが指摘できます。
1. 「縮小社会」における「拡大投資」の矛盾 市は「税収減は想定内」と答弁しましたが、それならばなぜ、前の質疑にあったような「総額400億円もの事業メニュー」や「借金の増額」を計画しているのでしょうか。 「財布の中身が減る(税収減)」ことが分かっているのに、「買い物リスト(事業費)」を増やし続けることは、経営として破綻しています。「認識(危機感)」と「行動(散財)」が完全に乖離しており、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるような危険な状態です。
2. 「施設再配置」という名の「先送り」 歳出削減の切り札として「公共施設の再配置(統廃合)」が挙げられていますが、これは実現へのハードルが極めて高い策です。 学校やコミュニティ施設の統廃合は、住民合意に膨大な時間と労力を要します。「再配置で削減する予定だから大丈夫」という不確実な未来の成果を当てにして、現在の放漫財政を正当化している懸念があります。もし再配置が計画通り進まなければ、財政は即座に詰みます。
3. 「痛み」を伴う選択の回避 議員が求めた「今後5年間で実行すべき事業の絞り込み」に対し、具体的な選別基準や削減目標が示されていません。 「あれもこれもやる」ではなく、「人口減少に合わせて、これはやめる」という「劣後順位(やらないこと)」を明確に決める決断力が欠如しています。厳しい現実を直視し、市民に「不便になること」や「我慢してもらうこと」を説明する政治的リスクから逃げていると言わざるを得ません。
まず62年の計画について質問します。

【議事録要約】弥富駅周辺整備における「市民の願い」と「行政の計画」
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 梅田英明 都市整備課長
1. 市民の切実な声(議員の指摘)
佐藤議員は、地域を回って集めた「市民の本音」を提示し、現在の市の計画(JR・名鉄駅舎の立派化)に対する疑問を投げかけました。
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「駅だけ立派にしても無駄」:建物よりも、駅周辺の利便性と安全性が優先。
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本当のニーズ:
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近鉄弥富駅周辺の整備(踏切、道路)が先決。
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足腰の弱い高齢者でも避難できる**「1次避難所」や「身近な道路」**の整備が最優先(命に関わる切実な声)。
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過去の計画への質問: 昭和62年に策定された「駅周辺土地区画整理事業」の内容はどうだったか?
2. 昭和62年の「夢の計画」(課長答弁)
梅田課長は、昭和62年当時の計画がいかに大規模であったかを説明しました。
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対象エリア: 約25ヘクタール(広大)。
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計画内容:
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3つの駅前広場と都市計画道路の整備。
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JR弥富駅と近鉄弥富駅を「人工地盤(デッキ)」で空中で結ぶ。
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さらに国道1号線まで一体的に繋げる。
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3. 住民の誤解と説明不足(議員の批判)
佐藤議員は、この「過去の壮大な計画」が、現在の市民の認識に混乱を招いていると指摘しました。
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住民の意識: 「JRと近鉄が繋がって便利になる」という昭和62年の案が、まだ生きていると思っている住民が多い。
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行政の怠慢: もし現在の計画が当時のものと違う(縮小されている・繋がらない)のであれば、「あの計画とは違います」と明確に説明していないことが問題である。
【批判的分析】浮き彫りになった3つの問題点
このやり取りからは、弥富市の駅周辺整備事業における構造的な問題が見て取れます。
1. 優先順位の乖離(JR vs 近鉄、ハコモノ vs 命) 市民の生活実感としては、利用者の多い「近鉄駅周辺」や、災害時の「避難所・道路」が最優先課題です。しかし、市が進めようとしているのは「JR・名鉄駅舎」の整備です。 「駅だけ立派になっても避難もできない」という市民の悲痛な声に対し、行政の施策がミスマッチを起こしている可能性が高いです。
2. 「人工地盤(デッキ)」の亡霊 昭和62年の計画にあった「JRと近鉄を人工地盤で結ぶ」という構想は、利便性の面で非常に魅力的でした。 市は現在の計画を進めるにあたり、「過去の計画は廃止され、今回は駅同士は繋がらない(別々の整備になる)」という**不都合な事実(スペックダウン)**をあえて強調せず、曖昧にしている可能性があります。これが住民の「あれっ?」という不信感に繋がっています。
3. 「周知」の質と説明責任 課長は「HP等で周知を図っている」と答弁していますが、議員からは「住民は過去の案が生きていると思っている」と指摘されています。 これは、市の一方的な情報発信が**住民に正しく伝わっていない(あるいは誤解を放置している)**証拠です。計画を変更・縮小したのであれば、その経緯と理由を丁寧に説明し、過去の夢物語と決別させる説明責任が果たされていません。
平成24年の計画の内容について質問します。

【議事録要約】弥富駅周辺整備の「凍結理由」と「投資の妥当性」
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 梅田英明 都市整備課長
1. 平成24年の計画凍結の真実
佐藤議員は、過去(平成24年)に策定された基本計画がなぜ「凍結」されたのか、その理由を問い質しました。
【課長答弁:凍結の理由】 「財政的な優先順位の問題です。当時は『市庁舎建設』や『白鳥保育所建設』などの大型プロジェクトが控えていたため、駅整備は後回し(凍結)にしました。」
2. 投資規模の妥当性(蟹江・津島との比較)
佐藤議員は、近隣他市との比較データを提示し、現在の計画が「身の丈に合っていない(過剰投資)」ではないかと指摘しました。
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地価と客数:
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地価: 弥富は蟹江の約8割。
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客数: 近鉄弥富(約1.2万人)に対し、近鉄蟹江(約1.6万人)。
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主張: 「地価も客数も蟹江より少ないのに、蟹江以上の投資をするのはおかしい。」
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名鉄の判断:
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名鉄は将来負担を嫌って「橋上化(駅を上に上げる工事)」を拒否した。
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津島駅の事例: 地上駅舎のまま、スロープと自動改札でバリアフリー化を実現している。弥富もこれで十分ではないか?
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3. 市の回答(抽象的な目標)
課長は、具体的な費用対効果の数字ではなく、「まちづくり」という抽象的な目的で反論しました。
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目的: 「まちの顔」としての機能強化。「人が集い、交流する賑わい空間」を目指す。
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データ: 最新の乗降客数を提示(近鉄1.1万、名鉄4千、JR2.9千)。
4. 市民感覚とのズレ(議員の指摘)
佐藤議員は、市民の肌感覚(財政への危機感)を代弁し、計画の修正を求めました。
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市民の声: 「学校や下水道の維持管理だけで手一杯なはず。これ以上の無駄遣いはできない(慎重派が多い)。」
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本当の要望: 駅舎(中身)を立派にすることではなく、**「駅の周辺(道路や近鉄との連絡)」**を整備してほしい。
【分析】「賑わい」という幻想と「身の丈」の無視
この質疑から、弥富市の駅整備計画における3つの重大な懸念点が浮かび上がります。
1. 民間(名鉄)の撤退が示す「不採算性」 議員の指摘通り、民間企業である名鉄が「橋上化(エレベーター設置等)」を拒否したのは、「投資に見合う効果がない」と判断したからです。 営利企業が「No」を出した不採算事業を、なぜ税金を使う市が「Yes(推進)」とするのか。その合理的な根拠が「まちの顔だから」という精神論に終始しており、説得力を欠いています。
2. 「凍結理由」のブーメラン 市は平成24年の凍結理由を「他の大型事業(庁舎・保育所)があったから」と答えました。 しかし現在も、老朽化するインフラ更新や下水道事業など、財政を圧迫する要因は山積みです。**「当時よりも財政状況が良くなったわけではないのに、なぜ今はGOサインなのか?」**という矛盾に対する説明が不足しています。
3. 「点(駅舎)」と「面(周辺)」のミスマッチ 市は「賑わいの創出」を掲げますが、市民が求めているのは豪華な駅舎ではなく、**「駅周辺の道路整備」や「近鉄駅へのアクセス向上」**といった実利的なインフラ整備です。 「駅舎だけ立派になったが、周りは不便なまま」という、典型的なハコモノ行政の失敗に陥るリスクが高いと言わざるを得ません。
次に、尾張大橋の架け替えに関連する公共施設管理者について、質問します。

【議事録要約】尾張大橋における「高潮防御の致命的な欠陥」
質問者: 佐藤仁志 議員(6番)
佐藤議員は、国道1号線(尾張大橋)が、周辺の堤防に比べて著しく低いという事実を提示し、ここが防災上の最大の弱点(切れ所)になっていると指摘しました。
1. 高さの決定的なギャップ
周辺の堤防は整備されていますが、橋の部分だけが低く、凹んだ状態になっています。
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周辺の堤防(木曽岬側): 海抜 +7.5m (高潮対策済み)
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尾張大橋の路面: 海抜 +5.0m
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【危険なギャップ】: 2.5メートルも低い
2. 現状の対応策(土のう積み)
この「高さ不足」を補うために、現在とられている対策は極めてアナログなものです。
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対応: 高潮の危険が迫った時に、大型クレーン車で「土のう」を積んで壁を作る。
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議員の指摘: これが弥富市における「最大の切れ所(弱点)」である。
【分析】「綱渡り」の防災対策
この質疑から、尾張大橋の防災対策には、市民の命をリスクに晒す3つの重大な懸念があることが分かります。
1. 「間に合うのか?」という時間的リスク 「台風が来てからクレーンで土のうを積む」という対応は、時間との勝負です。 台風の接近速度が予想より早かった場合や、準備の着手が遅れた場合、土のう積みが完了する前に浸水が始まる恐れがあります。主要幹線道路である国道1号線を封鎖するタイミングの判断も非常に難しく、判断の遅れが致命傷になりかねません。
2. 「作業ができるのか?」という現場リスク 暴風雨の中で大型クレーンを稼働させること自体が非常に危険です。 作業員の安全が確保できないほどの悪天候になった場合、土のう積みが中断され、そこから海水が市内に流入する「無防備な状態」になるリスクがあります。
3. インフラとしての「脆弱性」 国道1号線は、本来であれば災害時の物資輸送や避難路として機能すべき「大動脈」です。 その最重要インフラが、高潮のたびに通行止めになり、かつ浸水の侵入口になり得るという現状は、都市防災として構造的に破綻していると言わざるを得ません。恒久的な対策(橋の架け替えやかさ上げ)を先送りし、その場しのぎの対応を続けている行政の怠慢が浮き彫りになっています。

【議事録要約】隣市・桑名における「伊勢大橋架け替え」の進捗と教訓
質問者: 佐藤仁志 議員(6番)
佐藤議員は、隣接する三重県桑名市で進んでいる「伊勢大橋(国道1号)」の架け替え事業を例に挙げ、その圧倒的な防災スペックと、実現にかかる膨大な時間を提示しました。
1. 劇的なスペック向上(防災機能の強化)
新しい伊勢大橋は、南海トラフ巨大地震や高潮に耐えうる「災害時の命綱」として設計されています。
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高さ: 現在の路面より約5メートル上昇。
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(津波、高潮、洪水をクリアする高さ)
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基礎: 地下20メートルから50メートルへ深化。
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(最新の耐震基準に対応)
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機能: 避難道路・物資輸送道路として確実に機能させる。
2. 実現にかかる「気の遠くなる時間」
この事業を実現するために費やされた時間は以下の通りです。
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昭和51年(1976年): 事業化スタート
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昭和60年(1985年): 都市計画決定(ここまで9年)
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昭和63年(1988年): 用地買収開始
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平成18年(2006年): 工事着工
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【結果】: 事業化から着工まで、足かけ30年を要している。
【分析】「手遅れ」への警鐘
この事例提示は、単なる隣市の紹介ではなく、弥富市の現状に対する痛烈な批判と警告を含んでいます。
1. 「30年のタイムラグ」という絶望的な格差 桑名市(伊勢大橋)は44年前から動き出し、ようやく形になりつつあります。一方、弥富市(尾張大橋)はまだ具体的な動きがありません。 もし今すぐ弥富市が動き出したとしても、桑名の例にならえば完成は30年〜40年後です。これでは、「30年以内の発生確率70〜80%」と言われる南海トラフ地震に到底間に合わないという不都合な真実を突きつけています。
2. 災害対応の「分断」リスク 木曽川を挟んで、右岸(桑名側)は高さ対策万全の橋になり、左岸(弥富側)は低いままの橋や道路が残る可能性があります。 災害時、桑名側までは救援物資が届くのに、**橋が低いため弥富側には渡れない(物流が寸断される)**という最悪のシナリオが懸念されます。
3. 「長期ビジョン」の欠如 この事例は、「インフラ整備には親子二代にわたるような長い時間が必要だ」という教訓を示しています。 目の前の短期的な事業ばかりに目を奪われ、数十年先を見据えた根本的な国土強靭化に着手してこなかった、弥富市の長期戦略の欠如が浮き彫りになっています。
次に、弥富市の弥富市街路図04を御覧ください。

【議事録要約】市民参加・文化振興・組織風土における「形式主義」
質問者: 佐藤仁志 議員(6番) 答弁者: 各担当課長・部長
1. 事務事業評価と予算編成
佐藤議員は、予算編成プロセスにおける「現場の創意工夫」や「事業評価の反映」について問い質しました。
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事務事業評価の結果: 112事業中、改善・見直し・廃止が計25事業。
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予算への反映(課長答弁):
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企画政策課がヒアリングを行い、予算編成の判断材料としている。
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総合計画と予算事業を一致させ、評価結果を踏まえて予算査定を行う。
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議員の指摘:
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事務事業評価は単なる予算削減の道具ではなく、市民サービスの向上のために使うべき。
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現場(事業課)の声をきめ細かく予算に反映させる仕組みが必要。
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2. 市民参加と文化振興(健康フェスタ・資料館・交流スペース)
佐藤議員は、イベントや施設活用において、市民参加の促進と組織間の連携を求めました。
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健康フェスタ: コロナ禍で中止となったが、原点に立ち返り「市民の主体的な健康づくり」を支援する事業にしたい。
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市役所オープンデー: 新庁舎の市民見学会を検討。
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歴史民俗資料館: リニューアルに向け、市民から古い写真等を収集中。企画展の内容は未定だが、市民参加の仕組みや他部署連携を進める。
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市民交流スペース: 具体的な企画は未定だが、市民団体と情報交換し有効活用に努める。
【批判的分析】 各課長からは「努める」「検討する」という前向きな言葉が並びますが、具体的な企画やビジョンが「未定」のままであることが露呈しています。 「市民参加」を掲げながらも、行政側からの具体的な提案や仕掛けが乏しく、市民任せまたは形だけの参加になりかねない懸念があります。
3. 自律型スタッフの育成と組織風土
佐藤議員は、予測不可能な時代に対応できる「自律型職員(指示待ちではない職員)」の育成と、組織の柔軟性を高める研修の必要性を訴えました。
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課長答弁:
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マネジメント能力向上や職員の意識改革に取り組んでいる。
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「業務改善運動」や「政策提案プロジェクトチーム」を実施し、自ら考え行動する人材を育成している。
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議員の指摘:
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既存の手法は2年も続かないほど変化が激しい。
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人口減少で職員を増やせない中、一人一人が専門性を持ち、自律的に動ける組織づくりが待ったなしの課題である。
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【分析】 市側は既存の研修やプロジェクトの実績を強調しましたが、議員が求めているのは**「組織風土の根本的な変革」**です。 「上司の指示待ち」や「前例踏襲」の体質から脱却し、現場レベルで課題を発見・解決できる組織にならなければ、今後の厳しい時代(人口減少・災害リスク)に対応できないという強い危機感が示されています。
