弥富市保育所民営化問題の解説

弥富市保育所民営化計画 なにが問題?!

現在、弥富市の保育は、9カ所の公立保育所と、1カ所の私立・認定こども園で担っています。このうち、2カ所の公立保育所を民営化する計画が進んでいます。

この民営化について何が問題なのか、皆さんと一緒に考えたいと思います。

(1) 住民と共に育ててきた公立保育所

家庭や地域からの保育所設置要望に応えて、弥富市は充実したあたたかい公立保育所を誇ってきました。

他にも、先進的な子どもの医療費無料化など安全で安心な子育て環境に取り組んできました。

特に充実した公立保育所こそ、子育て世代が弥富市を選ぶ重要な要素、弥富の魅力ではないでしょうか。

(2) 安易・拙速な民営化ではないか?

市は、令和4年1月に弥富市公立保育所の民営化基本方針を策定しました。

この方針に基づき、最も利用者が多い人気のある新しい保育所の民営化を順次進める予定です。

・ひので保育所 (令和7年度から民営化を予定)

・弥生保育所 (令和11年度までに民営化を予定)

 民営化には「移管(民設民営)」「委託(公設民営)」の2つの手法がありますが、弥富市では公立保育所を廃止し、民間の保育所を新設する「移管」の形をとる計画です。その場合は以下のようになります。

  • 土地と建物 ➜ 土地は有償貸与、建物と備品類は無償譲渡の予定。
  • 運営費 ➜ 公定価格になり、保育料を差し引いた額を国(1/2)・県(1/ 4)・市(1/ 4)が負担。
  • 移管先 ➜ 保育運営に実績のある社会福祉法人又は学校法人を対象に公募し、プロポーザル(企画提案)方式で選定。

(3) 民営化でどう変わる?なにが問題?!

この民営化により、弥富市は、子どもたちの育ちの場を保障する役割を放棄していないでしょうか。

公立保育所には、長時間の保育、0歳児からの乳児の保育、様々な障がいを持った子どもたちの育ちの場を保障する役割があるはずです。

以下に、私の視点でその問題点をまとめてみます。

 ① 子どものためになるの?

子どもが主役の保育にも関わらず、子どもたちの成長を任せる信頼すべき保育士が変わってしまいます。市は「引き継ぎ保育」をすると言っていますが、引き継ぎが子どもや保護者にとって満足のいくものでないことは、すでに実施している自治体でも明らかになっています。

 ② 他に方法は無いの? 

いきなり移管(民設民営)するのでなく5年程度委託(公設民営)をして、良質な法人であることを確認してから移管する別の方法もあるはずです。

市は移管後も保育内容について協議や指導すると言っていますが、これまでの公立と同等の保育の内容・質が担保される保証はありません

 ③ 公定価格の本当の問題!

私立保育所は国が決めた公定価格で運営しますが、十分な数の保育士が十分な待遇で雇用できないことが公定価格の問題となっています。

一方、公立保育所の運営費は国から市に財源移譲や交付税措置で確保されています。

 公立には、保育士や設備の充実、障がい児対応など、公立ならではの良さがあります。公定価格で不足する分を充実させれば、私立よりも経費が掛かるのはやむを得ないのではないでしょうか。

 ④ なぜ無償で譲渡するの?

約4億円かけて建設したひので保育所の建物を、まだ約2億円の残存価値があるのに、移管法人に無償譲渡することは市民には理解できません

移管後に運営が悪化した場合、改善要求を保障する担保物件が無く、移管法人が破綻した場合市民の財産を取り返す保証はありません

民間のメリットは大規模改修時に国・県・市の補助が受けられます。補助を受けるような大規模改修が必要になった時に譲渡すれば済む話です。

 ⑤ やるべきことは他にあるのでは?

この民営化計画は、一般の市民に対しての説明や意見聴取が十分に行われず市民不在の計画

市民生活に密着し、子どもの権利であるきわめて重要な計画を、市民の声を十分に聞かず、市は決まったこととして押し切ろうとしています。

市は全ての保育所・保育士・子ども・保護者の現場の改善に本気で取り組んでいるのでしょうか。

計画を見直し、子どもと子育て世代に本気で向き合う弥富市政の復活を望みます。

 

保育は「育ちの場を保障すること

本当に「子どものため」と言えるの?

保育所全体を改善」するのが先では?

 

弥富市公立保育所の民営化基本方針 (PDF 576.6KB)

スマホの方はPDFが見にくいと思いますのでテキストにしました こちらから見てください

 

R4.6議会③一般質問「保育所の改善と民営化 保育士さんたちの働く環境、弥富のゆりかごともいえる保育所を大切に育てるのは弥富市全体の問題」はこちらから