JR・名鉄弥富駅自由通路および橋上駅舎化事業に関する請願について委員会で審査されました

JR・名鉄弥富駅自由通路及び橋上駅舎化事業に関する請願が 行財政委員会で審査されました

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以下 私の説明した内容です

JR・名鉄弥富駅自由通路及び橋上駅舎化事業に関する請願の説明

1 請願趣旨

弥富市の負担が大きい事業計画を見直して、バリアフリー化に絞った計画への見直しを求める。

2 請願事項と説明

  • 弥富市の負担割合が極端に大きい自由通路方式を見直すこと。

平成6年の近鉄弥富駅橋上化は近鉄が事業主体となり(約24億円)、地元弥富町(当時)の支援は約3分の1(約9億円)でした。今回の計画では、JR東海と名鉄の負担はわずかで、国の補助 金を除けばほとんどが弥富市の負担となる自由通路方式の事業です。弥富市の事業であるにもかかわらず、計画、設計、施工はJR東海と名鉄に委託し、その内容、工事施工単価などは企業秘密であることです。

  • 駅のバリアフリー化事業を支援すること。

バリアフリー化は本来鉄道事業者の努力義務だからです。市民の利用実態に即した地元自治体の支援も適切な範囲で必要です。

  • JR・名鉄弥富駅の北側に改札口を設けること。

名鉄は既存の駅舎の反対側に改札口を増設するなどの対策により整備を進めてきました。弥富駅の北側に改札を設ければバリアフリー化と市民の利便性が高まります。

請願の理由としては

第一に弥富市の公共事業が、説明と合意形成と参加のプロセスを十分にしていないことです。

時代状況の変化に合わせた前提条件の見直しをしないと、公共事業は取り返しのつかない結果を後世に負わせます。

中心市街地のまちづくり、駅周辺のまちづくりについて長年検討してきましたが、市民が望んでいる踏切の解消や道路整備、近鉄弥富駅とJRの間の整備を後回しにして、JR・名鉄の駅を優先することが市民の理解を得られていません。

仮に今回の案がよい案だとしても、その理由を具体的に説明して、反対する市民の理解を得るプロセスを経なければ地方自治の根幹が崩れます。

名古屋市へのアクセスが良いのに地価が安いということで人口の社会増減は流入傾向でした。しかし近年は若い世代を中心に流出傾向です。

伊勢湾台風以来、大きな災害がない安全安心と思われていた弥富市でしたが、南海トラフ地震、高潮等の災害のリスクが近年クローズアップされ、若い世代にとって子育て支援が他都市と比べて優位性がなくなり、住宅取得層の呼び込みが難しくなり、住宅取得の面でも人口流出も懸念されます。

駅の整備や駅の南北を自由通路で結んで賑わいを醸すことが、人口減少社会における弥富市のまちづくりの起爆剤であるとしてこの事業の中心目的だと主張されています。ひとつの意見として否定をしてはならないのでしょうが、まちづくりの事業だから鉄道事業者の橋上化でなく、自由通路事業に付帯する駅の橋上化だから弥富市が事業主体だというのは、目的に対してコストが大きすぎて納得できません。

令和になって弥富市のまちづくりの中心課題は、ハードとソフト両面の、災害対策と南北に長い弥富市の公共交通網対策です。

また今年のワークショップにあったように、市民参加、民間活力を生かしてやとみの魅力を、これから何十年か先を見通したやとみの力をどう作っていくかです。せっかく市長が変わったので新しい弥富市のまちづくりの具体像を再構築する時期にあります。

市長が変わったという、前提条件を見直すチャンスを生かさずに、前の市長が描いた自由通路と橋上化という昭和・平成時代に積み重ねたハコモノ整備が弥富の魅力づくりだと言うのは、一部の意見としては否定できませんが、狭い道路をそのままにクネクネといった先にJRと名鉄の駅だけ立派になっても納得できないのが市民の感覚です。

2番目は財政です。第2次総合計画を策定した時点では、十四山村と弥富町が昭和から平成にかけて作った公共施設の長期的な修繕費等の負担がこれほど大きいとは議論して織り込んでいません。下水道事業と農村集落排水事業が、建設費と維持管理非、更新費で年間数億円の財政負担になることも重視されていませんでした。

今後人口が減少し高齢化などに伴い扶助費や義務的な経費が増大する中において、長期的な事業費のコントロールをしなければならない局面になった事が、第2次総合計画策定時には文言の上では書いてあっても、事業費総額での検討がされていなかったことです。

昭和と平成の時代には、なんだかんだと言っても工場立地や合併に伴う特例算定によって他都市よりも若干潤沢な予算に支えられ、子供の医療費無料化を始め他の地域よりも頭一つ有利な福祉を誇り、人口増加の面で有利でしたが、近隣の愛西市は潤沢な財政調整基金を原資にして福祉政策の充実を図り、弥富市を追い抜こうとしています。歴史と文化を土台にしたまちづくりを市民参加で進める蟹江町は都市的な魅了をあげています。

大型の箱物整備のために、子育て、教育など生活に密着した暮らしの施策、何よりも防災の施策をちまちまと削るようなことがあってはなりません。

3点目は事業の進め方が鉄道事業者に丸投げでコントロールができないことです。

弥富市と蟹江町で情報公開を請求して確信済みですが、弥富市が事業主体と形式的に言いながら、鉄道事業者の企業秘密ということで、ほとんど黒塗りです。

この事業の特に支障移転等事業の対象範囲が適切かどうか必要最小限なのかどうか確認できない。駅舎も弥富市の財産になるという自由通路の施工内容も施工単価も確認できない。そういう状態で駅前広場を除く約40億円がJRと名鉄に設計から施工まですべてJRと名鉄のお任せになっています。

一旦、覚書と協定を結んでしまえば市側が何を反論しても、また議会や市民がチェックできないのない状態で、国の補助金も含めて40億円のお金の使い方がチェックできない、そういう事業の進め方です。

国の主導のもとで全国で進められている事業であるとしても、弥富市の年間総事業費の3分の1にあたる金額がそのような形で使われると言う事について、多くの市民が納得できないと言うことです。

同じ予算の使われ方にしても、道路整備等地元の企業や雇用者に支払われ、地域の経済を回すのではなく、名古屋に本社がある会社に市民が使うべき税金が行き、地元の企業や人々は一切下請けにも入れないと言う特殊な事業に対して多くの市民が納得できないと言うことです。

国主導する事業についていけば、補助金や交付税で面倒を見てくれる、隣の街で作った橋上駅はうちも作りたいと言う、昭和や平成の感覚ではなく、地に足のついたまちづくりを、前提条件を見直す時期です。

本議会において名古屋市民オンブズマンから提示された議会の正常化を求める請願にあるように少数意見を排除せず様々な議論をして安易な多数決によらず、格言を借りれば「命をかけても相手の異論を尊重」した上で議論をし理解を求め続けることが地方自治であり、議論を放棄すれば、まちがまちでなくなります。

市民の方が請願を出されたことの意義について、中日新聞の論壇時評を引用すれば、意見の不一致は政治の出発点であって、それが存在しないかのように政治が進んでいく事は恐るべき事態を招く。この意味では分断は政治の条件ですらある。重要なのは分断の位置を確認することである。ありもしない社会の一体感を前提とすることこそ政治における議論や合意形成を窒息させる。政治は異なる他者と「何とかやっていく方法を模索する作業である。社会は価値観も利害も異なる人々によって構成されている。政治の役割は差異を抑圧して同一化することではなく、差異を認めあいながら共存するあり方を見出すことにある。分断こそが政治の契機である。とあります。

肝心なのは第2次総合計画の基本構想にもうたっているように、多くの市民に理由と方策の理解を求めることをせずに多数決で事業を進めていく昭和と平成の地方自治のあり方を見直す分岐点となる「やとみのまちづくりの再出発を促す市民の願い」であると考え請願に賛成します

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