(要旨)
弥富市の総合社会教育センターは、かつては元気な高齢者の生涯学習施設として活用されていました。しかし、人生百年時代の到来や働き方の変化により、生涯現役で働く人々が増えています。この背景から、生涯学習の計画者は自発的な学習の重要性を認識する必要があります。
人と人の繋がりや生身の触れ合いは、情報のグローバル化とともに減少しています。そこで、地域社会と大人が学校教育や子どもたちの放課後の活動に関与し、子どもたちとの交流を通じて人間関係を活性化させることが重要です。
また、生涯学習は人間の自己再生にも役立ちます。能力や活力のある人々は定年後も働き続ける時代であり、ライフとワークのバランスを取った働き方が求められます。自己改造や地域における生涯学習によって、心の持ちようや社会性を備えた人材が育ち、企業や自営業の発展にも寄与します。
以上の観点から、地域と学校と生涯学習を統合するプランが必要です。生涯学習は余暇の消費ではなく、人間の新陳代謝となるものであり、個々人の欲求と動機づけに基づいて進められるべきです。地域全体で楽しく自己改造が行われる社会を実現するために、弥富市では市民と協力してプランを策定する必要があります。
(背景)
弥富市の総合社会教育センターは平成3年に建設されました。あの時代は60歳定年と同時に年金が支給される時代で、60歳から75歳ぐらいの元気な高齢者の文化やスポーツの場として、生涯学習施設のニーズがあり利用されてきました。
しかし、これからは、人生百年時代、60歳定年が65歳定年に延長され、活力のある人は生涯現役で働く時代になってきています。
元気で社会性があればあるほど自己実現の場として働き続ける時代になってきていることを、生涯学習の計画者は認識する必要があると思います。かつてのボリュームゾーンは消えつつあります。
自発的な学習は、生涯にわたるものです。単に知識の習得、スキルアップだけでなく生涯学習の効果であり逆に意義でもある二つの要素を明確にしておく必要があります。
(人と人の繋がりをつくる生涯学習)
ITとか、Society5.0とかAIとかいろいろ言われいますが、情報がグローバル化する一方で、生身の人と人の付き合い方が、一層重要性を増してきていると思いませんか。
デジタル化によって、子どもたちの成長過程において重要な原体験、生身の人との触れ合い体験が減少しています。
そこを、地域社会と大人が、学校教育や子どもたちの放課後の過ごし方として、人生の先輩である大人の側が子どもたちにアウトリーチ、手を差し伸べる必要があると思います。
「情けは人のためにならず」といいますが、子どもたちに手を差しのべることが結果的に、子どもたちの生き生きとした目、生き生きとした活動のフレッシュな感覚が、大人の気持ちを動かし、硬直化しがちな人間関係を緩めていく収益を与えてくれるのではないでしょうか。
ここまで書いてみて、改めて思うのは、昔は子どもと大人がもっと接触していた。それがいつの間にか分断されてしまった。これをもう一度回復し、繋ぎ直すということではないかと思います。
(人間の自己再生としての生涯学習)
昔は定年まで会社人間、仕事人間として、職場で燃え尽きる。仕事最優先。地域のことは無関心で定年になってから、やっと地域と向き合う。か、引きこもったまま介護施設へ直行というモデルでした。
しかしこれからは、能力があって活力がある人であればなおさら生涯働き続ける時代です。これからは会社の社畜ではなく、ライフとワークのバランスを取った働き方に社会全体を転換していくべきです。
新たな学びを通じて人間として古びていかない。常に自分をつくり変えていくという自己改造、地域における生涯学習が重要です。
それが結果的に言えば、職場における心の持ちようや、会社に滅私奉仕する会社中心主義、自分の会社さえ良ければ良いという働き方ではなく、社会性を持った、生き生きとした働き方ができる人間再生になると思いませんか。
生涯学習のアウトカム(学習結果を元にして獲得した”成果・効果”)として結果的に、会社にとっても良い人材を育てる。社会性があり、柔軟な対人関係、社内外においても生き生きと若々しく、対応できる社員として成長する。自営業であれば、年齢を重ねても、柔軟性、社会性が高まり事業が発展する。
(地域と学校と生涯学習の統合プラン)
生涯学習が単なる余暇の消費ではなく、まさしく生涯学習の目的とする、人間の体と心と知識の新陳代謝。しかも外から、上から強制されたものではなく、自らの欲求と自らの動機づけで1人1人に適した形で進みます。ワクワクするような楽しい自己改造の機会です。
そういう社会を地域全体で作っていくのが、これからの地域と学校と生涯学習の統合プランに求められるものだと思います。
そういう意味において弥富市においても、早急に弥富市における地域学校生涯学習の統合を目指すプランを、市民と一緒に作っていく必要があると思います。