名古屋のトワイライトスクールに学ぶ

名古屋のトワイライトスクールに学ぶ

 

共働き家庭の増加とともに各自治体が喫緊の課題として取り組んでいるのが、放課後や長期休業中の子どもの居場所づくり。弥富市では、11の児童クラブ(学区に1〜2カ所)がその役割を担っていますが、就労などによる保護者の留守家庭に限られていて、あくまで学童保育という位置づけです。

それに対して、名古屋市で小学校の空き教室等を利用して取り組まれている「トワイライトスクール」は、保護者の就労にかかわらず全ての1〜6年生までの児童を受け入れています。こちらは、学びや遊び、体験の場としての位置づけです。さらに、トワイライトスクールの教育的役割と留守家庭支援(学童保育)の役割を併せ持つ「トワイライトルーム」の設置も徐々に増えてきています。

トワイライトスクールは、地域とも密着し、地域と学校をつなぐコミュニティスクールの役割も持っています。まずはトワイライトスクールの仕組みを学び、弥富でも“子どもが育つ場”について考えてみましょう。

 

※名古屋市では、学童保育所として、保護者会が運営する民間の学童保育所や各区の児童館に児童クラブが設置されている。

 

<トワイライトスクールの概要>

学び、遊び、体験の場(教育的役割)

 

  • 歴史

1997年に2校からスタート。現在、トワイライトスクール・ルーム合わせて261校(内、ほとんどを(公財)名古屋市教育スポーツ協会が受託、一部、民間業者が受託)で実施。

 

  • 対象児童

小学校1年生〜6年生の全児童(留守家庭に限らない)

※実際に利用しているのは1〜2年生の低学年が多い。(4年生から減ってくるのは部活を始める子が多いため)

 

  • 活動日

月曜日〜土曜日(休日、年末年始を除く)

 

  • 活動時間

授業がある日は終了後から午後6時、授業のない日は午前9時から午後6時

 

  • 場所

小学校内(空き教室や特別活動室などを利用、足りない場合は運動場にプレハブを建てる場合も)

 

  • 費用

保険関係費として月400円

 

  • 運営スタッフの体制

・通常体制は、専門員1人(教職経験者)+アシスタントパートナー(AP:地域協力員)

・専門員がいない時などは期間専門員が担当する。

・APは、学区の民生委員、子ども会役員、女性会役員、PTAのOBなど、地域で役員をしている人やOBが担っている場合が多い。登録しておき、ローテーションを組んでいる。

 

  • 運営母体

「運営連絡会」・・・区政協力委員長、女性会、老人クラブ、民生委員、児童委員など地域の役員+PTA役員、小学校長・教頭など学校関係者で構成される。

 

<トワイライトルームの概要>

教育的役割と学童保育の役割を併せ持つ

 

  • 活動時間

・授業がある日は終了後から午後5時、土曜日は午前9時から午後5時

・夏休み等の長期休暇は午前8時から午後5時

・有料(おやつあり)で延長が可能(授業のある日、夏休み等は午後7時まで、土曜日は午後6時まで)

 

  • 費用

・午後5時までは無料

・午後6時までの登録は月1500円

・午後7時までの登録は月6500円

・午後5〜7時までの時間について、1日単位で利用できる制度もある(1回利用につき1000円)

 

<トワイライト事業の特徴>

 

  1. 学校ではできない学び、遊び、体験の場

地域住民が講師となり、様々な講座が実施されている。また、夏休みには地域の方を招いて戦争の話を聞いたり、PTAや地域の会との共催でドッヂボール大会やグラウンドゴルフ大会などを行ったりして、地域の人と交流を図ることも。外国籍の子どもが多い地域では、国際交流の会も行われている。

トワイライトには、備品として本やおもちゃ、テレビなどがあり、読み聞かせを行ったり、科学番組を見たりすることもある。

 

■地域の人材を生かした講座(写真を提供ください)

伝承遊び(けん玉、あやとり、折り紙etc.)、芸術(工作、ガラスアート、リボンアート、絵手紙、編み物etc.)、伝統文化(茶道、大正琴、しの笛、太鼓etc.)、習字、将棋、囲碁…

 

■科学の目を育む(水ロケットの写真を提供ください。キャプションで「ペットボトルで水ロケット作り」と入れる)

電気や水、力…様々なテーマで “理科遊び”“おもしろ理科教室”

 

■自然体験(写真を提供ください)

昆虫採集、木や葉でアート、蜂を捕まえるペットボトルトラップ作り、自然の中の危険を知る学習など

 

■国際交流デー(イベント)(写真を提供ください)

スリランカデー、バングラデシュデー、ネパールデー、ハワイデーなど毎月のように実施したトワイライトもある。外国人仲間も遠方から駆けつけ、民族舞踊や歌などを披露した。土曜日に行ったため、地域の人や学校の先生も参加。発表する側にも喜びがあり、参加者も外国のことを知るきっかけになった。

 

■学習補助

宿題、ドリル、読書の時間を確保し、教職経験者である専門員が教えることも。特に日本語ができない外国の子には一人ひとり丁寧に指導する。

 

■学校の調理室を借りて調理実習

 

  1. 地域で子どもたちを見守る体制

AP(地域協力員)は地域の実状がわかっている地域の役員・OBなどが担っている。例えば、子どもがトワイライトからいなくなるようなアクシデントが発生しても、地域のネットワークを利用して探す協力を得られる。トワイライトで接していれば、子どもの顔がわかるので、外で会っても声を掛ける関係が築ける。

 

  1. 親と学校との橋渡し

トワイライトは基本的に保護者が迎えに行くことになっている。その際に学校での心配事など、気軽に専門員が話を聞いて先生に伝えることも。なかなか親が学校に行ってまで相談することができないことでも、トワイライトが間に入ることで子どもの状況を教員と共有できることがある。

また、運営連絡会には校長や教頭がメンバーとして入っているため、トワイライトで把握した子どもの状況を学校と共有することもできる。

 

  1. 情報交換することで全体的にレベルアップ

トワイライトごとに講座などに違いが生じるが、4月に全トワイライト連絡会が開かれ、情報共有が図られる他、各区でAP研修なども行っている。そこで得た情報はそれぞれの「運営連絡会」「AP会」で共有される。また、各トワイライトで発行している「おたより」を交換することでも他の取り組みを知ることができる。

指定管理者から事務局だよりが発行され、本の紹介や名古屋市動物愛護センター・電気科学館が実施する講座などの情報提供もされている。

このような情報交換ができる体制が整っていることで、安全面、教育面で全体的なレベルアップを図っている。

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