弥富市議会における生涯学習事業の質疑応答は、「公金紛失事件」という具体的な問題を背景に、市の「組織運営の構造的な欠陥」という本質的な問いが投げかけられています。市側は、質問に対して一見事実を答えるものの、根本原因や責任の所在という核心部分からは巧妙にはぐらかしています。また、市長の無答弁は、議事運営の不適切さを象徴しています。
1. 生涯学習課長の答弁:数字と建前で「疲弊する組織の実態」をはぐらかす
中野生涯学習課長の答弁は、議員が指摘する**「職員の悲惨な労働環境」や「組織の構造的な欠陥」**という核心的な問題から目をそらすための「はぐらかし」が見られます。
「ほぼ横ばい」という事実で「業務の複雑化」をはぐらかす
- 佐藤議員の指摘の核心: 合併後、職員体制は変わらないのに**「会計年度任用職員の割合が増え」、夜間開館や分散勤務により「まっとうな行政ができない」**ほど現場が疲弊しているのではないか。
- 課長の答弁(はぐらかし): 「職員体制であります人事面につきましてはほぼ横ばいですが、会計年度任用職員の割合が多くなっていくきている状況でございます。」
- 分析: 課長は「職員の増減」という数値的な事実を述べていますが、議員が問うているのは、「体制は変わらないのに業務が複雑・煩雑化し、職員の負担が増えている」という実態です。課長は「独自事業が減少傾向」「サポート業務は複雑煩雑化の傾向」と認めているにもかかわらず、「ほぼ横ばい」という言葉で人員不足という根本的な問題をはぐらかし、現状を楽観的に見せようとしています。
「キャッシュレス化を検討」という未来の計画で「過去の責任」をはぐらかす
- 佐藤議員の指摘の核心: 他市に比べて現金の取り扱いに関する改善が遅れているのではないか、なぜこれまで対策を講じてこなかったのか。
- 課長の答弁(はぐらかし): 「キャッシュレス化を検討しておるところでございます。」
- 分析: 議員が問うのは**「改善の遅れ」という過去の責任です。しかし、課長は「これから検討する」という未来の計画を述べることで、過去の不作為に関する議論を回避しています。これは、「今からやろうとしているので、これまでの責任は問わないでほしい」**というはぐらかしの典型例です。
2. 柴田教育部長の答弁:紋切り型の謝罪で「管理監督責任」をはぐらかす
教育部長の答弁は、「再発防止」という事実を述べていますが、議員が指摘する**「組織の疲弊」という根本原因**には全く触れていません。
- 佐藤議員の指摘の核心: 今回の事件の根本原因は、**「市長の人事が原因」「組織が疲弊している」**という構造的な問題であり、単なる「個人の意識の低さ」ではないのではないか。
- 教育部長の答弁(はぐらかし): 「今後は二度とこのような問題が起きないよう、公金等取扱適正化方針を定め、チェック体制の確立、徹底…組織を挙げて取り組んでまいります。」
- 分析: 教育部長は、公金紛失という**「事案」に対する謝罪と再発防止策を述べています。しかし、これは議員が提起した「組織の疲弊」「不適切な人事」という「構造的な問題」とは全く別の論点です。 部長の答弁は、問題の原因を「チェック体制の不備」という仕組みの問題に限定し、「市長の人事」という管理監督者の責任という核心部分をはぐらかしています。これは、「再発防止策を講じれば責任は果たしたことになる」**という形式的な対応に過ぎません。
3. 議事運営の不適切さと市長の「無答弁」
質疑の最後に、佐藤議員は教育長の辞任について市長に直接発言を求めました。これは、「任命権者としての責任」という非常に重い問いです。しかし、市長はこれに対して一切答弁を拒否しました。
- 佐藤議員の問いかけ: 「市長として教育長の辞任を思いとどまらせることができなかったのか、あるいは辞任しなくても良いような環境整備ができなかったのか。教育長の任命権者である市長として発言されたいことがあれば、お聞きしますが、なければ次の質問に移ります。」
- 市長の対応(不適切): 沈黙を貫き、答弁しませんでした。議員が「なければ次の質問に移ります」と答弁を催促する形になっています。
- 分析: 議員が**「市長が自ら人事をしている」「年功序列を復活させた」「無理な人事異動で職員が心を病んでいる」といった、市長の管理監督者としての資質に直接的に踏み込んだ上で、「教育長の辞任」という重いテーマを投げかけたにもかかわらず、市長は一切応答しませんでした**。 これは、答弁したくない質問には答えないという、議会での対話の完全な放棄であり、議会に対する説明責任を著しく欠く、極めて不誠実な議事運営と言えます。
この一連の質疑応答は、公金紛失事件の背景にある市の組織的な問題と、それに対する市長の責任が問われたにもかかわらず、市側が「事実の一部」や「未来の計画」を盾に核心をはぐらかし、市長自身は説明責任から逃避した構図を明確に示しています。
「職員が 安心して、働けているか。組織は壊れていては、職員も、市民も不幸です」
という質問の背景と目的から説明します。
弥富市社会教育センターが1年間にわたって市民からお預かりした、参加費988人分、
合計17万4600円が、市に納入されていない事件が発覚したのに、
市長は、速やかに報告していません。なんという隠蔽体質でしょうか。
これは、氷山の一角です。
一つの重大事件の裏には、その30倍の事件があり、300万円のヒヤリハットがあるのは、組織を経営してる人なら常識です。
日本の行政組織は世界に冠たる信頼できる組織のはずです。
ところが、弥富市役所は、組織の仕組みが、僕は職員の人を疑ったわけじゃない。
組織の仕組みが市民の皆さんが思ってる以上に劣っていた。
さらに深刻なのは、管理監督者である市長の問題処理能力に大きな疑問符がついたことです。
副市長をトップとする委員会の中間報告が議会に提出されてますが、もっぱら、職員の意識の低さを強調し、
だからチェック項目を整備してお互いに監視させればいい。
組織の構造的な欠陥ではなく、職員個人の自覚が足りなかった。
小さく小さく見せようとしています。
弥富市長が適切に管理監督をしてこなかった。
根本原因は、人の管理監督の力がないってことじゃないですか。
安藤市長は、実際にこう発言されています。
「自分の仕事がしやすいように人事をした」開いた口がふさがりません。
市長が人事を自らする。僕は聞いたことはありません。
仮にですよ。えこひいきはないと僕は思います、おそらく。
あの優しい方ですから、とても優しい方で、えこひいきはないと思います。
ただし、結果を見てみれば、年功序列を復活させています。
そんなことするから、無理な人事のつじつま合わせをするのに、玉突きですよ。
短期間に関係ない所に異動ですよ。
例えば、会計課の経験者は、再任用職員だけです。管理職の正規職には未経験者です。
例を挙げたら切りがありません。
現場は悲惨です。
こんな無理な異動で心を病んで休んだり、退職者が続出してます。
通常の役所では考えられない職務環境で、職員はもがいてないかと、私は心を痛めています。
あるいは、それを聞いたみんなが心を痛めています。
今回の事件の本質は、組織が疲弊しているのが根本原因です。
市長の人事が原因です。
組織が壊れていては、職員も市民も不幸です。
安心して働く職員を通じてこそ弥富市民も安心して生活できます。
生涯学習事業について質問します。
弥富市総合社会教育センターの特徴は何ですか、
生涯学習課の組織体制は合併して市になった平成18年ごろからの増減はどうですか。生涯学習課長にお尋ねします。
(中野生涯学習課長)。
弥富市総合社会教育センターは、
年齢や性別を問わず、市民皆様の多種多様な生涯学習を支援するため、
様々な講座や教室を開催し、学習していただく機会を提供するほか、
文化活動やスポーツレクリエーション活動など、
学習機会の場を提供するために、平成元年に建設されたものでございます。
また、職員体制であります人事面につきましてはほぼ横ばいですが、
会計年度任用職員の割合が多くなっていくきている状況でございます。
(佐藤仁志議員)
平成元年に総合社会教育センターが建設されたことによって、場所ができました。
そこで様々な人に呼びかけて、次々と団体を設立してもらってます。
そして社教センターとして体験教室・入門教室を開催して結果的には、各種団体の新規会員の獲得に結び付いていますので、人口4万人の町には素晴らしい文化スポーツ活動が行われています。
逆に、それを支える現場は大変悲惨です。
私も農業文化園・名古屋城・東山動物園など、土日の勤務しました。
市民団体を支えたり、実行委員会の事務局もやりました。
その悲惨さは経験しています。
特に社教センターでは、夜9時まで開館しています。
そのシフトは、いわゆる正規職員1人と、会計年度任用職員ですか、1人の2人です。
ここで行政をしようと思っても、公休日がバラバラで分散しているので、
全員で意思疎通のために会議やるにも、
課長として、全員が揃ってどうしようって、そんな時間はない。
行政としてこういう体制では非常に厳しいです。
これではまっとうな行政ができません。
次に、生涯学習課独自事業と各種団体のサポート業務の割合はどうなっているんでしょうか。
(中野生涯学習課長)
生涯学習課の独自事業と、各種団体のサポート、サポートの業務割合につきましては、
割合を示す具体的な数値はございませんが、独自事業が減少傾向にあります。
また、各種団体のサポート業務につきましては
時代の流れとともに、複雑煩雑化の傾向にあると感じております。
(佐藤仁志議員)
結局ですね、こんなサービス施設に関しては、行政が直営でやるってことは、あまりにも効率が悪いし、現場の利用者のお世話で終わってしまってるってのはもう時代遅れです。
次は現金の取り扱いについてですね、愛西市など他の自治体の生涯学習施設の管理運営状況と比べて弥富市は改善が遅れていませんか。
(中野生涯学習課長)
現金の取り扱いに関しましては、弥富市公金等取扱適正化対策委員会の中間報告にお示しをさせていただいておりますが、キャッシュレス化を検討しておるところでございます。
(佐藤仁志議員)
生涯学習計画に関する基本計画がまだ策定されていません。
そもそも、この生涯学習に関して、体系的な事業報告と、毎年の検証もされていません。
実はこれは既に法定でやらなきゃいけないんです。蟹江町のホームページ見て知りました。
それが、おそらく議員になる前に生涯学習課の職員と話をしてたとき必要だとおっしゃってました。
だけど、結局、本庁の方がきちんと人を配置してくれないとできないんです。
生涯学習課の職員が自ら調査を分析し、市民ときちんと話し合って検証と計画をつくっていく必要があります。
もうこれを機会に、行政職員が、団体のお金に振り回されるだけでなく、
本当に市民のためになる計画が策定ができるような環境を整えてください。
次に、本件の事件の教訓を教育長は管理者としてどう活かしていきますか。
(柴田教育部長)
このたびの生涯学習課における不適切処理、公金紛失という市役所の信頼を損なう事態が発生してしまいましたことは誠に申し訳なく思っております。
今後は二度とこのような問題が起きないよう、公金等取扱適正化方針を定め、チェック体制の確立、徹底、現金管理責任者の役割を明確化して、職員の適切な対応を促すとともに、組織を挙げて取り組んでまいります。
(佐藤仁志議員)。
失礼しました。実は今の質問は、通告した時点では教育長に答弁を求めていました。
しかし、副市長が委員長であるところの懲戒処分に関する委員会で処分の軽重が決定され、
去る6月6日に教育長最後の仕事として3人の部下に懲戒処分を下し、
おそらくその部分を処分した自らの手で自らを罰する。
けじめをつけるという意味で辞職をされました。
これは管理監督者として、
組織の規律を自ら示す、清い、組織のリーダーとしての規範を示された身の処し方だったと思います。
しかし、奥山教育長自ら業績を自慢しないので、皆さんあまりご存知ないでしょうが、
教育の現場と福祉の現場をつないだり、防災や、挙げだすときりがありませんが、組織のリーダーとして人と人の組織を繋ぎ、多くの人や組織を育ててきました。
弥富市における大きな事件という意味でもまだ道は半ばであり、
多くの部下を残したまま、去るのは管理監督者として、つらかったろうと思います。
市長として教育長の辞任を思いとどまらせることができなかったのか、
あるいは辞任しなくても良いような環境整備ができなかったのか。
教育長の任命権者である市長として発言されたいことがあれば、お聞きしますが、なければ次の質問に移ります。
