弥富市の財政問題・総合計画の解説

普通思っていますよね。「弥富市を初め、地方公共団体の財政は、すごく安定し、無借金経営、収入は安定してるし、赤字になるはずがない。」

実は、すごい借金経営なんです。弥富市の年間予算は一般会計で大体150億円ぐらいです。

ところが、一般会計だけで、借金の残高は113億円です。

これを多いと思うのか、少ないと思うのかについては、ここでは議論しません。

以前はこんなに多くなかったのですが、大体2000年頃から、増えてきています。

この間は、政策誘導による超低金利で、ほとんど金利が発生していませんでしたが、今後は相当な金利上昇と金利負担予想されます。

なぜこんな借金ができるかと言えば、道路整備や、教育・福祉施設など、いわゆる公共施設は、長い間使えます。

その受益は、建設した後の世代が使うということで、あえてその費用負担は、後の世代に求めるという考え方です。

以前は資金を積み立てて作っていましたが、今は借金をして作って、後の世代が、返済するということを繰り返しています。

数字をざっくり丸めて言うと、弥富市は、この間、大体、150億の予算のうち10億円の元本の支払いと1億円程度の金利支払いをしてきました。

今は100億円の借金で金利が5000万円ですから、現在は恐ろしく低金利の時代です。

返済が終わった分だけ、新たに公共施設を作るということを、どこの自治体でも繰り返しています。

なので、毎年10億円プラス金利。

そこまでの新規借り入れであれば、財政は健全化している。

そして、返済以上に借り入れをしてしまえば、将来に向けて財政を悪化させているということです。

JR弥富駅事業について言えば、この事業が他の事業と比較して、必要かつ効果的なものであるならば、40億もの借り入れについて、後の世代が返済することについては合理性があるはずですが、必要性と、効果が認められないというところが大変残念です。

さらに問題なのは、実は市長は「自由通路事業は、賑わい作りの起爆剤でありスタートライン」だと言ってます。

自由通路に続けて、様々な中心市街地の整備事業を行っていこうと企んでいます。

議会で確認しただけでも、今後5年間の投資的経費の合計は126億円。

おそらくこの8割がた100億円は借金をして賄うことになります。

100億円を5で割ると20億、

返済10億に対して20億の新規借り入れは毎年10億円借金を増やしていく。

財政を悪化させていくということです。

まずこの弥富市の描いているバラ色の総合計画自体が、財政的には、将来の市民にとっては極めて危険なツケ回しだということです。

さらに、今後金利が増えれば、100億円以上の借金をしてるわけですから金利が1%増えれば、1億円、5%増えれば5億円の金利負担を、私達を含む後の世代に押し付けることになります。

さらに今後、20年で、労働力人口が8割に減少すると言われてます。

本来は、この借金残高を2割カットすべきところですが、全く逆噴射をしているとしか言いようがありません。

以上が、財政問題の概要です。

R3.12 一般質問「公共施設整備の持続可能性と行政組織をパワーアップする」はこちらから

今、地方自治は大きな曲がり角を迎えています。

この先に待ち構える2030年超高齢化社会、2040年にいたっては超超高齢化社会、そして止まらない少子化、そして、南海トラフ地震がひたひたと迫ってきてます。

この予算は、その少子高齢化も、災害面も十分に考慮してると言えるのでしょうか。

このままブレーキもハンドルも使わずに突っ込もうとしてるんじゃないでしょうか。

地方自治を平たく言えば助け合いです。

2000年頃から国が推し進めてきた、地方分権一括法など一連の競争の導入によって、全国の自治体の財政が、悪化しています。

助け合いの原点よりも競争を優先する。

例えば、子供の権利であるはずの福祉。サービス提供にすり替えてしまっています。

安ければ安い方がいい。

そういうふうに流されていませんか。

本質的なものが失われ、お互いに助け合う。

自治の精神が失われています。

弥富市は、収入面では恵まれている方だと思います。

しかし、使い方が下手なんじゃないでしょうか。

使い方に関しては、近隣市町村に劣っていると言わざるを得ません。

他所がやってるからではなく、本当に必要な助け合いの事業に、集中しなければならない時期です。

ですから、市民のための助けにならないような、JRの駅のような公共事業を見直そうと言っているのです。

今後は他都市で行われている予算編成過程の公開や、予算案への意見を募集した上で、議会に諮るように改善してほしいと思います。

最後に地方自治法は、「地方自治体はその義務を処理するにあたっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げるしなければならない。」

地方財政法は、「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要かつ最小の限度を超えて、これをしてはならない」と規定しています。

どうか市民に予算案を公開し、議会できっちりと議論ができるような費用負担のあり方、費用対効果について具体的な検討を市役所全体で組織的にやり直してください。

 

「地方公共団体弥富市」とは、市民のお金と市民の財産を市民が雇った市長と公務員に執行させている仕組みのはず。

かつては、偉い人が決めたことに従っていれば良かった?

では、弥富市民(約4万人)で、どれだけの財産を共有しているかは

弥富市のHpで「令和2年度財務諸表(統一モデル)」を見ていただくと

令和2年度固定資産台帳 (Excel 670.6KB)新しいウィンドウで開きますがダウンロードできます

そしてこれはわかりにくいので私が平成30年時点ですがExcelにして少し並び替えをしてみました。

さらに集計した結果です

 

公共施設の建設費は将来の利用者も負担すると言う意味で

10年から30年程度の市債(借金)で建設することができるとされています

 

この表は6月議会で質問した過去10年間の市債の償還実績と起債実績。

そして今後10年間すでに召喚が確定している金額と起債予定を整理して金額を億円にしてみていたいています。

ここにあるように過去10年間で臨時財政対策債を除く、

いわゆる箱物公共施設、下水道関係で過去10年間で償還した実績は約100億円。

それに対して下水道52億円を始め新たに起債をしたのが157億円と言うことで約57億円借金が増えています。

そのため今後10年間に過去に借りたもので98億円の借金の返済が確定しています。

中期財政計画に見込まれている起債予定は下水道41億円を始めとして、それだけでもすでに100億円です

地方財政審議会での地方財政計画の事業目的別歳出の推移です。

これは全国の数字ですが、この間の地方自治における傾向と対策がよくわかります

平成はバブルの崩壊とともに始まり、国の公共投資だけでなく、国が地方自治体に対しても箱物、道路や下水道等、投資的事業を起債により促し、それが地方自治体の身の丈を超えた無理な公共投資として借金を膨らませました。その結果平成12年ごろから一転して、地方自治体の財政の健全化の名のもとに、いわゆる平成の大合併へと、政策が転換され、踏み続けたアクセルからブレーキがかかりました。

このグラフにあるようにその後の高齢化の進行により「社会保障関係費の一般行政経費」が増加する中で投資的経費が平成10年前後の3分の1に減少しています。

一方で、投資的経費を賄うための起債により借金の返済である公債費が増え、大きな負担になっていることも読み取れます。

弥富市も例外ではなく、平成の前半にハコモノだけでなく農村集落排水事業や公共下水道事業、日の出橋のほか、この表には表していませんが平成10年前後は各種道路事業も含めて相当な事業が行われました。

平成の後半は、社会保障関係費の一般行政経費の増加により投資的経費の抑制をすべきだったのに、弥富市は基金を取り崩し起債に頼り、弥富中学校、弥生保育所、日の出小学校、白鳥保育所、新庁舎、新火葬場その他各種箱物を無理してやってきました。特に下水道が問題です。

総合計画をきちんと見直して、今後の投資的事業についてはきちんと身の程をわきまえないなければ危機的な状態になると思います

総合計画の10ヵ年の主な事業について令和2年6月議会で、

公共施設長寿命化で137億円、

公共下水道で72億円、

インフラ系施設33億円、

9月の議会でお伺いした海部南部消防の建て替え等を全部足すと

400億円を超える事業が総合計画として描かれています。

総合計画は10年間全体で財政的な検討はされていないということです。

総合計画で記載されていることとやれるかどうかは別です。

すべて実施するには財源がとても足りません

基本計画の一覧表(事業費含む)はこちらから

 

弥富市の将来人口推計値図をご覧ください。人口の年齢構成が高齢化し、

特に介護の必要度の高い後期高齢者が増加する一方、税負担能力が将来的に落ちます。

 

仮に弥富駅の橋上化事業がこのまま進んでしまったとします、
市債・借金の償還に30年かかります。
30年後・2060年頃、65歳未満の働く世代は1990年代・ピーク時の半分程度の人数と推計されています。
全国の鉄道の利用客も半減し、線路や車両を維持することさえも大変で、駅施設のスリム化は必定です。
この間に弥富市として公共施設のリストラを計画的に進めなくてはなりません。
しかも海溝型地震・南海トラフ地震対策や、復興対策も計画に織り込まなければなりません。
2000年頃に地方分権一括法で、国が全国で合併を進めたのは、
地域ごとに本当に必要なものを厳選し、
国の政策と補助金に頼らず、地域で話し合い、地域の創意工夫でこの「縮減時代」を乗り切るためです。
時代錯誤、借金頼みの巨大公共事業は、弥富市を破壊する禍威獣(かいじゅう)ではないでしょうか。
将来世代に借金まみれの弥富を残し、
住民生活に必須の事業を圧迫している、弥富市を破壊する禍威獣(かいじゅう)ともいえる事業です

 

東海財務局による財政状況把握ヒアリング結果で、債務償還能力が「やや注意」から「注意」に悪化しています。

原文のまま読むと「市域の大半が海抜ゼロメートル地帯であることから防災対策事業を継続的に実施する必要があることに加え、JR・名鉄弥富駅自由通路整備及び橋上駅舎化事業、学校等公共施設の長寿命化対策等が控えており、財政負担のさらなる増加が見込まれている。」

地球温暖化、災害の激甚化によって排水を増強して維持しなければならないと言う財政的なリスクを負っていることを、東海財務局という国の機関からも指摘しています

 

たまたまここ最近が低金利の時代で金利負担がほとんど気になりませんでしたが

いよいよアメリカの公定歩合もあげられ、この意図的な超低金利マイナス金利はいつまでも続きません

二百数十億もの借金がある中で1%でも金利があったら年に2億数千万負担が発生しします

少子高齢化社会人口減少社会に向かって自治体の形が、おそらくここ数年でクラッシュします

そういう中で国の補助金をあてにした箱物をいつまでもやるのですか

また将来世代への付け回し、これは人口が増加してる時期のやりかたです。

 

JR名鉄弥富駅自由通路及び橋上駅舎化の予算に象徴されるように、事業の仕分けができていません。
公共団体が主体となるべき事業なのか、民間が主体となるべきか、
民間主体で公共団体は支援するべき事業なのかの仕分けができていません。
民間支援型として、民間区画整理事業の設立のための設計費なども計上されていますが、
民間の事業に対して、どれだけの支援をするのかの理論的な整理も、限度額も決めないまま漫然と進めています。
かつて、長野県知事が、ダム事業の事業費が、当初の予定額の何倍にもなっていることを部下に咎めたところ、
県の幹部は、そんなこともこの新米知事は知らないかといったふうに
「小さく始めて大きく育てるのが公共事業の旨味」と返したそうです
そのこころの声を翻訳すると、金額が大きいと反対される。
小さい金額でも効果は絶大、県民が堤防整備の方が安いと言ってきても、それはお金も、時間もかかるからできません。他の方策はありません。
といっておけば、県民は喜んで知事さんを再選させるでしょ。
後は理由を付けて大きくすれば、県としても予算は大きくなる、業者は喜ぶ、役人も出世できる、みんなハッピーじゃないですか。
これが以前の、人口増加期の公共事業の実態でした。
今回も良く似た話だと思いませんか?
しかし、これからは、人口減少期です。今言ったようにして、無駄に大きな公共施設が複数建てられたストック、不良債権が積み上がっています。
その借金返済と維持管理と更新が、これから減っていく小さな肩にのしかかっています。
弥富は違う、と言いたいのでしょうが
弥富も、25年ぐらい前から、肝心の65歳未満の人口が目に見えて減っています。
近鉄弥富駅の利用者も、橋上化した25年前、一日約1万6千人が今や1万2千人、4分の3、弥富市の少子化と同じカーブをたどっています。
下水道事業も着手した時の「絶大の費用対効果」はどこかへ行ってしまって、利用料を負担する人口が減り続けるなかで、未だに新規工事をやめない。
だれが尻拭いをするのでしょうか。
4年ごとの選挙で入れ替わる市長や議員でなく、尻拭いは住み続ける市民です。
逃げ出せばいいという市民の意見も聞こえてきていますが。
そこで、予算編成は行政職員全員が、市民に対して責任を持つ気構えが必要です。

 

基本計画の一覧表(事業費含む)はこちらから

 

第2次弥富市総合計画の市民の参画と行政の協働

実際に市民の声としてどのようなことを市政に活かしたのでしょうか

第二次弥富市総合計画では、計画の特徴として第1に、

市民の参画と行政との協働による「市民主体」を基本とした計画として

今後のまちづくりでは、市民の参画と協働意識を生かした地域力の維持・強化、生涯にわたって市民が活躍。

さらに、地方分権、持続的な経営、社会情勢や市民ニーズの変化を的確に捉え、市民と行政の信頼関係、協働のまちづくりが強調され。

このため、策定段階から市民参画・協働の取り組み、計画の策定後も、市民と行政が一体となった行政運営、市民の主体的な参画と熟議に根ざした計画とされています。

第2次弥富市総合計画づくりに向けたアンケートを行った結果、

今後の「重要度」として

1位 災害対策(地震・風水害等)の充実

2位 防犯対策の充実

3位 河川改修や雨水排水対策の充実

4位 公共交通機関(鉄道)の便利さ

5位 保育所・小中学校における安全・安心対策

となっています

また、市民が考えるマニフェストでは、市民は

1位 住環境の整備による快適で暮らしやすい環境作り

2位 防災、防犯、交通安全対策による安心・安全なまちづくり

3位 子育てしやすい環境づくり

4位 誰もが元気に暮らせる保健・医療・健康づくりの充実

5位 若い人の定住、就業を促進する環境作り

となっています

アンケート調査の結果を受け基本構想のまちづくりの課題認識では

第1番目に、安全・安心なまちづくり(防災・減災など)への対応

第2番目に、人口減少、少子高齢化の進行を踏まえた住み続けられるまちづくりへの対応

第3番目に、まちの活力や魅力の創造・強化への対応

が挙げられています

この基本構想に基づいて人や予算などの配分がなされていると思えません。

第2次弥富市総合計画の市民による外部評価と進捗管理

平成30年に第2次

弥富市総合計画の答申にかかる付帯意見として

総合計画の趣旨に鑑み、進行管理の過程においては職員による内部評価に加え、市民による外部評価の仕組みと、主に若手職員による組織横断的な研究会及び政策提言会を設け、進捗状況の評価や次期総合計画の修正に反映することなどを活用すること。

上記の目的、趣旨などを踏まえ、今後の進行管理のあり方、仕組み作りにについて審議するための組織(委員会、ワーキンググループなど)を設置すること。とあります