【提言】弥富市特別職報酬等審議会へ問う
~「お手盛り」や「前例踏襲」を超えた、真の成果主義に基づく報酬体系へ~
弥富市において、平成28年度以来となる「特別職報酬等審議会」が開催されています。市長・副市長・教育長といった特別職、および市議会議員の報酬額を審議する重要な場です。 しかし、公募委員はわずか2名であり、現時点での審議内容がホームページ等で十分に公開されていないなど、透明性に課題があります。
よその自治体との横並びや、単なる物価スライドでの決定で終わらせてはなりません。今こそ、主権者である市民の視点から、報酬のあり方を根本から問い直すべきです。以下にその論点と提言をまとめます。
- 「生活給」から「成果報酬」への転換を
一般職員の給与は、生活給としての側面があり、人事院勧告(物価や民間給与の動向)に連動することは理にかなっています。しかし、市長や議員は「経営者」であり「チェック機関」です。 彼らの報酬を、一般職員と同じロジック(0.9%アップなど)で決めるのはナンセンスです。
- プロ野球の年俸改定のように: 報酬は「生活保障」ではなく、市民の負託に応え、どれだけ成果を出したかに対する「対価」であるべきです。
- 経営能力への評価: 「長時間働いたから」ではなく、「どのような経営手腕を発揮したか」「危機的な財政状況に対し、単なるカットや増税ではなく、どのような工夫で乗り切ったか」を評価基準とすべきです。
- 「財政責任」と連動した報酬体系の導入
具体的な成果指標(KPI)を導入し、実績に基づいた査定を行うべきです。特に財政規律は、経営者(市長)と監視役(議員)の共通の責任です。
- 借金(市債)との連動:
- 借金を減らし、財政を健全化させたならば、その貢献に見合った報酬増額を認める。
- 逆に、無計画な借金を増やし、財政を悪化させたならば、経営責任として報酬を減額する。
- 連帯責任の明確化: 財政悪化の責任は、執行権を持つ市長だけでなく、それをチェックし承認した議会(議員)にもあります。成果も責任も、両者が負うべきものです。
- 「形式的な審議」からの脱却
前回の審議会(平成28年)の記録を見ると、委員間で激しい議論が交わされた形跡はありますが、最終的には事務局(市側)が提示した「人事院勧告準拠(物価・人件費スライド)」の案に落ち着いています。これでは、審議会を開く意味がありません。 「他都市と比較してどうか」という横並びの議論ではなく、「弥富市の現状と成果に見合っているか」という独自視点での審議を強く求めます。
- 主権者である市民の「監視」と「覚悟」
報酬の原資は税金です。私たち市民がスポンサーであり、オーナーです。 「市長や議員が何をしているか分からない」と無関心でいることは、白紙委任をしているのと同じです。 リコールのような極端な手段だけでなく、日頃から彼らの仕事ぶり(成果)を監視し、報酬審議のプロセスに注目すること。それが、質の高い市政を実現する第一歩です。
結論: 今回の審議会が、単なる「通過儀礼」で終わらないことを切に願います。 数値化が難しい「まちづくりの成果」や「将来への投資」も含め、行政と議会のパフォーマンスを真剣に評価し、納得感のある報酬体系を構築する機会とすべきです。
平成28年弥富市特別職報酬等審議会
https://www.city.yatomi.lg.jp/shisei/1000802/1002066.html
第1回審議会
開催日:平成28年7月25日(月曜日)
場所:弥富市役所 十四山支所3階 第4会議室
会議の目的: 市長、副市長、教育長および市議会議員の報酬額改定について審議する。
主な論点:
- 改定の方向性:
- 現状維持: 多くの委員が、物価上昇や財政状況の不透明さを理由に現状維持を支持。
- 微増: 人事院勧告による一般職の給与増、他自治体との比較、人材確保の観点から、わずかな増額を提案する意見も。
- 減額: 議員報酬については、非常勤であることや仕事内容への疑問から、抜本的な見直し(減額含む)を求める意見も出た。
- 議員報酬のあり方:
- 生活給かボランティアか: 「非常勤であり生活給は不要」という意見と、「専業で活動できる水準でないと若手や優秀な人材が確保できない」という意見が対立。
- 活動内容への評価: 議会出席日数だけでなく、日常の活動も含めて評価すべきとの意見。一方で、議員の資質や活動実態に疑問を呈する声も。
- 特別職(市長・副市長・教育長)の報酬:
- 24時間拘束される職務であるため、生活給としての側面も考慮すべきとの意見。
- 教育長については、制度改正による職務権限の強化(教育委員長との一本化)を踏まえた検討が必要との指摘。
- 比較対象・指標:
- 人事院勧告: 一般職の給与改定率(微増傾向)を参考にする。
- 他自治体: 類似団体や近隣自治体との比較。弥富市の財政力指数は良好だが、報酬額は突出して高いわけではない。
- 経済指標: 物価指数、民間給与水準など。
会議の結論(次回への持ち越し):
- 今回は各委員の意見出しにとどまり、具体的な改定額の決定には至らず。
- 次回(8月4日)までに、各委員が意見を持ち帰り、再検討した上で答申をまとめる方針。
- 事務局は、一般職の給与増額の実態など、追加資料を準備することとなった。
注目点:
- 市民感覚の反映: 委員構成に多様な市民代表(自治会、商工会、福祉団体など)が含まれており、それぞれの立場からの率直な意見が出されている。特に、議員報酬に対する厳しい意見は市民感覚を反映していると言える。
- 人材確保と報酬: 報酬額が人材の質に影響するという視点は重要。特に若手議員のなり手不足への懸念が示されている。
- 財政状況の認識: 弥富市の財政力は比較的良好であるものの、将来負担への懸念や経済情勢の不透明さから、安易な増額には慎重な姿勢が見られる。
この議事録は、地方自治体の特別職報酬決定プロセスにおける様々な視点や葛藤を浮き彫りにする興味深い資料です。
弥富市特別職報酬等審議会(第2回)
第2回審議会
開催日:平成28年8月4日(木曜日)
場所:弥富市役所 十四山支所3階 第4会議室
会議の目的: 前回(第1回)の議論を踏まえ、市長、副市長、教育長および市議会議員の報酬額改定について最終的な答申をまとめる。
主な決定事項(答申内容):
- 特別職(市長・副市長・教育長):0.97%の増額
- 理由:
- 一般職の給与が人事院勧告により0.97%(2年分の合計)上がっているため、それに準じるのが妥当。
- 前回(平成24年)の審議会で0.69%下げており、今回はプラス改定とする。
- 最低賃金の上昇や経済情勢(アベノミクスによる賃上げ傾向)も考慮。
- 市長等は24時間拘束される激務であり、責任に見合った報酬が必要。
- 議論の経過:
- 財政状況や市民感情への配慮から「現状維持」や「上げ幅を抑える(0.47%)」意見もあった。
- 最終的に多数決(挙手)により、0.97%の増額で決定した。
- 理由:
- 議長・議員:0.47%の増額
- 理由:
- 若い人材や多様な人材が議員になりやすい環境を作るため、ある程度の報酬増が必要。
- 前回下げた分を考慮し、微増とする。
- 議員定数が削減されたことも考慮。
- 議論の経過:
- 「報酬は十分高い」「活動が見えない」などの理由から「据え置き」や「減額」を求める意見も根強く、賛否が拮抗。
- 最終的に会長裁定も含めた多数決により、0.47%の増額で決定した。
- 理由:
- 副議長:据え置き
- 理由:
- 県内市の中で報酬額の順位が比較的高いため(26位)、他職とのバランスを考慮。
- 理由:
その他の論点:
- 付帯意見:
- 財政状況や市民感情を考慮し、適宜見直しを行うべきという趣旨の意見が付記された。
- 議員報酬のあり方:
- 政務調査費の導入や日当制への移行など、抜本的な見直しを求める意見も出たが、今回の審議会の範囲外として結論には至らず。
- 審議会の構成:
- 若い世代の意見を反映させるため、委員構成を見直すべきとの提案があった。
総評:
- 多様な意見の対立: 財政規律や市民感情を重視する慎重派と、人材確保や処遇改善を重視する積極派の間で、激しい議論が交わされた。
- 会長のリーダーシップ: 意見が割れる中で、会長が積極的に議論をリードし、多数決や裁定を用いて結論を導き出した。
- 市民感覚との乖離への懸念: 一部の委員からは、報酬増額が市民の理解を得られるか懸念する声が繰り返し上げられた。
- 「0.97%」と「0.47%」の根拠: 一般職の給与改定率を基準としつつ、特別職と議員で異なる改定率を採用した点は、それぞれの職責や現状に対する評価の違いを反映していると言える。
この議事録は、地方自治体の報酬決定における難しさと、多様な視点を調整するプロセスの重要性を浮き彫りにしています。
