住民の「不安」を行政の「論理」でねじ伏せる、冷徹な跡地計画。
命より野球? 海抜0メートル地帯で「自助」を強いる市と、「避難所」を叫ぶ住民の平行線
要点: 「災害時は自分で逃げろ」と突き放す行政VS「逃げ場がない」と訴える住民。市民が求めた「安心」はスルーされ、なぜか「硬式野球場」計画だけが進んでいく怪奇。
「検討します」のコピペ答弁。対話なきパブコメが浮き彫りにした行政の「アリバイ工作」
要点: どんな提案も「貴重なご意見」で封殺。最初から決まっていた「解体・グランド化」の結論ありきで、市民参加がただの通過儀礼に成り下がっている現状。
欲しいのは「地域の広場」、来るのは「硬式野球場」。住民不在の跡地活用パズル
要点: 民間提案ゼロを理由に、営業努力もなく「役所仕事」で処理。日常的な賑わいや防災拠点を求める市民の声を無視し、行政都合の「施設統廃合」が強行されようとしている。
弥富市の公式ホームページに
十四山中学校跡地利活用における整備方針(案)に対するパブリックコメントの結果を公表されました 以下のページです
https://www.city.yatomi.lg.jp/shisei/1000811/1000812/1006883.html
「十四山中学校跡地利活用における整備方針(案)に対するパブリックコメントの実施結果」を分析しました。
全体を通して、「行政の論理(管理・効率化・統廃合)」と「住民の論理(防災・賑わい・安心)」の間に深刻な乖離(かいり)が見られます。市側の回答は定型的で、住民の不安や提案を「検討する」「参考にする」という言葉で巧みに(あるいは事務的に)かわしている印象が強く、パブリックコメントが「市民の声を聞いた」という既成事実作り(アリバイ作り)に留まっている可能性が懸念されます。
以下に、主要な論点ごとの詳細な分析を提示します。
- 「対話」の欠如と官僚的答弁の繰り返し
最も顕著な問題点は、市側の回答姿勢です。多くの意見に対し「貴重なご意見ありがとうございます」「参考にしながら検討してまいります」という定型文が繰り返されていますが、その実、方針を修正する意思がほとんど感じられません。
- 拒絶の論理: 例えばNo.1(星野リゾートへの相談)に対し、「公募で提案がなかったから相談もしない」という回答は、行政としての営業努力や熱意の欠如を示しています。「待っていても来ないなら、こちらから売り込む」という民間感覚が欠落しています。
- 個別回答の拒否(No.10): 「個別の回答はいたしかねる」という姿勢に対し、フィードバックの不透明さを指摘されていますが、それに対する回答も「HPで公表する」という手続き論に終始しており、コミュニケーションの質を改善しようとする姿勢が見えません。
- 防災意識の決定的ズレ(「自助」の強調への違和感)
十四山地区が海抜ゼロメートル地帯であり、住民が最も切実な「命の危険」を感じている点に対し、市の回答は冷淡かつリスク管理として不十分に映ります。
- 「自助」への責任転嫁(No.4): 住民の「避難所がなくなる不安」に対し、市は「自分の命は自分で守る自助の観点」を強調しています。災害弱者や地理的条件(逃げ場のない低地)を考慮せず、行政の責任(公助)を放棄しているとも取れる発言です。これは住民の不信感を招く最大の要因となり得ます。
- 「よつば小学校」頼み: 複数の回答で「令和10年開校のよつば小学校があるから大丈夫」としていますが、既存校舎解体後の収容人数減や、そこまでの移動距離のリスクに対する具体的なデータ(シミュレーション)が示されていません。
- 「多目的」という名の「野球場ありき」計画
住民は「誰でも使える施設」「屋内施設」を求めていますが、市は「南部地域のグランド統合先」として、事実上の「硬式野球対応グランド」を整備しようとしています。
- 論理の矛盾(No.10, 12): 市は「施設総量の削減(屋外運動施設の整理)」を掲げつつ、新たな巨大施設(硬式野球対応)を作ろうとしています。住民からの「すでに過剰ではないか」「なぜ硬式が必要か」という問いに対し、「各種イベントもできる多目的グランド」という言葉で濁していますが、実質的には特定の競技団体(野球)の利益が優先されているように見えます。
- ニーズの不一致: 住民が求めているのは「日常的な賑わい・遊び場・防災拠点」ですが、市が提供しようとしているのは「特定の利用者が使う競技場」です。この根本的な用途のミスマッチが解消されていません。
- 手続きと透明性の問題
プロセスそのものに対する不信感も複数の意見から読み取れます。
- 結論ありきの「検討」: 「住民説明会の意見を踏まえて案を作成した」としつつ、具体的にどの意見がどう反映されたのかが不明確です(No.6)。「解体」や「グランド整備」という結論が先に決まっており、パブリックコメントはそれを正当化するための通過儀礼になっているように見受けられます。
- 募集期間と周知(No.10): 1ヶ月という短い期間や、上位計画(基本方針)の段階でパブコメを行わなかったことに対する指摘は、行政の手続き論としては「合法」かもしれませんが、住民参加の精神としては「不誠実」です。
- 民間活力導入への消極性
「アイデア募集をしたが提案がなかった」ことを理由に、市単独での整備(=税金投入)や、ありきたりのグランド整備に落ち着こうとしています(No.1, 6)。
- 分析: 提案がないのは「魅力がないから」ではなく、「条件(規制やインフラ)が厳しすぎる」あるいは「市のビジョンが不明確で投資リスクが高い」からである可能性があります。市は「提案がない」ことを言い訳に、これ以上の民間誘致努力を放棄しているように見えます。本来なら、規制緩和やインセンティブ設計を見直すべき局面です。
総評と今後の懸念
このパブリックコメントの結果概要から読み取れるのは、「住民の不安(特に防災)を『論理』でねじ伏せようとする行政」の姿です。
市側は「令和10年の小学校開校」「南部グランドの統合」という行政計画パズルを完成させることを最優先しており、その過程で切り捨てられる「現在の避難所」や「日常の憩いの場」に対する住民の喪失感に寄り添えていません。
このまま計画を進めれば、「立派な野球場はできたが、災害時に住民が逃げ場を失い、日常的には誰もいない(野球関係者しか来ない)場所」になるリスクが高いと言わざるを得ません。真の「跡地利活用」とするためには、防災機能を「おまけ」ではなく「最優先事項(一丁目一番地)」に据え直し、野球場機能と防災機能(避難タワーや備蓄倉庫の併設など)を真にハイブリッドさせた計画への転換が必要です。
