提言書:弥富市の未来を創る教育改革〜通知表の抜本的見直しと教育大綱のアップデート〜
1. 提案の背景と目的
予測困難な変化の時代において、経済産業省の「未来人材ビジョン」等でも指摘されている通り、これからの社会で求められるのは、画一的な正解を導く力ではなく、**「独創性」と「自ら課題を発見し解決する力」**です。 しかし、現在の弥富市の教育大綱は「知・徳・体」といった従来型のスローガンに留まっており、社会の劇的な変化や、それに伴う子どもたちの多様な学びの形を十分に反映できているとは言い難く、時代に合わせた根本的なアップデートが必要です。 本提言は、教育大綱の抜本的見直しと、その象徴的な施策としての「低学年における通知表の廃止・見直し」を通じて、子どもたちの個性を伸ばし、教員が真に子どもと向き合える教育環境を構築することを目的とします。
2. 全国の先行事例と最新の動向
「記号による一律の評価」が子どもを萎縮させ、他者との過度な比較を生むという懸念から、全国的に通知表(あゆみ)の廃止や見直しの動きが加速しています。通知表の発行は法令上の義務ではなく、学校や自治体の裁量で柔軟に変更が可能です。
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岐阜県美濃市の事例(朝日新聞等報道):
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2025年度より小学1年生、2026年度より2年生の通知表を廃止。
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代替手段: 年2回の丁寧な個人懇談と、学年末に文章で成長を記す「修了証」への移行。
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効果: 記号(◎・〇・△)による評価をなくすことで、教員がこれまで以上に「子どもの良いところ、具体的な様子」を観察するようになり、保護者からも「面白い」と肯定的な反響を得ています。
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静岡県掛川市の事例(2026年度〜):
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2026年度より市内全21小学校の1〜3年生の通知表を完全廃止(2027年度には4年生まで拡大予定)。
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代替手段: デジタル端末を活用した「AIカルテ」による日々の学習進捗の可視化と、三者面談の実施。
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効果: 教員の通知表作成業務を大幅に削減し、「もっと子どもや保護者と向き合う時間」を創出しています。
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愛知県下の動向:
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県内でも常滑市が「小学校低学年の通知表を3学期のみ(1・2学期は廃止)」とするなど、子どもの発達段階を考慮した見直しが進んでいます。愛知県の「働き方改革ロードマップ」でも通知表記載内容の精選が掲げられており、今後さらにこの動きは加速すると予想されます。
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3. 弥富市への具体的提言
① 時代に即した「弥富市教育大綱」の根本的見直しと熟議の場の創設
現在の教育大綱を、現代の「独創性・課題解決力」を重視するビジョンへと刷新すべきです。策定にあたっては、教育委員会や一部の有識者だけでなく、今の保護者世代、若者、地域住民とじっくり対話・議論(熟議)する場を設け、弥富市の未来を担う人材像を市民参加型で再定義することを求めます。
② 「通知表」の段階的廃止と「成長を共有するポートフォリオ・面談」への転換
美濃市や掛川市の先行事例に倣い、まずは小学校低学年(1〜2年生)の通知表を廃止することを提案します。
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評価の転換: 記号での相対的・画一的な評価から、個人の成長に焦点を当てた絶対評価(面談での対話や、デジタルポートフォリオを用いた日々の学習記録の共有)へ移行する。
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教員の働き方改革: 通知表作成に割かれていた膨大な事務時間を削減し、教員が子どもたち一人ひとりと向き合う時間、授業の質を向上させるための時間に還元する。
4. 結び
評価のあり方を変えることは、教育のあり方そのものを変えることです。弥富市が近隣自治体に先駆けてこの改革に取り組むことは、「子どもを真ん中に置いた、新しい時代の教育を実践するまち」として、子育て世代への強力なメッセージにもなります。早急な議論の開始を要望します。
