⚠️ 弥富市「弥生保育所」民営化は誰のため?
市民全員に関わる「公的保育の命綱」切り離しに潜むリスクを徹底検証
弥富市が進める弥生保育所の民間移管は、単なる施設運営の変更ではありません。それは、**困窮家庭の子どもも含め、全ての子どもを分け隔てなく受け入れてきた「公的保育のセーフティネット機能」**を市が手放すことを意味します。
市の説明会資料は、財政効率化と**「多様なサービス」**というメリットを強調する一方で、最も重要な論点を意図的に矮小化しています。
🚨 市の説明会資料に潜む3つの重大な論点
- 民営化の真の目的が不明確: 就学前児童の減少を課題とするものの、なぜ築年数の若い弥生保育所が対象なのか、その論理が不十分です。建前の「保育水準向上」の裏で、**「財政効率化」**が優先されている姿勢が透けて見えます。
- 公的役割の軽視とデメリットの隠蔽: 公立保育所が担ってきた**「特別な配慮を必要とする子どもの受け入れ」や「地域全体の保育の質の担保」といった公的機能が失われるリスクについて、言及がありません。また、民間移管後の運営が「教育的要素」に偏り、「生活の場としての福祉的保育」**が後退する懸念があります。
- 対話姿勢の欠如と情報の不透明性: 保護者アンケートでは「民営化反対」「質を重視してほしい」という切実な声が上がっているにもかかわらず、市はこれに対し形式的な回答に終始。**「保護者が納得できるまでしっかりと説明を行ってほしい」**という声は、市の一方的な決定プロセスへの不信感の表れです。
結び:市民全体がこの問題の「株主」である
この決定は、子育て世代だけでなく、すべての市民の税金の使途と、地域社会の活力を左右します。
公立保育所が長年築いてきた**「ゆとりある質の高い保育」と「児童福祉の砦」**としての役割を、安易に手放して良いのか。私たちは今、単なる効率化の議論を超え、子どもたちの生活と福祉を守るという視点から、弥富市の未来について議論を始める必要があります。
以下詳細なレポート
市民の皆さま、弥富市が弥生保育所の民間移管を進めていることをご存知でしょうか。これは一保護者だけの問題ではありません。この決定は、弥富市全体の未来の子育て環境を左右する重要なテーマです。
市の説明会資料や保護者向けアンケート結果からは、民営化のメリットばかりが強調され、課題やリスクについての議論が不十分な点が明らかになっています。公立保育所が長年担ってきた、全ての子どもたちを分け隔てなく受け入れるという「公的な役割」や、市が保育の質を直接担保するという「安心感」が、民営化によってどう変わるのか、私たちはきちんと考える必要があります。
子育て世代でない方も含め、すべての市民が関心を持つべきなのは、民営化によって市の公的サービスがどのように変化し、私たちの税金がどのように使われていくかという点です。子育て支援は、子どもたちの健やかな成長だけでなく、地域社会の活力を守るためにも欠かせません。
このページでは、市が公開した説明会資料とアンケート結果を客観的に整理し、「保育所民営化」というテーマの背景にある、より大きな論点を解説します。ぜひご一読いただき、弥富市の未来の子育てについて一緒に考えていきましょう。
弥富市は弥生弥生保育所の民間移管に向けて下記のとおり説明会を実施しました。
弥生保育所民営化説明会
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実施日 |
主な内容 |
|---|---|
| 令和7年5月17日(土曜日)
午後2時から |
・保育の現状と課題について
・保育所の民営化の手法について ・質疑応答 |
弥生保育所民営化保護者説明会
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実施日 |
主な内容 |
|---|---|
| 令和7年6月7日(土曜日)
第1部 午前10時から 第2部 午後2時から |
・保育の現状と課題について
・保育所の民営化の手法について ・質疑応答 |
説明会資料およびアンケート調査結果
弥富市による保育所民営化の説明資料に対する整理
- 民営化の現状と課題認識の偏り
弥富市は、資料の冒頭で「保育の現状と課題」として就学前児童数の減少を挙げていますが、この減少が民営化の直接的な原因であるかのような印象を与えています。しかし、市内の公立保育所の定員充足率(定員970人に対し入所児童数673人)が低いことを問題視しながらも、その原因や対策については深く言及していません。単に児童数が減っているから民営化が必要だという短絡的な論理に終始しています。
また、資料では公立保育所の老朽化に触れていますが、民営化の対象が築年数の若い弥生保育所であることの説明が不十分です。「経過年数が少ない保育所を対象とします」という方針は示されていますが、これがなぜ築14年の弥生保育所なのか、他の築年数が古い保育所を民営化しない理由が明確ではありません。
- 保育所と幼稚園の違いに関する説明の不足
資料後半に保育所と認定こども園の概要が記載されていますが、これは一般的な定義を羅列しているに過ぎず、両者の本質的な違いや、民営化によって保育所が認定こども園へ移行することの具体的な影響について、保護者が判断するために必要な情報が欠けています。
- 保育所の役割(保護者の就労等による保育欠如)と幼稚園の役割(就学前教育)の違いが十分に説明されていません。
- 認定こども園は「保育所と幼稚園の基準を併せ持つ」とありますが、実際には各園の運営方針によって教育重視・保育重視の偏りが生じること、また、保育士と幼稚園教諭の職務や専門性の違いが、子どもたちの保育・教育内容にどう影響するかについての説明がありません。
- 民営化後の園が認定こども園へ移行することで、教育的要素が強くなり、これまで公立保育所が提供してきた「生活の場としての保育」が後退する可能性について、一切触れられていません。
- 民営化のメリットを強調し、デメリットを矮小化
資料全体を通して、民営化のメリットばかりが強調され、潜在的なデメリットやリスクが十分に説明されていません。
- 運営費の削減効果:民営化の目的は「運営費の削減のみを目的とするのではない」としながらも、「国・県の負担金の交付」や「国の補助制度の活用」に言及しており、実質的に財政的なメリットを第一に考えている姿勢が透けて見えます。
- 「多様な保育サービスの展開」:民間の理念に基づいた保育が提供されるメリットを強調していますが、これが特定の保育観に偏るリスクや、営利目的の運営に陥る可能性については触れていません。
- 「迅速かつ柔軟な対応」:民営化(移管)のメリットとしていますが、これは裏を返せば、市民の意見が直接運営に反映されにくくなる可能性を示唆しています。公設公営であれば市民の声が市に届きやすかったものが、民設民営では「民間事業者」というフィルターを介することになります。
- 公立保育所の役割の軽視:公立保育所が担ってきた「特別な配慮を必要とする子どもの受け入れ」や「地域全体の保育の質の担保」といったセーフティネット機能、および「公務員としての専門性」が失われるデメリットについて、言及がありません。
- 「引継保育」:民営化による子どもたちへの影響を和らげるためとして「1年間」の引継保育を挙げていますが、保育士の「全員が変わる」ことによる子どもたちの不安定化や、環境の変化に対する丁寧なフォロー体制については、形式的な説明に留まっています。
4.資料の結論
弥富市の民営化説明会資料は、「民営化は良いことだ」という市の結論ありきで作成されており、その根拠として都合の良い情報のみを提示しています。保育所民営化という重要な政策決定プロセスにおいて、市民が多角的に議論・判断するための情報が不足しており、特に以下の点が批判の対象となります。
- 民営化の目的が不明確:建前としての「保育水準の向上」よりも、本音として「財政効率化」が優先されていると見受けられます。
- 市民との対話姿勢の欠如:デメリットやリスクを意図的に隠蔽・矮小化することで、市民の不安や疑問を封じ込め、「説明責任を果たしている」という体裁を整えているに過ぎないと捉えられます。
- 公的セーフティネットの機能低下への懸念:民間事業者への移管は、公立保育所が長年培ってきた公共性や、全ての子どもを平等に受け入れるという重要な役割を放棄する選択である可能性が極めて高いにもかかわらず、その点への配慮や代替案が示されていません。
この資料は、市民が公平な立場で保育行政について議論する上で、極めて不十分かつ不誠実な内容であると言えるでしょう。
弥生保育所 民営化に関する保護者アンケート調査結果への評価
弥生保育所の保護者向けアンケートは、民営化の方針がすでに決定している前提で実施されており、市民の不安や懸念を払拭するどころか、むしろ市の都合の良い情報収集に終始しているように見受けられます。回収率が約16%(130通中21通)と低いことも、保護者の関心の低さや、説明会への不信感の表れとも考えられます。
このアンケート結果は、市の民営化に対する説明が以下のように不十分であることを示唆しています。
- 保育所と幼稚園の違いに関する説明が不十分
アンケートの自由記述欄(質問3, 4)では、「教育に力を入れてくれるとありがたい」「勉強の時間が増えるのは良い」といった意見が複数見られました。これは、保護者が「民営化=認定こども園への移行=教育的要素の強化」という単純な図式で捉えている可能性を示唆しています。
しかし、資料には保育所と幼稚園の本質的な違いや、認定こども園における教育と保育のバランス、そしてそれが子どもたちの生活にどう影響するかについて、具体的な説明がありません。このため、保護者は「教育」という言葉に期待を寄せているものの、それが具体的にどのような「保育」と両立するのか、あるいは偏ってしまうリスクがあるのかについて理解できていない可能性があります。
- 民営化のメリットを強調し、デメリットへの配慮が不足
アンケート結果からは、民営化への期待と同時に、深い不安や懸念が読み取れます。
- 民営化への不安と不信感 「虐待や事故が起きているのは私立の施設ばかりで信頼できない」「民営化はしてほしくない」という直接的な反対意見が寄せられています。これは、公立保育所が担ってきた公共性や安全性の担保に対する保護者の信頼が、民営化によって揺らいでいることを示しています。しかし、資料全体を通じて、市はこうした不安に対して形式的な回答しかしていません。
- 「保育の質」を求める声 「サービス拡大より質を重視」という意見は、単に利便性の向上だけでなく、保育内容そのものへの懸念があることを示しています。市は「新たな保育サービスの拡充」を民営化のメリットとしていますが、保護者はサービスの量よりも質の安定を求めている可能性があります。
- 職員への配慮の欠如 「保育士に無理がないように対応してほしい」「お世話になった先生が変わってしまうのはさみしい」といった声は、民営化による保育士の待遇や環境の変化、それによる保育の質の低下を懸念しているものです。しかし、市は「引継保育」という形式的な手続きを説明するだけで、保育士の専門性や精神的な負担、人員配置に関する懸念に十分応えているとは言えません。
- 情報公開と説明責任の果たし方が一方的
「説明会やアンケートで出た質問や要望に対する回答をHPや配布物等で周知・提示してほしい」「保護者が納得できるまでしっかりと説明を行ってほしい」という意見は、市の一方的な情報発信に対する保護者の不満を明確に示しています。
また、「公募の状況、選定委員会の審議の状況を、透明性をもって逐次情報公開してほしい」という意見は、民営化のプロセスそのものに対する不信感を表しています。市が提示する資料は、すでに決定された方針を追認させるためのものであり、保護者が議論に参加し、意見を反映できるような双方向のコミュニケーションを意図していないように見受けられます。
このアンケート結果からは、保護者が民営化について十分な情報を得ていない状況で、不安や期待が入り混じった意見を寄せていることが分かります。市は、こうした保護者の声を真摯に受け止め、民営化のメリット・デメリットを公平に提示するとともに、市民が納得できるまで丁寧な対話を続けるべきです。
公立保育所民営化に関する私の見解:なぜ「学校法人による認定こども園」への移管に懸念を抱くのか
弥富市の公立保育所民営化の動きに対し、私が最も懸念しているのは、「公立保育園が担ってきた保育」と、「学校法人による認定こども園」の保育が大きく変わってしまうだろうという点です。
私は、公立だから良い、民間だからダメだと決めつけるつもりはありません。全国には、子どもたちのために質の高い保育を提供している民間の保育園が数多く存在します。利益度外視で運営される社会福祉法人の園や、働く親のために長時間保育を先駆けて実践してきた園など、その実態はまさに玉石混交です。
しかし、一方で、保育士の人件費を抑えることで経費を削減したり、運動会や発表会など目に見える行事に力を入れる一方で、実態としては幼稚園に近い運営をしている私立園も存在します。保育所は、働く親にとって、特にひとり親世帯にとっては生命線であり、子どもたちにとっては生活の場です。核家族化が進み、祖父母の協力を得られない家庭が増加している現代において、長時間保育をはじめとするきめ細やかな保育が求められています。
これまで弥富市は、豊かな財政力を背景に、子ども一人ひとりに丁寧に向き合う「ゆとり」を大切にした質の高い保育を提供してきました。これは、単なる「子育て支援」ではなく、児童福祉の砦としての役割を担ってきたと言えます。
市の説明は、こうした公立保育所が築いてきた質の高さを維持しつつ、民間の良さを加えるという、いわば「欲張り」な内容です。しかし、現実的に考えれば、それは難しいでしょう。公立保育所がこれまで担ってきた役割、特に福祉的な側面が薄れてしまい、教育的な側面にシフトしていくのではないかという危惧を払拭できません。
保育所を取り巻く環境は、この30年で大きく変化し、その厳しさは今後さらに増していくと予想されます。だからこそ、公立保育所の役割を安易に民間へ移管することの是非を、単なる効率化やコスト削減の視点ではなく、子どもたちの生活と福祉を守るという視点から、市民全体で議論していく必要があると考えています。
保育所問題についてはこちらの特集ページをご覧ください
