玖珠町「若草小中学校」の挑戦:すべての子どもを「主役」にする未来型スクール!
【理念】 「日本のアンデルセン」久留島武彦の精神に基づき、「一人では何もできない。しかし一人が始めなければ何もできない。」を胸に、すべての子どもが安心して過ごせる場所を創造します。
【3つの目標】 子どもたちのペースに合わせ、「みつける」「つながる」「ひろげる」の3つを核に、失われた自己肯定感と学習意欲を取り戻します。
【革新的なカリキュラム】 既存の枠にとらわれず、文科省特例で授業時数を大幅に削減(中学は86%)。その代わりに、子どもが主体的に楽しむ新科目「探究」「対話」「野遊び」を新設!
- 午前: 苦手意識をなくすための個別学習
- 午後: 協働で挑戦する「探究」活動
【教職員の合言葉】 支援の質を高めるため、まず大人が変わる!教職員も「心理的安全性」を最優先し、「信頼して、任せて、待って、支える」の姿勢を徹底。前例主義を捨て、走りながら進化する組織を目指します。
一言で言うと:
「不登校を増やさないために、学校の常識を捨て、子どもも先生も『安心』して『挑戦』できる場を一からつくり直す」ための、非常に具体的で先進的な学校運営方針です。
玖珠町立くす若草小中学校 運営方針の分析
- 設立の背景と核となる理念
| 項目 | 内容と分析 |
| 設立目的 | 全国的な不登校増加傾向、および玖珠町内での不登校傾向を示す子どもたちの増加を受け、「学びの多様化学校」として開校しました。既存の学校になじめない子どもたちに合わせた、新しい学びの場を提供することが最大の目的です。 |
| 学校名の由来 | 新設科目「探究」による「学校名決定プロジェクト」を経て、「くす若草小中学校」に決定しました。これは、子どもたちが主体的に学校づくりに参加した証であり、学校が掲げる「挑戦」の姿勢を体現しています。 |
| 理念の根拠 | 童話作家の久留島武彦(日本のアンデルセン)の言葉「一人では何もできない。しかし一人が始めなければ何もできない。」を引用し、小さな一歩の積み重ねが「すべての子どもたちが安心して過ごせる学校」に繋がるという決意を示しています。 |
| 指導の核となる姿勢 | 「私」からはじまる「くす若草小中学校」をモットーに、「信頼して、任せて、待って、支える」という、非常に丁寧で個別性の高い関わり方を教職員全体で共有しています。 |
- 学校教育目標の革新性
従来の学校教育目標とは一線を画し、「不登校支援」という目的に特化した、子どもの主体性を引き出すための三つの動詞を掲げています。
| 目標 | 意味合いと狙い |
| みつける | 一人ひとりが、自分の「すき」や「夢」を見つけ、楽しさを味わいながら学びに向かう。(自己肯定感と学習意欲の再構築) |
| つながる | 一人ひとりが、多様性を認め合い、つながり合って生きていくことを学ぶ。(共生と社会性の育成) |
| ひろげる | 一人ひとりが、楽しみながら挑戦することで、自分の可能性を最大限に広げる。(挑戦する勇気と成長の支援) |
- 特色ある教育課程の編成(特例措置)
本校の最も大きな特徴は、文部科学大臣の指定による「特別の教育課程」の編成です。これは、不登校児童生徒の実態に配慮し、標準授業時数にとらわれない柔軟なカリキュラムを実施できることを意味します。
| 項目 | 内容と分析 |
| 授業時数削減 | 前期課程(小1〜6)で標準時数の98%に、後期課程(中1〜3)では86%に削減。特に中学では約1/7の時間を削減し、子どもたちの負担軽減と余裕ある学びの時間を確保しています。 |
| 科目の削除 | 「道徳」「特別活動」「総合的な活動の時間」を削除。これは、これらの時間に代わる、より子どもたちの実態に合った活動(後述の探究、対話、野遊びなど)を重視しているためと考えられます。 |
| 新設科目 | 「探究」「対話」「野遊び」を新設。これらは、不登校の原因となりがちな画一的な学びや人間関係の困難さに対し、以下のような効果を狙っています。 |
| 新設科目 | 期待される効果 |
| 探究 | 好きなことや夢を見つけ、主体的・協働的に学びを進める(学び直し、意欲の創出)。 |
| 対話 | 安心して意見を表明し、他者との多様性を認め合う関係性を築く(心理的安全性の基盤)。 |
| 野遊び | 自然の中でのびのびと活動し、心身の健康と挑戦する楽しさを回復させる(自己肯定感の回復)。 |
| 時間割の基本構造 | 午前中は個別に合わせた教科の学び、午後は協働的な探究の学びという構造を採用。午前中に学習の遅れを取り戻し、午後には集団での活動や主体的な学びを通じて自信をつける設計です。 |
- 心理的安全性の高い教職員組織の構築
学校運営方針において、教職員組織づくりに大きな紙面を割いている点も特筆すべき特徴です。子どもへの支援の質を高めるためには、まず教職員が安心して働ける環境が不可欠であるという認識が示されています。
| 目標 | 内容と教職員への行動指針 |
| 最優先事項 | 「自身や家族の健康、生活を最優先する」ことを掲げ、教職員のウェルビーイングを確保。燃え尽きや過重労働を防ぐことで、持続可能な支援体制をめざします。 |
| 組織文化 | 「対話から合意形成を確立する」ことを重視。孤立や専制的な組織を排し、自由闊達に意見交換ができる環境を目指します。 |
| 思考様式 | 「できない理由を考えるだけでなく、できるための方法を考える」
「「普通」「あたりまえ」の考え方に立ちどまる」 「走りながら考える、考えながら走るー勢いは大事」 といった、変革に積極的で柔軟な思考を促す指針が示されています。 |
| 運営形態 | 前例や慣習にとらわれず、「子どもを主語にしたときにどうあるべきか」という視点に立ち返り、チーム担任制を取り入れ、組織の形を常に進化させていくことを宣言しています。 |
総括
この運営方針は、不登校支援に特化した学校として、理念、カリキュラム、組織文化の三側面で従来の学校モデルを刷新しようとする強い意志が感じられます。特に、教職員の「心理的安全性」を確保することが、子どもたちへの「信頼して、任せて、待って、支える」支援へと繋がるという、トップダウンではないボトムアップ型の学校づくりを目指している点が、最も現代的かつ革新的な試みであると評価できます。
玖珠町にある「くす若草小中学校」です。子どもと大人が一緒になってつくる学校をめざしています。
https://tyu.oita-ed.jp/kusu/tayouka/
学校運営方針
https://tyu.oita-ed.jp/kusu/tayouka/upload_files/2025/04/R7gakkouunneihousinn.pdf
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