【衝撃の事実】JR東海が「黒幕」だった! 私たちの税金が食い物にされた「跨線橋(こせんきょう)点検談合」の実態とは?
「JRを信頼している」と繰り返す弥富市。しかし、その信頼の根拠が揺らぐ重大事件が発覚しました。 公正取引委員会は令和7年12月19日、JR東海が主導する談合事件を認定し、行政処分を行いました。
事件のポイント:
- 何が起きた?: 自治体が発注する「橋の点検」入札で、JR東海が仕切り役となり、落札業者を事前に決めていた。
- 誰が?: JR東海と、その子会社を含む建設コンサルタント5社。
- 手口は?: JR東海が「配役リスト」を回し、入札をただの「八百長」に変えていた。
- 私たちへの被害: 競争がないため費用が高止まりし、私たちの貴重な税金が無駄に使われていた。
弥富駅事業で巨額の公金を受け取っているJR東海。その裏の顔が明らかになった今、私たちは「信頼」の言葉だけで納得できるでしょうか?
JR東海と建設コンサル5社による「跨線橋(こせんきょう)点検」談合事件について
令和7年12月19日 公正取引委員会発表
地方自治体が発注する「橋の点検業務」において、JR東海と建設コンサルタント会社が裏で手を組み、あらかじめ受注業者を決めていた(談合を行っていた)として、公正取引委員会が行政処分を行いました。 その内容をわかりやすく解説します。
- 事件の要点(何が起きたのか?)
地方自治体(市や県など)は、JRの線路をまたぐ橋(跨線橋)の安全点検を定期的に行う必要があります。この仕事は通常、公平な「競争入札」で業者を決めなければなりません。
しかし、JR東海が「仕切り役」となり、建設コンサルタント5社に対して「今回はA社が落札しなさい」「次はB社」と割り振りを指示していました。 その結果、形だけの入札が行われ、競争が機能しないまま、高い金額で契約が結ばれていました。
- 登場人物と役割
- 発注者(お金を払う人): 地方自治体など
- 違反事業者(談合したグループ):合計6社
- 仕切り役(黒幕): JR東海(東海旅客鉄道株式会社)
- ※自らは入札に参加しませんが、現場(線路)の管理者として強い立場にあり、業者間の調整を行っていました。
- 受注役(入札参加者): 建設コンサルタント5社
- 日本交通技術
- ジェイアール東海コンサルタンツ(JR東海の完全子会社)
- 大日コンサルタント
- トーニチコンサルタント
- 丸栄調査設計
- 仕切り役(黒幕): JR東海(東海旅客鉄道株式会社)
- 不正の手口(どうやって決めていた?)
公正取引委員会によると、遅くとも令和3年(2021年)2月頃から以下の手順で談合が行われていました。
- リストの配布: JR東海が「これから行われる点検業務のリスト」をコンサル5社に配る。
- 希望の提出: コンサル5社は、そのリストに「自社が受注したい案件」を書き込んでJR東海に返送する。
- 調整と決定: JR東海が希望を取りまとめ、「誰がどれを受注するか」を決めた最終リストを5社に配る。
- 八百長入札: 決められた業者が確実に勝てるよう、他の業者はわざと高い金額を入札したり、辞退したりして協力する。
- 今回の処分内容(ペナルティ)
公正取引委員会は、独占禁止法違反として以下の命令を出しました。
① 排除措置命令(6社全員)
- 「二度と談合をしないこと」を取締役会で決議しなさい。
- 自治体や従業員に「もう不正はやめた」と周知徹底しなさい。
- 再発防止のための研修や監査を行いなさい。
② 課徴金納付命令(コンサル5社のみ)
- 総額 1億225万円 の罰金(課徴金)を国に納めなさい。
【Q. なぜ主導役のJR東海には罰金がないの?】
- 課徴金制度は、原則として「違反行為によって売り上げを得た(受注した)額」を基準に計算されます。JR東海はこの入札自体には参加しておらず、この業務での直接的な売上がなかったため、法律の仕組み上、課徴金の計算対象にならなかったと見られます(ただし、排除措置命令という厳しい行政処分は受けています)。
- 市民への影響(なぜ問題なのか?)
この事件は、単なる企業間の不正にとどまらず、私たち市民生活にも直結する問題です。
- 税金の無駄遣い: 談合により競争がなくなると、契約金額が高止まりします。本来もっと安くできたはずの点検費用に、余分な税金が使われていたことになります。
- 行政への不信感: 公平であるはずの公共事業が、特定企業の利益のために歪められていました。
まとめ
今回の処分により、長年続いていたJR東海主導の「もたれ合い構造」にメスが入りました。今後は、JR東海およびコンサル各社がこの命令を遵守し、透明性のある業務を行うかどうかが厳しく監視されることになります。
お問い合わせ先 公正取引委員会事務総局 中部事務所(電話:052-961-9467) 公正取引委員会ホームページ(https://www.jftc.go.jp/)
詳しくは 公正取引委員会HPで見てください
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/dec/251219_chubu_shinsa_kosenkyo.html
(以下AIでディープサーチ)
構造的腐敗と自治体ガバナンスの危機:JR東海主導による跨線橋点検談合事件の包括的検証と弥富駅事業への波及
要旨
令和7年(2025年)12月19日、公正取引委員会は東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)および建設コンサルタント5社に対し、独占禁止法に基づく行政処分を下した。本件は、地方自治体が発注する「跨線橋点検業務」において、インフラ管理者であるJR東海が事実上の「黒幕(フィクサー)」となり、受注業者を事前に割り振るという組織的な官製談合類似の構造を有していたことが認定されたものである。
本報告書は、この「跨線橋点検談合事件」の全容を、提供された調査資料に基づき法制度、経済的影響、および公共政策の観点から詳細に分析するものである。特に、JR東海が構築した「配役リスト」による競争の無効化メカニズム、子会社を用いた利益還流構造、そして主導者でありながら課徴金処分を免れた現行法の限界について論じる。
さらに、本事件が地域社会に与えた衝撃のケーススタディとして、愛知県弥富市における「JR・名鉄弥富駅自由通路及び橋上駅舎化事業」を取り上げる。同事業における巨額の工費増額と不透明な協定プロセスは、今回の談合事件で明らかになった「JR東海によるコスト管理のブラックボックス化」と地続きの問題であり、自治体財政と市民の信頼を根底から揺るがしている。本報告書は、単なる事件の解説にとどまらず、鉄道事業者と自治体の間の「信頼」といわれるものの正体を解体し、今後の公共調達におけるガバナンス改革への提言を行うものである。
目次
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序論:信頼の崩壊と「安全神話」の裏側 1.1 事件の概要と令和7年12月19日の衝撃 1.2 インフラ点検市場の特殊性と構造的脆弱性
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談合の解剖学:JR東海による市場支配のメカニズム 2.1 「配役リスト」による完全管理体制 2.2 「仕切り役」としてのJR東海と従属するコンサルタント群 2.3 競争の形骸化:「八百長入札」の実態
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法的処分と制度の限界:なぜ「黒幕」は無傷なのか 3.1 公正取引委員会の認定事実と排除措置命令 3.2 課徴金1億225万円の内訳と算定根拠 3.3 「主導者無罪」のパラドックス:課徴金制度の不備
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利益相反の深層:子会社「ジェイアール東海コンサルタンツ」の役割 4.1 親会社による子会社への利益誘導構造 4.2 落札実績に見る市場歪曲の証拠
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ケーススタディ:弥富市における行政不信と財政危機 5.1 弥富駅自由通路整備事業の概要と重要性 5.2 8億3000万円増額の衝撃と議会の空転 5.3 「JRには何も言えない」:隷属的協定の実態 5.4 市民生活への直撃:一世帯20万円の負債
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歴史的背景と企業体質:繰り返される独禁法違反 6.1 リニア中央新幹線談合事件との連続性 6.2 企業統治の機能不全と再発防止策の実効性
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結論と提言:自治体は「聖域」にどう立ち向かうべきか
1. 序論:信頼の崩壊と「安全神話」の裏側
1.1 事件の概要と令和7年12月19日の衝撃
令和7年(2025年)12月19日、日本の公共インフラ調達史に汚点を残す重大な発表が公正取引委員会より行われた 。東海・中部地方の地方自治体等が発注する「跨線橋(こせんきょう)点検業務」を巡り、JR東海および建設コンサルタント計6社が長期間にわたり談合を行っていた事実が認定されたのである。
公正取引委員会の発表によれば、この不正行為は遅くとも令和3年(2021年)2月頃から常態化しており、対象となった入札件数は100件以上に及ぶとされる 。本件が社会に与えた衝撃の大きさは、単なる建設業界の談合事件という枠を超え、日本を代表するインフラ企業であるJR東海が、自らは入札に参加しないにもかかわらず、談合の「主催者」として機能していた点にある。
「安全な鉄道輸送を守る」という大義名分の下、JR東海は自治体に対して圧倒的な優位性を保持してきた。しかし、今回明らかになった事実は、その優位性が公共の安全のためではなく、特定の企業グループ(自社子会社を含む)の利益確保と、競争プロセスの排除に利用されていたことを示している。これは、地方自治法が定める「契約の適正性」を根底から覆す背信行為であり、納税者である市民に対する重大な裏切りである。
1.2 インフラ点検市場の特殊性と構造的脆弱性
本事件の背景には、「跨線橋」というインフラの特殊性が存在する。跨線橋とは、鉄道の線路を跨いで架設された道路橋などを指す 。これら橋梁の点検を行う場合、鉄道の運行に支障をきたさないよう、高度な安全管理と鉄道事業者との密接な調整が不可欠となる。
通常、自治体が発注する公共事業は、公平性・透明性を担保するために競争入札(一般競争入札や指名競争入札)が行われる。しかし、跨線橋点検においては、実質的に「線路内への立ち入り許可」権限を持つJR東海の協力なしには業務を遂行できない。この物理的・法的な「ボトルネック」をJR東海は掌握しており、これが談合を形成・維持するための強力なテコとして機能した。
本来、技術力とコスト競争力を持つ企業が選定されるべき市場において、JR東海は「安全管理能力」を選別の口実とし、意中の企業以外を市場から排除することが可能な立場にあった。この構造的脆弱性が、今回の「配役リスト」による完全管理型談合を生み出す土壌となったのである。
2. 談合の解剖学:JR東海による市場支配のメカニズム
2.1 「配役リスト」による完全管理体制
公正取引委員会の調査で明らかになった最も悪質な手口が、「配役リスト(割付表)」の存在である 。これは、典型的な業者間での話し合い(水平的談合)とは異なり、発注者側に近い立場にあるJR東海がトップダウンで配分を決定する「ハブ・アンド・スポーク型」のカルテル構造を示唆している。
具体的なプロセスは以下の通りであったと推察される:
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情報の集約:JR東海は、管内の自治体が行う予定の跨線橋点検計画を事前に把握する。線路閉鎖の手続き等を通じて、同社には入札情報がいち早く集まる仕組みがある。
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リストの作成と配布:JR東海は、今後行われる点検業務をリスト化し、談合グループである建設コンサルタント5社に配布する。
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希望の聴取:コンサルタント各社は、配布されたリストに対し、自社の受注希望(および辞退予定)を記入し、JR東海に返送する。
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調整と決定:各社の希望に基づき、JR東海が最終的な「受注予定者」を決定する。この際、特定企業への偏りを防ぎつつ、自社子会社(ジェイアール東海コンサルタンツ)の利益も確保するよう調整が行われたと考えられる。
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指令の伝達:完成した「配役リスト」が再度各社に回覧され、これが入札における絶対的な指示書となる。
このプロセスにより、入札は完全に儀式化した。どの案件を誰が取るかは、入札公告が出る前、あるいは指名通知が届く前の段階で、JR東海の会議室内で決定されていたのである。
2.2 「仕切り役」としてのJR東海と従属するコンサルタント群
本件における登場人物の力関係は非対称である。
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仕切り役(黒幕):JR東海
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役割:全体の調整、受注者の指名、ルール逸脱者への制裁(示唆)。
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動機:点検業務の質的管理(自社線路の安全確保)という建前と、子会社への利益誘導、および管理コストの最小化(なじみの業者を使うことによる調整業務の削減)。
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受注役(コンサル5社):
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ジェイアール東海コンサルタンツ(JR東海の完全子会社)
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日本交通技術
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大日コンサルタント
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トーニチコンサルタント
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丸栄調査設計
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これらのコンサルタント企業にとって、JR東海からの指示は絶対であったと考えられる。もし指示に逆らって安値で受注しようとすれば、今後の業務においてJR東海からの協力(線路立入承認や保安要員の配置など)が得られにくくなる恐れがあるからだ。この「生殺与奪の権」を握るJR東海が音頭を取ることで、鉄の結束を誇る談合組織が維持された。
2.3 競争の形骸化:「八百長入札」の実態
「配役リスト」に基づき行われた入札は、いわゆる「八百長(ヤオチョウ)」であった。 予定された受注者が確実に落札できるよう、他の指名業者は以下の行動をとった :
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協力応札(捨て札):予定価格を上回る金額、あるいは受注予定者よりも明らかに高い金額で見積書を提出し、形式的に入札に参加した実績だけを残す。
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辞退:入札自体を辞退し、競争相手を減らす。
これにより、落札率は高止まりする。競争原理が働けば、技術革新や効率化によって価格は低下するはずであるが、談合によって価格は「予定価格(役所が想定する上限額)」付近に張り付くことになる。この差額、すなわち「競争があった場合の価格」と「談合による落札価格」の差額こそが、自治体(市民)が被った損害であり、談合グループが得た不当利得である。
3. 法的処分と制度の限界:なぜ「黒幕」は無傷なのか
3.1 公正取引委員会の認定事実と排除措置命令
令和7年12月19日、公正取引委員会は独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)違反を認定し、以下の行政処分を行った 。
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排除措置命令:違反事業者6社(JR東海およびコンサル5社)すべてに対し発出。
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内容:談合行為の取りやめの確認、取締役会での決議、従業員および発注官庁への周知徹底、再発防止策(研修・監査)の構築。
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この命令により、法的には「JR東海が談合を主導した」事実が確定した。JR東海はプレスリリースにおいて「皆様にご迷惑とご心配をおかけしお詫び申し上げます」とのコメントを発表し、法令順守の徹底を誓約している 。
3.2 課徴金1億225万円の内訳と算定根拠
一方で、金銭的なペナルティである「課徴金納付命令」の対象となったのは、コンサルタント5社のみであった。
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課徴金総額:1億225万円
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対象:実際に自治体と契約し、売上を計上したコンサルタント会社。
この金額は、違反期間中(最長3年間)における対象業務の売上額に対し、所定の算定率を乗じて算出される。コンサルタント各社にとっては痛手であるが、彼らが長年にわたり享受してきた「高値受注」による利益と比較すれば、必ずしも十分な抑止力とは言えない可能性もある。また、子会社であるジェイアール東海コンサルタンツは、1億3500万円の独占禁止法関連損失引当金を計上しており、課徴金に加え、再発防止策等にかかるコストを見込んでいる 。
3.3 「主導者無罪」のパラドックス:課徴金制度の不備
本事件における最大の論点は、「主導役であるJR東海には課徴金が課されなかった」という事実である 。 市民感覚からすれば、犯罪の首謀者が最も重い罰を受けるべきであるが、現行の独占禁止法の課徴金制度には「抜け穴」とも言える構造が存在する。
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課徴金の算定基準:課徴金は、違反行為によって得た「対象商品の売上額」をベースに計算される。
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JR東海の立場:JR東海は入札の「仕切り」を行ったが、自治体と直接契約して点検業務の対価を受け取ったわけではない。したがって、課徴金の計算ベースとなる「売上」が存在せず、算定式上、課徴金がゼロとなる。
この法的パラドックスは、JR東海のような「市場のゲートキーパー」が悪意を持って市場を操作した場合、金銭的なリスクを負わずに支配力を行使できることを意味する。JR東海が受けたのは排除措置命令という「行政指導的」な処分のみであり、経済的な実損はゼロであった。これは、今後同様の「非入札参加型黒幕」による談合を防ぐ上で、現行法の抑止力が不十分であることを如実に示している。
4. 利益相反の深層:子会社「ジェイアール東海コンサルタンツ」の役割
4.1 親会社による子会社への利益誘導構造
JR東海がリスクを冒してまで談合を主導した動機の一つとして、完全子会社である「ジェイアール東海コンサルタンツ」への利益誘導が強く疑われる。親会社が仕事を割り振る際、子会社に有利な条件や、確実な受注枠を確保していたと見るのが自然である。
子会社の利益は、連結決算を通じて最終的に親会社(JR東海)の利益となる。つまり、JR東海は直接入札に参加せずとも、子会社を経由して自治体の税金を自社グループに取り込んでいたことになる。これは、「自社の線路の安全」という公的な責任を、「グループ企業の収益最大化」という私的な利益のために悪用した利益相反行為に他ならない。
4.2 落札実績に見る市場歪曲の証拠
入札情報データベース等の記録 を参照すると、ジェイアール東海コンサルタンツが東海地方の自治体から多数の業務を受注している実態が浮き彫りになる。
表1:ジェイアール東海コンサルタンツの主な落札実績(2024年7月判明分の一部)
これらのデータ から読み取れる特徴は以下の通りである。
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指名競争入札の多用:多くの案件が「指名競争入札」で行われている。指名業者の選定段階で、JR東海の影響力が及びやすい(あるいはJR東海が推奨する業者を自治体が指名せざるを得ない)環境があったことが推察される。
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広範な地域独占:愛知、静岡、滋賀と、JR東海の営業エリア全域で受注を重ねている。
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金額の規模:一件あたり1000万円を超える業務がコンスタントに受注されており、これらが積み重なることで巨額の税金が流れている。
特に注目すべきは、これらの入札が行われていた2024年中盤は、まさに公正取引委員会の立ち入り検査(2024年10月)の直前であり、談合システムがフル稼働していた時期と重なる点である。これらの落札結果の多くが、公正な競争の結果ではなく、「配役リスト」によってあらかじめ決められた出来レースであった可能性が極めて高い。
5. ケーススタディ:弥富市における行政不信と財政危機
今回の談合事件は、特定の地域社会において具体的な「痛み」と「不信」を引き起こしている。その象徴的な事例が、愛知県弥富市における駅自由通路整備事業である。
5.1 弥富駅自由通路整備事業の概要と重要性
弥富駅は、JR関西本線と名鉄尾西線が乗り入れる交通の要衝であるが、駅舎の老朽化と南北分断の解消が長年の課題であった。これを受けて、弥富市はJR東海および名古屋鉄道(名鉄)と協力し、自由通路および橋上駅舎化事業を計画した。これは、市民の利便性向上とバリアフリー化を目指す、市にとっての最重要プロジェクトの一つである 。
5.2 8億3000万円増額の衝撃と議会の空転
しかし、この事業は深刻な財政問題に直面している。2023年12月、弥富市議会に対し、JR東海との協定額を約8億3000万円増額する案が提示された 。これにより、事業費の総額は約38億円に膨れ上がった。
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増額の理由:資材価格の高騰や労務費の上昇といった一般的な理由が挙げられたが、詳細な積算根拠が市民や議会に十分に開示されたとは言い難い状況であった。
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プロセスの不透明性:詳細な図面やコストの内訳が示されないまま、「議会で決まったから」として増額が承認されるプロセスに対し、一部の市議会議員や市民から強い反発が起きている 。
5.3 「JRには何も言えない」:隷属的協定の実態
弥富駅問題の核心は、市とJR東海との間の圧倒的な力関係の差にある。市議会の答弁において、市当局側から「JRには何も言えない」という趣旨の発言があったとされる 。これは、地方自治体が鉄道事業者に対して完全に隷属的な立場に置かれていることを自認する衝撃的な事実である。
さらに、この事業は「協定」方式で行われている 。通常の公共工事であれば、市が設計・施工を直接発注し、競争入札によってコストを抑制することができる。しかし、鉄道駅の工事は鉄道運行への影響を理由に、鉄道事業者(JR東海)に設計・施工を「丸投げ」する協定を結ぶことが一般的である。 この仕組みの下では:
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競争がない:JR東海が随意契約に近い形で工事を行う、あるいはJR東海が選定した業者が施工する。
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チェックが働かない:自治体側は、JR東海から提示された見積もり額を検証する術を持たない。ブラックボックスの中で決定された40億円規模の公金が、そのままJR東海と名鉄に支払われる構造となっている 。
5.4 市民生活への直撃:一世帯20万円の負債
今回の談合事件の発覚は、弥富市民の疑念を確信へと変えた。「跨線橋点検で談合し、価格を吊り上げていたJR東海が、駅舎工事の見積もりだけは誠実かつ適正に行っている」と信じる根拠はもはや存在しないからだ。
市民団体等の試算によれば、この事業にかかる負担は一世帯あたり約20万円、今回の増額分だけでも4万円の追加負担に相当するとされる 。 「私たちの税金が食い物にされた」という怒りは、抽象的な正義感ではなく、具体的な家計への圧迫として認識されている。市民グループによる住民訴訟(協定の差し止めや公金の返還請求)も提起されており 、JR東海への不信感は市政を揺るがす政治問題へと発展している。
6. 歴史的背景と企業体質:繰り返される独禁法違反
6.1 リニア中央新幹線談合事件との連続性
JR東海に関連する独占禁止法違反は、今回が初めてではない。記憶に新しいのが、平成30年(2018年)に発覚したリニア中央新幹線建設工事を巡る談合事件である 。 この事件では、スーパーゼネコン4社が、JR東海が発注するリニア工事の受注調整を行っていたとして、独占禁止法違反で告発され、有罪判決や巨額の課徴金納付命令を受けた。
リニア事件においては、JR東海は「被害者」の側面が強調された(高値で発注させられた側)。しかし、今回の跨線橋点検談合においては、JR東海自身が「加害者(主導者)」として認定されている点が決定的に異なる。とはいえ、巨大プロジェクトにおいて競争を排除し、特定のメンバーで利益を分け合う「調整文化」が、鉄道インフラ業界の根底に深く根付いていることを示唆している。
6.2 企業統治の機能不全と再発防止策の実効性
一連の不祥事は、JR東海の企業統治(ガバナンス)における重大な欠陥を露呈している。 公正取引委員会の排除措置命令に対し、JR東海は「法令順守の徹底」を約束しているが 、以下の理由からその実効性には疑問符が付く。
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構造的誘因の未解決:子会社への利益誘導や、管理コスト削減のために「いつもの業者」を使いたいというインセンティブは依然として存在する。
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ペナルティの欠如:前述の通り、JR東海自身には課徴金が課されていないため、経営的な痛みがない。「見つかっても謝れば済む」というモラルハザードが生じる恐れがある。
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閉鎖的な業界体質:鉄道技術の専門性を盾に、外部からの監視や新規参入を拒む体質が変わらなければ、形を変えた談合が復活するリスクは高い。
7. 結論と提言:自治体は「聖域」にどう立ち向かうべきか
令和7年12月19日の公正取引委員会による処分は、JR東海による「安全」を隠れ蓑にした不正な利益追求構造を白日の下に晒した。自治体が発注する「橋の点検」において、JR東海が黒幕となり、配役リストを用いて競争を無効化し、税金を不当に搾取していた事実は、決して許されるものではない。
特に弥富市のような、JR東海と巨額のプロジェクトを進行中の自治体にとって、この事実は「対岸の火事」ではない。駅舎整備事業における不透明なコスト増額が、同様の構造的腐敗に起因している可能性を否定できないからだ。
提言:
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損害賠償請求の検討: 談合により不当に高額な契約を結ばされた自治体は、JR東海およびコンサルタント各社に対し、民法上の損害賠償請求(過払い分の返還)を検討すべきである。住民訴訟のリスクを考慮すれば、自治体自らが被害回復に動くことが求められる。
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指名停止措置の厳格化: 関係した6社に対し、長期の指名停止処分を行うことは当然である。また、JR東海が実質的な支配力を持つ関連会社に対しても、監視の目を光らせる必要がある。
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「協定」プロセスの透明化と第三者監査: 弥富駅事業のような「協定」に基づく工事において、JR東海の言い値を鵜呑みにする慣行を即刻停止すべきである。独立した積算技術者(第三者機関)による査定を義務付け、ブラックボックスを開示させる交渉力が自治体に求められる。「JRの協力が得られない」という脅しに屈してはならない。
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法改正による「主導者」への課徴金適用: 国レベルでは、独占禁止法を改正し、自らは売上を上げなくともカルテルを主導・強制した「ハブ」企業に対し、重加算税的な高額の制裁金を課す仕組みを導入すべきである。
「信頼」とは、検証可能性と透明性の上に成り立つものである。盲目的な信頼が税金の無駄遣いと腐敗を招いたという教訓を胸に、私たちはJR東海という巨大権力に対し、厳しい監視の目を向け続けなければならない。
(以上、報告書終了)
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(令和7年12月19日)地方公共団体等が発注する東海旅客鉄道株式会社 …
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「公正取引委員会として厳正に対処」入札談合繰り返したJR東海など6社に再発防止などを求める排除措置命 (2025年12月19日) – YouTube
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公正取引委員会からの排除措置命令および課徴金納付命令について – JR東海
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ジェイアール東海コンサルタンツ(株)の入札結果・落札情報 – エヌ・サーチ
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「知らないうちに8億円増額?」弥富駅事業の闇JR名鉄弥富駅の自由通路等整備事業のJR東海との協定額が8億3000万円増額 – 新しい風やとみ 佐藤仁志
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弥富駅自由通路及び橋上駅舎化事業の工事費についてJRの8.3憶円の増額案について説明がありました
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-187- 令和4年3月14日 午前10時00分開議 於 議 場 1.出席議員は次のとおりである(16名 – 弥富市
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JR・名鉄弥富駅問題を考える市民の会
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(平成30年3月23日)東海旅客鉄道株式会社が発注する中央新幹線に係る建設工事の受注調整に係る告発について | 公正取引委員会
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