弥富市の現状と「謙虚な政治」の必要性
市民の皆様、こんにちは。先日、五之三区の自治会に出席し、顧問としてご挨拶をさせていただきました。当日は安藤市長も出席されましたが、その際のお話を聞き、現在の弥富市政に対する強い危機感と、本来あるべき政治の姿について深く考えさせられました。
以下に、私がいま市民の皆様にお伝えしたい3つのポイントをまとめました。
1. 官製談合事件に対する「他人事」の姿勢
現在、市の元建設部長が起訴されている重大な事件について、市長から説明がありました。しかし、市長は意図的に「官製談合」という言葉を避け、「警察の捜査に協力する」とまるで一職員の個人的な問題であるかのように語りました。市役所という組織全体の問題として捉え、自らの責任に向き合う姿勢が感じられなかったことは非常に残念です。
2. 未来のビジョンなき「目先のばらまき」
また、予算についての説明も、目先の細かな支援策(アメ)の話ばかりで、「これから弥富市をどういう街にしていくのか」という明確なビジョンは一切語られませんでした。耳障りの良い言葉だけを並べ、根本的な課題を語らないポピュリズム(大衆迎合)的な姿勢には疑問を抱かざるを得ません。
3. 私たちが目指すのは「対話から生まれる民主主義」
先日急逝された大塚耕平氏の生き方にも通じますが、私は政治家にとって最も大切なのは「謙虚さ」だと考えています。
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「自分の考えが全て正しいわけではない」と自覚すること。
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「だからこそ、市民の皆様の意見に耳を傾け、一緒に話し合う」こと。 「自分が絶対的な権力者だ」と驕る政治からは、一部の人のための利益しか生まれません。
私はこれからも、権威に盲従するのではなく、市民の皆様と同じ目線に立ち、共に悩み、対話を重ねながら弥富市の未来を作っていく「謙虚な政治」を生涯貫いてまいります。
【市政コラム】「官製談合」という言葉の重みと、ポピュリズムに抗う「謙虚な政治」
本日、五之三区の会議(自治会)に出席しました。そこへ、選挙まで1年を切ったということもあってか、珍しく安藤市長がご挨拶に見えました。
市長の口からは、例によって現在起訴されている元建設部長の事件についての「言い訳」が語られました。「本人はまだ罪状認否をしていない」「警察の捜査に協力していく」と、まるで他人事のような、責任をすり替える逃げの姿勢に終始していました。
私が注意深く聞いていて気になったのは、市長が**「官製談合防止法」**という法律名を決して口にしなかったことです。 「官製談合で起訴された」と言えば、それに役所が組織的に関わっているということが誰の目にも明らかになります。単なる個人の犯罪ではなく、役所の組織的な問題であると市民にイメージさせるために、立法者はわざわざ「官製談合」という言葉を法律名につけたのです。
しかし、市長はその言葉を使いません。それを使ってしまえば、自分が無関係ではいられなくなるからでしょう。論理的に考えて言わないのか、あるいは単に大ごとにしたくないのか。いずれにせよ、「一職員が何かやらかした」という印象操作をして逃げ切ろうとする姿勢が見え隠れします。
その後は、予算審議前であるにもかかわらず、細々とした「アメ(ばらまき)」の話ばかりでした。弥富市の現状に対する深い認識や、「これから弥富をどうしていくか」というグランドデザイン(ビジョン)は一切語られません。語らないのではなく、おそらく彼の中にはそれがないのでしょう。
それでも、そうした表面的な親しみやすさが、ある種の層には「強み」として映ってしまうのが現実です。
「自己を疑うこと」から始まる民主主義
私は今日、顧問として挨拶に立ちました。その際、どうしても「自分に対する疑い」を含んだ言葉になってしまいます。 「自分の言っていることが全て正しいわけではない。だからこそ、皆さんの意見を聞き、一緒に考えていきましょう」と。ある種の自己否定(知的謙虚さ)から入るご挨拶です。
一方で、多くの議員は、そうした自己否定的なことは一切言いません。力強く断言する姿は、大衆の目には「立派なリーダー」として映るのかもしれません。この対比に、私は現代の政治が抱える大きなテーマを感じざるを得ませんでした。
なぜ私は「自己否定」に行き着くのか。 いま世界を見渡せば、トランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席など、ポピュリズムや権威主義的なリーダーが目立ちます。日本国内にも、そうした思想に近い政治家は存在します。
彼らに共通しているのは、「頂点に立つ絶対的な存在(神や国家、あるいは自分自身)」が作り出す秩序を疑わないことです。厳格な上下関係や特定の権威を絶対視し、多様性を受け入れているように見えても、決してその「ヒエラルキーの頂点」は疑ってはならないという前提があります。だからこそ、彼らは自分たちの正義を声高に叫び、ポピュリズムへと傾倒していくのです。
大自然の摂理の前で、人間はどこまでも小さい
対極にいるのが、自民党内で少数派となった石破茂首相(キリスト教徒)や、先日急逝された大塚耕平氏(仏教に造詣が深い)、そして僭越ながら私自身の考え方です。
私は仏教的な死生観を持っています。 釈迦族の王子であった地位を捨て、出家して悟りを開いたとされるゴータマ・シッダールタ(お釈迦様)は、四苦八苦や様々な摂理を説きながらも、最後まで「自分が絶対的な権威だ」とは考えず、静かに涅槃に入られたとされています。 そこにこそ、私は真の「民主主義の精神」を見出します。人間が作り上げた権威や象徴を絶対視しない姿勢です。
仏教の世界観には、宇宙の根本原理(大自然の摂理や宇宙の真理)という圧倒的な上位概念があります。人間がどれほど賢明になろうとも、あるいは悟りを開いたとしても、この広大無辺な宇宙の真理から見れば、人間の存在など小さなものです。
その「自然の摂理」や「宇宙の真理」に対する圧倒的な謙虚さを持つこと。 「人間の持つ真理など、永遠に完璧には到達できない」という前提に立つからこそ、「自分は絶対的な権力者ではない。だからこそ話し合いましょう」という民主主義が生まれるのだと思います。
檻の中のポピュリズムを超えて
宇宙の摂理などに関心を持たず、特定の集団や国家の中で「自分が頂点だ」と錯覚してしまう権力者たち。厳しい言い方をすれば、彼らは「檻の中のジャイアン」であり、その狭い檻の中で自らを有利に立たせようとするからこそ、ポピュリズムが生まれる余地が生じます。
大塚耕平氏の2016年・日本記者クラブでの講演を改めて聞き返し、私はその思いを強くしました。大塚氏もまた、常に「何が正しいか」を問い続け、多様な意見を認めた上で熟議を尽くす「中道」の精神を持った政治家でした。
「自分が絶対だ」と声高に叫ぶリーダーに盲従するのではなく、「人間は不完全である」という謙虚さの上に立つ政治。弥富市の現状を見つめながら、私自身もその姿勢を生涯貫いていきたいと、決意を新たにした一日でした。
大塚耕平氏 日本記者クラブ会見 論点整理(2017年11月)
1. 民主主義の現在地と「政権選択」の重要性
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問題意識: 主権者である国民がその権利を実感できる唯一の機会は「選挙で政府(政権)を選べること」である。
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野党分裂の背景: 前原前代表の決断(希望の党への合流)は、安倍政権に代わる「政権選択の構図」を作るためのものだったが、結果として立憲・希望・民進の3極に分裂してしまった。
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今後の目標: 立憲・希望の比例票を合わせると自民党を上回る(2100万票対1800万票)。この数字をベースに、次期総選挙で再び「政権選択」が可能な構図を再構築する。
2. 「保守とリベラル」の再定義(真の対立軸とは)
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二項対立の否定: 「保守=好戦的」「リベラル=平和的」といった固定観念は誤り。大切なものを守るために改革する保守と、個人の自由を守るために政府が手を差し伸べるリベラルは、本質的に向き合う課題が重なる。
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真の対立軸: イデオロギーの対立ではなく、**「民主主義(熟議)を重んじる勢力」か、「民主主義を軽く考える勢力(安倍政権への暗黙の批判)」**か、がこれからの真の政治的対立軸である。
3. 野党再編・連携構想(ポリティカル・イノベーション)
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旧来の政党像からの脱却: 無理に1つの政党にまとまり、政策の角を丸く削り合う(妥協する)必要はない。
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「オリーブの木」構想: 3党がそれぞれの理念を持ちながらも、公党間で合意を結んで連立政権を目指すような、弾力的な連携(日本版オリーブの木)を模索する。
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憲法論議へのスタンス: 各党が意見を持つのは当然だが、最終決定権は「国民投票」にある。「自分の結論にならなければ絶対に許さない」という態度は主権者に対して不遜であり、謙虚さが必要。
4. 地方組織の現状と「地域政党ネットワーク」構想
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地方議員の孤立: 国会議員が不在の県が多数ある中、地方議会で民進系として活動してきた自治体議員が行き場を失っている。
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新しい政党の形: 地方では「地域政党」としてまとまり、それらが国政レベルでネットワークを組む「分権型」の政党構造を検討する。これは自民党の中央集権的な構造に対する明確な対立軸になり得る。
5. 国会対応と支持母体(連合)との関係
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国会での3党連携: 限られた質問時間を有効に使うため、衆議院(立憲・希望)で発掘した問題を参議院(民進)へ引き継ぐなど、実質的な連携を進める(例:森友・加計問題の共同追及)。
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連合からの要請: 最大の支持母体である連合からは、「参議院をバラバラにしないこと」「次期統一地方選・参院選に向けて戦える構造を作ること」を強く求められている。
6. 党運営の基本姿勢(仏教哲学の応用)
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話し合うとは、聞き合うこと: お釈迦様の説法を引き、自分の意見だけを押し付けるのではなく、他者の意見を聞き入れる「熟議」を党運営の基本に据える。
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知的謙虚さ: 自身の座右の銘「学あり論優れども心貧すれば人に能わず(三耕探究)」の通り、知性があっても心が貧しければ人はついてこない。謙虚な姿勢で信頼関係を構築し、党の再生を図る。
野党がバラバラになった直後において、大塚氏が単なる「数合わせの合併」ではなく、哲学や民主主義の原理原則に基づいた新しい連携の形(オリーブの木構想など)を模索していたことがよくわかりますね。
冒頭挨拶・大塚氏紹介
司会: はい、時間になりましたので記者会見を始めたいと思います。ただ今から、民進党の大塚耕平代表の記者会見を始めます。今朝はですね、北朝鮮のミサイル発射ということがありまして、それを受けて参議院予算委員会でトップバッターで質問に立たれた大塚さんですけれども、どうもお疲れ様です。
大塚さんの経歴については皆さんご承知の通りだと思いますが、確認のためご紹介いたします。1959年生まれで、名古屋市のご出身です。1983年には日銀に入行しまして、政策委員会室調査役を最後に2000年に退職し、翌2001年に参議院愛知県選挙区から立候補して当選。現在3期目でございます。
2009年からの民主党政権におかれましては、鳩山内閣で内閣府副大臣、菅内閣では厚生労働副大臣を務められました。財政金融政策に非常に強く、今朝の予算委員会でも、今後の経済見通しや現状認識について安倍総理と侃々諤々(かんかんがくがく)やり合っていました。皆さんご承知の通り、民進党の前原誠司前代表の後を受けまして、この10月31日に両院議員総会で代表に選出されました。まだ就任1ヶ月ということでございます。
当クラブでは「どうなる野党」というテーマで今後野党の党首の方にゲストに来ていただきましていろいろ話を聞きますが、今日はそのトップバッターとして大塚さんに来ていただきました。宜しくお願いいたします。私は当クラブ企画委員をやっています、テレビ東京の福田です。よろしくお願いします。それではまず冒頭30分間、大塚さんに話を聞き、その後質疑応答とさせていただきます。宜しくお願いします。
大塚耕平代表 講演
大塚耕平 氏: あらためてよろしくお願い致します。座って失礼致します。ご紹介いただきました、10月31日付けで民進党の代表に就任しました大塚耕平でございます。どうぞよろしくお願い致します。
今日お集まりの皆様方を拝見いたしますと、ずいぶん以前からお世話になっている方も含めて、存じ上げている方が多数いらっしゃいますので、大変高い席から恐縮でございますが、20~30分ほどまずお話をさせていただきたいと思います。
今のプロフィールをご紹介いただきましたが、私は2001年の参議院選挙から政治の世界に入らせていただいて、今17年目に入ったところでございます。実は今日は2、3日前にリリースした党の機関紙をお持ちしているんですが、まず2つちょっとお話をさせていただければなと思います。
一つは、私自身が政治の世界に入らせていただいた背景の問題意識でもあり、今回まさしく期せずして代表を引き受けさせていただく決心をした深層心理でもありますが、わが国の民主主義というのはまだ進化の途上にあると、発展途上だという認識を持っています。それはこのお持ちした機関紙の冒頭にも書いてありますが、記者の皆さんには釈迦に説法でございますが、日本に国会ができたのは1889年でありまして、128年目であります。しかしできた当初は当然普通選挙ではありませんで、女性のみなさんは投票権がありませんでしたし、男性は高額納税者だけであったわけであります。私の記憶では1920年代に男子普通選挙になったわけですが、女性のみなさんが投票権を行使できるようになったら戦争の翌年の1946年から、まだ71年しか経ってないわけであります。
その直後にできました日本国憲法においては、日本国民の皆様は「主権者」と書いてあるんですが、つまり国の主でありますが、国の主だからと言って皆様方一人一人に予算が付くわけでもなし、何か国政のことで聞きたいことがあれば安倍総理から電話がかかってくるわけでもなし。「主権者とはなんぞや」ということでありますが、やはり主権者である唯一の証、それを実感できる機会は「総選挙の時に政府を選べる」ということ以外にないというのが実情であると認識しております。
しかし私の世代はですね、今日私より先輩世代もいらっしゃいますけども、選挙に行っても政府を選べるとか政権が変わるなどという選挙ではなかったわけです。そういう中でマスコミ界もそうですが、政界、労働界、財界、学術界も含めて先輩方が、小選挙区制というものを導入しないとやはり政権交代が起きないという認識のもとに、1996年から小選挙区制が導入されたと。旧民主党ができたのはその時でありますけれども、おかげさまで2009年に初めて1回の選挙で第1党が入れ替わるという、本格的な政権交代が起きたわけであります。もちろん細川さんの時の少数会派の連立政権があったのは十分承知をしておりますけれども、本格的な政権交代は2009年が初めてだったと。
そうすると、国民の皆さんが政府を選べるようになってまだたった8年でありますので、古い話をすれば日本という国が歴史上出てくるのは後漢書のちょうど西暦0年ぐらいで、帥升(すいしょう)という何代目かの王のことだと思うんですが、日本の国王の名前が出てくるのが歴史上登場した最初の機会でありますが、そこから2000年、ようやく大げさに言えば国民の皆さんが自らの選挙によって政府を選んだというのは2009年が初めてであるというふうに私自身は思っております。
その後我々は下野(げや)をしたわけでありますが、我々の立場からすれば下野をしたということなんですが、2012年は国民の皆さんからすれば政府を選んだということでありまして、どこか特定の政党が政権を維持し続けるために政治があるわけでもありませんし、そのために選挙があるわけでもありませんから、国民の皆さんが政府を選んだという意味においては2012年も意味のある選挙だったなと思っています。2014年、残念ながらあの時は選挙に行っても政府を選ぶということには多分ならないだろうなという中での選挙でありました。
で、今回解散を急遽安倍さんが決断をされて、同じタイミングで小池東京都知事の立ち上げられた希望の党という新しい勢力が登場した中で、どのようにすればまた国民の皆さんに政府を選択できる可能性のある選挙の構図にできるかと。そういう観点からおそらく前原前代表はああいう決断をされたんだと私は信じています。その結果、確かに9月の27、28、29日の3日間は「これは政権交代起きるかもしれないし、少なくとも安倍さんは退陣の確率が高いな」と皆が思ったわけでありますので、国民の皆さんに主権者としての唯一の権利行使の機会をご提供申し上げるという政治の役割は一瞬果たしかけたわけでありますが、残念ながらその後は皆さんのご承知の通りの展開で、こういうことに相成りました。
しかしご承知の通り、民進党という形で昨年の参議院選挙は比例票が約1100万、自民党さんが2000万ちょっとだったんですが、今回思わぬ展開で希望の党と立憲民主党という2つに分かれたところ、2つの政党の比例票を合計すると2100万、自民党さんは1800万台に減りました。こういう現実が目の前に出現をし、志は良しとしても詰めが甘かったという責は免れないということで前原さんが退陣をされたと。その後を受けて誰がやるかということで、参議院中心の政党になったこともあり、多くの中の皆さんに声をかけていただいて、大変力不足ですがこの役を受けさせていただいたということで、やっぱり私も国民の皆さんが政府を選択できるという国でなければ健全な社会、健全な民主主義は維持できないなという気持ちでおります。総選挙はまた4年以内にやってくるわけでありますので、その時にまた国民の皆さんに政府を選択していただけるような総選挙の構図に持って行けるかどうかというのがこれからの私の仕事であり、私の任期はとりあえず来年6月までですから、まずは与えられた任期の中でそのための助走期間としてどういうガバナンスを行っていくのかということが私自身に問われているということでございます。
もう一点は、先日代表質問をさせていただいたんですけれども、前半は外交経済の話を聞かせていただいたんですが、最後に安倍さんに「保守とリベラル」の概念について聞かせていただきました。これは安倍さんに対してお伺いしたことでもありますけれども、仲間の民進党や希望の党や立憲民主党の皆さんへの呼びかけでもあり、多くの国民やマスコミの皆さんへの呼びかけでもあったわけです。
保守とリベラルというのは本来の源流の意味から言えば対立概念ではありません。この対立概念ではない保守とリベラルというものが、日本ではマスコミの皆さんの報道や永田町の中の議論において比較的単純化されて、しかも対立構造として使われている。これを乗り越えないと、私たち民進党や新たに登場した二つの党の皆さんとの連携というものにとってもハードルになるだろうと思っておりました。
保守はもちろんイギリスのコモンローが源流でありますけれども、伝統や慣習を守るということでありますので本来は改革とは相反する概念であります。さりながら、イギリスの保守党の政治家であったベンジャミン・ディズレーリなど、保守の政治家の大変大家の皆さんが、大切なものを守るためには改革にも取り組まなければならないという意味で「維持するための改革、保守するための改革」という概念を持ち出したことによって、保守だからといって何も改革しないというわけではないという中で今日に至っているわけであります。
一方リベラルは、ジョン・ロックから端を発する本来は自由主義でありますので、個人の自由、自己責任を原則とする概念だと私自身は認識をしております。従って本来は社会保障であるとか、社会的弱者を救済するという概念はそこからはストレートに出てこなかったわけでありますが、やがて個人の自由を守るためには、その当事者の責任ではない理由で自己実現が阻まれている場合、例えば非常に貧しい家庭に生まれてしまった子どもなど、本人の責任に起因しない理由で厳しい境遇に置かれている時には、そういう人たちの自由を守るために時には政府が積極的に手を差し伸べるべきではないかという「ソーシャル・リベラリズム」というものに派生し、この概念が日本ではリベラルと言われているわけであります。
だからこの2つは決して対立概念ではなく、貧困問題一つとっても、保守にとってどのような貧困は「維持するため、保守という考え方を守るために手を差し伸べてでも改革をするべき貧困」なのか。リベラルにとっても、どのような状況は「自由を守るために政府が手を差し伸べてでも何らかのサポートを提供する状況」なのか。こういうことを考えると、これは保守にとってもリベラルにとってもほぼ向き合っている問題が一緒であるということはあえて申し上げました。
同時に、保守は好戦的でリベラルは平和的だという固定観念も重大な間違いであるというふうに議場で申し上げたところ、期せずして自民党席から拍手が出まして。決して自民党の皆さんから拍手をもらいたかったわけではなく、保守であれリベラルであれ、自分の意見だけが正しい、あるいは自分の意見を押し付けるということをやるとそこに争いごとが発生するというふうにその後付け加えさせていただきました。何が正しいとか何が正義かということは、議場でソクラテスという言葉を使ったのは過去にあまりいらっしゃらないかなと思いますが、ソクラテス以来2500年の哲学者たちが未だに結論が出ないというよりも、正しいとか正義は定義ができないので、だから熟議を尽くせば尽くすほどより良い結論に到達できるかもしれないので議論を尽くせと言っているのが民主主義であります。
実はこれからの対立軸、あるいは本当の対立軸は、民主主義をより重んじる勢力か、民主主義を私たちよりはかなり軽く考えている勢力か。ここがしっかり国民の皆さんに「どっちに政府をお預けになりますか」ということを問うことが重大な対立軸ではないかということを議場で申し上げたわけであります。
今の安倍政権あるいは自民党の皆さんが、やはり民主主義というものに対して深い洞察に欠けた政権運営をしているなという意識がしておりますので、安倍さん達のその状態が変わらないのであれば、民主主義をより重んじる仲間の皆さんと政権を作るというのが私の民進党代表としての仕事であろうと思っております。ただそれを保守とかリベラルという概念で整理をしようとすると、保守であろうとリベラルであろうと「人の意見を聞かない、他人の意見は全部間違っている」というスタンスになれば同じであります。議論の前提となる思考論理というものをやはり共有していくということも、これからの私たちの組織にとっては重要なポイントだろうなぁと思っております。
最後になりますけれども、日経新聞さんが「大塚の趣味は仏教だ」って書いてくださったのでものが言いやすくなったんですけれども、お釈迦様の説法の最初の下りの中には「話し合うとは聞き合うことだ」と書いてあります。やはりそういう気持ちで党の運営に皆さんに参画していただけるかどうかがこれからの大事なポイントでありますというふうに申し上げたところ、比較的多くの皆さんがそこは飲み込んでくださっている状況であります。
話し合うことは聞き合うことだという気持ちで、民進党の仲間や、希望や立憲の皆さんが同じように英知を結集していただければ、今回の比例票の結果(希望と立憲を合わせると2100万、自民党さんが1855万)、この数字をベースにして次の総選挙は国民の皆さんに政府を選んでいただけるような総選挙にできる可能性は大いにあるというふうに思っておりますので、まずはしっかり努力をしたいなと思っている次第であります。
質疑応答
司会: ありがとうございました。それでは質疑に参りたいと思います。一問私から出させていただきます。解散総選挙を経まして、民進党という衆参両院ともに比較第2党だった政党が、衆院においては希望と立憲に分かれ、参議院においては民進党47でしょうか、分裂状態になったわけなんですが、これを今後どのように再結集を図っていくか。来年は国政選挙はないという中で、どうやって出直していくかというシナリオをお聞きしたいと思います。
大塚氏: 全部お話しするわけにはいかないご質問なんですが、最近「PI(ポリティカル・イノベーション)」ということを申し上げているんですが、経済も産業もイノベーションの真っただ中にあるのに、政治だけが旧態依然たるコンセプトで運営していていいんだろうかという問題提起でこの言葉を使わせていただいております。不思議な形で3党に別れてしまったという現実、これを従来の考えに基づけばできるだけ早く合体して一つに戻すということになりますけれども、必ずしもそれだけが唯一の方法ではないだろうというふうに思っています。
例えば、この3党がずっと連携をしていく、非常にわかりやすい表現で言えば「連立政権」を目指すということだって考え方としてはあるかなと。今までは一つの党でまとまっていると、憲法問題にしろ安保問題にしろ、全員が合意できるようにどんどん政策的表現を丸く削っていく作業をやっていたわけでありますが、この3党がそれぞれ微妙に考え方に差があるという形でまとまると、今までよりはその削り方に困らなくなるわけであります。ただ、一つの党の中で丸く削る作業と、公党間が合意をするということについて、どちらがよりハードルが高いかというのは自明の問題ではなく、ひょっとすると公党間の合意という形で物事を進める方が国民の皆さんにとっても見えやすいかもしれないなという思いもありますので、この3党の連携というものも固定観念にとらわれずに弾力的に考えたいという意味でポリティカル・イノベーションです。
それから地方においては、多くの自治体議員の皆さんがまだ民進党に所属をしておられますが、これから地域政党ネットワーク型の国政政党というものもあっていいんじゃないかなと個人的には思っております。そういう構造というのも実は自民党さんと我々の差を象徴するものかもしれないという面もあります。自民党の皆さんは中央集権型の国づくりを持っておられますが、我々はもともと旧民主党の時代から分権的な社会を目指そうということでやっていますので、地域政党のネットワーク型の国政政党というのもフィットするかもしれないなという思いもあり、ロードマップや政権の姿については現時点ではあらゆる可能性を模索しているというのが現実であります。
記者(川北氏): 個人会員の川北です。先ほどから旧民進党の立憲民主党や希望の党との連携ということをおっしゃっていますけれども、今の状況を企業に例えれば、分社化して一つの企業(立憲)は本体よりも大きく成長し、一つの企業(希望)は乗っ取られちゃったと。本体(民進)は特には衆院に関して言えばがらんどうの状態ですよね。それが本体よりも大きくなった企業に呼び掛けて、結集してくれると本気で思ってらっしゃるんでしょうか。枝野さんなんか相手にしてませんよね。事実上それをどうやって説得するんですか。
大塚氏: 本気で思っています。それはまさしくこれから信頼関係を構築していくということに尽きるわけでありまして。当然枝野さんを別に仲悪いわけじゃありませんから接点はありますし、玉木さんも大変親しい関係ですし。どのように連携できるかなということを模索しているということは、全体で今150人くらいですけども、ほぼ大多数の方がその点は共有していると思います。ただ、政党の所属議員の数が違いますし、民進党は総選挙で届出政党になりませんでしたのでプレゼンスが希薄になっているのは事実ですので、そこを少し立て直した上で、本体が少しプレゼンスを高めるということをこれからやらなきゃいけないと思っています。
記者(西日本新聞): 西日本新聞の論説委員のソニ(※音声不詳)と申します。国民の皆さんも今の野党の状況にはもう「わけわかんない」という状況だと思うんですね。地方の組織が今もうお尻から火がついているような状態だと思うんですけれども、これをどういうふうに今後やっていかれるおつもりなのかお聞かせください。
大塚氏: 的確なご質問だと思うんですが、実は希望の党も立憲の党も地方にじゃあ今プレゼンスがあるかというと、それぞれの地方組織はまだしっかりしてないんですね。民進党の国会議員がいない都道府県は47のうち25あるんです。そこに立憲の皆さんを仮に民進系でカウントした時にはゼロのところが21になります。希望の党をカウントするとさらに減って10になります。つまり民進・希望・立憲の国会議員がいない県がそれでも10あるんですね。
だけどそこに県会議員さんをカウントすると2まで減ります。市町村会議員まで数えさせていただくと一応47都道府県に全部入ると。そういう中で、自治体議員の方が「行きたかったらどっか行ってください」と言っても必ずしもそういう状況じゃないんです。自分の所属している総支部の国会議員が違う党に入ったからといって、自治体議員の皆さんは今申し上げたような状況の中で今後どういう方向で進んでいくのかという方針を示してほしいというふうに思っていらっしゃるんですね。しかるべき時期には一定の方向感をお示しするということになります。
記者(読売新聞 鵜飼氏): 読売新聞の鵜飼です。オリーブの木的な構造を日本で考えた時に、どういうところに可能性と乗り越えないといけない部分があるか。もう一点が、代表という大変な役をどのようにして最終的に引き受ける決断をされたのか。奥様からどんな声があったのかということもお伺いできればと思います。
大塚氏: 読売新聞文化部の鵜飼さんですが、小学校、中学校、高校の同級生なもんですから、ついでにうちの家内も同級生なもんですからあんまりプライベートな質問はしないで頂きたいんだけど(笑)。 オリーブの木的な構造を日本で作るのに乗り越えなければいけない壁、実はそれがさっき申し上げた誤った概念で使われている「保守」とか「リベラル」というものに対する考え方を、関係者が少し認識を共有し合うこと。それから最近「安保とか憲法で考え方が違うから無理だろう」とおっしゃる方に申し上げているんですが、安保について、国民の生命と財産の安全を守るというのが政治家・政党の役割だというこの一番の原点は全員が共有しているはずであって、それをベースに考えると糸口はいくらでもあると。
憲法問題は最後に判断されるのは国民の皆さんであって、政党が「その結論に至らなければ何としてでも阻止する」的な考え方というのは、国民の皆さんに対して大変不遜な態度ではないかと。もう少し冷静で謙虚な気持ちを各党が持てれば、オリーブの木というのは十分可能ではないかなというふうに思っています。
代表をお受けした経緯ですが、うちの家内は「好きにしたら」という感じで受け止めてくれたと思います(笑)。はっきり申し上げて推薦人を誰かにお願いしてません。月曜日の夜に「ここはこの状況をもう一度作ることは不可能になりますので、もし皆さんが話をまとめられるということであればその時はお受けしますよ」と言ってお答えをしたということです。ここは私のようなタイプの人間の働き所であろうという判断のもとで決心したということです。
記者(毎日新聞 倉重氏): 毎日新聞の倉重です。日経新聞の世論調査で立憲民主党が14%、民進党の抜け殻みたいなところは0か1なんですよ。これをどうやって立ち上げていくのか。もう一つは、大塚さんは日銀で仕事をされたこともあって、アベノミクスに対する極めて的確な批判者だったと思うんですが、代表(マネージャー)になったことによって発言の機会が消えてしまう懸念がございます。
大塚氏: 立憲民主党が14%になっているというのは、枝野さんが立ち位置を明確にされたことに伴う国民の皆さんのご評価だと思います。民進党の1%はある意味当然でありまして、衆議院議員が1人も民進党から出ていませんから、世論調査で聞かれると希望の党などに変わるわけですね。参議院議員が数十人いるからといって世論調査の政党支持率にそれが反映するかというと、これはなかなか無理だと思います。これをどう立て直していくかという過程で、新しく組み立て直した器として支持率を回復するということになるのかなという気はしています。
経済政策については、代表になったからといって発言の機会が減るというわけではないと思います。代表として党の再生をどうするかというインタビューばかりでなく、経済政策についてインタビューしていただいたり記事にしていただければ、国民の皆さんにご理解いただけるように努力したいと思います。
記者: 今後の国会対応は衆参でどう連携をとって戦っていくのか。もう一つは、最大の支持母体である連合さんから民進党に対してどんな注文や期待があったのか。
大塚氏: 国会での連携は、質問の内容やどういう分野を取り上げるか、3党間でもっときっちり調整が必要だなと感じました。できるだけ重複ないようにやったほうがいいですから。衆議院で発掘した質問の材料を上手にこちら(参議院)に引き継いでいただくということはちゃんとやらなきゃいけないと思います。幹事長同士の会談や政調会長間の連携も始まってますから徐々に進んでいくと思います。 連合さんからは、特に連合の組織内議員の皆さんが参議院においてバラバラになるような状況にはしないでほしいというのは明確に言われております。同時に、再来年の参議院選挙、その前の統一地方選挙で、きっちりとした選挙ができるような構造を作ってほしいということについては明確に言われています。
記者: 森友・加計問題について三党一体になって追及するという主張してますが、これについてはどうですか。
大塚氏: これは三党連携がしやすい課題であることは事実ですね。森友・加計問題について我々の問題意識は全く差はありませんので、通常国会の時にはしっかり連携できるようにしたいと思います。
記者(加藤氏): 個人会員の加藤と申します。国会中継をずっと見てたんですけれども、全然面白くないんですよね。自民党があれだけの人数を当選させることができるんだからこれで十分だという感じがして、国民が政治に対する関心が全く無くなっていくのではないかなと。一つの批判勢力としてちゃんと物を申すということをしないととんでもないことになるんじゃないかという危機感を持っているんですが。
大塚氏: 自民党さんが、今の状態のように野党が割れていればこれだけの議席を取れると思っていらっしゃるのは事実ですが、野党が割れなくなったら大変だということもお分かりだと思います。いずれにしても、対立軸や論点を明確にした議論をやっていかないと、長いものに巻かれる雰囲気が出てくるから大変なことになるというのは同感であります。自民党という組織の中においても同じ現象(若い議員が何も言わない等)が起きているので、おかしな方向に行かないように努力をしたいというふうに思っています。
司会: 時間になりました。先ほど大塚さんに揮毫(きごう)を取ってもらいました。「為政清明」ですね、これはどういう意味かちょっとご説明いただけますか。
大塚氏: 私はあんまりこういう揮毫はしないことにしてるんですが、どうしてもと頼まれた場合にはこの大久保利通さんの言葉です(西郷さんは「敬天愛人」と書かれましたが)。これはまあ、政治を担わせていただく者は公明正大でなければならないと言っている言葉であります。もし皆さんがご興味があれば、私のホームページ(「宏庵」という仏教のページ)に行っていただくと、「三耕探究(参考探究)」という言葉があります。「学あり論優れども心貧すれば人に能わず(あたわず)」と書いております。次回もしお招きいただく機会があればここには「三耕探究」と書かせていただきたいなというふうに思っております。以上です。
司会: ありがとうございました。大塚耕平氏でした。
