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サマリー:弥富市の公立保育所民営化問題を問う ~「こどもまんなか」の視点から~

本資料は、弥富市が進める公立保育所の民営化計画(「ひので保育所」の民間移管、「弥生保育所」の移管予定)に対し、「こどもまんなか」の視点からその問題点を浮き彫りにし、計画の見直しを求める多様な論考、提言、議会での議論をまとめたものである。

1. 民営化計画の概要と問題の核心

  • 計画の概要: 市は、最も利用者が多い「ひので保育所」(令和7年度~)と「弥生保育所」(令和10年度~)の2つの公立保育所を、土地を有償貸与、建物・備品を無償譲渡する形で民間(社会福祉法人・学校法人)へ移管(民設民営)する計画を進めている。

  • 問題の核心:

    • 「公的責任」の放棄: 地域の子育ての安心の拠点であり、多様なニーズ(長時間保育、乳児保育、障がい児保育等)に応えてきた公立保育所の役割を縮小・放棄する行為である。

    • 「子どもの育ち」への懸念: 信頼関係で結ばれた保育士が交代することによる子どもへの悪影響や、民営化後の保育の質の維持に対する懸念が拭えない。

    • 「拙速・安易」な手法: いきなりの完全移管ではなく、「公設民営(委託)」の期間を設けて質を確認するなどの選択肢が十分に検討されていない。

    • 「無償譲渡」の妥当性: 約4億円で建設され、まだ価値がある「ひので保育所」の建物を無償譲渡することに対し、市民の理解が得られていない(名古屋市は有償譲渡の事例あり)。

    • 「市民不在」のプロセス: 子どもの権利に関わる重要事項にもかかわらず、市民への十分な説明や意見聴取が行われず、計画が押し進められている。

2. 民営化の背景にある構造的課題

  • 「財源問題」の誤認: 「民営化すれば財政負担が減る」という認識は、地方交付税制度の仕組み(公立保育所の運営費は国から財源保障されている)から見て誤りであるとの研究結果が示されている。

  • 公定価格の限界: 私立保育所の運営費となる国の公定価格は低く設定されており、十分な保育士配置や待遇改善が難しく、それが保育の質の低下につながる恐れがある。公立保育所は、公定価格の不足分を市の財源で補うことで、質の高い保育を維持してきた側面がある。

  • 幼児教育・保育の無償化の影響: 無償化が地方財政や保育園経営に与える複雑な影響についても検証が必要である。

3. 議会での議論と提言

  • 無償譲渡への疑問: 議会では、「ひので保育所」の無償譲渡は妥当性を欠くとの追及がなされた。市側は「優良な事業者を呼ぶため」と説明するが、説得力に欠けるとの指摘がある。

  • 民営化後の検証: 民営化後の保育の質をどう担保し、検証するのかが大きな課題。市は「三者協議会(保護者代表含む)」の設置や立ち入り検査を約束しているが、その実効性や透明性(情報公開)が強く求められている。

  • 「初めの100ヶ月」への投資: こどもの人格形成に最も重要な「初めの100ヶ月」の育ちを社会全体で支える「厚みのある環境」を築くべきとの提言がなされている。

結論と今後の展望

弥富市の公立保育所民営化は、「財政効率」を優先するあまり、「子どもの最善の利益」が置き去りにされる懸念が強い。公立保育所が担ってきた役割の重要性を再認識し、民営化ありきではなく、子どもと保護者、そして現場の保育士の声に真摯に耳を傾け、計画を根本から見直すことが強く求められている。「保育は、子どもの育ちの場を保障すること」という原点に立ち返る必要がある。

詳しくは

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要約

弥富市では、9カ所の公立保育所と1カ所の私立・認定こども園があり、今年4月に1か所が民営化され、もう1か所の民営化が進んでいます。この民営化に関して、以下の問題点が指摘されています。

  1. 公立保育所の意義
    • 地域と共に育ててきた公立保育所は、子育て世代が弥富市を選ぶ重要な要素であり、医療費無料化などの取り組みも行われてきた。
  2. 民営化の手法
    • 市は公立保育所を廃止し、民間保育所を新設する「移管」の形をとる計画で、土地は有償貸与、建物は無償譲渡される。
  3. 子どもへの影響
    • 保育士が変わることで、子どもたちの成長に影響が出る可能性があり、引き継ぎ保育の質に対する懸念がある。
  4. 他の選択肢
    • 移管する前に5年程度の委託期間を設け、法人の質を確認する方法も考えられる。
  5. 公定価格の問題
    • 私立保育所の運営は公定価格に基づくが、十分な待遇で保育士を雇用できないことが問題視されている。
  6. 無償譲渡の疑問
    • ひので保育所の建物が無償譲渡されることに対する市民の理解が得られていない。
  7. 市民不在の計画
    • 市民への説明や意見聴取が不足しており、子どもの権利に関わる重要な計画が市民の声を無視して進められている。

この計画を見直し、子どもや子育て世代に真剣に向き合う市政の復活が求められています。

 

弥富市保育所民営化計画 なにが問題?!

弥富市の保育は、9カ所の公立保育所と、1カ所の私立・認定こども園で担っています。このうち、2カ所の公立保育所を民営化する計画が進み、今年4月に1か所が民営化され、もう1か所の民営化が進んでいます。

この民営化について何が問題なのか、皆さんと一緒に考えたいと思います。

(1) 住民と共に育ててきた公立保育所

家庭や地域からの保育所設置要望に応えて、弥富市は充実したあたたかい公立保育所を誇ってきました。

他にも、先進的な子どもの医療費無料化など安全で安心な子育て環境に取り組んできました。

特に充実した公立保育所こそ、子育て世代が弥富市を選ぶ重要な要素、弥富の魅力ではないでしょうか。

(2) 安易・拙速な民営化ではないか?

市は、令和4年1月に弥富市公立保育所の民営化基本方針を策定しました。

この方針に基づき、最も利用者が多い人気のある新しい保育所の民営化を順次進める予定です。

・ひので保育所 (令和7年度から民営化)

・弥生保育所 (令和10年度までに民営化を予定)

 民営化には「移管(民設民営)」「委託(公設民営)」の2つの手法がありますが、弥富市では公立保育所を廃止し、民間の保育所を新設する「移管」の形をとる計画です。その場合は以下のようになります。

  • 土地と建物 ➜ 土地は有償貸与、建物と備品類は無償譲渡の予定。
  • 運営費 ➜ 公定価格になり、保育料を差し引いた額を国(1/2)・県(1/ 4)・市(1/ 4)が負担。
  • 移管先 ➜ 保育運営に実績のある社会福祉法人又は学校法人を対象に公募し、プロポーザル(企画提案)方式で選定。

(3) 民営化でどう変わる?なにが問題?!

この民営化により、弥富市は、子どもたちの育ちの場を保障する役割を放棄していないでしょうか。

公立保育所には、長時間の保育、0歳児からの乳児の保育、様々な障がいを持った子どもたちの育ちの場を保障する役割があるはずです。

以下に、私の視点でその問題点をまとめてみます。

 ① 子どものためになるの?

子どもが主役の保育にも関わらず、子どもたちの成長を任せる信頼すべき保育士が変わってしまいます。市は「引き継ぎ保育」をすると言っていますが、引き継ぎが子どもや保護者にとって満足のいくものでないことは、すでに実施している自治体でも明らかになっています。

 ② 他に方法は無いの? 

いきなり移管(民設民営)するのでなく5年程度委託(公設民営)をして、良質な法人であることを確認してから移管する別の方法もあるはずです。

市は移管後も保育内容について協議や指導すると言っていますが、これまでの公立と同等の保育の内容・質が担保される保証はありません

 ③ 公定価格の本当の問題!

私立保育所は国が決めた公定価格で運営しますが、十分な数の保育士が十分な待遇で雇用できないことが公定価格の問題となっています。

一方、公立保育所の運営費は国から市に財源移譲や交付税措置で確保されています。

公立には、保育士や設備の充実、障がい児対応など、公立ならではの良さがあります。公定価格で不足する分を充実させれば、私立よりも経費が掛かるのはやむを得ないのではないでしょうか。

 ④ なぜ無償で譲渡するの?

約4億円かけて建設したひので保育所の建物を、まだ約2億円の残存価値があるのに、移管法人に無償譲渡することは市民には理解できません

移管後に運営が悪化した場合、改善要求を保障する担保物件が無く、移管法人が破綻した場合市民の財産を取り返す保証はありません

民間のメリットは大規模改修時に国・県・市の補助が受けられます。補助を受けるような大規模改修が必要になった時に譲渡すれば済む話です。

 ⑤ やるべきことは他にあるのでは?

この民営化計画は、一般の市民に対しての説明や意見聴取が十分に行われず市民不在の計画

市民生活に密着し、子どもの権利であるきわめて重要な計画を、市民の声を十分に聞かず、市は決まったこととして押し切ろうとしています。

市は全ての保育所・保育士・子ども・保護者の現場の改善に本気で取り組んでいるのでしょうか。

計画を見直し、子どもと子育て世代に本気で向き合う弥富市政の復活を望みます。

研究資料のご紹介

東海自治体問題研究所の ◎保育を考える論文集(「所報」掲載論文ほか)
①公立保育所民営化の理由を「一般財源化」に求めるのは不当-地方財政制度の仕組みから解明(2020年12月)

主な論点は以下の通りです(Ai要約)

  1. 公立保育所の一般財源化の誤認

    地方自治体が公立保育所の運営費や施設整備費の一般財源化を理由に民営化を進めることは誤認であると指摘されています。地方交付税制度により財源は保障されているにもかかわらず、国の負担がなくなったと誤解されている点が問題視されています。

  2. 地方交付税制度の仕組みと課題
    地方交付税制度の複雑さが、自治体の財源問題に対する理解を妨げていることが論じられています。特に基準財政需要額や単位費用、補正係数の算定方法が難解であることが指摘されています。
  3. 保育の民営化の影響
    民営化が進むことで、公立保育所の役割や質の確保が損なわれる可能性がある点が議論されています。 公立保育所は地域の保育基準を維持し、障害児保育や家庭支援などの重要な役割を果たしているとされています。
  4. 地方交付税不交付団体の財源問題
    不交付団体においては、税収が豊富であるため私立保育所の運営が財政的に有利とされる一方で、公立保育所の必要性について議論が求められています。
  5. 幼児教育・保育の無償化の影響
    幼児教育・保育の無償化が地方財政に与える影響について検証されています。無償化による基準財政需要額の増加が地方交付税にどのように反映されるかが重要な論点です。
  6. 地方交付税制度を利用した国の政策誘導
    地方交付税制度が国の政策誘導に利用されている現状が批判されています。

    “(2)地方交付税制度と国の政策誘導地方交付税制度は、ナショナルミニマムを担 う大きな役割を担っています。ナショナルミニ マムは元々が経常的な費用を基礎とするもので す。ところが、時の政府は地方交付税制度を国 の政策誘導に取り込もうとする傾向があります。その傾向は、1990年代の新自由主義的な政策が 進められる中で強められています。そこで、そ の流れを見ておきましょう。”

    成果主義や競争主義を導入することで、地方自治の本来のあり方が損なわれているとされています。

これらの論点を通じて、公立保育所の民営化を進める際の財源問題や地方交付税制度の課題が詳細に論じられています。

②公立保育所の民間移管を止める力に~公立保育所の財源問題に関わる研究会~(「所報」2021年12月号)
③保育所の民営化は本当に安上がりか(1)-全園が私立の大治町と全園が公立の扶桑町を比較して-(「所報」2023年5月号)
保育所の民営化は本当に安上がりか(2)-全園が私立の大治町と全園が公立の扶桑町を比較して-(「所報」2023年6月号)
⑤保育所民営化の財源問題 一般財源化を地方交付税制度から解明(2023年7月)
⑥保育財源とナショナルミニマム-3歳児15:1と障害児の保育士配置基準を例に(2024年3月)
⑦労働組合のノウハウと保護者のアイデアを活かした運動が国を動かした~76年ぶりに保育士の配置基準が改善~(「所報」2024年4月号)
その(1) その(2)

愛知保育団体連絡協議会

子どもたちに、もう一人保育士を!

「子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会立ち上げの経緯と目指すもの」

 

 

こども家庭庁

保育は「育ちの場を保障すること

本当に「子どものため」と言えるの?

保育所全体を改善」するのが先では?

「ひので保育所が民間移管後も「公立保育所の良さ」を維持するために」令和7年3月定例会 一般質問2/4

令和7年3月議会の一般質問から

「ひので保育所が民間移管後も「公立保育所の良さ」を維持するために」

  1. ひので保育所の無償譲渡
  • 民営化の予定:
    • ひので保育所は2024年4月に民営化され、建物は移管先の学校法人に無償譲渡されるました。
  • 名古屋市との比較:
    • 名古屋市では評価額の10分の1で有償譲渡しており、無償譲渡は妥当性に欠けます。
  1. 議論の内容
  • 老朽化と立地:
    • 新しい、立地の有利さを考慮ると無償は不当。
  • 無償譲渡の理由:
    • 行政側は、優良な事業者に参加してもらうため無償譲渡を選んだと説明。
  1. 民営化の検証
  • 運営の監視:
    • 市は移管後も一定の関与を保ち、適切な運営を監視する方針。
  • 三者協議会の設置:
    • 保護者代表を含む三者協議会を設置し、教育保育の質向上を目指す。
  1. 市民への透明性
  • 運営状況の公開:
    • 保育の質が維持されていることを公に示す必要性があります。
  • 情報のオープン化:
    • アンケート調査や実地調査を通じて、保育環境を透明にすることが求められます。
  1. 結論
  • 市民の信頼確保:
    • 無償譲渡に対する市民の信頼を得るためには、透明性を持った運営が不可欠です。

質疑の要約

ひので保育所の建物の無償譲渡について

  1. ひので保育所の無償譲渡について
  • ひので保育所が民営化されるにあたり、建物を無償で譲渡することに疑問、名古屋市が評価額の10分の1で有償譲渡している、妥当性に疑問。
  1. 行政の見解
  • 安井健康福祉部長は、他の自治体が無償譲渡または無償貸与を行っていることを説明し、弥富市の基本方針に基づき無償譲渡を原則としていると述べる。
  • 民営化後も地域の教育保育施設としての運営を確保するために無償譲渡を選択した。
  1. 佐藤議員の再質問
  • 佐藤議員は、ひので保育所が新しいことや立地の有利さについて再度質問し、無償譲渡の判断が適切でないと主張。
  • 特に、老朽化が進んでいないことや、立地が有利である点についての配慮が欠けていると指摘。
  1. 行政の回答
  • 飯田児童課長は、無償譲渡が優良な事業者を引き寄せるための措置であると説明。
  • しかし、佐藤議員はその回答が市民の期待に応えていないと再度反論。

ひので保育所の民営化の検証について

  1. ひので保育所の民営化の検証について
  • 佐藤議員は、ひので保育所の民営化に対する公平で公正な検証が必要だと述べ、具体的な検証方法を尋ねる。
  1. 行政の対応
  • 安井健康福祉部長は、移管先法人との協定に基づき、市が一定の関与を保ち、適切な運営のために報告徴収や立ち入り検査を行うと説明。
  • また、保護者代表を含む三者協議会を設置し、教育保育の質向上と運営の透明性を高めるための継続的な評価を行うと述べる。
  1. 佐藤議員の再確認
  • 佐藤議員は、ひので保育所の良い点を維持しつつ民間の利点を加える必要性を強調。
  • 市民が知らないところでの議論ではなく、保育環境について公に情報を公開することが重要だと訴える。
  1. 行政の再回答
  • 安井部長は、保護者代表を含む協議会が連携して適切な保育を行うと再確認。
  • しかし、佐藤議員は「やらせなければならない」と強調し、議事録にその重要性を記録する必要性を訴える。
  1. 結論
  • 佐藤議員は、ひので保育所の運営が市民にとって安心できるものであることを求め、透明性を持った運営を強調。

弥富市公立保育所の民営化基本方針 (PDF 576.6KB)

スマホの方はPDFが見にくいと思いますのでテキストにしました こちらから見てください

R4.6議会③一般質問「保育所の改善と民営化 保育士さんたちの働く環境、弥富のゆりかごともいえる保育所を大切に育てるのは弥富市全体の問題」はこちらから